ここ最近、マンションを購入するときに資産価値を気にする方が増えていきています。
筆者は15年以上、不動産業界に関わっていますが、昔は今ほどマンションを買うときに資産価値を気にするような方は少なかったです。
その理由として考えられるのは、そもそもマンションをはじめ、不動産は買えば資産になると思われていたからです。
しかし、2012年頃からマンション相場は上昇し、今は東京23区内だけでいえば、バブル期に迫る勢いです。
そんな中、マンションが多く建築されたことや、「人口減少」「家あまり」といったキーワードがメディアなどでも取り沙汰されるようになってきました。
そんな中、少しずつ全てのマンションに資産価値があるわけでなく、物件によって資産価値は変わるのだという概念が広まったことが、マンションを購入するときに資産価値を気にされる方が増えた要因ではないかと考えています。
しかし、多くのお客様とお話をする中で、本当の意味で資産価値を正しく理解できている人はまだまだ少数で、正しく理解できているかどうか不安だからこそ、この記事に辿り着いたのではないかと思います。
そこでこの記事では、不動産業界で15年以上、住宅購入の不動産エージェントとして、年間2〜300組以上の住宅相談や、実際に売買のお手伝いも年間3〜40戸と相応の実績をもつ筆者が、資産価値の本質的なところや、資産価値の調べ方や見極め方などを解説していきます。
これからマンション購入をお考えの方は、非常に大切な内容になりますので、ぜひ最後までご一読ください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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マンションの資産価値とは?
それでは、まずマンションの資産価値とは何を指すのか、その定義について解説していきまます。
結論から言うと、マンションの資産価値は「買った時と売った時の差」です。
よく勘違いされている方がいらっしゃるのですが、新築マンションは高いから資産価値が高い、中古マンションは安いから資産価値が低いというのは、間違えです。
例えば、こちらのグラフを見て下さい。
このグラフは2022年の築年別マンションの平均㎡単価になります(あくまで現時点での築年別マンションの価格なので、築年数ごとのマンションの価格推移という数値ではないのでご注意ください)。
このグラフを見ていただくと、築年数が新しければ新しいほど価格が高く、築年数が経つにつれて価格が下がっていきます。
築30年くらいのところから価格の下げ幅は緩やかになります。
例えば、この数値を使って築5年のマンションを購入して30年後に売却したときと、築25年のマンションを購入して30年後に売却した時のシミュレーションをしていきます。
それぞれのマンションの平米数は70㎡と仮定します。
築5年のマンション | 築25年のマンション | |
---|---|---|
70㎡の購入価格 | 7,365万円 | 4,334万円 |
30年後の売却価格 | 2,725万円 | 2,725万円 |
価格差(購入ー売却) | 4,640万円 | 1,610万円 |
年間住宅支出 | 155万円 | 54万円 |
こちらの表を比較するとどうでしょうか?
価格差が小さい方が、結果として住宅支出が安く済んでいることがわかると思います。
このように資産価値は、あくまで今現在の価格でなく、将来の価値と比較して相対的に決まります。
つまり買った時と売った時の差が小さいマンションほど資産価値が高いという認識になります(マイナスの場合は価格が上がったことになります)。
このことがマンションを購入する上で、資産価値に対する正しい認識なのです。
新築マンションの資産価値は高い?
ここまで解説してきたことを理解していれば分かるかと思いますが、新築マンションは購入価格は高いですが、決して資産価値が高いわけではありません。
特に近年の新築マンションは、駅から離れていたり、土地相場や建築費が高いため、少しでもコストを抑えるために、部屋を狭くしたりグレードを落としています。
つまり高い割に質がそこまで良いものが少なく、買った時と売った時の差が開きやすいという特徴があります。
もちろん新築マンションでも資産価値が下がりにくい物件はありますが、そのような新築マンションは一般の方ではなかなか手が届かない価格水準になってしまっています。
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マンションの資産価値が重要である3つの理由
ここからは、マンションを購入するときに資産価値を重要視する3つの理由について解説していきます。
資産価値の話を聞く人の中には「途中で売るつもりがないから資産価値は気にしなくても良いのでは?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それでもマンション購入において資産価値は重視するべきです。
その理由について解説していきます。
暮らしを豊かにしてくれる
まず一つ目は、あなたの暮らしを豊かにしてくれることです。
今のご時世は、長寿命化や価値観・ライフスタイルの多様化の時代です。
いくら一生住み続けるつもりで買っても、様々な理由によって売りに出すことも考えられます。
例えば老人ホームに入る、より利便性の高い場所に引越す、などなど様々な理由が考えられます。
実際に、今でもずっと一生住み続けるつもりで家を買っていた高齢の方達が、上記のような理由で住み替えるケースが多数あります。
このようなときに、それなりの値段で売ることができれば、結果としてあなたの生活を助けてくれる存在になります。
そして、資産価値が高い家を持っていれば、結果として手元にお金が戻ってきますので、そのお金を利用して老人ホームの入居費に充てたり、より利便性が高い場所への住み替え費用としたり、余暇へ回したり、様々なことができます。
結果としてあなたの暮らしを豊かにしてくれる、それが資産価値があるマンションを購入することの意義です。
住みやすさの価値に連動する
2つ目の理由は、資産価値は住みやすさの価値に連動するからです。
資産価値が高いと言うのは、は売るときに、どれだけ多くの人が欲しいと思ってくれるかどうかに尽きます。
多くの人が住みたいと感じるのは、利便性やマンションそのものに魅力があるからではないでしょうか。
