この記事で分かること
- 中古マンションの契約から引き渡しまでの流れ
- 売買契約書と重要事項説明書で確認すべきこと
- 契約不適合責任・住宅ローン特約などのトラブル回避ポイント
- 契約時に必要な書類とお金
多くの人において、中古マンションの購入は一生に一度の大きな買い物です。大きな金額のやり取りになりますから、トラブルは回避したいですよね。
そこで今回は、中古マンションの購入にあたり、「契約」に焦点を絞って解説します。この記事を読むことによって、中古マンションの契約書で確認するべき点や、トラブルを回避するための注意点などについての理解が深まるでしょう。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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契約行為は契約書の内容に基づく
民法においては、口頭であっても当事者間の合意があれば契約が成立するとされています。しかし、不動産売買という大きな金額の動く契約では「契約書」という書面を取り交わすことがほとんどです。
「不動産売買契約」という契約行為は、契約書の内容に基づいて行われます。したがって、書面化された「不動産売買契約書」の内容は非常に重要なものとなるのです。
中古マンションの契約から引き渡しまでの流れ
中古マンションを買うとき、契約は一日で終わるものではありません。
大きく分けて、買付(購入の申し込み)から住宅ローンの事前審査、重要事項説明、売買契約、住宅ローンの本審査、決済・引き渡し、という順で進みます。
はじめに、気に入った物件が見つかったら、買付証明書を出して購入の意思を伝えます。
次に住宅ローンの事前審査を受け、希望額を借りられる見込みがあるかを確認します。
売買契約の前には、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。
その内容に納得できたら売買契約を結び、手付金を支払います。
その後、住宅ローンの本審査を経て、決済と物件の引き渡しを行います。
契約から引き渡しまでは、一般的に1か月から2か月ほどかかることが多いです。
中古マンションの契約でトラブルになりやすいこと
不動産売買契約書に記されている条文は堅苦しい言い回しが多く、読みにくいと思われる方がいるかもしれません。全文確認することが望ましいのですが、ここでは中古マンションの契約でトラブルになりやすい項目や確認すべき項目についてご紹介します。
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契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の範囲と期限
中古マンションの契約を行う上で、売主が把握している瑕疵があればあらかじめ買主に伝えなければなりません。「瑕疵」とは、見えない部分の欠陥などのことを指します。2020年4月の民法改正により、この売主の責任は「契約不適合責任」へと変わりました。契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約の内容に適合しない(種類や品質が契約と異なる)場合に、売主が負う責任のことです。以前の「隠れた瑕疵」という要件はなくなり、隠れているかどうかを問わず対象になります。
不動産売買契約書の内容を確認する際には、契約不適合責任の範囲と期限を必ず確認しましょう。ちなみに、宅建業者が売主の場合は契約不適合責任を2年以上負うことが決められています。
売主が個人の場合は期間の制限がないため、「売主は契約不適合責任を負わない」とする特約が有効となります。契約不適合責任の条項だけではなく特約の内容もきちんと確認することが大切です。
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住宅ローン特約とその期限
中古マンションなど不動産を購入する場合、金融機関などからローンを組んで購入する人が多いのではないでしょうか。一般的に、中古マンションを購入する際、不動産売買契約を締結してから金融機関の本審査に入ります。
万が一、金融機関の審査に落ちてしまうと、融資が受けられないのに不動産売買契約を結んでしまっているという状況になってしまうのです。このようなトラブルを避けるために確認しておきたいのが「住宅ローン特約」についてです。契約書には「融資利用の特約」という条項に書かれています。
住宅ローン特約とは、ローンの審査が通らなかった場合は契約を白紙にすることが出来る、という内容の特約です。この特約には期限が設けられていることがほとんどですから、期限までに融資の結果が得られるよう手続きを進めなければなりません。契約書を確認するときは、住宅ローン特約有無や期限について把握しておきましょう。
ちなみに期限を過ぎてしまった場合は、手付解約といって契約時に支払った手付金は戻ってきません。また手付解約の期限が定められている場合は、その期限を過ぎていれば、違約解約といって物件価格の10%、もしくは20%が請求されます。
さらに住宅ローン特約による解除は白紙撤回となるので、仲介手数料もかかりませんが、その他の解除では仲介手数料も請求されます。ですから、必ず住宅ローン特約の期間は意識して、どうしても間に合わない場合は、期限の延長の特約を結ぶようにしてください。
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残置物とその処遇
中古マンションの場合、前入居者が使用していた家具・家電などがそのまま残っているケースがあります。残置物は売主が処分することが基本ですが、大きな家具・家電などは処分費用がかかるため、残置物ごと買主に引き取ってほしいという売主もいるのです。
物件内に残置物がある場合は、残置物の処分費用や処分後のハウスクリーニング費用など残置物の処遇について契約書にどのように記載されているのか確認しておきましょう。
中古マンションの契約でトラブルを回避するための注意点は?
