以前は中古マンションを購入する方といえば、結婚した夫婦やファミリーなどがメインでした。
しかし今は、独身女性が中古マンションを購入するケースも増えており、もはや中古マンション購入のターゲットは夫婦やファミリーだけではなくなりました。
この記事では、独身女性の中古マンション購入に焦点をあててご紹介したいと思います。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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中古マンションを購入する独身女性が増えてきている
冒頭でも述べたように、中古マンションを購入する独身女性は、ここ数年で少しずつですが右肩上がりに増えています。
その背景には、社会で活躍する女性が増えたことが大きく影響していると考えられます。
内閣府の男女共同参画局がまとめたデータによると、1985年に勤続年数が10年以上の女性の割合は24.9%、5~9年の女性でも21.8%でした。
しかし2012年の調査では、勤続年数が10年以上の女性の割合は32.2%、5~9年の女性も23.2%まで上昇しています。
※参照元:内閣府男女共同参画局 第1-2-13図 勤続年数階級別一般労働者の構成割合の推移(男女別)
さらに同局が、2012~2019年の7年間における上場企業の女性役員数の推移を調査したところ、約3.4倍アップしているとの結果も報告されています。
※参照元:内閣府男女共同参画局 女性役員情報サイト 上場企業における女性役員の状況
いずれも、同じ勤続年数の男性の割合や海外諸国の女性役員割合と比較するとまだまだ低い水準ではありますが、それでもここ35年ほどの間に女性の社会進出が着実に増えていることが分かります。
そしてキャリアを積んだ独身女性たちは、ずっと賃貸に住んで家賃を払い続けることにもったいなさを感じ、ご自分の将来に備えたい、万が一の時に備えて資産を持ちたいと考えるようになり、それが中古マンション購入の決断に至っているようです。
独身女性だからこそ気を付けたい5つのポイント
続いては、独身女性が中古マンションを購入する際に気を付けたい5つのポイントをご紹介します。
ライフプランニングをしっかり持つこと
1つ目のポイントは、ライフプランニングをしっかり持つことです。
多くの独身女性が中古マンションの購入を検討し始めるのは、ある程度仕事でキャリアを積み、収入も安定して今後の人生をどう生きるか見通しがつく頃です。
年齢でいえばだいたい20代後半~40代、人によっては50代前半というケースもあります。
この年代での中古マンション購入は、いくら収入が安定して将来の見通しが立っているとはいえ、お金の面で失敗してしまうとリカバリーが難しいというリスクもあります。
そのためライフプランニングを行う時は、「中古マンションを買うためにいくら必要なのか」だけでなく、将来はどのような暮らしを送りたいのか、そのためにはどのくらいのお金が必要なのかも考えてシミュレーションしましょう。
ライフプランニングを考える際は、人生3大費用といわれる住居費・教育費・老後資金を柱にしますが、独身女性ならお子さんがいないケースが大半なので、教育費についてはあまり考えなくても問題ありません。
しかし住居費と老後資金は、独身女性のライフプランニングにおいて重要な柱となるため、無理なく住宅ローンを返済しつつ貯金もし、趣味や自分磨き、旅行などに使えるような資金計画を考えましょう。
特に夫婦二人の場合と違い、シングルの場合は老後のやりくりが厳しくなる傾向がありますので、注意が必要です。
なおライフプランニングは、お金のスペシャリストであるファイナンシャルプランナーに相談しながら決めるのがおすすめです。
またハウスクローバーでは、無料会員登録をすると、ご自身で無理のない予算がシミュレーションできる機能が搭載されています。
変動金利か固定金利かをしっかり考える
2つ目のポイントは、住宅ローンの金利を変動金利にするか固定金利にするかしっかり考えることです。
住宅ローンの金利は、大きく3つのタイプに分かれていて、それぞれ特徴があります。
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(1)固定金利全期間型
住宅ローン返済開始当初から完済時まで、金利がずっと変わらないタイプです。
金利が一律なので返済額も変わらず、返済計画やライフプランニングが立てやすいメリットがあります。
ただし、金利は社会情勢の影響を受けやすく、場合によってはご自分が契約している利率より低くなることがあり、そうなると損をするデメリットもあります。
(2)固定金利期間選択型
固定金利期間選択型は、一定期間のみ金利が固定され、その期間を過ぎると変動金利または再び固定金利期間を選択できるタイプです。
