この記事で分かること
- マンション管理組合と管理会社の決定的な違い(決定権はどちらにあるか)
- 管理会社の業務内容と委託方式(全部委託・一部委託・自主管理)
- 国土交通省マンション総合調査の数値(分譲時継続73.1%・変更経験20.9%)
- 管理会社の利益はどこから生まれるか(キックバックの実態)
- 「管理会社の言いなり」になっているマンションの典型パターン
- 管理が良いマンションと悪いマンションの見分け方
- 大手の管理会社は本当に安心か(業界17年の本音)
- ディベロッパー系列と独立系の管理会社の違い
- 管理会社を変更する具体的な手順7ステップ
- マンション管理士の活用方法
- 自主管理マンションが陥りやすい末路
- 業界17年・年間1000棟以上の管理組合調査からの知見
「マンションは管理を買え」と言われますが、その本当の意味を理解している方は多くありません。本文では業界17年・年間1000棟以上の管理組合調査をしてきた現役不動産エージェントが、管理会社の闇まで含めて本音で解説していきます。
「マンションは管理を見て買え」という格言があるくらい、マンションにとって管理は、資産価値や住みやすさの価値を推し量るうえで、非常に重要なポイントとなります。
しかし管理が重要ということは、なんとなく理解はできていても、管理のどこを見ればいいのかを、しっかり理解できている人はあまりいないように感じています。
それは一般の消費者だけでなく、不動産のプロと言われる仲介業者でも、マンション管理について深い知見を持っている人は、実はそこまで多くありません。
そこでこの記事では、これまで年間1000棟以上のマンション管理組合の調査をしてきた私が、マンションの管理を見極めるために知っておくべき、管理会社と管理組合の関係性や、管理が良い悪いというのはどのような状態を指すかなど、詳しく解説していきます。
これからマンション購入をお考えの方はもちろん、すでにマンションに住んでいる方や、保有しているマンションをいつ売るか悩んでいる方は、数多くのヒントが得られますので、ぜひ最後までご覧ください。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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マンション管理組合と管理会社の決定的な違い
具体的な解説に入る前に、まずは「管理組合」と「管理会社」の違いを一目で分かる形で整理します。
管理組合は、マンションの区分所有者全員で構成される団体で、区分所有法という法律に基づいて自動的に組成されます。マンションを購入すると同時に、その所有者は管理組合の組合員になります。マンションの意思決定機関であり、修繕計画・予算・規約の変更などすべての意思決定権を持っているのは管理組合です。
管理会社は、管理組合から業務委託を受けて管理業務を代行する第三者の不動産会社(株式会社)です。管理組合から管理委託費を受け取って業務を行い、決定権は一切持ちません。意思決定の助言・実務代行が役割で、最終判断は常に管理組合側にあります。
役割を一言で表すと、管理組合は「マンションのオーナー(所有者の集まり)」で、管理会社は「オーナーから雇われた業者」という関係です。「オーナーが業者の言いなり」になっている状況は、本来あり得ないはずですが、現実には多くのマンションで起こっています。その理由が、この後の解説で明らかになります。
マンションにおける管理会社とは?
