時間がない人向け:仮審査に通っても本審査に落ちる6つの理由
住宅ローンの仮審査に通って本審査に落ちる6つの理由
- 仮審査後に出てきた遅滞情報や未申告情報:仮審査では見つからなかった信用情報の問題が本審査で発覚
- 仮審査後に転職・独立した:勤務先や雇用形態が変わると審査のやり直しに
- 仮審査後に新たな借入やクレジットの遅延をした:返済負担率が変わり、審査基準を超えてしまう
- 対象物件の担保価値に問題があった:違法建築や評価額不足など物件側の問題
- 団体信用生命保険に加入できなかった:健康状態の問題で保険に入れない
- 事前審査がAI審査だった:ネット銀行等のAI審査は本審査との精度に差がある
【本審査の通過率】
- 都市銀行・地銀・信金:約97〜99%
- フラット35:約90%(「留保」を含むため低め)
- ネット銀行:約92%(AI審査のため差が出やすい)
- 自分で問題を起こさない限り、仮審査に通っていれば本審査はほぼ通る
この記事を読むことでわかること
- 住宅ローンの仮審査に通って本審査に落ちる時の理由
- ローン特約があっても、手付解約・違約解約となってしまうケース
- 本審査で落ちた時の対応策
- 遅延・遅滞があっても住宅ローンに通ったケース
家を買うために住宅ローンを申し込むと、「この方に融資しても問題ないか」と、銀行が審査を行います。この審査は仮審査と本審査の2段階があり、仮審査通過後に本審査が行われます。
仮審査を終えた後にさらに本審査を受けなければならないのはドキドキしますが、仮審査をクリアしても本審査で落ちることはあるのでしょうか?また仮審査と本審査では、どんな項目を審査しているのでしょうか?
今回は、気になる住宅ローンの仮審査と本審査に関する疑問点と回答をご紹介します。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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住宅ローンの仮審査に通っても、本審査に落ちることはある

まず、住宅ローンは仮審査に通っても本審査で落ちることがあるのかどうか、という点に対する回答ですが、これは「YES」です。
ただ、仮審査を通過したほとんどの方は本審査もクリアしているため、仮審査に通ったけれど本審査には通らなかった方の割合はあまり高くありません。しかし数は少ないといえども、なぜ仮審査は通ったにもかかわらずその後の本審査で通らない方がいるのか、その理由は仮審査と本審査の違いです。
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仮審査と本審査の違い
仮審査と本審査の違いは、簡単に言えば「簡易的な審査」と「本格的な審査」の違いです。
仮審査では、名義人が収入に対して何にどのくらい返済しているのか(返済比率)、これまで返済に遅れがあったかどうかの個人信用情報などが審査項目となります。審査期間も長くても1週間くらいと短いのが特徴です。
一方で本審査は、仮審査でチェックした内容に間違いはないかに加え、名義人本人の健康状態や担保となる物件の価値などより厳しい審査項目が設けられていて、審査期間も2〜3週間程度と長くかかります。
また、インターネット申込の場合は注意が必要です。ネット銀行や一部の金融機関では、事前審査をAIが行っているケースがあります。AI審査はあらかじめ決められた条件に当てはまっていれば通ることもありますが、本審査では必ず人が審査を行います。そのためAI審査で通った事前審査と、人が行う本審査で結果が異なることがあるのです。
このように、仮審査と本審査では審査の深さや精度が違うため、仮審査では無事クリアできても本審査で引っかかってしまい、落ちるケースが発生するのです。
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仮審査に通って本審査に落ちる6つの理由

続いては、仮審査に通っても本審査で落ちる可能性が高い、下記6つのケースをご紹介します。
- 仮審査で出てこなかった遅滞情報や未申告情報などが出てくる
- 仮審査後、転職をしている
- 仮審査後、新しく借り入れをした、返済に遅れた
- 対象物件の担保価値に問題があった
- 健康状態が悪かった(団体信用生命保険に加入できない)
- 事前審査がAI審査だった
1、仮審査で出てこなかった遅滞情報などが出てくる
