個人信用情報でブラックリストに載ってしまうと、住宅ローンが借りられなくなるというのは有名な話です。
実際にその通りだと思いますし、住宅ローンはおろかクレジットカードなども作れなくなります。
しかし不動産業界に15年以上いて、たくさんの方の住宅購入のお手伝いをしていると、ブラックリストに載っているにも関わらず、住宅ローンを借りれた方も、数は少ないものの実在しました。
そこでこの記事では、ブラックリストに掲載されているにも関わらず、住宅ローンを借りることができたお客様の事例や、そこから推測できるブラックリストに載っても住宅ローンが借りられる条件について考察してみたいと思います。
ただし、この考察については、あくまで私の主観的な予測によるものなので、絶対に借りられることを保証するものではありませんが、人によっては参考になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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ブラックリストの定義とは?
そもそもの話ですが、ブラックリストとはどんな状況なのでしょうか?
ブラックリストという言葉をご存知の方は多いと思いますが、正しく理解できている方は意外に少ないので、まずはブラックリストについて解説します。
十分に理解しているという方は、次の段落に読み進めていただいて構いません。
まずブラックリストとは、各金融機関や貸金業者、カード会社などが加盟する個人信用情報機関に登録されている内容で、特定の記載がある状態のことを言います。
個人信用情報とは、個人におけるクレジットやローンの借り入れ状況や返済状況に関する情報のことで、加盟している金融機関が借りすぎや個人の信用を判断するために参照とする情報のことです。
クレジットカードやローンはもちろんのこと、携帯の分割払い履歴などもこの個人信用情報に記載されます。
住宅ローンにおいても、審査をする金融機関は必ずこの個人信用情報を確認します。
個人信用情報機関は主に以下の3つがあります。
- CIC
- JICC
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
それぞれの違いを解説していきます。
CIC(シーアイシー)
CICはクレジット会社の共同出資により1984年に設立された組織で、クレジットカードを発行する信販会社や消費者金融などが多く加盟をしている情報機関です。
クレジットカードの利用やキャッシング、消費者金融の借り入れがある方などは、こちらのCICを確認すると良いでしょう。
インターネットでクレジットカードがあれば即時開示もできますので、急いでご自身の個人情報を確認したい場合にも便利です。
CICの開示情報は一つのカードや借り入れに対して以下のようになります。
一番下にあるアルファベットの並びが、正常に返済されているか、遅れがあったかどうかを示す記号になります。
「$」マークは正常に返済された時につく記号で、「A」マークは指定日に入金がなかったことを示すマークです。
この遅延マークも直近で複数あると、住宅ローンに通らないことがよくありますが、2年経つと消えていくため、直近でほとんどなければ問題になることもほとんどありません。
ちなみに、この遅延マーク自体はブラックリストではありません。
CICで言うところの、ブラックリストというのは、開示情報の返済情報に異動(返済日から61日以上または3ヶ月以上の遅延)と記載があることです。
その他にも、保証債務の履行・代位弁済、任意整理、自己破産、個人再生の履歴がある方も、ブラックリストとして扱われます。
基本的にこれらの情報の掲載期間は、事故の解消がされてから5年間とされています。
JICC(ジェイアイシーシー)
JICCは、消費者金融が中心となって1986年に設立された組織です。
CICに加盟している大半の消費者金融や信販会社に加え、ネット銀行などさらに幅広い金融機関が加盟しています。
3つの個人情報機関のうち、最も加盟金融機関が多いとされています。
JICCもインターネットで即時開示ができますので、CICと合わせて開示すると良いでしょう。
JICCの開示は以下のようになります。
JICCでのブラックリストの状態は、「移動参考情報等」のところに「遅滞」や「債務整理」などの記載があることです。
また、保証債務の履行・代位弁済、任意整理、自己破産、個人再生の履歴がある方も、CICと同じようにブラックリストとして扱われます。
JICCについても、事故履歴の掲載期間は、事故が解消されてから5年間となっています。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