管理会社とは、マンションの管理組合から管理業務の委託を受ける不動産会社のことです。
マンションの管理業務を行うに当たり、契約で定められた業務を行い、管理業務や資産維持管理に関する助言やアドバイスをする役割となります。
マンションの所有者で組成される管理組合は、マンション管理について精通している人はほとんどいないため、プロの視点で管理業務をフォローしてくれる存在です。
マンション管理会社の具体的な業務
実際にマンション管理会社には多くの業務内容があります。
まずマンション管理会社の中で最も重要な業務が「運営事務」に関わるもので、大きく2つに分けられます。
その内容は、管理費や修繕積立金の徴収や管理などの「基幹事務」と、設備等の保守点検・損害保険の契約締結・住民への連絡業務・総会や理事会などの運営補助などの「それ以外の業務」に分けられます。
さらに管理人の派遣や、マンションの定期清掃、設備保守など、その業務は多岐に渡ります。
管理形態「全部委託」「一部委託」「自主管理」の違い
よくマンションの広告を見ていると、管理形態の項目が、マンションによって「全部委託」「一部委託」「自主管理」となっています。
これはマンションの管理組合から、管理会社が委託を受けている形態のことをいいます。
全部委託とは?メリット・デメリット
全部委託とは、マンションの管理業務の全てを一括で委託されているということです。
この形態のマンションが最も多く、日常の煩雑な業務を委託することができるので、所有者は手間がほとんどかからないというメリットがあります。
一方で全ての業務を委託するので、管理費は高くなりがちです。
一部委託とは?メリット・デメリット
先述した管理業務のうち、マンションの所有者でできることは自分たちで行い、その他の業務を委託するという方法です。
委託する業務の種類はマンションによって変わります。
業務の一部を委託するだけなので、業務の内容にもよりますが、管理費を抑えることが可能です。
一方で管理業務に関する知識を有する所有者の存在が必要となるなど、求められる専門性も高くなります。
自主管理
自主管理とは、マンション管理会社に一切依頼することなく、所有者たちで管理業務を行う形態です。
清掃業者や管理人を利用することもありますが、ほとんどの場合、管理組合との直接契約となります。
管理費用が抑えられるメリットがある反面、高度な管理業務についての知識が求められます。
また一人の所有者がずっと理事長を行なっている場合、不正という問題も発生しやすい傾向があります。
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マンションにおける管理組合とは?
次にマンションの管理組合を、解説していきます。
管理会社での説明にもたびたび触れてきましたが、管理組合とは、マンションの所有者で組成される組合のことで、法律で管理組合の設置が定められています。
そしてマンションの所有者は、必ず管理組合の組合員となります。
また多くのマンションで輪番制となる、一定の人数で組成される理事会や、その理事会の長となる理事長など、さまざまな役割があります。
管理組合では、必ず年一回以上の総会を開催することが定められていて、さまざまな議題について、議論し決議をしていきます。
議決権というものが、あらかじめ部屋の広さに応じて、各所有者に紐づいており、何かを決めるときは多数決の論理で、決議がされていきます。
「大規模修繕工事(共用部の著しい変更を伴わないもの)には1/2以上の賛成」「マンションの建て替えでは、4/5以上の賛成」など、決議における割合は法律によって定められています。
管理組合はマンションの意思決定機関
マンションの管理組合と管理会社の最も大きな違いは、決定権があるかどうかです。
マンションの管理や維持修繕における決定権は、管理組合にしか認められていません。
つまり管理組合は、そのマンションの意思決定機関であり、マンションにとって当事者という立ち位置になります。
毎月徴収される管理費や修繕積立金は、管理組合の名義の口座に保管されるものとなり、管理組合の財産となります。
毎月の管理費などは、管理会社との契約に基づき支払われますが、その他の支払いは、管理組合の決議が必要となります。
急な支出が必要になった時は、定時総会とは別に、臨時総会を開き決議することもあります。
こういった役割を持つのが、マンションの管理組合なのです。
マンション管理会社と管理組合の関係性
マンションの管理会社と管理組合が、それぞれどんな役割を持っているかが分かったところで、それぞれの関係性について説明していきます。
関係性を考える上で、最も重要なことを言います。
それは、「マンション管理会社は管理組合から業務の委託を受けた、第三者の不動産業者である」ということです。
それ以上でもそれ以下でもありません。
しかし多くの方が、マンションは管理会社が主体となって行なっていると勘違いをしています。
あくまでマンションの主体は、所有者の集まりである管理組合です。
重要なことなので、何度も言いますが、マンション管理会社はただの委託を受けた不動産会社です。
マンション管理会社の目的について知る
ここから、マンションの管理における核心に近づいていきます。
まずは、マンション管理会社の目的について、知っておくべきことをお伝えします。
管理会社は不動産会社であり、法人の形態は「株式会社」です。
株式会社の目的は利益の追求です。
つまり、マンションが健全な状態を保つための業務を提供することも当然、目的の一つではありますが、管理会社の本質的な目的は「利益追求」です。
マンション管理の核心に迫るために、このことはしっかり覚えておきましょう。
マンション管理会社の利益はどこから?