保証会社も銀行と同じく個人信用情報を調べますが、閲覧する情報機関が異なるケースがあります。
機関が違うと記録されている個人信用情報も異なり、銀行が確認したデータにはなかった信用情報を保証会社が見つけると、仮審査時になかった遅滞情報としてマイナスの評価を受けてしまうのです。
また、一般的に過去の遅滞情報は5年までとされていますが、保証会社独自で過去の取引履歴など、銀行の担当者もあまり知りえない情報を持っていることもあります。
その他にも、本来申告が必要な内容が本審査の時に発覚することもあります。
私が経験したものだと、過去に一度、住宅ローンを利用した短期売買の履歴が残っており、その結果本審査で否決になったことがありました。
結局は、他の金融機関で出し直す際に、その内容と理由をしっかり申告した上で本審査は承認になりました。
ですので、過去にあったことは些細なことと思っても、本審査で実は重要な申告内容だったということもあり得ますので、不動産事業者の担当者には共有するようにしましょう。
2、仮審査後、転職をしている
住宅ローンの融資条件には、名義人の勤務先や勤続年数・雇用形態・年収なども重要な審査項目に含まれています。
そのため、もし仮審査後に転職をした場合は当然ながら勤続年数がリセットされるため、審査に大きな影響を及ぼします。
独立やステップアップのために転職を考えている方は、基本的には決済と引き渡しが終わってからするようにしてください。
本審査が終わったあとなら良さそうな気もしますが、銀行と行う金銭消費貸借契約(通称、金消)の時に、免許証と合わせて健康保険証の確認があります。
ここで社名が変わっていたり、社会保険の健康保険証から国民健康保険証に変わっていたとなると大問題となります。
3、仮審査後、新しく借り入れをした、返済に遅れた
これは「仮審査で出てこなかった遅滞情報などが出てくる」と少し似ていますが、仮審査後の新たな借り入れや遅滞情報も、しっかり個人信用情報に記録されます。
特に新たな借り入れは、その分だけ返済比率を高めてしまうため、本審査ではマイナス評価されてしまう可能性が高いのです。
個人信用情報の記録は、仮審査・本審査ともに重要性が高い項目と位置付ける銀行や保証会社は多いです。
そのため、本審査が終わるまでの新たな借り入れや遅滞の発生が起きないようにご注意ください。
4、対象物件の担保価値に問題があった
住宅ローンを申し込む際は、購入する物件に対して担保がかけられますが、万が一審査対象の物件が違法建築物などに該当して担保の価値がないとみなされると、融資を受けられる可能性が低くなります。
なお違法建築物に該当するのは、以下のような物件です。
- 既定の建ぺい率や容積率を超えている
- 接道義務違反である
- 建築確認を取らずに建てられている、建築確認図面とは違う設計で建てられている
- 法令違反である(違法建築)
- 完成当初は建築基準を満たしていたものの、その後違法な増改築がされている
住宅や施設などを建てる時は、国が定めた法律や自治体ごとの条例に則った建築物でなければいけませんが、それを違反していると分かっていて融資をする銀行も保証会社もありません。
購入予定の中古住宅や中古マンションが違法建築物でないかどうかを見極めるには、その物件の建築確認済証や検査済証があるかを確認します。
古い物件だと検査済証や建築確認済証がなくなっていることもありますが、その場合は図面や現地を確認して、違法建築物でないかどうか判断します。
増築されている物件の場合、10㎡を超える増築は工事前に改めて建築確認を取らなければいけません。
しかし、建築確認を怠っている、もしくは確認を取ったものの違う内容で工事が行われていた場合は違法建築物に該当するため、本審査で落とされてしまうのです。
なお、建築基準法は過去何度か改正が行われており、中古住宅の中には今の建築基準を満たしてはいないものの、当時の基準はきちんと満たしていた物件もあります。
そうした物件は違法建築物ではなく「既存不適格物件」に該当し、場合によっては融資を受けられる可能性があるため、住宅ローンを申し込む前に銀行や不動産エージェントに相談しましょう。
またマンションに関しては、自主管理のマンションは、条件によっては管理上の問題から担保価値に大きな問題があるとみなされ融資を受けることができない物件もあります。
詳細については別の記事で詳しくまとめていますので、そちらも併せてご参照ください。
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5、健康状態が悪かった(団体信用生命保険に加入できない)
