住宅ローンには変動金利と固定金利があります。
全期間固定金利で組もうと色々な銀行を回ってみると、意外と取り扱っている金融機関が少ないことに気が付くと思います。
どこの金融機関も変動金利は扱っているのに、全期間固定金利の取り扱いにはばらつきがあります。
ではなぜ全期間固定金利を取り扱っている金融機関が少ないのか、その理由をこの記事で解説します。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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住宅ローンのリスクはどちらが負っているか?
住宅ローンの金利には、貸し出しする側と借りる側双方にリスクがあります。
なぜなら金利は貸し出しする側の利益、借りる側の損失となり相反するものだからです。
これは金利の種類によっても変わります。
例えば変動金利の場合は、借りる側(消費者)のリスクが大きくなります。それはなぜかというと、変動金利は将来的に金利が高くなる可能性があるからです。
金利が高くなると当然借りている側の負担が大きくなり、結果として返済が苦しくなる可能性が高くなります。
逆に貸している側からすると、金利が上がればその分の利息をもらうことができるので、ノーリスクです。
一方で固定金利は貸し出しする側が負うリスクが大きくなります。
将来的に金利が高くなったとしても、金利は変わりません。そのため貸し出し側は市場の金利よりも低い収益しか得られないことになります。むしろ、逆ザヤといって貸している金利よりも市中金利が高くなれば銀行は赤字です。
逆に借りている側からすると、金利が上がってもその差額を支払う必要がないので、ノーリスクです。
全期間固定金利を扱っている銀行が少ない理由
これらのことから分かる通り、全期間固定は貸し出す側である金融機関のリスクが非常に高くなります。
金利が固定金利よりも上がってしまえば、貸しているだけ損失が拡がり経営が立ち行かなくなることもあるのです。
こういった理由から、全期間固定金利を扱っている銀行は少ないのです。
ちなみに、筆者が営業をしている名古屋市や周辺エリアでは、全期間固定金利を扱っている銀行は全部で4行しかありません。しかもそのうち2行はメガバンクです。
他の銀行で35年固定と謳っているのは、すべてフラット35です。(フラット35は全国の金融機関が代理店になっている仕組みです)
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フラット35は、普通の銀行と仕組みが違い、独特の審査方法になります。その中でも事前審査の「留保」という結果はフラット特有のもので、「留保」が出た人は不安になるのではないでしょうか。この記事では「留保」について詳しく説明しています。
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フラット35はなぜ全期間固定金利なのか?
フラット35は住宅金融支援機構が中心となり貸し出しをする住宅ローンですが、なぜフラット35は全期間固定金利なのでしょうか。
フラット35が全期間固定金利である理由は3つあります。
- 借りる人のリスクを押さえて、貸し倒れリスクを減らしている
- 物件に厳しい基準を設けているため
- 公的な住宅ローンだから
フラット35は全期間固定金利であるため、借りる側は金利上昇局面でも変わらない返済を続けることができます。これにより返済できずに貸し倒れとなるリスクを削減しているからです。
また、人に対する審査よりも物件審査に厳しい基準を設けており、貸し倒れの場合でも担保物件で埋め合わせできるようにしています。
さらにフラット35は住宅金融支援機構が実施する公的な住宅ローンであるため、民間金融機関では負えないようなリスクも負うことができる体制が整っています。
フラット35の全期間固定住宅ローンは、営利目的の民間金融機関の住宅ローンとは違い、異質といっても過言ではありません。
全期間固定金利を扱っている金融機関は?
全期間固定金利で住宅ローンを組みたくても、どの金融機関に行けばいいのかわかりませんよね。
実際に全期間固定金利の住宅ローンを取り扱っている金融機関はメガバンクや一部の地方銀行となっています。
相場としては1%~1.5%の間での取り扱いが多くなっており、フラット35の金利と大体に通った金利となっています。
金利とリスクの関係を理解して正しい判断を
全期間固定金利には、将来に渡って安定した返済ができるというメリットがあります。
ただ単純に金利の低さだけを考えて変動金利にしてしまうと、今後金利が上昇した際に返済負担が増え、苦しい生活になる可能性もあります。
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実際金利は過去水準からみてもかなり低く、今後上がる余地の方が確実に高いです。
金利を決める際には金利とリスクの関係をよく理解して、判断するようにしましょう。
住宅ローンの借入や資金計画を立てる際には、なるべく金融知識を兼ね備えたエージェントに相談することで、将来の安心できるライフプランニングを立てることができます。
一番大事な資金計画を間違いないものにして、暮らしの豊かさを手に入れましょう。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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