マンションの購入を検討しているのであれば、少しでも損したくない、安い時に購入したいとお考えになると思います。
一方でマンションの売却を検討しているのであれば、少しでも高く売りたいとお考えになると思います。
どちらの立場にしてもマンション相場というものが非常に気になるのではないでしょうか。
マンション相場は、株式などの相場と同じように結果論になりますので、100%結果を当てることは非常に難しいのですが、それでも自分なりに相場を予測したいと思う方も多いと思います。
ネットやYoutubeなどをみれば、色んな方がマンション相場を予測していますが、色んな意見があると思います。
どれを信じるかはあなた次第ですが、相場がどのように形成されているかを知っていた方が自分の軸を持って色んな方の意見を参考にできると思います。
そこでこの記事では、マンション相場にどんなことが影響していて、それがどのように動くか、その結果相場にどのような影響を与えるのか。
マンション相場を予測するために注目しておきたい指標などをお伝えしていきます。
マンション相場に影響する7つの要因
ここからは、マンション相場に影響する主な7つの要因について解説していきます。
ちなみにこれらの要因は新築・中古のどちらにも当てはまることになります。
要因①:金利
まずマンション相場に影響を与えるのが、住宅ローンの金利です。
現在、フラット35をはじめとした固定金利は上昇をしていますが(2023年4月現在)、変動金利は上がるどころか、銀行の貸し出し競争によってさらに低くなっています。
変動金利と固定金利のそれぞれの決まり方や今後の予測については、別の記事に詳しくまとめてありますので、そちらも合わせて参照ください。
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現在変動金利を選択している人が6割以上(2022年11月国土交通省調査による)いますので、実際相場に影響するのは変動金利といえます。
なぜ金利がマンション相場に影響するかというと、人々が支払える総額が変わらないことを前提にすると、金利が上下すると支払い総額の中の利息と元本の割合が変わるからです。
利息と元本の割合で相場が動く
仮に毎月の支払い額の支払額が一定だとして、金利が上がった場合にどうなるか。
下の図を見てください。
毎月の支払額が変わらない中で金利が上がれば利息の割合が増えます。
そうすると必然的に元本は少なくなります。
この元本というのは、物件価格に回る支出なので、元本が少なくなるということは相場が下がるということになります。
一歩で金利が下がったケースを考えてみましょう。
金利が下がれば支払額のうち、利息部分が減りますので、元本が増えます。
つまり元本に回る支出が増えるので、相場は上がります。
これが住宅ローン金利が相場に与える影響のメカニズムです。
2012年以降、マンション相場が上昇した要因の一つに、日銀の金融緩和による住宅ローン金利の低下が大きく影響したと考えられています。
要因②:所得
2つ目の要因は所得です。
住宅取得者の所得が増えれば、先ほどの毎月の支払額を増やすことができます。
ですから金利が変わらないという前提であった場合、所得が上がるということは支払額が増えます。
その分、元本の割合が増え、相場が上がるということになります。
逆に所得が下がれば相場は下がります。
金利と複合的に考えると、金利が上がっても所得が上がっていれば、相場は変わらないということになります(それぞれの程度によりますが)。
今政府がやろうとしていることはこれですね。
要因③:景気
人々の所得に影響を与えるのが景気です。
景気が悪くなれば所得が下がるので、住宅ローンの毎月の支払額は減ります。
しかし、実際に不景気になると住宅産業は周辺産業への波及効果も大きいため、補助金などの景気刺激策が取られることがほとんどです。
住宅ローン減税もそもそもは景気刺激策として始まった制度です。
仮に不景気によって、所得が減ったとしても、補助金などでその所得が落ちた分を埋めることで、結果として相場は変わらないということが起こります。
さらに金利も下がりやすいので、元本が減りにくくなり、相場は下がりません。
住宅が不景気でもあまり相場が下がらないと言われているのは、このカラクリによるものです。
実際リーマンショックの時も、新興ディベロッパーの投げ売りで少しだけ下がったものの、1年もすれば相場は戻っていました。
まずは金利と所得と景気が絡み合い、相場に影響することがご理解いただけたと思います。
次からは、その他の外的要因について解説していきます。
補足
