住宅ローンを組んで中古マンションの購入を検討している方であれば、おそらく多くの方が住宅ローン控除(減税)制度について見聞きしたことがあるでしょう。
いくら夢のマイホームといえど、何千万円もする物件を購入するわけですから、少しでもその負担が軽減できたらいいと考えるのは自然なことです。
しかし中古マンションを購入する場合、買った物件の売主がどういう立場の方なのかによって受けられる住宅ローン減税の内容が変わることまでご存知でしょうか?
売主によって中古マンション購入時の住宅ローン減税制度が変わるとはいったいどういうことなのか、そのことについてご紹介します。
※2022年1月1日より、住宅ローン減税は大幅に改定されました。この記事は2021年12月31日までの内容であり、2022年1月1日以降の住宅ローン減税の内容については、こちらの記事をご参照ください。
→ 「2022年、住宅ローン減税が大きく変更に。新築・中古の条件を解説」
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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消費税増税ごとに変化してきたローン減税
住宅ローン減税の歴史は意外と古く、日本では1972年に創設された「住宅取得控除」という制度から始まっています。
その後、制度の名称や内容が時代に合わせて徐々に変わりましたが、前回から17年ぶりの消費税増税となった2014年と5年ぶりの増税となった2019年は、これまでより大きな変化がありました。
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消費税8%増税時
2014年4月1日に消費税が5%から8%へと増税されたこの年、消費税課税対象となる物件を購入した場合の住宅ローン減税の最大控除額が、200万円から400万円へと引き上げられました。
また、それまでは売主の立場は関係なく控除額が決められていましたが、消費税非課税の物件=売主が個人の物件を購入した場合の最大控除額は200万円までと、売主の立場によって変わることも盛り込まれています。
消費税10%増税時
2014年の消費税増税後、複数回の延長を経てついに税率が10%へと引き上げられた2019年10月1日、住宅ローン減税の控除期間も最大で13年間になるルールが施行されました。
それまで住宅ローン減税の控除期間は10年間でしたが、税率が2桁になって増える消費者の負担を考慮し、特定の条件に該当する方を対象に控除期間を延長することになったのです。
消費税増税に伴って住宅ローン減税の制度見直しが行われた理由は、増税によって住宅購入の消費が落ち込み、経済に大きな打撃を与えないようにするためです。
実際、消費税が3%から5%に引き上げられた1997年と、5%から8%に引き上げられた2014年は、増税直前に家を買う「駆け込み需要」が大きく伸びました。
しかし4月の増税後は需要が一気に下がり、それらの経験を踏まえたうえで政府は「消費税増税後に購入してもメリットがあるような施策」を講じたのです。
なお、この最大控除額・控除期間・控除率が適用されるのは、2021年12月31日までに購入した中古マンションに入居した方のみとなります。
ココがポイント
入居という言葉がポイントです。ここでいう入居は住民票で判断されます。つまり契約ではダメなので注意しましょう。住民票の移動が12月末までとすると、出来れば契約は11月末くらいまで終わらせておく必要があります。
中古マンションの売主によって住宅ローン減税の内容が変わる
記事冒頭で述べた「中古マンション購入時は売主の立場によって住宅ローン減税の内容が変わる」について、その理由をご紹介します。
売主が個人の場合
先述のように、売主が個人の中古住宅は物件価格に消費税が課税されません。
消費税が非課税ということは、課税対象の物件と比較すると消費税増税による住宅購入時の負担が少なくなります。
そのため、住宅ローンを組んで売主が個人の中古マンションを購入した場合、最大控除額は200万円となったのです。
また控除期間も10年間で、それ以上の期間延長はありません(2020年3月現在)。
そして毎年末の住宅ローン残高に対する控除率は1.0%です。
売主が法人の場合
売主が法人、つまり不動産事業者の中古マンションを購入した場合は物件価格に消費税が課税されるため、売主が個人の場合と比べると最大控除額や控除期間が拡充されています。
ただし課税されている消費税率や、購入した中古マンションに入居した時期によって、住宅ローン減税の控除期間と控除率が以下のように異なることに注意しましょう。
(1)消費税率10%時に中古マンションを購入し、2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した方
このパターンに当てはまる方の住宅ローン最大控除額は4,000万円で、控除期間も13年まで延長されます。
なお毎年末の住宅ローン残高に対する控除率は、控除を受ける年が中古マンションを購入してから何年目にあたるのかによって、以下のように変わります。
控除対象年 | 控除率 |
購入1年目から10年目まで | 毎年末の住宅ローン残高×1.0% |
購入11年目から13年目まで | ➀または➁のどちらか少額の方 ➀毎年末の住宅ローン残高×1.0% ➁中古マンション購入価格×2%÷3 |
(2)消費税率8%時に中古マンションを購入、もしくは10%時に購入して2021年1月1日から12月31日までに入居した方
最大控除額は(1)と同じですが、このケースに当てはまる方の控除期間は10年、毎年末の住宅ローン残高に対する控除率も1.0%となります。
特に消費税率が10%の時に中古マンションを購入した方は、入居のタイミング次第で住宅ローンの控除期間が3年変わるので要注意です。
※参照資料:政府広報オンライン マイホーム購入を考えている方、必見!消費税率引上げ後の住宅取得にメリットが出る4つの支援策を用意!