次にマンション管理会社の、売り上げや利益は、どこから発生するのでしょうか?
それは、マンションの管理組合から支払われる、管理の業務委託費となります。
ここから管理会社の実情に迫っていきます。
マンション管理会社の目的は、利益追求であると説明しましたが、管理会社が売上や利益を増やすためには、二つの方法があります。
一つは、管理業務を受託するマンションの数を増やすこと。
もう一つは、一つのマンションから得られる収入を増やすこと。
基本的にはこの2つになります。
今現在、新築マンションの供給量は年々減少の一途を辿っており、マンションの総数は、一昔前に比べると増加のペースはかなり鈍化しています。
そんな中で、一つ目の収益を増やす方法である、管理の受託数を増やすということは、容易なことではありません。
そしてもう一つの、「マンションから得られる収入を増やす=管理業務委託料を値上げする」ですが、管理費の値上げは、管理組合が管理会社を見直すきっかけになりかねないので、値上げがしにくいと言われています。
そんな中でターゲットにされているのが、管理費でなく修繕積立金なのです。
国土交通省マンション総合調査が示す現実
ここまでお伝えしてきた管理会社と管理組合の関係性について、国土交通省「マンション総合調査」(令和5年度)の客観データで裏付けると、業界の現実が見えてきます。
分譲時の管理会社をそのまま継続しているマンションは約73.1%にのぼります。これは、分譲業者がそのまま系列の管理会社を引き継いだまま、管理組合が能動的に見直してこなかったケースの多さを示しています。
一方で、途中で管理会社を変更した経験のあるマンションは20.9%。実に5棟に1棟が、何らかの理由で管理会社を切り替えています。変更の理由は「サービスの質」「管理費の値上げ」「対応の遅さ」が上位を占めています。
居住者間の行為・マナーをめぐるトラブルが発生しているマンションは60.5%にのぼります。「特にトラブルは発生していない」と答えたマンションは16.0%にとどまり、何らかのトラブルが発生しているマンションは8割を超えるのが実態です。トラブルの内容は生活音・違法駐車・ペット飼育などが上位を占めます。
これらの数値が示すのは、「管理会社にすべてお任せ」では問題が解決しないという現実です。8割を超えるマンションで何らかのトラブルが発生していることを考えると、管理組合が機能していないとマンション全体の価値が落ちていく構造になっていることが分かります。
管理に興味を示さない管理組合の悲惨の末路

ここまで、管理組合はマンションの意思決定機関であり、管理会社は管理組合から委託を受けただけの不動産会社であると説明してきました。
そして管理会社は、会社として売上や利益を増やすことが目的です。
ここで管理組合のメンバーである所有者が、管理に全く興味を持たずに、管理会社に管理業務を任せっきりにしていたらどうでしょうか。
勘の良い方なら、もうお気づきかもしれませんね。
そう、大規模修繕工事費などをぼったくります。
大規模修繕工事を行うときの業者の選定などは、本来、管理組合が主体となって行うべきです。
しかし管理に興味を持たない管理組合は、管理会社が持ってきた2、3社の見積もりを比較して、決議をして終わりです。
この時、管理会社が持ってくる相見積もりは出来レースのことが多く、必要以上に高い金額で、さらに建築業者から管理会社に工事費からキックバックが流れるようになっています。
このキックバックこそが、管理会社の重要な売上や利益の源になっているのです。
しかもこのキックバックは、所有者から積み立てた修繕積立金から支払われています。
結果として、途中で修繕積立金が足りなくなり、毎月の修繕積立金の大幅な値上げや一時金の徴収を、マンションの所有者が負担しているのです。
これこそが、マンション管理業務の闇であり、多くの管理組合が、管理会社の養分となってしまっているという現状なのです。
管理が良いマンションの特徴
このような管理会社が管理組合から、より多くの売上や利益を取ろうとしてくる現状において、管理が良いマンションとは、どんなマンションなのでしょうか。
それはマンションの所有者たちが管理に興味を持って主体性を発揮し、管理組合が管理会社の言いなりになるのではなく、対等な立場で取引をしているマンションです。
私が行うマンションの管理組合の調査でも、最も重視するのは、「管理組合がどれだけ機能しているか」なのです。
管理組合が機能しているかどうかは、管理会社から取り寄せる資料にある、数字で読むことができます。
中には、その確認として管理会社に聞き取りをすることもありますが、管理会社の言いなりになってしまっているマンションは、数字的に悪いものが大半です。
「マンション購入で担当者を選ぶことが大切」ということを様々なところで発信していますが、この管理組合の調査も担当者を選ぶべき、大きな理由の一つになります。
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管理が悪いマンションでも持ち直すことはできるか?
