中古マンションを検討する際、売主が当該物件から退去済みの「空き家」と生活したままの「居住中」という2パターンがあります。
それぞれの違いですが、空き室は先に引っ越してから売りに出していますが、居住中というのは、住みながら売却活動をして買主が見つかったら引っ越すというものになります。
空き室であれば、契約が済んで住宅ローンの決済準備が整えば引渡しを受けることができます。
しかし居住中の物件では、売主が転居先を見つけて(決まっている場合もある)から引っ越す時間が含まれるので、一般的には空き室よりも引き渡しまでの時間が長くなります。
空き室の中古マンションは引渡し時期が売主の都合に左右されにくいことが最大のメリットです。
逆に居住中の中古マンションは、一般的に引渡しの日が売主の都合に左右されがちです。
そのため引っ越しを急ぐ方の中には、居住中の中古マンションを検討から外す方もいるようです。
しかし空き室と居住中では、買主のとってそれほど大きな違いがあるのか、疑問に思われる方もいるでしょう。
そこでこの記事では、居住中の中古マンションが引渡し日などにどの程度影響するのかを解説します。
また他にも居住中の中古マンションの取引時に気をつけたい注意点についても解説します。
この記事を読むことで、中古マンションを検討する際の注意点がどこにあるか理解できるでしょう。
中古マンションの全体的な流れについては、「中古マンション購入の流れと、やってはいけない間違えを、現役のプロが伝授します」も合わせてご参照ください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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空き室の場合の平均的な引渡し日までの期間
空き室の中古マンションの引渡しまでの期間は、住宅ローンを利用するときは、売買契約後に金融機関の融資(住宅ローンの本審査)がありますので、購入申し込みから平均で1.5~2ヶ月前後というところです。
現金一括で購入する場合は、銀行融資がないのでより早く引渡しを受けることが出来ます。
その物件に住宅ローンの残債があるかどうかによって変わってきますが、平均で2週間~1か月前後になります。
ここでは空き室の中古マンションの引渡しまでに行われる、手続きにとそれぞれにかかる時間についてお伝えしていきます。
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居住中マンションの平均的な引渡し期間
居住中のマンションでは、平均的な引渡し期間は、売主の転居先にもよりますが、短くて契約後、3ヶ月〜とされることが多いです。
中には新築マンションや新築戸建への住み替えで、完成時期までに相当な期間があることもあります。
内覧申し込み時や内覧時に、この辺りの事情は確認できますので、担当者に事前に確認するようにしましょう。
居住中マンションの引渡し日の決め方
空き家のマンションの引渡し日は双方の準備が整ってからとなりますが、居住中のマンションは基本的に引渡し日は売主都合で決まります。
理由として、そもそも売主が出ていかなければ引き渡すことも出来ないからです。
また売主も出て行こうにも、引っ越し先が決まっていなかったり、住み替え先の新築が出来上がっていなければ引っ越すことができないからです。
ですので、居住中マンションの引渡し日は、基本的に売主の都合で決まります。
中には1年以上先のものもあるので、担当のエージェントに事前に引渡し可能日を物件問い合わせ時に、合わせて確認してもらうようにしておきましょう。
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中古マンションの購入の流れ 申し込み〜引渡しまで
マンション購入において、空き家の場合であっても、居住中であっても購入の流れ自体が変わるわけではありません。
ここでは中古マンションの購入の流れを、申し込みから引渡しまで簡単に解説します。
購入申し込みから契約まで
中古マンションは一点物です。
買いたい物件が出てきたらその物件を押さえければなりません。