その魅力こそが、住みやすさの価値であると考えています。
つまり資産価値を考えてマンションを購入すると言うことは、将来の街の状況や、マンションの長期的な資産価値について考えることになりますので、住みやすさを考えていることと同じ意味になります。
途中でマンションを売ることがなかったとしても、住みやすさの価値は損なわれないような物件がいいと思うのは、誰でも同じなのではないでしょうか。
万が一のときに、家計を守ってくれる
3つ目の理由が、万が一のときに、あなたやあなたの家族を守ってくれる存在となり得るからです。
どういうことが具体的に解説していきます。
まず資産価値が高いマンションを持つということは、以下のような家計のバランスになりやすいということです。
資産価値が高いマンションは、価値の下がるペースが遅いので、時間が経つと住宅ローンの残債の方が早く減っていき、資産と負債のバランスを見たときに余剰(純資産)が発生します。
どれだけマンション購入時に綿密にライフプランニングシミュレーションを行なって無理のない予算で購入したとしても、会社の都合による解雇や親の介護など、想定していた収入が入らなくなることも、可能性としてゼロではありません。
しかし、資産価値が高いマンションを買っていれば、マンションを売却にして一旦リセットすることができます。
しかもマンションを売却して住宅ローンを返しても余剰(純資産)があるので、いくらかの現金も手元に残ります。
このお金を使って生活を立て直すこともできます。
一方で資産価値が低いマンションを購入してしまった場合、どうなるでしょうか。
同じようにイラストで見ていきます。
資産価値が低いマンションを購入した場合、住宅ローンの残債の減りよりも早く資産価値が減っていきますので、資産と負債のバランスを見ると、純負債が発生しています。
このケースだと、先ほど同じように万が一の場合にマンションを売却しても、住宅ローンを返しきれません。
しかも、純負債の部分を一括で返済しなければ銀行が抵当権を外してくれないので、売却すらできません。
この場合、一括で足りない部分(純負債)を返済できればいいですが、できないときは弁護士に依頼をして任意売却を進めるか、最悪競売になります。
このように資産価値のあるマンションを買っておくことは、何かがあったときに、あなたやあなたの家族を守ってくれるものになります。
そもそも資産価値とはそういう意味のものです。
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資産価値が高いマンションの見極め方
マンションの資産価値は、立地と管理、そしてマンションのスペックによります。
優先すべき順番は、「立地 > 管理 > スペック」です。
それぞれ内容を詳しく解説していきます。
立地は全てを癒す
まず一つ目の資産価値のポイントは「立地」です。
見出しにもありますが、立地は全てを癒します(この言葉はダイエー創業者の「売上は全てを癒す」という格言をもじったものです)。
不動産のプロの間では誰もが理解していることですが、立地さえ良ければ不動産はなんとでもなる説があります。
極端な話、立地さえ良ければ、どれだけ上物に問題があったとしても、値段さえ下げればなんとか売れるという意味で使われます。
逆に言えば、立地が悪いと上物がどれだけ立派でも売れないということです。
実際、不動産シンクタンクの「東京カンテイ」が行なった調査でも、不動産の資産価値の9割は「立地」であると結論づけています。
そしてこの9割のうち、6割が広い意味での立地。
つまりどんな街や自治体に住むかです。
そして残りの3割が狭い意味での立地。
駅からの距離であったり、周辺の環境などが含まれます。
広い意味での立地選び
立地選びにおいて、特に重要なのが街や自治体選びです。
これからの日本は、人口減少社会を迎え世帯数も減少に転じています。
人口が減るということは、自治体の税収も減ることになりますので、いずれ破綻していく自治体が出てきます。
破綻してしまった自治体はなかなか悲惨な状況で、北海道夕張市が破綻した自治体として有名ですが、水道の基本料金が月額9000円代になってしまうなど、公共サービスの質が落ちてしまいます。
このような状況になると、働くことができる若い世帯はどんどん離れていき、負のスパイラルから抜け出せられなくなります。
いくら駅から近い好立地であっても、自治体選びを間違えると、資産価値は維持できません。
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狭い意味での立地選び
次に見ていくのが、駅からの距離など、狭い意味での立地選びです。
この内容については、多くの方が最も理解しやすいところだと思います。
駅からの距離は基本的には近ければ近いほど、資産価値の維持率も高くなります。
こちらのグラフは、駅から徒歩1分離れるごとに、坪単価にどのような動きが見られるかを図示したものになります。
このデータから分かるように、駅から近ければ近いほど基本的には資産価値は高くなると言えます。
ただあまりにも駅近は居酒屋なども多く喧騒とした雰囲気が人によっては敬遠されるため、価値が低く出ています。
また地域差も多少ありますが、中京圏は車社会でもあり、徒歩8分くらいまではそこまで影響はありません。
一方で東京圏では駅から離れれば離れるほど、価値の下がりが顕著になります。
東京圏・関西圏では駅近の定義は徒歩6分とされていますので、できれば6分以内で探すようにしましょう。
中京圏の駅近の定義は徒歩8分とされていますので、8分以内で探すようにしましょう。
ただし学区が人気であったり、エリアに求心力があれば、この目安を超えても大丈夫なこともあります。
マンションは管理を見て買え
次に資産価値に影響する大きなポイントは、管理です。
見出しにもあるように「マンションは管理を見て買え」とよく言われます。
ここで言う管理の良し悪しとは、清掃がしっかりされているとか、大規模修繕工事が定期的にされているかということではありません。
もちろんこれらの要件は大切ですが、最低条件であって十分条件ではありません。
これらの条件を満たさないマンションは問題外ですが、これらを満たしているからというだけで「管理が良い」とはならないのです。
では、管理の良し悪しはどこで判断するのでしょうか?