固定金利期間選択型のメリットは、金利が固定されている間の返済計画が立てやすいこと、そして期間終了時の金利が返済開始当初と比べて下がっている場合は、下落後の金利が適用される=毎月の返済額が減額される点です。
一方で、固定期間終了時に金利が上昇していた場合は毎月の返済額も増えてしまうため、そのデメリットに注意しましょう。
(3)変動金利型
変動金利型は、文字通り金利の動きに応じて返済額が増減するタイプです。
そんな変動金利型のメリットは、固定金利よりも低い利率が設定されていること、返済期間中に金利が上昇しなければ家計を圧迫せずに返済を続けられる点です。
逆にいえば、金利が上がると返済額も上昇し、家計への負担が増える可能性もあります。
ただし変動金利には、「5年ルール」と「1.25倍ルール」という2つの特殊なルールが設けられています。
金利は年に2回見直しが行われていますが、その度に影響を受けて返済額も変わってしまうのは家計によくありません。
そのため、金利が変動しても5年間は返済額が変わらないと決められているのが5年ルールなのです。
返済開始当初から5年が経ったら返済額を見直し、そこからまた5年後に再度返済額を見直すことを繰り返します。
ただし5年間は返済額が変わっていなくても、金利の見直し内容によっては元金と利息の割合が変わっていて、元金が全然減らないという現象が起きる可能性にご注意ください。
そして1.25倍ルールは、急激な金利上昇が起きた時に返済額も急増する危険性を回避するため、元の返済額から最大1.25倍までしか増額しないように定めたルールです。
ただし、これも金利が上昇すると利息が増えて元本ばかりが残ってしまう可能性があることに注意しましょう。
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長く住める中古マンションを購入すること
3つ目のポイントは、長く住める中古マンションを選んで買うことです。
長く住める中古マンションの判断方法ですが、ずばり「管理状態が良い物件かどうか」です。
中古マンションの資産価値は、立地や周辺環境なども大事な要素ですが、それと同じくらい管理状態の良し悪しも重要です。
共用設備やスペースはきちんとメンテナンスされているか、修繕積立金は適正に徴収されているか、収支記録がはっきりしているか、将来の大規模修繕に対する計画の有無などは、マンションの管理状態を知るポイントです。
管理状態がしっかりしている中古マンションは、築年数が経っても資産価値が急落しにくく、長く住める中古マンションと判断できます。
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流動性がある中古マンションを選ぶこと
4つ目のポイントは、流動性がある中古マンションを選ぶことです。
ご自分のために購入した中古マンションでも、その後結婚や転勤・帰郷など、何らかの理由でマンションを売りに出すこともあるでしょう。
その際、立地や管理状態が悪い中古マンションだとなかなか買い手が見つからず、損をしてしまう可能性は否めません。
そのため、いずれ売ることを考えている方はもちろん、売る予定がない方もいざという時のために、需要があって売れる可能性が見込める中古マンションを選ぶことをおすすめします。
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不動産エージェントを選んでから物件探しをすること
5つ目のポイントは、不動産エージェントを選んでから物件探しをすることです。
不動産物件は、不動産事業者専用のレインズというデータベースに情報が集められており、基本的にはどの不動産会社に相談しても同じ物件を購入できる仕組みになっています。
そのため物件探しは、「どの不動産会社に相談して買うのか」より、独身女性に本当に合う物件かどうかを見極め、提案してくれる営業担当者=エージェント選びが重要です。
独身女性が買うなら新築よりも中古マンション
独身女性がマンションを買うなら、おすすめは新築より中古です。
中古マンションは新築マンションより価格が安いというメリットもありますが、それ以外にも新築より物件数が多いことや、中古でも質が良い物件が増えていることが挙げられます。
また中古マンションは、既に入居している世帯が多いため住人の様子やマンション全体の雰囲気を確かめたり、管理状態を把握しやすかったりするメリットもあります。
住人の様子や管理状態の良し悪しは、これから確立されていく新築マンションでは分かりにくい部分なので、買ってから後悔する可能性が低いでしょう。
そうした理由から、独身女性には新築マンションより中古マンションの方がおすすめなのです。
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間取りは1LDKか、それとも2LDKか?
