中古マンションを検討するときに、あなたであれば何を選択の指針とするでしょうか。価格と立地はもちろんですが、築年数も選択の大きな要因となるのではないでしょうか。
実際、営業の現場で私も「築何年くらいの中古マンションがいいですか?」とか、「築15年のマンションって15年後どうなんですか?」といった築年数に関する質問をよく受けます。
もちろん築年数は重要な基準ではありますが、大事なのは建てられた年代なのです。このポイントを押さえておくことで、中古マンションの選び方が変わるのではないでしょうか。
この記事では、なぜ中古マンションは築年数ではなく建てられた時期で判断したほうがいいのか?その理由とおススメの時期についてまとめました。
中古マンションのおススメの年代やポイントを手っ取り早く知りたい方は、目次の「まとめ」をクリックしてください。
中古マンションが建てられた時期ごとの特徴
まず中古マンションが建てられた時期の背景とおススメ度を解説していきます。注意してほしいのは、あくまで全体的なことですべての物件にあてはまるわけではなく、最後は個別に判別していきます。
またおススメ度は筆者の個人的な主観も含まれています。絶対ではないので、あくまで目安としてご覧ください。
1975~1982年 おススメ度
1975~1982年(昭和50年から56年)ころまでは猛烈な勢いでマンションが建築されました。いわゆる大量供給時代ですが、このころのマンションはコンクリート壁厚も薄く、水道菅もさびが出やすい銅管を使用しています。
その後の新耐震基準になる昭和56年までのマンションはコンクリート厚も12㎝と遮音性能も低いものが主流でした。音も今のような気密性があるわけではありませんでした。
室内の広さもそこまで重視されておらず、エレベーターのない低層マンションも多く存在します。エリアによってはかなり安い価格で売りに出ているので、立地と値段で割り切ってしまえれば、それはそれでアリなのかもしれません。
1983~1987年 おススメ度
時代は進んで昭和56年以降から昭和60年ころまでは質も上がりました。建築基準法が改正されて、新耐震基準と呼ばれている時代です。
水道管にも塩ビのものが見られるようになり、コンクリート厚も15㎝のものが多く出始めて遮音性能も向上しています。
1988~1991年 おススメ度
そして時代はバブルを迎えます。昭和末期から平成初期になりますが、マンションも豪華絢爛なものが増え、都心の一等地では億ションが珍しくなくなってきました。ヴィンテージマンションと呼ばれる物件も多く存在する年代です。
また、価格が高騰しすぎたため、一般サラリーマン世帯では購入が難しくなったこともあり、ファミリー型マンションは郊外へと移動していったのもこのバブル時期になります。
1992~1994年 おススメ度
1992~1994年(平成3年~平成5年)にかけてはバブル崩壊後の時期にあたるので、豪華絢爛な仕様のマンションは激減し、供給量そのものもかなり減りました。
ですから、物件数そのものも少ないことに加えて、価格を抑えるために間取りも工夫したりするものも減り、さらには面積自体も絞っていった傾向にありました。
1995~2000年 おススメ度
バブル崩壊の最悪期を過ぎるとマンションにも変化の兆しが現れます。
快適性を求めたマンションが出始めて、再びマンション時代の到来を感じた時代でした。天井も高くなり、水道管も腐食が少なくその他のトラブルも少ない新素材が使われるようになったのが、1995~2000年(平成6年~平成11年)にかけての時代でした。
2001~2006年 おススメ度
そして西暦2000年6月(平成11年6月)にできた住宅品質確保法によって随分と品質の底上げが図られ物件の質が向上しました。階下への騒音を軽減する二重床が一般的になったり、食洗器がつき始めたりとした時代になります。
またこの時期はそこまで土地価格や建築費が高くなかったため、駅近で質の良い中古マンションが多く建てられた時期です。さらにこのころのマンションは大規模修繕が一度おわっているため、管理組合の財務状況の判断がしやすいというメリットもあります。
2007~2008年 おススメ度
そして2007~2008年(平成18年~19年)あたりにはマンションのミニバブルが起きました。結果的には直後のリーマンショックで沈静化してしまうのですが、価格急騰によって面積を狭めたり仕様を落としたりするなどの対策が取られた時代です。
2009~2013年 おススメ度
リーマンショックからの4~5年は日本経済全体が落ち込むどん底時代でした。しかし、土地の仕入れが安くできたのに加えて、70円台まで進んだ円高により輸入品が安く手に入ることとなり、良質なマンションが極めて多く建築された時代になります。
また東日本大震災によって災害意識が高まり、制震・免振装置が取り入れられたマンションが増えた時期でもあります。
ただ、まだ比較的新しく管理組合の財務状況の判断が難しいことや、価格がまだそこまで落ちていないということを考慮して☆4.5ですが、建物そのものは☆5つです。
2014年~現在 おススメ度