管理が良いマンションがある一方で、これまであまり所有者が管理にあまり興味を持たずに、管理が良くないマンションもあります。
そんな管理が悪いマンションであっても、良い管理のマンションにしていくことは可能なのでしょうか?
結論から言えば、もちろん可能です。
リカバリーが早ければ早い方が理想ですが、築年数がそれなりに経ってしまっていて、すでにお金が不足状態に陥ってしまっているマンションでは、持ち直せないこともあります。
持ち直すための方法として、まずは所有者が一人でも多く、管理に興味を持って主体性を持つこと。
そして第三者のプロを介在させることです。
具体的には、経験豊富なマンション管理士などになります。
費用は多少かかるかもしれませんが、費用対効果は非常に高くなりますので、ぜひこの記事を読んだ方で、今お住まいのマンションがこのような状況に陥っている時は、マンション管理士に相談することを総会で提議してみてはいかがでしょうか。
大手のマンション管理会社であれば安心?
日本には、盲目的な大手信仰が存在しますが、大手だから安心というのは妄想です。
どの業界にも同じようなことが言えるかもしれませんが、不動産業界においても大手がいいとは限りません。
「大手だから安心」という盲目的な信用は、あなたの大切な資産価値を毀損する結果となってしまうこともあります。
不動産仲介業者であっても、管理について見解を求められたときに「大手だから大丈夫」と言ってしまう担当者もいますが、大手だから安心ということは一切ありません。
これについては断言できます。
大手マンションディベロッパー系列と独立系との違い
管理会社には、マンションを分譲するディベロッパー系列の管理会社と、どこにも属していない独立系の管理会社に大別されます。
ディベロッパー系列は、マンションを分譲した時に最初から管理業務を受注する形になっていて、営業をしなくても新しい管理業務を受託することができます。
一方で独立系の管理会社は、営業をして管理業務を受託していくほかありません。
私の感覚ですが、マンションディベロッパーが親会社となっており、黙っていても管理マンションが落ちてくるような管理会社よりも、サービスや質で勝負をしている独立系の方が、調査の結果では良いと判断したことのほうが多いです。
マンション管理会社は途中で変えることはできる?