独身女性が中古マンションを購入するなら、できれば間取りは2LDKがおすすめです。
「一人暮らしで2LDKは広すぎるのでは?」と思う方もいると思いますが、たとえばご縁があって結婚し夫婦2人で暮らすことになる時や、地元の親と同居することになる時があるかもしれません。
その時に寝室が2部屋あると、お互いのプライバシーを保ちつつ快適な暮らしを送りやすくなります。
誰とも暮らす予定がなくても、空いた部屋は客室や荷物置き場、仕事部屋などに利用できます。
もちろん、予算が厳しければ2LDKではなく1LDKでも良いですが、予算とライフプランニング次第で2LDKでも問題なさそうであれば一度検討してみてください。
50㎡以下のコンパクトマンションに注意
独身女性が中古マンションを購入する際に注意していただきたいのが、マンションの床面積と住宅ローン減税の関係です。
近年は、独身の方向けのコンパクトマンションと呼ばれるタイプのマンションが販売されていますが、こちらに分類される物件の床面積はだいたい40~50㎡です。
しかし住宅ローン減税は、適用条件の一つに「床面積が50㎡以上」との項目があり、面積が50㎡未満の中古マンションは住宅ローン減税の対象になりません。
そして床面積の考え方は、柱と壁の中心線から内側部分を測って出す壁芯面積と、柱と壁の内側部分を測って出す内法面積の2パターンがあります。
【壁芯面積と内法面積の違い】
物件の広告で記載されているのは壁芯面積ですが、住宅ローン減税が適用されるか否か判断するための面積は不動産登記簿に記載されている数字=内法(うちのり)面積です。
内法面積は壁芯面積より狭く、広告に記載されている面積が50㎡前半であれば、登記簿上では50㎡未満となる可能性があるためご注意ください。
リノベーションをする時は、資産価値とのバランスに注意
昨今は中古マンションを購入後、ご自分の好みの家にするためにリノベーションを行う方も増えてきました。
リノベーションは、改修して手を加えることでより価値を高めるという意味ですが、それを行ったからといって必ずしも物件自体の資産価値も相応に高まるとは限りません。
中古マンションの資産価値は内装だけでなく建物全体も含めて算出されるため、それを考慮せずにリノベーションを行うと、物件の購入価格+改修費のコストと実際の資産価値が大きく開き、売り出す時に損をする可能性があります。
中古マンションを購入後にリノベーションの実施も検討している独身女性は、物件の資産価値とのバランスを見ながら計画を立てましょう。
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ポイントを押さえて賢い中古マンション購入を
独身女性の中古マンション購入は、今後の人生において大きな資産となる分、失敗した時のリスクも大きな買い物です。
しかし、ライフプランニングをしっかり立てること、資産価値や流動性がある物件を探すこと、そして信頼できる不動産エージェントに依頼することを実行すると、リスクはかなり軽減できます。
現在中古マンション購入を検討している独身女性の方や、既に物件探しを始めている独身女性の方はぜひ今回ご紹介したポイントを参考にして、豊かな暮らしを実現させましょう。
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