その後の2013年ころから今に至るまでは再び建築コストの増大によって、価格がじりじりと上昇してきました。東京オリンピックによる建築費高騰が影響しているのですが、2025年の大阪万博開催も決定したので、まだまだ資材の高騰と職人不足が続くでしょう。
今の新築は価格が高騰して一般の方にとって手が届きにくい水準にまであがっています。そこで少しでも安く抑えられるように、部屋を狭くしグレードを下げています。新築からしばらくの間はいいかもしれませんが、中古マンションとして市場に出たときの競争力としては弱い中古マンションが多いです。
築年数は新しければいいわけではない
このようにマンションは築年数が新しければいいというわけではありません。既述したように、直近の新しいマンションは価格高騰の波に襲われているために、価格に見合った内容かどうかには疑問が残ります。
築5年と築30年では比較するまでもありませんが、平成30年に完成した築2年のマンションと平成22年に完成した築9年のマンションであれば、7年の差があるものの質としてどちらがいいのかはじっくり吟味しないと判別できないでしょう。
関連記事「新築マンションは買ってはいけない?そう考えるこれだけの理由」
旧耐震の中古マンションは避けた方が無難
日本は世界有数の災害大国です。とくに地震は東日本大震災以降、日本全土が活性期に入ったのではないかという学者の見解も発表されました。また、想定された大地震発生地域とは全く異なる空白地域にも大きな地震が頻発しています。
こう考えると、中古マンション購入時の重要選択基準の一つとして、マンションの耐震性に着目するのは絶対条件となります。そこで悩むのは「耐震性の強いマンションはどうやって見分けるのだろうか?」となりますよね。
もちろん新しければ新しいほど劣化していないので、地震には強いという理屈は成り立ちます。ただ、単純な築年数よりももっと重要な判別方法があるのでご紹介します。
1981年(昭和56年)6月を境に建築物の耐震基準が大幅に向上しました。結論から言いますと、これより後の中古マンションを探すようにしてください。
この1981年6月以降に建築確認申請が下りたものは新耐震基準となります。つまり、1981~1983年の物件でも、これ以前に建築確認申請が下りたものは旧耐震基準で建築されているのです。
1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震が発端となり法律が改正されたのですが、地震に対する備えを考えると旧耐震ではなく新耐震マンションを購入するべきだと私は思います。
また旧耐震のマンションは住宅ローンがおりにくい金融機関が増えてきていますので、将来の資産性という意味でも、よほど管理組合の状況がよかったり、耐震改修工事をしていない限りお勧めはできません。
関連記事「中古マンションを購入するときの住宅ローンで気を付けること」
中古マンションは管理を見て買う
「マンションは管理を見て買え」という格言は不動産に関わる人間であれば一度は聞いたことがあるほど有名です。
清掃や修繕状況はもちろんですが、将来の修繕状況がどうなっていくかという観点が欠かせません。将来の修繕状況は、管理組合の財務状況によって決まります。
比較的築年数が新しければ問題は出にくいですが、築年数が経つごとに修繕費用は増えていきますので、財務状況に不安がある中古マンションは将来修繕積立金の一時金の徴収や、毎月徴収される積立金の大幅な値上げなどの憂き目にあう可能性が高くなります。
将来のランニングコストが高くなること自体、出来れば遠慮したいところですが、売りに出すときも、こういった中古マンションは敬遠されます。
ですから、中古マンションは立地や建築年などももちろん大事なのですが、今後は管理組合の財務状況も大きなポイントになってきます。
不動産エージェントの力を借りて納得のいく買い物を
中古マンション購入の最終決断は、もちろんあなた自身です。しかし、その決断が後悔しない正しいものになるかどうかは第三者のプロによるアドバイスです。
不動産エージェントという言葉ご存知でしょうか。不動産のプロであり、マンション購入者へ第三者的な立場から公平なアドバイスをくれる人たちです。
一生に一度か二度の不動産購入。そんな大事な買い物をするのに「何となくこの物件でいいかな」ではリスクが高すぎます。
中古マンションに限らず不動産は個別性が非常に強い商品であるため、失敗しないためにも不動産エージェント選びは慎重に行いましょう。
まとめ
最後に中古マンションの築年数と建てられた時期についての注意点やポイントをまとめておきます。
- 中古マンションは築年数より建てられた時期に着目する
- おススメの年代は2001~2006年に建てられた中古マンション
- ここ最近の新築は部屋が狭くグレードが下がっているため、おススメ度は低い
- 旧耐震の中古マンションはよほどポジティブな条件がない限り避ける
- 中古マンションは管理を見て買う
- 失敗しない中古マンション選びは不動産エージェント選びから
これらのポイントを押さえてお得な中古マンション選びをするようにしましょう。
この記事が気に入ったら
♥「いいねボタン」をクリックお願いします!

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
このエージェントへ相談する