この「物件を押さえる」という行為を不動産売買では「買付(かいつけ)」もしくは「商談」といいます。
買主は購入の意思表示のため、仲介業者を通して「買付証明書」を売主側に提出するのが通例です。
この買付証明書を提出するタイミングで、価格だけでなく、引渡し時期についても商談することが一般的です。
買付から契約までは、契約書などの書類が準備できる時間と売主と買主の都合が合う最短の日付が設定されることがほとんどです。
なぜなら契約をするまでは、あくまで物件を押さえてはいるものの法的な拘束力はなく、物件広告も止まりません。
特に価格交渉をした場合などは、広告が出ている以上、より高い金額で購入したいという方が出てくることもあるので、特に急いだほうがいいです。
またこの間に住宅ローンの仮審査も済ませます。住宅ローンの仮審査にかかる時間は金融機関によって1~5営業日と幅があります。
基本的に住宅ローンの仮審査が通っていないと話が進まないことが多いので、物件を探し出す時点で物件が決まっていなくても事前審査を行なっておくことをお勧めしています。
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契約から住宅ローンの本審査
ここで言う本審査とは、買主が利用する金融機関の住宅ローン審査のことです。
仮審査は売買契約前に済ませますが、本審査は売買契約後に行います。
本審査には1~2週間くらい時間がかかります。
住宅ローンを利用する売買では、契約書に「住宅ローン特約」が付きます。
この特約では、万が一買主の責任でないところで本審査に落ちてしまった場合に白紙撤回ができるという内容です。
そしてこの住宅ローン特約には、期限が定められます。
一般的には3週間から1カ月くらいのことが多いですが、引渡し時期に応じて長めに設定されることもあります。
期日を過ぎる前までに本審査が終わるように気を付けましょう。
本審査に必要な書類は、本審査に当たっての申込書のほかに、中古マンションの詳しい書類、重要事項説明書や契約書、住民票など多岐にわたりますので、滞りのないように準備しましょう。
また中古マンションをリノベーションし、工事にかかる費用も住宅ローンで借りる方は、リフォーム会社との請負契約書のほか、建築確認申請の書類やリフォーム工事の設計図書類も必要です。
詳しくは不動産エージェントや申込金融機関に確認しましょう。
ここまでの流れは空き家であっても、居住中であっても変わりません。
本審査承認から金銭消費貸借契約
住宅ローンの本審査が承認されると、次は銀行との金銭消費貸借契約(以下、金消契約)の手続きへ進みます。
金消契約のときには、引渡し日が確定している必要がありますので、本審査が承認されたら売主と引渡し日について確定させます。
居住中の場合は、本審査承認から金消契約までの期間が開くことが多いです。
売主の引越しの予定が決まり引渡し日が確定してから、金消契約を行います。
また金消契約では、以下書類が必要になります。
- 実印
- 銀行印
- 運転免許証(パスポートなど)
- 収入印紙
- 新しい住所の住民票
- 新しい住所の印鑑証明書
新住所の住民票や印鑑証明書は引渡し時の「登記手続き」にも必要です。
あらかじめ必要な部数を調べ、複数枚とっておきましょう。
金消契約から引渡し日まで
引渡し日は、通常銀行に出向いて手続きをします。そのため、引渡し日は銀行と法務局が開いている平日の昼間に原則限られます。なお引渡し日のことを、地域によっては「決済」ともいいます。
金消契約は金融機関によって、「〇営業日前までに行っておくこと」という決まりがありますので、決済・引渡し日に間に合うように手続きをしておくようにしましょう。
またリフォームやリノベーションを同時に行うときは、引渡しを受けた後から工事に入れるようになるので、その期間も合わせて考慮しておくようにしましょう。
ここまでが中古マンションの引渡し日までにかかる時間の目安と流れになります。
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居住中の中古マンションはどこが違うのか?