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの名義人がローンを返済中、万が一死亡もしくは重度の障害を負ってしまって返済不能となった場合、名義人に代わって残債を完済できる生命保険のことです。
団体信用生命保険のメリットは、返済不能になった時に残ったローンを完済してもらえるだけでなく、「保険」なので新たに保険会社へ返済しなくても良い点です。
※保証会社は一時的に肩代わりしてくれるだけなので、銀行への返済義務がなくなっても保証会社へ立て替え分を返済しなければならない。
しかし、団体信用生命保険はとても頼れる生命保険ですが、名義人ご本人の健康状態によっては加入を断られてしまうケースがあります。
団体信用生命保険の加入可否の審査項目も多岐にわたり、保険会社によって異なる部分もありますが、ほとんどの審査で共通しているのは以下の項目です。
- 告知日(団体信用生命保険加入用の書類に必要事項を記入する日)から3ヶ月以内に、医師から治療や投薬を受けたことがあるか
- 告知日から3年以内に、指定の病気に関する手術、2週間以上にわたる医師の診察・治療や投薬を受けたことがあるか
- 手足や指の欠損、または機能障害があるか
ただし上記の項目に該当していても、どんな病気やケガをしたのか、重症度合い、現在の症状など詳細と照らし合わせることで、団信の審査をクリアできる可能性はあります。
団体信用生命保険に加入できない可能性を恐れて事実を伝えないことは、告知義務違反とみなされてしまうのでおすすめできません。
仮に加入できても、いざという時に保険金が支払われない恐れもあるので、健康状態で伝えづらい事実があってもきちんと告知しましょう。
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6、事前審査がAI審査だった
ネット銀行や、一部金融機関では、事前審査を人がやるわけではなく、AIが審査をしているケースがあります。
ネット銀行の事前審査は当てにならないという風潮が不動産業界にはありますが、実はこのAI審査が主な原因です。
AI審査はあらかじめ見る項目が決まっていて、その条件に当てはまってさえいれば通ることもあります。
しかし本審査では必ず人が審査をするので、そこで本審査が否決になるということもあります。
不動産業者によってはネット銀行の事前審査だけでは契約をさせてくれないところもあるので、契約をするときの事前審査は有人店舗で申し込むか、不動産業者が提携している金融機関などで通しておくと良いでしょう。
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ローン特約における注意点

住宅ローンの本審査に落ちてしまうと、せっかく見つけた希望物件を買うための資金が用意できず、売買契約を結べません。しかし不動産の売買契約は、仮審査が終わって本審査が始まる前に行われるため、本審査に落ちて融資が受けられないと売主も買主も困ります。
そこで売買契約時に盛り込むべき条件が、住宅ローン特約です。住宅ローン特約とは、買主が住宅ローンの審査に通らなかった場合、売買契約を無条件で解除できるというルールです。
通常、住宅ローンの審査落ちが理由で売買契約を解除することは買主都合でのキャンセルなので、買主が支払った手付金は戻りません。しかし住宅ローン特約を売買契約書の中に盛り込んでいれば、審査落ちで契約解除になっても手付金は買主に戻されるため、買主が受けるダメージが少なくなります。
ただし住宅ローン特約は、あくまで買主ご本人に非がないと認められるケースで利用できる救済措置です。たとえば、買主が住宅ローンの申し込みをしなかった、審査に必要な書類の提出を怠ったなど、明らかに買主に非があるケースでは住宅ローン特約を利用できずに契約解除となり、手付金も戻りません。
しかも仲介手数料も契約自体は成立しているので、支払い義務が発生します。先に説明した6つの理由のうち、住宅ローン特約が無条件で適用されるのは、4番の対象物件の担保価値に問題があったケースです。1番の後から出てきた遅滞情報や未申告情報と、5番の団体信用生命保険に加入できなかった場合はケースバイケースになります。
2番の転職・独立や、3番の新たな借り入れや遅延は、完全に本人の非になるため住宅ローン特約は使えませんので、注意するようにしてください。
住宅ローンの本審査はほぼ通る?