KSCは、全国銀行協会(JBA)によって運営されている組織です。
メガバンクや地方銀行、ネット銀行、信用金庫、信用組合が加盟しています。
情報掲載期間がCICやJICCよりも長いものもあり、加入資格は最も厳しいと言われています。
CICやJICCのようなインターネットによる即時開示ができる機能はないので、時間がある人向けです。
KSCの開示情報は以下のようなものになります。
KSCでは、「返済区分」をチェックしましょう。
ここに「遅滞」と記載されているとブラックリストになります。
遅滞以外にもCICやJICCと同じように、保証債務の履行・代位弁済、任意整理、自己破産、個人再生の履歴がある方も、ブラックリストとして扱われます。
掲載期間は、自己破産と個人再生が7年を超えない期間とされており、他の2つよりも長いことが特徴です。
その他の事故情報は5年となります。
それでは次からは、実際に上記で解説してきたようなブラックリストと呼ばれているような事故情報がありながら、実際に住宅ローンを借りることができた方の事例をご紹介します。
ここにある事例はご本人の承諾を得られたもののみ掲載しております。
ブラックリスト(自己破産歴有り)でも通った事例①:フラット35
まずはフラット35で住宅ローンを借りることができた方の事例です。
購入物件は新築戸建て(ハウスメーカー)です。
この事例の方は私の直接のお客様ではなかったのですが、私のYoutubeを見ていただき、相談をされてきた方です。
相談内容は以下の通りです。
- すでに購入する物件は決まっている
- フラット35の事前審査は留保
- フラット35の本審査に出して1ヶ月返答がない
- 1年前に自己破産をしている(!)
フラット35の本審査が1ヶ月以上かかっているのだが、可能性はあるのだろうか?と言う相談でした。
普通であれば1年前の自己破産であれば、絶対に無理だろうというところなのですが、なぜか事前審査は「留保」。
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フラット35の事前審査で「留保」とはどんな結果?
フラット35は、普通の銀行と仕組みが違い、独特の審査方法になります。その中でも事前審査の「留保」という結果はフラット特有のもので、「留保」が出た人は不安になるのではないでしょうか。この記事では「留保」について詳しく説明しています。
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自己破産歴が直近であれば、そもそも事前審査自体も否決になるはずですなのですが、留保から本審査に進めたとのことでした。
そして本審査が始まって1ヶ月という時間が経つため、不安になって私のところに意見を聞きたいと言うことで、問い合わせをしてきたというのが経緯です。
私の感想として、留保でも本審査に進むこと自体が最初は理解に苦しみましたし、しかも本審査が始まって1ヶ月とも経つとのこと。
通常の本審査は1〜2週間くらいで回答が来ますし、ダメならダメでもっと早く回答も来ているはずです。
状況的に考えにくいのですが、もしかしたら可能性があるかもとお伝えしました。
その後、また相談者の方から連絡をいただけて、結果はなんと「承認」とのことでした。
ちなみに相談者が自己破産に至った経緯は、親族の保証人になったのですが、親族が自己破産をしてしまい、保証人である相談者に請求が来たのですが、払うことができずに自己破産をしたというものでした。
ブラックリスト(遅滞)でも通った事例②:ろうきん
次のケースは、女性の独身の方の中古マンション購入の事例です。
こちらは私の直接のお客様でした。
属性は看護師で、そこそこの年収もある方で、特に問題があるような方ではありません。
とある中古マンションを内覧し、気に入ったので買付を出しました。
それと合わせて住宅ローンの事前審査を申し込んだのですが、結果はまさかの否決。
こういう時、銀行はハッキリと教えてくれないのですが、なんとなくの雰囲気で個人信用情報だと直感で理解しました。
そしてお客様にそのことをお伝えして、CICを確認してもらったところ、「異動」の記載がありました。
3年前のことで、引っ越した際にカードの住所変更をしていなくて、年会費が落ちずにそのままになってしまっていたことによる遅滞ということがわかりました。
ただ現在の属性を考えれば可能性はあるだろうと考え、ろうきんへ事前審査を持ち込みました。
結果として事前審査は通りました。
しかし、このお客様の勤め先が国立病院であったため、国家公務員扱いとなり、ろうきんは利用できませんでした。