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そもそも住宅ローン減税の対象になる中古マンションか?
住宅ローンを組んで中古マンションを購入するならぜひ受けたい住宅ローン減税制度ですが、実は売主が個人なのか法人なのかという点以外にも、入念にチェックしなければならない注意点があります。
これを知らないとせっかくの住宅ローン減税制度を受けられない可能性があるので、ぜひ覚えておきましょう。
建築年によって変わる適用の可否
中古マンションの場合、住宅ローン減税の適用を受けるには「建物の築年数が築25年以内であること」という条件があります。
もちろん築年数だけでなく、専有面積の広さや購入した物件が自己の居住用であることなど他の要件もありますが、仮にそれらの要件を満たしていても築年数が25年を超えていると適用は受けられません。
築25年以上でも利用するためには?
築年数が25年を超えている中古マンションは住宅ローン減税の適用外といっても、付加要件を満たせば無事に適用される可能性は十分あります。
そのための付加要件が、「耐震基準適合証明書の発行」または「既存住宅瑕疵保険への加入」です。
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耐震基準適合証明書とは
耐震基準適合証明書とは、「この中古マンションは現行の耐震基準をきちんと満たしています」と証明する書類です。
第三者の専門家に耐震診断を依頼し、必要に応じて耐震改修を行うなど対策ができている中古マンションであれば、この証明書を住宅ローン減税の申請時に添付して提出すればOKです。
なお現行の耐震基準、いわゆる新耐震基準は1981年6月1日より施行されていて、基本的にはそれ以降に建てられた住宅は新耐震基準を満たした設計となっています。
しかしだからといって、新耐震基準施行後に建てられた中古マンションが全て住宅ローン減税の対象になるわけではありません。
新耐震基準施行後に建てられた中古マンションでも、購入時に築25年を超えている物件であれば、検査済証などをもって現行の耐震基準を満たしていると証明しなければいけないのです。
※検査済証については後述します。
関連記事「耐震基準適合証明書ってどんな書類?注意点とポイントのまとめ」
既存住宅瑕疵保険とは
既存住宅瑕疵保険とは、中古物件を再販する不動産事業者から購入した物件の基本構造部分に何らかの瑕疵が発覚した際、売主である不動産事業者が買主に対して責任を履行するための保険です。
万が一瑕疵が発覚した時点で売主の不動産事業者が倒産していた場合は、その事業者が加入していた保険会社に買主が直接保険金を請求できます。
そのため既存住宅瑕疵保険の契約者(被保険者)は、買主ではなく不動産事業者となります。
ただし既存住宅瑕疵保険の加入には、対象物件の検査済証がなければいけません。
検査済証とは、その物件が事前に申請があった計画通りにきちんと建てられていると確認できた後に発行される書類です。
「違法建築」という言葉を見聞きしたことがある方もいると思いますが、これは当初申請していた建築計画と実際にできた建物が違う物件を指します。
残念ながら、新耐震基準施行後に建てられた物件でも稀に違法建築と発覚するケースがありますが、不動産の知識や経験が豊富でないと違法建築かどうかパッと見で判断するのはなかなか難しいものです。
そのため、検査済証があれば新耐震基準を満たしている+違法建築でないことが証明できるのですが、検査済証が発行されるのは建築が終わった直後に受ける完了検査と呼ばれる段階のみで、再発行はされません。
しかも検査済証の取得率は8割程度で、古い物件ほど取得率が低くなる傾向にあります。
耐震基準適合証明書と既存住宅瑕疵保険の点をクリアしているかどうかについては、中古マンションの取り扱いに長けている不動産エージェントに相談しながら見極めるのが安心です。
耐震診断、耐震改修工事を受けている場合
新耐震基準で、かつ検査済証がある物件以外でも、耐震基準適合証明書を発行する方法があります。
それはマンション自体が耐震診断を受けて、現行の耐震基準を満たしていると判定されるか、満たしていなくても耐震改修工事をして現行の耐震基準を満たしていると証明されれば、同じように耐震基準適合証明書が発行できます。
中古マンションの取り扱いになれた不動産エージェントを
中古マンションを購入して住宅ローン控除を受けるには、新築マンション購入時と違う注意点が多く、全てクリアしているかどうかご自分で判断するにはかなり難しいです。
最近は、旧耐震基準に該当する中古物件購入者へ金融機関が実施する審査も厳しくなっており、そもそも住宅ローンすら借りられない可能性もあります。
そうした失敗を防ぐためにも、中古マンション購入時は中古マンションの取り扱いを得意とする不動産エージェントをパートナーにすることが重要です。
中古マンションを探す前に、まずは中古マンションに関する知識と経験が豊富な不動産エージェントを探して、後悔のない物件選びを実現させましょう。
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ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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