大手不動産会社が分譲主となっていて、管理会社が最初から決まっているようなマンションであっても、管理会社は途中で変更することができます。
管理会社を変えること自体は珍しいことではありません。
管理会社が新築時と違っている理由として、管理組合がサービスやコスト面から管理会社を変えたケースと、管理組合が管理会社に見限られて管理会社を変えざるを得なかったケースの2つがあります。
できれば前者であることの方が理想的ですが、後者の場合であっても、マンション新築時の管理会社と、現在の管理会社が変わっている場合、管理調査の結果でも、良いと判断することが多いです。
管理会社を変えている管理組合は、その経緯の良し悪しは別として、管理に興味を持ち、管理組合が主体性を持っているという証左にもなります。
築年数が新しいマンションは管理費を削減できる可能性が高い
比較的築年数の浅いマンションは、管理会社を変えると管理費を削減できる可能性が高いです。
なぜなら、最近のマンションは管理費が高めに設定されていることが多いからです。
新築マンションだけでなく、築古のものも含め、数多くのマンション情報に接していると、この傾向に気がつく方もいらっしゃるのではないでしょうか。
先述しましたが、管理費の値上げは、管理会社を変えられてしまうリスクがあるため、なかなか値上げを提案しにくいと言われています。
そこで受託する管理費を増やすために、最近のマンションの管理費を高めに設定していることが多いのです。
途中からは値上げがしにくくても、最初から高い分には特に問題になることはありません。
仮に管理費が高いなと思える水準であっても、修繕積立金が新築時は低く設定されているマンションが多いので、両方を合わせると、そこまで管理費の高さが目立つようなこともありません。
マンションの規模や設備によっても変わりますが、他の中古マンションと比較してみて、高いなと感じる場合は、管理会社を変えるだけでも管理費を安くできる可能性があります。
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管理会社を変更する具体的な手順7ステップ
管理会社の変更を検討する際の実務的な手順を、業界17年の経験から整理します。
ステップ1:問題点の整理と理事会内合意
まず、現状の管理会社のどこに問題があるのかを書き出します。「担当者の対応が遅い」「報告書の中身が薄い」「委託費が相場より高い」「修繕計画の説明がない」など、具体的な不満を箇条書きにします。理事会内で問題意識を共有し、変更検討を進める合意を得てください。
ステップ2:新管理会社の候補選定(3〜5社)
候補となる管理会社を3〜5社リストアップします。大手や中小企業の固定観念にとらわれず、マンションに最適な会社を選ぶのが業界の通例です。インターネット検索・マンション管理士会・知人の紹介などで情報収集してください。
ステップ3:相見積もりと現地調査
候補会社に現地調査をしてもらい、見積もりを依頼します。現在の管理委託契約書に基づく同じ条件で見積もりを取らないと、適切な比較ができません。費用だけでなく、業務範囲・対応時間・担当者の質も比較項目に入れてください。
ステップ4:候補会社のプレゼンと理事会での評価
3〜5社から提案を受け、理事会でプレゼンしてもらいます。担当者になる予定の方の顔と人柄を確認し、フロントマンの質を見極めてください。管理会社のレベルは「フロントマン(担当者)の質」で決まるというのが業界の常識です。
ステップ5:総会決議(普通決議=過半数賛成)
管理会社の変更は、区分所有法第39条およびマンション標準管理規約に基づき、総会の普通決議(過半数賛成)で可能です。特別決議(4分の3以上)ではないため、合意形成のハードルは比較的低いと言えます。
ステップ6:標準管理委託契約書に基づく3ヶ月前通知
国土交通省の定めるマンション標準管理委託契約書では、3ヶ月前までに書面で通知すれば契約期間中でも解約できると定められています。総会決議後、現管理会社に正式な解約通知を送ります。
ステップ7:引継ぎ・移行
新旧管理会社の間で、管理組合の決算書・修繕履歴・住民名簿・各種契約書類などを引継ぎます。引継ぎ期間は通常1〜2ヶ月で、移行ミスを防ぐために理事会も積極的に関与してください。
管理会社を変更すべきケース・しなくていいケース
業界17年で見てきた経験から、管理会社の変更を検討すべきケースと、変更せず別の対応で済むケースを整理します。
変更を検討すべきケース
担当者(フロントマン)の質が著しく低い、報告書の中身が空っぽ、こちらの質問に答えない、修繕計画の説明をはぐらかす、大規模修繕の業者選定で1社しか持ってこない、委託費が相場より明らかに高い、住民からの苦情に対応しない、管理員(清掃員)の質が低い、設備不良の対応が遅い——これらが複数当てはまる場合は、変更を真剣に検討する段階です。