住宅は先に説明した通り景気には左右されにくいですが、投資系(商業系)不動産はモロに影響を受けます。住宅でも投資系マネーがたくさん流れていそうなエリアや一部のタワマンは景気によって上下します
要因④:為替
為替(円相場)もマンション相場に影響を与えます。
円安になると、海外から見ると日本の不動産が割安になりますので、お金が流入しやすくなり相場は上がりやすくなります。
また円安ということは、マンションを建てるときの建築資材を輸入するときのお金も高くなるので、建築費が高くなり、新築を中心に相場は上がります。
今はまさにその状態であるといえます。
逆に円高になると、海外から見ると日本の不動産は割高になりますので、お金が流入しにくくなり、相場は下がりやすくなります。
また円高ということは、マンションを建てるときの建築資材を輸入するときのお金が安くなるので、建築費が安くなり、新築を中心に相場は下がります。
現在の相場上昇は、2011年頃の超円高時代から、次第に円安に振れていくことで相場が上昇した一面もあります。
要因⑤:株価
株価は相場の要因というよりも、連動性を見ます。
実はデータを見ると、株価から遅れて不動産相場は連動することがわかっています。

出典:日本経済新聞
遅れる期間は6ヶ月と言われていて、株価を見ていると、今後の不動産相場がわかると言われています。
要因⑥:新築マンションの価格
新築マンションの価格が高くなれば、中古マンションに人が流れるので中古マンション相場は上昇します。
新築マンションの価格が安くなれば、中古マンションから人が流れてくるので、中古マンション相場は下落します。
つまり、新築マンション相場と中古マンション相場は当たり前ですが、連動します。
そして今の新築マンション市場は、土地が減り相場が上昇していることで仕入れコストが上昇しています。
また円安やインフレにより建築資材が高騰しています。
さらには建築業界の人件費が高騰していることもあって、新築マンションが下がる要素は今のところありません。
販売元にしても、今のディベロッパーはリーマンショックを乗り切った財務余力のある業者ばかりです。
また一昔前は、完成と同時に売り切ることが目標となっていましたが、今は時間がかかっても値段を下げずに売る方針をとっているので、より一層相場が下がる理由が見つかりません。
要因⑦:需給バランス
不動産価格は相対(あいたい)取引と言って、売りたい人と買いたい人が合意した価格が売買価格となり、その集合体から相場が形成されていきます。
つまり、マンション相場は需要(買いたいニーズ)と供給(売りたいニーズ)のバランスになります。
コロナの時は、需要が減ると思われたのですが、逆に人の移動が減り、新築マンションの供給が減ったことで、住み替え需要が激減し売りマンションが激減しました。
一方でおうち時間の見直しで、買い手側は通常よりも多く動き出したことから需給バランスが動き、一段高になったという経緯があります。
長期的な視点で言えば、人口の動態が需給バランスを決めると考えられます。
つまり日本全体として人口は減少しますが、都市部には人口がさらに集中し、地方は人口が減少することでマンションの需要も落ちていくことが予想されます。
実際今でも、都市圏のマンション相場は上昇していますが、地方の相場は下落しているのです。
専門家の中には、需給のバランスを考えた時に都内のマンション相場が上昇するのは当たり前であって、バブルではないという考え方をしている方もいます。
マンション相場はあくまで平均。これからは二極化していく
ここまでマンション相場を左右する要因について解説してきましたが、結局のところ相場は結果論でしかありません。
下がると思っていても下がらないこともあれば、逆も然りです。
仮にマンションの購入を待っていたとしても、その間の家賃もあれば予想が外れるリスクもあります。
個人的な考えですが、マンションを買いたいと思うのであれば早く買ったほうが色々と有利な面も多いと思います。
ただし、マンションの中でも相場はあくまで平均であって、中を見てみると価値が残るものとそうでないものに二極化していきます。
すでにそういった動きは出てきています。
相場は自分がコントロールできるものではありませんが、どんなマンションを購入するかはあなた次第です。
ぜひ不動産のプロの手助けを借りながら、よいマンション選びをしていきましょう。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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