空き室の場合と居住中の場合では、住宅ローンの本審査までは変わりませんが、本審査が終わったあとの期間が変わってきます。空き家と居住中の中古マンションとの違いは、冒頭でも触れましたが、
- 引渡し時期が売主の都合に左右されない(空き室の中古マンション)
- 引渡し時期が売主の都合に左右される(居住中の中古マンション)
という違いがあると言えます。また売主の都合にも色々なケースがあり、
- 引っ越し先が決まっていて、後は引っ越すだけ
- これから引っ越し先を探す(賃貸)
- これから引っ越し先を探す(購入)
- 新築マンションや注文住宅で完成日が決まっている
などのケースがあり、一般的には上から下にいくにつれて引き渡しまでの時間は長くなります。
ただ、平均的な引渡し日までの期間をみると、居住中の中古マンションでも購入申し込みからおおよそ3ヵ月前後です。
空き室の中古マンションでも住宅ローンの審査があることから、スムーズに進んだ場合でも1ヶ月半から2ヶ月弱はみなければなりません
それを考慮すれば、両者の違いはそれほどの大差はないとも言えます。
居住中の中古マンションを検討するときの注意点
居住中の中古マンションを購入するときに、よくトラブルになりやすいのが、引渡し日が想定していた時期とずれてしまうことです。
一般的に契約書には、住み替えが順調に進まなかった場合も考慮し、引渡し期日が長めに設定されることが多々あります。
法的には契約書に書いてある期日までに引き渡されればいいことになりますが、購入する方にとってもある程度この日までに住みたいという希望があると思います。
売る側は「契約書の期日まで大丈夫」と考えることが多く、買う側は「これくらいまでには引っ越せるだろう」という考え方に差があるため、それを踏まえた上で一歩踏み込んで、実際に引き渡すことが出来る日付やスケジュールをよく話し合っておくことが重要です。
引き渡されるマンションの現況に注意
もう一つ注意したいのが、中古マンションの引渡し時の状況です。
購入時を決めた時に内覧をした時は、売主の家具や荷物がある状態で室内を確認していますが、家具や荷物がなくなると、想定外の傷や汚れが見つかることがあります。
あくまで中古マンションの取引は現況取引となりますので、リフォームなど余裕を持った見積もりをしておきましょう。
また契約後、売主は物件に対する注意善菅義務が生じます。
これはすでに契約が終わっているので、引渡しまでに綺麗に注意をしながら利用するということになりますが、たまに内覧時にはなかった傷があるということで揉めることがあります。
特にペットや小さなお子様がいる時は、事前に写真などを撮らさせていただいておくと良いと思います。
写真を撮影していないときは、不動産業者の担当者に依頼しましょう。
「不動産の引渡し猶予の特例」を相談されることも
本来、不動産の引渡しは、引渡し日までに残置物を全て撤去して、引渡しをできる状態にしておくことが大前提となります。
つまり残代金を支払って、物件の引渡しを受けるときには、部屋は空の状態にしておくということです。
しかし居住中マンションの場合、その物件を売った代金で、住み替え先の購入代金を支払うということもあります。
先に購入先の代金を支払える状況である場合は問題になりませんが、先に購入先の支払いができず、売却費用で購入代金を賄う場合、この「不動産の引渡し猶予の特例」という相談が出てきます。
この特例の中身は、「残代金を支払って書類上の権利は買主に移転しますが、実際空き家にして鍵の引き渡しをするのを、例えば1週間遅らせて欲しい」というものです。
居住中のマンションで住み替えが関わる取引では、比較的よく出てくる相談になりますので、覚えておくと良いでしょう。
中には、その間の日割り家賃を請求するなど、細かいやり取りも出ますが、それも含めて価格交渉をすることもあります。
売主の状況や他の購入者の状況にもよりますので、担当のエージェントに一任して柔軟に交渉を進めていくようにしましょう。
最終的には売主・買主、双方で相談
ここまで空き室の中古マンションと居住中との違いについて説明してきましたが、それぞれに共通することは、結局のところ売主・買主、双方の話し合い(相談)次第であることです。
商談のときにある程度の期限を決めておき、契約時にその期限内でいつ頃なら大丈夫そうなのか等、今後の流れについて関係者で話し合うことが多いです。
お互いに都合があることなので、双方の都合を尊重し合いながら進めていくと良いでしょう。
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まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 中古マンションの購入は空き室と居住中の物件に分けられます。
- 中古マンションの引渡し時期は、空き室の場合は購入申し込みから1.5~2ヶ月前後、居住中ではケースによって3ヶ月~というのが一般的。
- 中古マンションの引渡し時期は、売買契約書で取り決めた日付けを守らなければなりません。よって買主・売主双方が契約に向けて十分なコミュニケーションを取ることが望ましいと言えます。
- 物件によっては、「不動産の引渡し猶予の特例」の相談を受けることも
空き室と居住中の中古マンションには、想像しているほどの差はなく、かえって居住中の中古マンションを検討から除いてしまうのは、よほど時間的に急いでいない限りは選択肢が狭まるため、もったいないように感じます。
事前に不動産エージェントといつまでに引っ越しをしたいかを共有することによって、あなたに代わってリサーチもしてくれますので、あとから後悔しないためにも、中古マンションを探すときには事前に不動産エージェントを見つけておくようにしましょう。
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また居住中のマンションを内覧するときは、売主は情報の宝庫となりますので、空き家の物件よりも、その物件に対する情報が得やすいメリットもあります。
こちらに居住中のマンションを内覧するときに、ぜひ質問したい内容をまとめてありますので合わせてご参照ください。
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