ここまで色々と解説してきましたが、基本的にご自身で問題を起こさない限りは、住宅ローンの本審査はほぼ通ります。通過率は95%ほどと言われていますし、私の実感としては、もっと多いくらいではないでしょうか。
ただしフラット35は事前審査をする金融機関と本審査を行う住宅金融支援機構で審査機関が変わりますので、通常の銀行とは仮審査と本審査で違いがあります。
また先述したように、人が事前審査をした場合はほぼ通ると考えて構いませんが、AI審査を行なっているネット銀行やメガバンクなどの一部金融機関では、事前審査が通っていても本審査の通過率は落ちます。
住宅ローンの仮審査が通れば本審査が通る確率
実際に私の過去のお客様のデータから、都市銀行・地銀・信金とフラット35、ネット銀行でのそれぞれの本審査を通る確率を算出してご紹介します。
あくまで私の顧客なので、一般的なデータと前後するかもしれませんが、分母は決して少なくないと思いますので、参考にはなると思います。
| 都市銀行・地銀・信金 | フラット35 | ネット銀行 | |
|---|---|---|---|
| 顧客数 | 385 | 138 | 75 |
| 本審査不承認数 | 3 | 13 | 5 |
| 本審査通過確率 | 99.2% | 90.6% | 93.3% |
こちらの表を見て分かる通り、住宅ローンの仮審査が通っていれば、本審査が通る確率はかなり高いと言えるでしょう。
フラット35では、事前審査が「承認」となっていれば、もっと確率は高くなりますが、「留保」も計算式に入っていますので、やや確率は低くなっています。
住宅ローンの本審査で落ちた場合はどうすればいい?

もし仮審査に通っていたのに本審査で落ちてしまった場合、どうすればいいか?まずは原因を突き止めることです。銀行の担当者からは理由を聞くことはできません。
しかし銀行と取引のある不動産業者の担当者であれば、銀行担当者がはっきり言わなくても、なんとなく匂わせてくる言葉から原因を推測できることがあります。推測される原因を理由ごとに解説していきます。
仮審査で出てこなかった遅滞情報や未申告情報などが理由で本審査に落ちた場合
もし遅滞情報が考えられる場合は、過去に金融事故(遅滞)や過払い金返還請求をしたことがある金融機関と系列の銀行ではないかを考えてみましょう。
通常、CICなどの各金融機関が加盟する個人信用情報には最長で5年間しか信用履歴は掲載されませんが、金融機関は独自で過去の記録を残しています。
もし各情報機関の個人情報を確認して、その可能性があるのであれば、金融機関を変えて申請してみるのも手です。
また未申告情報があった場合も、金融機関を変えて事前審査の時に申告して仮審査を申請すれば、本審査も通る可能性はあります。
筆者も過去にこの事例を何回か経験しています。
仮審査後、転職をしている
もしこの理由に該当してしまっているのであれば、再度金融機関を変えるなどして事前審査からやり直しをしましょう。
転職したてであっても審査が通る金融機関はあります。
仮審査後、新しく借り入れをした、返済に遅れた
この場合も、再度金融機関を変えて事前審査から出し直しましょう。
金融機関や内容によっては、返済条件付きで審査が通ることもあります。
対象物件の担保価値に問題があった
この場合は、違法建築などそもそも物件に問題があることが大半ですので、審査を無理に通すよりも、一旦物件を諦めてリセットするべきだと思います。
またこのケースはローン特約の対象となります。
健康状態が悪かった(団体信用生命保険に加入できない)
団体信用生命保険に加入できなかった場合は、再度緩和型の団体信用生命保険で加入ができないかどうかを検討しましょう。
また団体信用生命保険がなくても大丈夫なフラット35やその他の金融機関をあたってみましょう。
筆者の経験ではフラット35以外でも、他の金融機関で、買主が加入していた生命保険があることを条件に借りることができました。
ただしこのケースは生命保険への質権設定の可否を含めた微妙な問題もありますので、イレギュラーな対応であったと思われます。
続きを読む住宅ローンの緩和型(ワイド)団信をお客様の実体験からレビュー
住宅ローンの本審査承認後に落ちることも?本審査通ったらもう大丈夫は間違い
たまに聞かれることもありますが、住宅ローンの本審査が通ったらもう大丈夫と安心していいのでしょうか?