ろうきんはその名の通り、労働者のための金融機関なので、労働組合の対象とならない方は利用ができないそうです。
独身でなければ大丈夫とのことでしたが、独身の方で結婚予定でもなかったので、ろうきんはブラックとは違う理由で見送りました。
ブラックリスト(遅滞)でも通った事例③:地銀
このケースは、事例②と同じお客様です。
ろうきんが使えないと分かったので、次は地銀に持ち込みました。
結果、事前審査は承認になり、売買契約後の本審査も無事承認になり、中古マンションを購入することができました。
ブラックリストでも住宅ローンが借りられるケースの考察
ここに紹介できなかった事例もまだありますが、これらの俗にいうブラックリストになっている方でも、住宅ローンが借りられたケースで、どんな方であれば通るのかを考えていきます。
ちなみにこの考察は明確な基準があるわけでなく、あくまで私自身の考察になります。
まず私が考えるブラックリストでも住宅ローンが通る方の特徴として、お金のだらしなさがないということです。
つまり、個人信用情報を見たときに、遅延がたびたび見られるなど、お金にだらしないイメージを持たれてしまうと通らないと考えます。
実際、同じように公務員のケースでブラックリストに掲載された方は、明らかにこのパターンにハマる方で、実際どこの銀行に事前審査を出しても、住宅ローンは通りませんでした。
今回ご紹介させていただいた事例で、ケース①の自己破産は、あくまで自身に非があるものではなく、不可抗力のものでした。
ケース②と③の方は、本人に全く非がないものではないものの、他の返済歴は滞りもなく返していたため、金融機関が「お金にだらしない人ではない」と判断したのだと思います。
もちろん現在の属性も大きく寄与したと考えています。
明確な判断基準があるわけでもなく、その基準も公開されていないので、あくまで推測ではありますが、この傾向はある程度見られるのではないかと考えています。
ブラックリストでも住宅ローンが通りやすいと考えられる銀行
次に、ご自身の個人信用情報になんらかの問題があるときに、住宅ローンが通りやすい銀行について解説します。
まず避けるべきは、メガバンクとネット銀行です。
メガバンクは比較的優良な顧客に対して融資をしたいという考えがありますので、個人信用情報になんらかしらのネガティブな情報が載っていると、すぐに否決になります。
中には消費者金融で借りたことがある(遅延歴なし)だけでも否決になったこともあります。
そしてネット銀行は、事前審査は人が行うのではなく、AIが審査をしているので、ネガティブな情報が載っているだけで機械的に否決になることが多いです。
逆にお勧めしたいのは、地銀・信金・ろうきん・JAなどです。
これらの金融機関は事前審査はAIでなく人が行うところがほとんで、イレギュラーなケースでも取り組んでくれる可能性があります。
ろうきんでは、過去に団信に入れない方が、生命保険に加入していたので、それを団信代わりに住宅ローンを借りることができたというケースもあります。
不安であれば不動産エージェントに相談を
個人信用情報に不安を感じている方は、まず購入のお手伝いの経験が豊富な不動産エージェントを探すようにしましょう。
不動産業界は、売却が得意な担当者と購入が得意な担当者に分けられます。
もちろん両方が得意な担当者もいますが、住宅ローンに関しては、購入の経験が豊富であればあるほど、過去のデータベースが蓄積されていきます。
また経験が豊富な担当者は、銀行の良い担当者と繋がっていることが多くあります。
不動産売買の良し悪しが、不動産事業者の担当者によって結果が大きく変わるように、住宅ローンの結果も金融機関の担当者によって変わることが多いのです。
今回のケースでろうきんと地銀のケースを紹介しましたが、担当者はちゃんとできる人を選んでいます。
本当に出るか出ないかが分からないグレーなケースは、金融機関の担当者によって、承認になることもあれば否決になることもあります。
住宅ローンに関わる不安がなかったとしても、住宅購入にはスキルと経験が豊富な担当者を選ぶべきですが、住宅ローンに不安がある方はより一層、その傾向が強くなることを覚えておいてください。
では、どのように担当者を探せばいいのか。
私が企画運営をしている「ハウスクローバー」では全国の優良な担当者が、本人の自己紹介文だけでなく、利用したユーザーの評価などで客観的にも判断できるサイトになっております。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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