中古マンションの契約をするにあたって、契約書だけでなく重要事項説明書や告知書などの書類もきちんと確認するようにしましょう。特に、物件内にどのような設備が付帯されているのか、設備の不具合の有無などがわかる付帯設備表は、今後のトラブルを避けるためにも必ずチェックしてください。
また、物件状況確認書には物件自体の現況が記されています。雨漏りの有無や給排水設備の故障、周辺環境についてなど、内見するだけではわからない物件の情報が記されていますので、内容をきちんと確認した上で契約することをおすすめします。もし、記載されている内容で疑問に思うことがあれば、遠慮なく質問してください。
中古マンションの契約でトラブルを回避するためには、売主・買主双方が納得して契約できるように確認を怠らないことが大切です。
重要事項説明書で確認すべき主なポイント
売買契約の前に受ける重要事項説明は、宅地建物取引士が重要事項説明書という書面を使って行う、法律で定められた大切な手続きです。(出典:宅地建物取引業法第35条)
専門用語が多く難しく感じますが、次のような点は特にしっかり確認しておきましょう。
一つ目は、権利関係です。
登記された所有者や、抵当権などが物件に付いたままになっていないかを確認します。
二つ目は、管理費・修繕積立金と、その滞納の有無です。
前の所有者に滞納があると、買主が引き継いで負担することになる場合があります。
三つ目は、管理規約や使用細則です。
ペットの飼育やリフォーム、楽器の演奏などのルールは、マンションごとに異なります。
四つ目は、契約を解除できる条件です。
住宅ローンが通らなかったときの住宅ローン特約や、手付解除の期限などを確認しておきます。
五つ目は、専有面積と建物の構造です。
登記簿上の面積(内法)とパンフレットの面積(壁芯)は基準が違うことがあり、住宅ローン控除の床面積要件にも関わります。
六つ目は、耐震性です。
1981年6月より前の古い耐震基準(旧耐震)の物件かどうかは、住宅ローンや税制にも影響するため確認しておきましょう。
七つ目は、駐車場や駐輪場、共用部分の使い方です。
駐車場が抽選制で今は空きがない、といったことも実際にありますので、契約前に確認しておくと安心です。
売買契約書で必ず確認したい項目
重要事項説明書とあわせて、売買契約書そのものの内容もしっかり確認しておきましょう。
まず、手付金の額と、手付解除ができる期限です。
手付解除の期限を過ぎると、解約には違約金が必要になることがあります。
次に、契約を解除したときの違約金の額や、引き渡し前に物件が災害などで壊れた場合の危険負担の取り決めです。
また、固定資産税や管理費・修繕積立金を、引き渡し日を基準に日割りで精算する条件も確認します。
さらに、引き渡しの時期と、その条件(残置物の撤去や登記の準備など)も大切です。
ローンが通らなかったときに契約を白紙に戻せる住宅ローン特約の期限も、あらためて確認しておきましょう。
付帯設備表と物件状況報告書もあわせて確認
中古マンションの契約では、売買契約書のほかに「付帯設備表」と「物件状況報告書」という書類が用意されます。
付帯設備表は、エアコンや給湯器、照明などの設備が残されるのか、それぞれに不具合がないかを一覧にした書面です。
物件状況報告書は、雨漏りやシロアリの被害、給排水管の不具合、過去の事故など、物件の状態を売主が申告する書面です。
ここに書かれた内容と実際の状態が違っていた場合、契約不適合責任を問える根拠にもなります。
どの設備が残され、どれが撤去されるのか(残置物の扱い)とあわせて、引き渡し前に必ず確認しておきましょう。
契約時に必要な書類とお金
売買契約の当日には、いくつかの書類とお金を用意する必要があります。
書類としては、本人確認書類、実印と印鑑証明書、住民票などが一般的です。
お金としては、手付金(物件価格の5〜10%が目安)、売買契約書に貼る印紙代、仲介手数料の半金などがかかります。
印紙代は契約金額に応じて決まり、軽減措置により、契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合は1万円です。(出典:国税庁 No.7108)
必要な書類やお金は物件や不動産会社によって異なるため、契約前に一覧をもらって準備しておくと安心です。
中古マンションの契約前チェックリスト
- 売買契約書と重要事項説明書を事前にもらって読んだ
- 契約不適合責任の範囲と期間を確認した
- 住宅ローン特約の期限が本審査に間に合うか確認した
- 管理費・修繕積立金の滞納がないか確認した
- 手付金の額と、手付解除できる期限を確認した
- 残置物や付帯設備の扱いを確認した
- 疑問点を担当者に質問し、すべて解消してから署名した
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よくある質問
中古マンションの契約書で特に注意すべきことは何ですか?
契約不適合責任の範囲と期間、住宅ローン特約の期限、手付金と手付解除の条件、管理費・修繕積立金の滞納の有無、残置物の扱いなどです。
契約書と重要事項説明書は事前にもらい、疑問点を残さず確認することが大切です。
契約不適合責任とは何ですか?
引き渡された物件が契約の内容に適合しない場合に、売主が負う責任です。
2020年4月の民法改正で瑕疵担保責任から変わりました。
買主は補修などの追完請求、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求めることができます。(出典:法務省・民法改正)
中古マンションの契約から引き渡しまではどれくらいかかりますか?
一般的には1か月から2か月ほどが目安です。
住宅ローンの本審査や、売主・買主それぞれの引っ越しや決済の準備によって前後します。
契約のときに必要な書類やお金は何ですか?
一般的に、本人確認書類、実印と印鑑証明書、手付金、売買契約書に貼る印紙代、仲介手数料の半金などが必要です。
必要なものは事前に不動産会社へ確認しておくと安心です。
住宅ローンが通らなかったら契約はどうなりますか?
売買契約に住宅ローン特約が付いていれば、期限内に融資が承認されなかった場合は契約を白紙解除でき、手付金も返還されます。
特約の期限が本審査の結果に間に合うかを必ず確認してください。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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