基本的に住宅ローンの本審査が通れば、その後一定期間は審査をすることはないと言われています。
しかし、この一定期間は金融機関によって違いますので、本審査から銀行との契約(金銭消費貸借契約)が終わるまでの期間が長くなる時は、注意しておきましょう。
また本審査と金銭消費貸借契約までの期間が短い場合でも、転職は御法度です。
否決となってしまう理由は、健康保険証です。
銀行との金銭消費貸借契約時に、確認資料の一つとして健康保険証の提示を求められます。
勤務先が変われば健康保険証の会社名も変わりますので、そこで転職が発覚してしまい、住宅ローンの本審査承認後に落ちることが考えられます。
遅延・遅滞があっても住宅ローンに通ったケース
クレジットカードなどの支払いに遅れたことがある方なら、個人信用情報について不安に感じることがあるかもしれません。
個人信用情報には「遅延」と「遅滞」の2種類の言葉があり、特に「遅滞」がつくと最低でも5年間は住宅ローンを借りることができないとよく言われます。しかし私のお客様の中には、過去5年以内に「遅延」「遅滞」が発生していても、住宅ローンを借りることができた方もいます。
さらに言うと1〜2年くらい前に「自己破産」歴がある方も、直接のお客様ではないですが、住宅ローンを借りられた実例もあります。そこでここからは、過去の私の実体験をもとに、「遅延」「遅滞」などがあっても、どんなケースであれば可能性があるかについて解説をしていきます。
遅延と遅滞の違い
遅延とは、一般的に支払い期日に支払いが遅れてしまうケースで、カード会社や金融機関などによって、返済から何日遅れたら遅延情報が個人信用情報に掲載されるかは決まっていません。
支払い予定日から数日の遅れであれば遅延情報として個人信用情報に掲載されることはそこまで多くはありませんが、何度も遅れを繰り返していると遅延情報が掲載されます。
また遅滞とは、通称「異動情報」とも言われ、支払い期日から61日以上、または3ヶ月以上の滞納で個人信用情報に掲載されます。俗にいう「ブラック」と呼ばれるのは、この「異動情報」がある状態の方をいいます。
この異動情報がついてしまうと、基本的にはかなり厳しいと考えてください。ただし、可能性はゼロではありません。ここからは「遅延」「遅滞(異動)」「自己破産」歴がある方で、実際に住宅ローンを借りられたケースをご紹介します。
「遅延」があっても住宅ローンが借りられたケース
まずは「遅延」があっても住宅ローンが借りられたケースをご紹介します。遅延は基本的には2年経てば消えていきますので、2年以上前のことであれば特に気にすることはありません。しかし途中でクレジットカードなどを解約していると、「遅延」情報は残り続けます。
私がこれまでお手伝いしてきたお客様で通ったケースを見ると、直近1年で1回以上の遅延があるとかなり厳しくなります。1年以上経っている場合でも、遅延は少なければ少ないほど良いですが、2年以内に2回ほどであれば通る可能性はあります。その他の属性や収入などにもよりますが、「遅延」は比較的通ることが多いです。
「遅滞(異動)」があっても住宅ローンが借りられたケース
遅延よりもはるかに厳しく、俗にいうブラックで、これが個人信用情報に掲載されているとまず住宅ローンは借りられないなどと言われますが、実際に借りられたケースもあります。
数自体は決して多くはありませんが、数少ないケースの特徴を見ていると、属性や収入は問題がないこと(むしろ良い)、時間がそれなりに経っていること(私の経験では通った人は3年以上経過していました)、さらに理由についてもやむを得ない理由や、銀行の担当者が「しょうがない」と思える理由であることが多いです。
「自己破産」歴ありでも通った稀有なケース
私の直接のお客様ではないですが、ハウスクローバーのYoutubeチャンネルを見ていただいた方から、住宅ローンについてのご相談をいただきました。
その方は注文住宅で、とあるハウスメーカーで住宅ローンの事前審査(フラット35)をしたのですが、「留保」ではあるものの、なぜか本審査に進めることになったそうです(本来なら事前審査で否決になる案件です)。
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ちなみに自己破産をしたのは、相談をいただいた時点で1年前という、かなり直近の出来事でした(自己破産歴は10年残ります)。そして本審査を出したものの、1ヶ月近く連絡がなく、ヤキモキした気持ちで私のところにご相談にいらっしゃったのです。