それは、マンション管理組合の財務状況です。
マンションで毎月かかるランニングコストは管理費と修繕積立金です。
管理費は管理会社の報酬や管理人の報酬、清掃費、電球などの消耗品などに使われます。
そして修繕積立金は、マンションの資産維持活動に必要な支出をするために積み立てておくものです。
しかし、マンションによっては積立金が不足するマンションも多く、積立金が不足すると、毎月の修繕積立金が大幅に値上がりしたり、一時金が発生したりします。
このような問題が表面化したマンションは、資産価値は下がります。
当たり前ですが、毎月の修繕積立金が5万とか6万のマンションを誰が好んで購入するでしょうか。
マンションの修繕積立金については、以下の記事に詳しくまとめてありますので、より詳しく知りたい方は合わせてご参照ください。
マンション購入は修繕積立金の見極めが最重要ポイントである3つの理由 | HOUSECLOUVER(ハウスクローバー)
「マンションは管理を見て買え」という諺があるくらい、マンション購入において管理の良し悪しを見極めることは非常に重要なポイントになります。 そして多くの人が考えがちな「管理」の良し悪しを見極めるポイント
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マンション管理の見極めですが、管理会社から取り寄せる書類から推測します。
この書類は不動産業者しか取り寄せられない書類で、一般の方が見るには不動産業者からもらうしかありません。
しかし、一般の方が見ても見方が分からないでしょうし、プロが見ても管理の良し悪しが分かる知識や経験がある担当者は非常に少ない、もしくはほとんど存在しないのが現実です。
またそのような調査ができる担当者を探そうと思っても、日本の不動産業界はサービス競争がほとんどなく、業者や担当者を探すことができるサービスはありませんでした。
そこで筆者が企画運営しているハウスクローバーでは、スキルや経験・実績、倫理観など一定の基準を満たした優良な全国の担当者を探すことができるサイトです。
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マンションの資産価値の調べ方
よくマンションの資産価値の調べ方を聞かれることがありますが、割と単純な方法で調べられます。
例えば新築マンションの購入を検討している場合、周辺の中古マンション情報を調べてみてください。
この時、部屋の広さにバラツキがあるので、価格を部屋の広さで割って平米単価を出して比較するようにしてください。
また中古マンションの売り出し価格と成約価格は違うので、売り出し価格からマイナス5〜10%くらいの数値で計算しましょう。
駅からの距離やエリアが近しい中古マンションを築年数ごとに比較していくと、今の相場で考えた時に、検討している新築マンションの価格がどのように推移していくかが、ある程度分かると思います。
災害リスクはマンションの価値と連動するか
お客様からよく質問を受ける内容に、「マンション購入において災害リスクをどこまで考慮すればいいか」というものがあります。
結論から言えば、マンション購入においても災害リスクは考慮した方がいいです。
もちろん戸建に比べると、マンションは地盤深くにある支持層まで杭を打ってあるので、地震の影響も少ないです。
また水害も、1階については問題ありとされますが、2階以上は直接的な被害を受けることは想定しにくいため、まだマシなのではないかという考え方です。
それでも液状化や水害が発生すれば、いくら建物に被害がなかったとしても、周辺一帯の土地価格が下落します。
またマンションの場合、新耐震基準か旧耐震基準かどうかだけでなく、地盤によっても倒壊率は変わると言われています。
資産価値の高いマンションを購入するために
ここまで解説してきたように、マンションを購入するときに資産価値を考えるということは、非常に多くのメリットをあなたにもたらしてくれます。
しかし、資産価値が高いマンションを探すことは運任せで上手くいくものではありません。
また表面上、資産価値が高そうに見えて、実はリスクが高いマンションもたくさんあります。
資産価値が高いマンションを買うには、そのような見た目だけでは分からない資産価値や管理組合の良し悪しの判断を手伝ってくれる担当者の存在が何よりも重要なポイントです。
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ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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