変更せず別の対応で済むケース
担当者の質は高いが委託費だけ高い場合は、まず担当者交渉で値下げを試みるのが先です。委託費の値上げ要請が来た場合も、人件費高騰の実態(業界全体の問題)を踏まえて、減額交渉や業務範囲の見直しで対応できることが多いです。
「担当者の質が低い」場合は、管理会社の上席者に担当者変更を依頼するのが第一手段です。会社全体は良いけど担当者だけ問題というケースもあります。ただし管理会社も人手不足のため、必ず希望が通るとは限らないので、状況を見ながら判断してください。
マンション管理士の活用
管理組合が管理会社と対等に渡り合うために、業界17年の経験から強くおすすめしたいのがマンション管理士の活用です。
マンション管理士とは
マンション管理士は、マンション管理に関する国家資格者で、管理組合の運営・修繕計画・管理委託契約の見直しなどについて、独立した第三者の立場で助言・サポートを行います。管理会社の社員ではないため、利益相反のない中立的なアドバイスを期待できます。
マンション管理士が活躍する場面
管理会社の見直しを検討するとき、大規模修繕の業者選定でセカンドオピニオンが欲しいとき、修繕積立金の値上げ提案が来たとき、長期修繕計画書の妥当性を検証したいとき、住民間の重大なトラブルがあるとき。これらの場面でマンション管理士に相談すると、客観的な視点で判断材料が得られます。
相談料の相場
スポット相談は1回あたり1〜3万円程度が相場です。大規模修繕のコンサルティング契約となると工事費の1〜3%程度(数十万〜数百万円)になります。ただし、その費用以上の節約(不要工事の削減・適正な業者選定)が期待できるため、業界では費用対効果が高いと評価されています。
マンション管理士の探し方
各都道府県のマンション管理士会、マンション管理センター、知人の紹介などで探せます。実績豊富で、自分たちのマンションのタイプ(規模・築年・地域)に近い案件を扱った経験がある人を選ぶのが安全です。
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自主管理マンションの末路
自主管理マンションは管理委託費がかからないという経済的メリットがありますが、業界17年の経験で見てきた多くの自主管理マンションは、長期的に深刻な問題を抱える傾向があります。
自主管理マンションの典型的な問題
理事長の長期固定化と不正:自主管理では一人の所有者がずっと理事長を務めるケースが多く、修繕積立金の私的流用、業者からのキックバック、書類の改ざんなどの不正が発生しやすくなります。実際の調査でも、自主管理マンションは管理組合の財務状況が不透明なケースが目立ちます。
書類管理の杜撰さ:総会議事録・決算書・修繕履歴などの書類が散逸している、または作成されていないケースが多くあります。区分所有法では作成義務がありますが、自主管理では順守されないことがしばしばです。
専門知識不足による誤った判断:建築・設備・法律の専門知識が必要な場面で、所有者の素人判断で工事を発注すると、欠陥や過剰費用につながります。「相見積もりを取らずに一社決め打ち」「必要な修繕を見送り」「不要な工事を実施」というケースが現実に起きています。
役員のなり手不足:高齢化・賃貸化が進むと、管理組合の役員を引き受ける人が減り、最終的には機能停止に陥ります。総会で決議が取れない、修繕積立金の徴収が遅延する、共用部の劣化が放置される、という末路に向かいます。
自主管理マンションを購入する際の注意点
中古マンションの購入を検討する際、自主管理マンションは原則として避けるのが安全です。どうしても気に入った物件が自主管理の場合は、過去5年分の総会議事録・決算書・長期修繕計画書を必ず取り寄せて精査してください。それらが揃っていない・内容が薄い場合は購入を見送る判断も必要です。
業界では、自主管理マンションは資産価値の下落が早く、売却時に苦戦する傾向があります。買う前に「将来売れるか」を必ず判断材料に入れてください。
マンション管理会社と管理組合のコミュニケーションの重要性
ここまで、管理会社の悪い側面ばかりを解説してきましたが、基本的に管理会社は、管理に関するノウハウや実績がとても豊富で、マンションの維持管理をしていく上で、管理組合にとって、大変重要なパートナーです。
マンション管理会社は頻繁に変えるのではなく、一社に長く管理業務を委託できた方が、そのマンションに関する知識やノウハウが蓄積されていきますので、都合はいいです。
そのため、管理会社を業者と決めつけ、無理難題をふっかけるのではなく、話し合いを通じて、より良好な関係性を築いていくようにした方がいいです。
先ほど、管理会社から見限られてしまう管理組合もあると説明しましたが、管理会社の利益を全く考えずに、自分たちの都合や利益ばかりを押し付ける管理組合は、管理会社からも見限られることもあります。
