中古戸建を探すときに、あなたはどんな基準で物件を選びますか?
立地や間取りなど、さまざまな選択基準がありますが、その中の一つに築年数があります。
築年数は選択基準で大きなウェイトを占める要因ですが、築何年くらいまでを狙うべきなのか。
そんな質問を、実際の営業現場でも受けることがあります。
そこでこの記事では、中古戸建を検討するときに知っておくべき築年数の基準や考え方についてお伝えします。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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中古戸建ては築年数ではなく、建築時期で見極める
中古戸建てを探す時のキーワードとして「築年数」を考える方が多いと思います。
築30年を超えると住宅としての資産価値はあるのだろうか?
築年数の浅い中古戸建は価格が高く購入できるだろうか?
など物件選びで悩むのが「築年数」です。
しかし中古戸建てを選ぶさいには築年数よりも大事なポイントがあります。
それは「建築時期」です。
つまり住宅が新築された時期が重要になってきます。
中古戸建ての狙い目は2000年6月以降の物件
中古戸建てを選ぶポイントとして望ましいのは、2000年6月以降の物件です。
建築物を建てるには行政機関に「建築確認申請」を行い、建築基準法などの関係法令に適合していることを「確認」してもらう必要があります。
この「建築確認年月日」が、2000年6月1日以降の日付の物件が望ましいのです。
その理由を以下に詳しく説明していきます。
おすすめの理由①:耐震基準
「耐震基準」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
「新耐震基準」とは1981年6月1日から施行された改正建築基準法の耐震基準を言います。
過去に大規模な地震災害があった時には「耐震基準」が話題になることがありますが、耐震基準は地震により大きな災害があると改正されることがあります。
一般的には1981年6月以降の新耐震基準、それより以前のものを旧耐震基準と呼んで区別しています。
しかし木造建築物については、現在の耐震基準は2000年6月1日に改正されています。
この時の改正は1995年1月に発生した「阪神淡路大震災」の被害状況がきっかけとなっています。
阪神淡路大震災では1981年6月以降の「新耐震基準」で建てられた住宅でも被害があったため、より安全性の高い改正がなされました。
この新しい基準を建築業界では「2000年基準」と呼ぶケースもあります。
つまり2000年6月1日以降に建築確認を受けた住宅は、より安全性が高く、中古戸建てを購入するなら「2000年基準」の物件が望ましいというわけです。
おすすめの理由②:住宅の性能
住宅の性能は年々良くなっており、新しい住宅ほど高い性能になっていますが、2000年に住宅性能に関する新しい制度がスタートしています。
「住宅性能表示制度」と言いますが、地震や火災に対する安全性、住宅の寿命を延ばすための耐久性、省エネルギーやシック対策などに関する性能などを評価し、基準を満たした住宅の性能を表示する制度です。
すべての住宅がこの制度を利用しているわけではありませんが、中古戸建て市場にはこの制度が適用された住宅もあり2000年以降の住宅であれば、優れた性能を持つ住宅を購入できる可能性が高いと言えるのです。
また「住宅性能表示制度」が始まったことにより、住宅メーカーには性能の高い住宅を提供しようとする意識が高くなり、2000年以降は全体として住宅性能はよくなっています。
おすすめの理由③:価格がある程度落ちている
2000年築の住宅はすでに築20年を超えています。
性能が高いとは言え中古戸建てとしての販売価格は、築年数がある程度影響するものです。
そのため新築時の価格から比較するとかなり低下するのが一般的であり、購入しやすい価格帯に落ち着いている物件が多いと言えます。
性能は2000年以前の住宅と比較すると高くなりますが、価格は築年数に相応したものになるため、中古戸建てを探すなら2000年以降の住宅がおすすめと言えます。
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中古戸建を探す時の注意ポイント
