昨今、中古マンションを購入される方の多くは、購入後にリノベーションをして今以上に理想の住まいを形にすることをご希望されます。
既存の内装を活かしつつ変える方もいれば、元の状態からガラリと変える方までいて、さまざまなパターンのリノベーションがあります。
成功したら長く快適な住まいとなりますが、失敗すると簡単にやり直しができないため、リノベーションを行う際は入念な計画を立てなければなりません。
中古マンションを購入後にリノベーションを行うなら、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか?
この記事では中古マンションを購入してリノベーションをするときのメリット・デメリットと5つの注意点についてお伝えします。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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拡大する中古マンションを買ってリノベーション
以前の日本はマイホーム=新築と考える方が多く、中古マンションは敬遠されることがほとんどでした。
しかし近年、古いものを長く大切に使うことを良しとする価値観が広がり、中古マンションをマイホームとして検討する方が増えています。
また現在は、駅前や市街地など立地が良い場所に建てられる新築マンションが減り、その分既に好条件の場所に建つ中古マンションを求める方も増えました。
多少古くても、リノベーションを行えばまだ十分住める中古マンションは多く、無理して新築で探すより手を加えて既存物件を理想の住まいに変えられるなら、その方が効率的に夢のマイホームを実現しやすいでしょう。
事実、国土交通省住宅局の調査でも、中古マンションを購入した理由の第3位に「リフォームによって快適に住めると思ったから(32.9%)」が挙がっています。
※参照元:国土交通省住宅局 平成30年度 住宅市場動向調査 2.1 住み替え・建て替え・リフォームに関する事項 2.1.1 住み替えに関する意思決定 (4)新築か中古かの選択理由
これらの結果から、もはや今は中古マンション購入とリノベーションはセットで考えることだと言っても過言ではありません。
中古マンションを買ってリノベーションをするメリット
中古マンションを購入してリノベーションをするメリットは、以下の2つが挙げられます。
新築マンションよりも安い
新築マンションは、物件本来の価値に照らし合わせた価格に加え、広告宣伝費や販売元である不動産事業者の利益などが上乗せされた総額が物件価格となり、結果として高くついてしまいます。
一方で、中古マンションは物件本来の価値に見合う価格で売り出されているため、新築マンションより安く購入できます。
立地や築年数などの条件次第では、中古マンション購入価格とリノベーションにかかる費用を足しても、新築マンションを購入する際にかかる費用より安く抑えられます。
物件のきれいさを求めて新築マンションを探しているけれど予算オーバーだという方は、中古マンションを購入してリノベーションする方法もぜひご検討ください。
注文住宅のようなオーダーメイドができる
新築マンションは設備や内装のきれいさが強みの一つですが、一戸でも多く売ることを目的としているため、デザインはいずれも万人受けするようなシンプルなものが採用されています。
しかしリノベーションであれば、注文住宅さながらに施工業者と密に相談してどのような内装に仕上げるか、設備はどんなものを使いたいかなどを決められます。
ありきたりなデザインの住まいでは満足しない、せっかくのマイホームだから家族のこだわりを反映した住まいにしたいとお考えであれば、中古マンションを購入してリノベーションをする方法がおすすめです。
中古マンションを買ってリノベーションするデメリット
先ほどは中古マンションを購入してリノベーションをするメリットを挙げましたが、もちろんデメリットもあります。
住宅ローンと賃料の二重発生期間が長くなる
中古マンションの引き渡しを受けたときから住宅ローン支払いは始まります。
しかし、リノベーション工事を行うときは、中古マンションの引き渡しを受けてからになるので、一般的に工事期間も長くなるリノベーションでは、住宅ローンと家賃の二重発生期間が通常の取引よりも長くなる傾向があります。
余裕をもった資金計画を立てておくことがポイントです。
こだわり始めるとキリがない
リノベーションは注文住宅のようにこだわれる点がメリットではありますが、その反面でこだわり始めるとキリがない点がデメリットです。
ずっと欲しかったマイホームを形にするのですから、いろいろこだわりたいと思う気持ちは分かります。
ですがあまりにもこだわりが多すぎると、その分着工のタイミングがずれて工事の完了時期や引っ越し時期も後ろ倒しになってしまいます。
施工内容の打ち合わせは1日や2日など短期間で済むことはほとんどなく、「思ったより時間がかかった」と語るリノベーション経験者は少なくありません。
またこだわりが多いほど、リノベーション費用もどんどん増えてしまい、結局予算オーバーになる可能性も否めません。
そのため中古マンションのリノベーションを行う際は、こだわりたいポイントと妥協しても良いポイントを明確にすることと、予算と照らし合わせて必要なものとそうでないものを選別するようにしましょう。
かけた工事費以上に資産価値には反映されない
リノベーションという言葉は、改修することで元の状態以上に価値を高める意味があります。
ただしこの「価値」は主観と客観の2通りの考え方があり、主観的に見た価値と客観的に見た価値が必ずしも一致するとは限りません。
主観的な価値とは、ご自分が思い描く理想の間取りや設備・内装などを形にすることで、それらを実現できた時に「ご自分」が新築とほぼ変わらないくらい価値のある家だと判断します。
一方で客観的な価値とは、相場によるもので、立地や築年数など外的要因も含めて判断します。
いくら中身がリノベーションできれいになっていても、客観的にみれば外側が古いままであれば新築同然の価値はなく、販売価格もそれ相応の価格しか付きません。
この現象はリノベーションプレミアムと呼ばれ、「リノベーションにこれだけ工事費をかけたのに、いざ売ったら思ったより安値でしか売れなかった」とガッカリする方もいます。
そのため将来リノベーション済の中古マンションを売る予定がある方は、リノベーション工事にかけた費用と相当の価値が物件の資産価値として反映されない可能性があることを覚えておきましょう。
中古マンションを買ってリノベーションする時の5つの注意点
続いては、中古マンションを購入してリノベーションを行いたいと計画する方にぜひ知っておいていただきたい、下記5つの注意点をご紹介します。
リノベーション業者は先に見つけておく
皆さんは購入した中古マンションをリノベーションするなら、「まずは物件を探して購入してから工事を請け負ってくれる施工業者を見つける」と考えていませんか?