管理組合が主体性を持つことが絶対条件ですが、管理会社とは、あくまで対等なパートナーとして、コミュニケーションをとっていくようにすれば良いのではないでしょうか。
マンション管理組合運営のチェックリスト
業界17年で多くの管理組合を見てきた経験から、健全な管理組合運営のために確認すべき項目を整理します。
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総会・理事会の運営
- 年1回以上の定時総会を実施している
- 理事会を月1回以上開催している
- 総会議事録・理事会議事録を正確に作成・保管している
- 理事は輪番制で交代している(同一人物が長期固定化していない)
- 組合員に総会案内が事前に十分な余裕を持って送付されている
財務・会計
- 決算書・予算書を毎年作成し、総会で承認している
- 監事による会計監査を実施している
- 修繕積立金の残高と長期修繕計画の整合性を取れている
- 管理委託費の相場感を把握している
- 修繕積立金の値上げ予定を組合員に共有している
修繕計画・工事発注
- 長期修繕計画書を5年に1回見直している
- 大規模修繕工事の業者選定で複数の見積もりを取っている
- 工事金額の妥当性を第三者(マンション管理士・建築士等)にチェックしてもらっている
- 修繕履歴を正確に記録している
- 設備の保守点検結果を理事会で共有している
住民・トラブル対応
- 居住者間トラブルの相談窓口を明確にしている
- 苦情・相談の対応状況を理事会で報告している
- 賃貸化率・空室率を把握している
- 管理規約・使用細則を時代に合わせて見直している
これらが半数以上「できていない」状態のマンションは、購入を避けるか、購入後に管理組合改革を主導する覚悟が必要です。
マンションの管理会社と管理組合の関係性 知らないと損する恐ろしい事実のまとめ
マンションを買うときは、どうしても立地や部屋の間取り、マンションのスペックなどに意識が行きがちですが、マンションの価値は管理によって決まります。
もちろん立地は、資産価値におけるウェイトも大きいため、妥協すべきではありませんが、管理においても資産価値はもちろん、住みやすさの価値にも連動しますので、同じように気をつけるようにしましょう。
ただし、マンションの管理に気をつけて買うとしても、マンションの管理の良し悪しを判断できる担当者ではなければ、失敗のリスクが高まります。
プロの不動産仲介業者であっても、管理について深い知見を持っている人は非常に少なく、それこそ管理会社が大手だとか、管理費等の遅滞の有無や、修繕積立金額の多い少ないで判断しようとする人もいます。
何度も言いますが、マンション管理の良し悪しは、それだけで判断しません。
もちろん判断材料にはなりますが、会社の決算書を紐解くような知識と経験が求められる、特別なスキルになります。
マンションを購入するのであれば、まずは担当者選びを間違えないようにしましょう。
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管理組合調査に強い不動産エージェントを探すなら
マンション購入で本当に重要なのは「管理を見極める力」を持った担当者と出会うことです。年間1000棟以上の管理組合調査をしてきた経験から断言できますが、管理の良し悪しを正しく評価できる担当者は、業界全体でも一握りしかいません。「修繕積立金の残高だけ」「大手管理会社だから」「築浅だから」と表面的な判断をする担当者にあたると、購入後に「こんなはずじゃなかった」となるリスクが高まります。
そこで活用していただきたいのが、私が企画運営をしているハウスクローバーです。
ハウスクローバーは、面談を通過した全国の優秀な不動産担当者のみを掲載しているマッチングプラットフォームです。私自身も現役のプロとして、掲載前に必ず面談を行い、管理組合の調査ができる担当者だけを選別しています。
エリア・得意物件・取扱実績・業界歴から、自分に合う担当者を選ぶことができます。さらに、無理のない予算を割り出すライフプランニングシミュレーションや、希望条件に合う物件の新着自動通知、マンション管理組合調査サービス、家探しに欠かせない機能が一つにまとまっています。
費用は、物件が成約した際の仲介手数料のみで、サービス料やコンサルティング料は一切かかりません。
中古マンション購入で管理組合の状態を正確に見極めたい方は、ぜひハウスクローバーをご活用ください。
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よくある質問(マンション管理組合と管理会社のFAQ)
Q1. マンションの管理組合と管理会社、決定権はどちらにある?