通常、住宅ローンの審査では、個人信用情報が原因で否決になるときは、割と返事は早いです。しかし、この相談者のように1ヶ月近くも待たされることは、他の要因で時間がかかっている裏返しにもなるのですが、それでもさすがに「自己破産」は厳しいだろうとは考えていました。
結果はどうだったか。なんとフラット35の本審査も承認になったのです。あまりにもあり得ない出来事で、私や私の周りも含め、おそらく初めて聞いたケースだと思います。本承認になった理由はわかりませんでしたが、予想するに自己破産に至った理由ではないかと考えております。
自己破産になったのは相談者の叔父の保証人になっていたことで、叔父が破産して、相談者に債務がきたのですが、相談者も払うことができずに自己破産をしたというのが経緯です。つまり、本人に非がある理由ではなかったので、そこを考慮してもらえたのかもしれません。
ここまでの経験から、「遅延」「遅滞(異動)」「自己破産」など、そこに至った理由や経緯も、銀行によっては考慮されるのではないかと、最近では考えています。
個人信用情報に不安があるときに気をつけるべきこと
もしあなたが、個人信用情報に不安があるのであれば、事前にCICなどでご自身の情報を確認するようにしましょう。
インターネットで開示する|情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
www.cic.co.jp
そして何らかの遅延情報が掲載されている場合は、闇雲に事前審査を出すのではなく、担当の不動産エージェントと相談しながら、どこの金融機関に出すかを決めるようにしましょう。購入のお手伝いに慣れている不動産エージェントであれば、良い銀行の審査担当と繋がっている場合が多いです。
実際のところ、住宅ローンに通るか通らないかで微妙な状況の場合、銀行の担当者によって審査が通るか通らないかが変わることもあります。そういう意味でも、不動産エージェント選びはしっかり行うようにしましょう。
住宅ローン審査で重視される項目一覧
住宅ローンの審査では、以下の項目が総合的に判断されます。仮審査と本審査で確認される範囲が異なりますが、全体像を把握しておくと対策が立てやすくなります。
- 完済時年齢:80歳未満が一般的。年齢が高いほど返済期間が短くなり不利
- 健康状態:団体信用生命保険に加入できるかどうか
- 年収:返済負担率が基準内であること。金融機関により最低年収の基準あり
- 勤務先・雇用形態:正社員が有利。自営業・契約社員・派遣社員は審査が厳しくなる傾向
- 勤続年数:一般的に1〜3年以上が基準。転職直後は不利
- 返済負担率:年収に対する年間返済額の割合。25〜35%が上限の目安
- 個人信用情報:クレジットカード・携帯料金・ローンの支払い履歴。遅延や異動情報の有無
- 他の借入状況:車のローン・カードローン・リボ払いなどの残高
- 担保物件の評価:物件の市場価値が借入額に見合うか
- 国籍・永住権:外国籍の場合、永住権の有無が審査に影響
業界データによると、事前審査に落ちる確率は10人に1人以上、本審査でも約6.9%が落ちるとされています。決して珍しいことではないので、落ちた場合の対策も事前に知っておくことが大切です。
本審査に落ちないための事前対策
本審査で落ちるリスクを減らすために、以下の対策を仮審査の前から実施しておきましょう。
個人信用情報を事前に確認する
自分の信用情報に不安がある方は、CIC(割賦販売法・貸金業法に基づく指定信用情報機関)で事前に開示請求をしましょう。オンラインで500円程度で確認できます。
開示した情報に遅延や異動の記録があった場合は、闇雲に審査を出すのではなく、不動産エージェントと相談してどの金融機関に出すかを慎重に判断してください。信用情報に傷がある場合でも、金融機関によって審査の判断が異なるため、経験豊富な不動産エージェントのアドバイスが重要になります。
詳細はこちら全国の担当者が探せる、住宅購入に失敗しない仕組み|ハウスクローバー
他の借入を完済しておく
車のローン・カードローン・リボ払いなどの借入は返済負担率に加算されます。可能であれば住宅ローンの申込前に完済しておきましょう。完済が難しい場合でも、残高を減らしておくだけで審査に有利になります。
仮審査から本審査の間にやってはいけないことを把握しておく
仮審査に通った後、本審査が終わるまでの間は以下のことを絶対にしないでください。
- 転職・独立しない
- 新しいローンを借りない・契約しない
- 既存の返済を遅延しない
- 大きな買い物をしない
これらは本審査で否決になる直接的な原因になります。
複数の金融機関に仮審査を出しておく
金融機関によって審査基準は異なります。1つの金融機関で落ちても、別の金融機関で通ることは珍しくありません。仮審査はいくつ出しても大丈夫ですので、複数の金融機関に出しておくことで、万が一の時のリスクヘッジになります。