中古戸建てを探す時には「建築時期」が重要と説明しましたが、その他のポイントについても触れていきたいと思います。
ここでは次の6つのポイントについて説明します。
- 災害リスク
- 人口の予測
- 立地適正化計画
- 駅からの距離
- 建物の状態(インスペクション)
- 増改築の有無
災害リスク
日本は災害の多い国です。
地震、台風、大雨などにより、地盤沈下や土砂崩れ、建物の倒壊や損壊、洪水や津波など、災害と無縁な地域は国内に1つもないと言っていいでしょう。
国や自治体はこのような自然災害への対策として、ハザードマップの作成と公開を行い常に更新をつづけています。
中古戸建てを探すさいには、検討したいと思える物件がみつかった場合には、必ず「ハザードマップ」を確認しその地域の災害リスクを把握することが重要です。
自治体の将来的な人口予測
日本はすでに人口減少社会となっており、世帯数の減少も今後予想されています。
人口減少は居住するエリアの衰退を招く大きな原因であり、将来的には消滅する可能性のある自治体もあると言われます。
人口減少は地方自治体にとっては極めて重要な課題であり、必ずと言ってよいほど「人口将来予測」を実施しています。
中古戸建てを探している時、候補と考えている物件のエリアが将来どのような姿になるのか、事前に把握しておくことは重要です。
住宅を購入し、将来は子や孫に財産として残していくのか、将来計画に基づきタイミングが到来したら売却するのか、持家の「出口戦略」といったことも考えておく必要があるかもしれません。
立地適正化計画
上記の「人口将来予測」にも関連することですが、地方自治体は都市計画の中で「立地適性化計画」というものを定めています。
簡単に言いますと、人口減少に備えるために人口を集中させ街づくりを継続するエリアと抑制するエリアを設け、都市そのものをコンパクトにまとめる「コンパクトシティ」という考え方による計画です。
一例をあげると「居住誘導区域」や「都市機能誘導区域」など、街づくりを継続させるエリアが指定され、これらの区域外では建築や開発といった行為に対し届出が必要になるなど、ある程度の抑制が行われる可能性があります。
検討している中古戸建てが「立地適性化計画」の誘導区域に設定されているかどうかは、将来的な資産価値の評価に関係しますので必ずチェックしておくことが大切です。
駅からの距離
不動産の資産価値は立地条件が大きく影響します。
その中でも最寄り駅からの距離は生活の利便性に関しても重要なポイントです。
よく「徒歩圏」と表現されることもありますが、おおむね徒歩で15分以内の距離を指すと言います。
徒歩15分を実際の距離にすると1.2kmと考えておきましょう。
不動産の広告で徒歩の所要時間を計算する場合は1分間に80mで計算しますので、上記の1.2kmになるのですが、個人差により徒歩圏の感覚は異なります。
あるアンケート調査によると徒歩圏とは10分以内と答える割合が多いと言われます。
坂道が多い場合などは同じ距離でも時間がかかります。
実際に歩いてみるなど体感で判断することも重要でしょう。
建物の状態(インスペクション)
中古戸建ては経年劣化が必ずあります。
劣化の状態により生活に支障のある場合もあれば、まったく問題の無い場合もあります。
仮に問題のある劣化があったとしても、売買時点で修繕などを行うことは少なく、購入した方が修繕やリフォームをするケースが多いです。
また劣化の中には雨漏りや構造上の不具合など、建物の安全性に係わるものもあります。
建築の専門家でなければ判断できないものもあり、検討時点で判断に困ることもあるでしょう。
中古戸建ての売買は宅地建物取引業法の免許を受けた不動産業者が仲介しますが、仲介業務の一環として、建物の状態を詳しく点検・診断する「インスペクション」についてお客様に説明するような仕組みがあります。
建物の状況によっては「インスペクション」を活用する方法もあり、仲介する不動産業者や不動産エージェントに相談することをおすすめします。
増改築の有無
新築した時点からある程度の期間が経過すると、さまざまな理由で増改築をするケースがあります。
購入をしている物件が増改築を行った物件かどうかを確認することは大切です。
新築時点では「建築確認制度」に基づき確認や検査が行われ、建築関係法令に適合した物件であっても、増改築により適合しない状態になっている可能性もあります。
