この記事を読むことでわかること
- 持ち家派と賃貸派の割合と変化
- 持ち家のメリットとデメリット
- 賃貸派が考えるデメリットを補う日本の制度
昨今、ライフスタイルの多様化により、昔のように「夢のマイホーム」といった概念は薄れつつあると言われています。
昭和の頃のように、大学を卒業して会社に入って、年功序列で給料が上がっていく。
そんな時代では、住宅すごろくと言って、賃貸から始まり、結婚をしてマンションを購入、そして最後は郊外に戸建てを買って「上がり」とされていました。
しかし現在は時代が変わり、終身雇用も崩壊、所得も上がらないばかりか税金や社会保険料が増大し、手取り収入はむしろ減っています。
そんな中で人々の持ち家に対する考え方も大きく変わって当然です。
そこでこの記事では、現代の持ち家を取り巻く状況や、持ち家のメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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家を買う時代が終わった!は本当か?
家を買う人が減ってきている。
そんな実感を持っている人も多いかもしれません。
また持ち家に対して否定的な発言をする著名人も増えてきました。
実際、人々の意識がどのように変わってきているのか。
2021年に実施された宅地建物取引業協会のアンケートがあるので、そちらを元に解説していきます。
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持ち家派が減り、賃貸派が増えていきている
これについては随分前から言われていることですが、実際のアンケート結果によると、
- 持ち家派:74.5%(前回調査より−6.4P)
- 賃貸派:25.5%(前回調査より+6.4P)
という結果でした。
持ち家派の理由トップ3は、
- 家賃を払い続けることが無駄に思えるから(50.2%)
- 落ち着きたいから(31.7%)
- 持ち家を資産として考えているから(28.0%)
一方で賃貸派のトップ3は、
- 税金が大変だから(37.1%)
- 住宅ローンに縛られたくないから(36.6%)
- 天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから(30.2%)
理由を見るとそれぞれのメリット・デメリットが反映されているなという感じがしますが、時代の流れとして、持ち家の方がまだまだ圧倒的に多いものの、賃貸派の方が増えてきているというのが現在の状況です。
家が高すぎて買えない時代になってきている
もう一つ、ここ最近の傾向から、都心部を中心に、家の相場が上がり、なかなか一般の家庭では手が届かなくなってきていることも考えられます。
このチャートは主要都市における中古マンションの相場の推移になります。
これを見ても、いかに家の値段が上がってきていることが分かると思います。
しかも家の相場は今のところ下がる要素はほとんど見つからず、家を買いたくても買うことを諦めた人もいるのではないでしょうか。
家を買うということのハードルが以前より上がっているのは、私の感覚としても間違いなく、さらに家はこれから余る時代なので、物件選びについての難しさも出てきています。
持ち家のメリット・デメリットを考えてみる
ここで改めて持ち家のメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
持ち家のメリット
持ち家のメリットは、老後の住宅支出を減らすことができること。
そして、持ち家は資産になるということです。
資産とは、あなたに何かがあったときに守ってくれるものであり、あなたの暮らしをより豊かにするためのものです。
もちろん全ての物件が資産になる時代ではないですが、持ち家を活用して暮らしを豊かにすることができます。
その方法論や考え方については以下の記事も併せて参照ください。
こちらの記事を読むと、住宅を活用して可処分所得を増やして暮らしを豊かにする方法がわかります。
持ち家のデメリット
持ち家のデメリットは容易に引越しができなくなることです。
家を買うと諸費用もかかりますし、住宅ローン減税である程度、戻ってくることを考慮しても、最低でも5年は住み続けないと損をすることが多くなると思われます。
また住宅ローンを支払続けなければいけないという心理的なプレッシャーもあります。
日本では持ち家の方が優遇される
日本は持ち家政策をとっている国ですので、賃貸と比べると法制度も含め、持ち家の方が優遇されている一面もあります。
ここからは実際にどのような政策・法律があるのかを解説していきます。
住宅ローン減税
住宅ローン減税で戻ってくるお金の原資は「税金」です。
賃貸の方も同じように払っている税金から家を買った人だけが戻ってくるというものです。
最近は毎年末の住宅ローン残債の1%から0.7%までに減ったものの、それでも諸費用分くらいは戻ってきます。
ただし中古住宅では住宅ローン減税が利用できない物件もありますので注意が必要です。
住宅ローン減税の詳しい解説はこちらの記事を参照ください。
続きを見るhttps://houseclouver.jp/juutakuroon-genzei-2022/
被災などによるローンの減免制度
まだまだ知らない人も多く、利用が進んでいないという欠点はあるものの、賃貸にはない法制度です。
内容としては住宅ローンを組んでいる住宅が自然災害などで被災した場合、一定の条件の元、住宅ローンが免除されるという制度です。
東日本大震災の時に、津波で家が流され住宅ローンだけが残っていた人が多く、そういった人たちの救済策として特別法として制定されました。
そして熊本地震の時に法制度化されました。
ローンが無くなるばかりでなく、信用情報にも傷がつかないので、生活再建に欠かせない制度です。
新型コロナによる収入減もその対象となっています。
賃貸派の意見として「天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから」というデメリットは全部とは言わないまでも、ある程度解消してくれる制度ではないでしょうか。
ちなみにこの制度は、住宅ローンだけでなく個人が契約者となっている事業用のローンや車のローンなどにも適用されますので、ぜひ知っておくと良いでしょう。
住宅ローンの支払条件の変更
法制度化されたものではありませんが、金融庁が全国の金融機関に対して、債務者(お金を借りている人)から返済に関する相談があれば、相談に乗るよう通知を出しています。
もともとリーマンショック時に特別法として制定された「金融円滑化法」と呼ばれる法律が根拠となっていたのですが、この特別法の期限が到来した後も、基本的にこの姿勢を継続する方針を各金融機関は表明しています。
この制度により、住宅ローンを借りていて、急な経済環境の悪化などで支払に支障が出ると考えられる場合、住宅ローンの支払条件の変更などに応じてくれます。
賃貸ではこのような制度はなく、急な経済環境の悪化時などでは、審査の問題や引越し費用がネックになることも多いですが、住宅ローンの支払条件を変更できるのは大きなメリットになるのではないかと思っています。
家を買うメリットはまだまだ大きい
このように、持ち家のデメリットに注目されることも増えてきてはいますが、国もそれなりの対応をしていて、正しい知識を持ってどちらがいいかは改めて判断したほうがいいのではないかと思います。
特に減免制度は、金融機関も積極的に案内をしていなかったことが大きな問題になりました。
今の世の中は正しい知識を持っているかどうかで大きく変わる時代です。
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ライフプランと正しい物件選択
家を買うか賃貸にするか、どちらかを選ぶのであればライフプランや生活スタイルによって変えていく方がいいのではないでしょうか。
特にお子様がいる場合は、そんなに頻繁に引っ越すことはできにくくなりますので、持ち家の方が向くと思います。
また資産形成においても持ち家にメリットがありますが、注意点としては「間違えた物件選びをしないこと」です。
今後は人口減少により、資産価値が著しく下がる物件や無価値となる物件が多く出てきますので、物件選びを間違えてしまうと賃貸の方が全然良かったという結果にもなりかねません。
将来の資産価値の見極めはご自身だけでなく、プロの知見もフルで活用するといいでしょう。
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持ち家は上手に活用すればあなたの暮らしを豊かにしてくれる最高のツールにもなれば、あなたの人生を振り回す悪手になることもあり得ます。
あなたにとって最適な暮らし方やライフスタイルについて今一度考えてみてはいかがでしょうか。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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