健康に不安がある方は早めに団信の確認を
団体信用生命保険の審査は本審査と並行して行われます。健康状態に不安がある方は、事前に緩和型(ワイド)団信の取り扱いがある金融機関を確認しておくか、団信なしで借りられるフラット35も選択肢に入れておきましょう。
また団信の告知についても、仮審査の時に行える金融機関もありますので、売買契約前に告知をして、団信に加入できるかどうかを確認しておくと、より安心かと思います。
住宅ローンで失敗しないために、事前に不動産エージェントと情報を共有しよう

住宅ローンは大きな金額が動くため、融資する側も慎重に審査を行います。虚偽なくきちんと申請していれば本審査も通りやすくなりますが、「もしかしたらこの項目で引っかかる可能性があるけれど、大丈夫だろうか?」と、不安に思うことも多いでしょう。
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そうした不安を払拭し、自信をもって住宅ローンの審査に臨むためには、繰り返しになりますが、不動産エージェントとの情報共有が大切です。住宅ローンの審査に詳しい不動産エージェントに相談すると、気になる項目をクリアするための対策などを教えてもらえるので安心です。
中古住宅やマンションを購入の際は、ぜひ住宅ローンの相談にも強い不動産エージェントに相談しましょう。
詳細はこちら全国の担当者が探せる、住宅購入に失敗しない仕組み|ハウスクローバー
まとめ
この記事のまとめ
- 仮審査に通っていれば本審査はほぼ通るが、約5%は落ちる可能性がある
- 本審査に落ちる6つの理由は、信用情報の問題・転職・新規借入・担保価値・団信・AI審査
- 仮審査は簡易的な審査、本審査は本格的な審査。本審査では保証会社や担保物件・団信の審査も加わるためチェックの深さが違う
- 仮審査から本審査の間に転職・新規借入・返済遅延は絶対にNG
- ローン特約があれば本審査に落ちても手付金は戻るが、自分に非がある場合は使えない
- 遅延・遅滞があっても通ったケースはある。経験豊富な不動産エージェントに相談すべき
- 事前に個人信用情報をCICで確認し、他の借入を整理してから審査に臨む
- 複数の金融機関に仮審査を出しておくことがリスクヘッジになる
よくある質問(FAQ)
Q. 住宅ローンの仮審査に通れば本審査もほぼ通りますか?
基本的にはほぼ通ります。都市銀行・地銀・信金では通過率97〜99%程度です。ただし仮審査後に転職したり、新たな借入をしたり、返済を遅延した場合は本審査で落ちることがあります。また、ネット銀行のAI審査は精度が異なるため、通過率がやや下がる傾向があります。自分で問題を起こさなければ、ほぼ大丈夫と考えて問題ありません。
Q. 本審査に落ちる確率はどのくらいですか?
業界データでは約6.9%が本審査で落ちるとされています。ただしこの数字には、仮審査がAI審査だったケースや、仮審査後に問題が発生したケースも含まれています。有人店舗の金融機関で仮審査を通過し、その後問題を起こしていない場合の通過率は97〜99%と非常に高いです。
Q. 本審査に落ちたら手付金はどうなりますか?
売買契約書にローン特約(住宅ローン特約)が盛り込まれていれば、買主に非がない理由での審査落ちの場合、手付金は戻ります。ただし転職や新規借入など買主に非がある理由の場合、ローン特約は使えず手付金は戻りません。さらに仲介手数料の支払い義務も発生しますので、仮審査後の行動には十分注意してください。
Q. 信用情報に傷があると何年間ローンが組めないですか?
遅延情報は一般的に2年経てば消えます(ただしカードを解約していると残り続ける場合あり)。異動情報(ブラック)は5年間掲載されます。自己破産は10年間です。ただし掲載期間中でも金融機関によっては審査が通るケースもあります。不安がある方は事前にCICで自分の信用情報を確認し、経験豊富な不動産エージェントに相談してください。
Q. 複数の銀行に同時に審査を出してもいいですか?
問題ありません。金融機関によって審査基準は異なるため、2〜3社に仮審査を出しておくのがおすすめです。ただしあまりに多くの金融機関に一度に出すと、信用情報に複数の申込履歴が残り、審査に悪影響を与える可能性もあるため、3〜4社程度に絞りましょう。またネット銀行のAI審査だけでなく、有人店舗の金融機関にも1つは出しておくと安心です。













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