また増改築には「建築確認」が必要なものと不要なものがあり、その区別が判然としなければ法律上や使用上において、問題の無い物件かどうかの判断ができないことが多いのです。
物件の検討時点では、まず増改築があったのかどうか、あった場合にはその内容について確認し、仲介する不動産業者の担当者や専門家に相談することが大切でしょう。
中古戸建ては取り扱い難易度が高い
中古戸建ては中古マンションと比べ、物件の評価や選択に関しては難易度の高いものになります。
前章の『中古戸建を探す時の注意ポイント』で説明したように、中古戸建て特有のポイントもあり、物件を探すにあたっては豊富な知見が必要です。
ここではなぜ中古戸建の取扱いには豊富な知見が必要なのか、その理由についてお伝えします。
理由①:建物の個別性が非常につよい
中古戸建ては非常に「個別性が強い」ものです。
注文住宅であれば新築時の建て主の考え方が大きく反映された住宅であり、ひとつとして同じ住宅はありません。
分譲住宅のように同じような住宅が並んでいる場合であっても、ある程度の期間生活の場として使用されているので、住まい方やメンテナンスの頻度や方法によって状態は変わってきます。
また住宅が建つ敷地についても、まったく同じ条件の敷地はないため、いくつかの物件を比較検討しながら優れたものを選びといったことが難しいものです。
希望条件と照合しながら購入の判断を1件ずつ行っていきますが、その作業を優れたアドバイザーなしに進めることは非常に困難だと言えるでしょう。
理由②:違法建築が多い
住宅を建てるには「建築確認制度」に基づくことが必要ですと説明しましたが、この制度にもとづき適正に建てられた物件は問題ありませんが、不適正な方法で建てられた住宅が実際に存在します。
「違法建築」と言われるものですが、建築確認を受けたあとに申請した計画と違う内容で建てられてしまっている物件や、新築後に違法な増改築を行った住宅など、外見からは判断できませんが「違法」な状態になっている物件があります。
違法か適法かを見抜くには建築確認関係の書類や登記記録と、現在の住宅の状況をつぶさに点検することにより判断できます。
しかし購入を検討されている方ご本人には、とてもできることではありません。
専門的知識や経験が必要とされる業務と言えるでしょう。
理由③:建築の知識が必要になる
中古戸建てを探し、検討し、購入決断に至るまでのプロセスでは、随所に建築の知識が必要とされます。
- 劣化の状態から外見上は見えない構造体について、将来起こり得る不具合の予見
- 購入後にできるだけ早期に行う必要のある修繕箇所の把握
- 建築関係法令上において将来の増築や売却に影響を及ぼす瑕疵の確認
上記のようなかなり専門的な知見や、耐震基準の適合性と現状における適法性など、当然理解しておくべき知識が無ければ、検討物件を正しく評価し比較することは難しくなります。
専門的知見があれば、このような適正な評価の基に売買価格の妥当性も判断でき、購入を決断する時には迷いなく納得できる答えが導きだせるものです。
中古戸建てを探すときは、不動産業者の担当者選びが重要
中古戸建て住宅はその「個別性」と難易度の高さゆえ、仲介する不動産業者とくに担当者の能力により、安心して納得のいく「マイホーム購入」ができるかどうかが決まります。
つまり納得のいく中古戸建てを探すには、信頼できる不動産業者と担当者(不動産エージェント)を見つけることが大切です。
そのためには不動産業者に物件探しを依頼する時、不動産業者の担当者と実際に会って話をし、その人間性や能力を見極めなければなりません。
ではどのような方法で能力を見極めるのか、1つ方法をお伝えします。
担当者に『おすすめできる住宅の条件はどのようなものなのか? 』を訪ねてみることです。
担当者から返ってくる答えにより、担当者の知見がどの程度のものなのか判断できるでしょう。
最後にくり返しになりますが、中古戸建て探しは不動産業者の担当者(不動産エージェント)選びが重要です。
不動産エージェントとのマッチングプラットフォーム「ハウスクローバー」
houseclouver.net
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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