決定権は管理組合のみにあります。
管理組合はマンションの所有者全員で構成される意思決定機関で、修繕計画・予算・規約変更などすべての意思決定を行います。管理会社は管理組合から業務委託を受けた第三者の不動産会社で、実務代行や助言が役割であり、最終判断権は一切持ちません。
「管理会社が決める」と思っている方が多いですが、それは大きな誤解です。
Q2. 管理会社は途中で変更できる?手順は?
可能です。区分所有法第39条およびマンション標準管理規約に基づき、総会の普通決議(過半数賛成)で変更できます。
具体的な手順は次の7ステップです。問題点の整理、3〜5社の候補選定、相見積もり、候補会社のプレゼン、総会決議、3ヶ月前の解約通知、引継ぎ・移行。国土交通省の標準管理委託契約書では、3ヶ月前までに書面通知すれば契約期間中でも解約可能です。
Q3. 管理会社の言いなりにならないために何ができる?
3つのポイントがあります。
1つ目は、所有者が一人でも多く管理に興味を持って総会に参加すること。2つ目は、管理会社から提示される修繕計画や見積もりを鵜呑みにせず、第三者(マンション管理士・建築士)にチェックしてもらうこと。3つ目は、大規模修繕工事では複数業者から相見積もりを取り、管理会社経由でない業者からの提案も検討すること。
これらができている管理組合は、結果として管理会社との関係も健全になります。
Q4. 大手の管理会社なら安心?
「大手なら安心」は妄想です。
業界17年の経験では、ディベロッパー系列の大手管理会社よりも、サービスや質で勝負している独立系管理会社のほうが調査結果が良いケースが多くあります。大手は黙っていても管理を受託できるため、サービス改善のインセンティブが低くなる傾向があります。
会社の規模ではなく、担当者(フロントマン)の質で判断するのが業界の常識です。
Q5. 自主管理マンションを買うのは避けたほうがいい?
原則として避けるのが安全です。
自主管理マンションは、理事長の長期固定化による不正、書類管理の杜撰さ、専門知識不足による誤った判断、役員のなり手不足、といった問題を抱えやすい傾向があります。資産価値の下落も早く、売却時に苦戦することが多いです。
どうしても気に入った物件が自主管理の場合は、過去5年分の総会議事録・決算書・長期修繕計画書を必ず取り寄せて精査してください。
Q6. マンション管理士とは何をしてくれる人?
マンション管理に関する国家資格者で、管理組合の運営・修繕計画・管理委託契約の見直しなどについて、独立した第三者の立場で助言・サポートを行います。管理会社の社員ではないため、中立的なアドバイスが期待できます。
スポット相談は1〜3万円程度、大規模修繕のコンサルティング契約では工事費の1〜3%程度が相場です。それ以上の節約効果(不要工事削減・適正業者選定)が期待できるため、業界では費用対効果が高い専門家と評価されています。
Q7. 管理組合の総会には必ず出席すべき?
可能な限り出席してください。
総会は管理組合の最高意思決定機関で、修繕計画・予算・管理委託契約・規約変更などすべての重要事項が決議されます。欠席する場合も、必ず議案を確認の上、賛成・反対を明示した書面議決で意思表示してください。
「白紙委任」は管理会社や理事会の提案がそのまま通る原因となります。マンションの資産価値を守るためにも、組合員としての権利を行使することが大切です。








素晴らしい仕組み
30代男性