実はこの考え方は誤りで、理由は以下の2点です。
(1)購入した中古マンションでは希望の施工ができない(もしくはなかなか進まない)可能性がある
リノベーションを請け負う施工業者には、ハウスメーカー系や設計事務所などさまざまな会社がありますが、自社の強みとあまり得意でないことはそれぞれ異なります。
そのため、もし物件を購入後に施工業者を探して依頼しても希望通りの施工ができない、あるいは請け負ってもらえてもなかなかイメージ通りの内容にならず、リノベーション計画が難航する可能性が否めません。
(2)リフォーム一体型の住宅ローンを借り入れる場合は工事費用の見積もりも審査で必要
リフォーム一体型の住宅ローンを借り入れる場合、銀行が行う事前審査ではリノベーション工事の見積もりも提出しなければなりません。
ですがリノベーションの工事費は、プランニング内容によってどのくらいかかるのか概算が変わるため、実際に見積もりを出してもらうには時間を要します。
以上の点から、気に入った物件で希望の施工をしてもらえて、住宅ローンの事前審査にも間に合うように見積もりを出してもらえるリノベーション施工業者を先に見つけることが重要なのです。
ワンストップサービスでなく、別々で依頼する
ワンストップサービスとは、物件探しからリノベーション工事までを一貫して請け負う事業者が展開するサービスのことです。
ワンストップサービスのメリットは、物件選びの段階からリノベーションにかかる概算まで考慮して進められるため、予算内で希望の工事ができる中古マンションを探しやすい点です。
しかしワンストップサービスは、リノベーションにかかる費用を多くかけやすい低価格の物件を提案されるケースがある点がデメリットです。
売買物件を仲介する不動産事業者が成功報酬として受け取る仲介手数料は、法律で上限が決められているため、それ以上の利益を得ることはできません。
ですが、リノベーション工事費は仲介手数料のように上限がないため、工事費をかけるほど事業者が得る利益も多くなります。
物件探しを依頼する不動産事業者とリノベーションの施工業者をバラバラに探す手間を省きたい方であれば、ワンストップサービスは選択肢としてありですが、信頼できる事業者だと判断できない限りは再検討した方が良いでしょう。
リノベーション費用を確保するために物件の質を落とさない
リノベーションを重視するあまり、当初予定していた物件よりランクを下げた中古マンションを選んで浮いた費用をリノベーション用に充てようとする方がいらっしゃいますが、これはNGです。
なぜなら、ランクを下げた物件は資産価値も低く、生活しにくい点が出てくる可能性があるためです。
たとえば、本来は駅から徒歩10分以内の物件が希望だったのに徒歩15分の物件を選んだことで、毎日の通勤・通学に時間がかかってストレスを感じるようになります。
立地は中古マンションの資産価値を決める重要な要素の一つなので、一時的な思いつきであまり立地が良くない物件を選んでリノベーションをしても、本当に快適な暮らしが叶うとは言い切れません。
専用部だけでなく、マンションの管理状態をチェック
中古マンションの資産価値を左右する重要な要素の中には、マンションの管理状態も含まれます。
マンション所有者から徴収される修繕積立金は、いずれ行われる大規模修繕に備えて皆が平等に負担する費用ですが、現状の徴収金額だと十分な修繕が行えないと判断されると修繕積立金の値上げや一時金の徴収が実施される可能性があります。
また、いざ修繕計画を立てようとしても話し合いがまとまらず、必要な修繕が先延ばしになってしまうケースも少なくありません。
修繕積立金の不足や修繕計画がきちんと実行されていない中古マンションは、それだけ資産価値を下げてしまうため、マンション全体の管理状態を確認することが大切なのです。
なお、中古マンションの管理状態がどうなっているのかを個人で調査するのはなかなか難しいので、物件を紹介してくれる不動産エージェントに相談したうえで実施することをおすすめします。
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専用部の給排水管も交換しておく
リノベーションというと目に見える範囲の工事を想定する方が多いと思いますが、実施の際はぜひ専用部の給排水管も交換しておくことをおすすめします。
築年数の経っている中古マンションでは、そもそも使用している配管の劣化のスピードも意外と速く、ものによっては20年ほどで寿命を迎えるものもあります。
給排水管の工事自体は、大した工事ではないものの、住み始めたあとだと、場合によっては解体作業も必要になるため、手間と金額がかかることがあります。
ですから、リノベーションをする時には、ぜひ給排水管の交換をするようにしましょう。
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任せるところとそうでないところをしっかり把握しよう
中古マンションのリノベーションはワクワクしますが、あれもこれもとこだわりすぎてしまうと失敗するリスクも伴います。
後悔しないように理想の住まいを形にするには、信頼できる不動産エージェントに相談することが一番の近道です。
何を優先するのか、妥協できるところは何かしっかり見極め、頼れる不動産エージェントと一緒に納得のいく中古マンション探しとリノベーションを実現させましょう。
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