中古マンションの購入するうえで、少しでも安く購入したいというのが一般的な心理だと思います。しかし無理な交渉をしてしまって、気に入った物件の交渉が決裂したりすることは避けたいところでしょう。
ここでは中古マンションの購入で起こる交渉決裂や、物件の“横取り”を避けるためポンイトをまとめています。特に人気が集中する中古マンションの購入を計画している方はぜひ参考にご覧ください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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中古マンションには目安となる相場がある
不動産の売買を少しでも経験していると、不動産価格は原則的に“割安物件”が存在しないことが分かります。
もちろん不動産にも、割安な価格がついている物件がないわけではありません。ただその多くは、多額のリフォーム費用が必要になったり、事故物件であったりするなど、何かしら安いなりの理由があることがほとんどです。
そのため不動産価格は、あり得ないような「格安」な価格設定は基本的に存在せず、注意深く見ていけば、それぞれ価格に見合った値段設定がされています。これを別の言葉で置き換えると「相場」と言いますが、ここで話題にしている中古マンションにも必ず目安となる相場があります。
なぜ相場があるのかというと、不動産は株などとは違って、特定の取引所のようなものがありません。売りたい人と買いたい人とが個別で取引をするようなものです。ちなみに、これを「相対取引(あいたいとりひき)」といいます。そして「相対取引」を適正に成立させるためには、目安にできる相場というものが必要です。
特に中古マンションのように類似事例が多い物件は、過去のデータも多く目安になる相場というものがある程度はっきりしています。値段交渉をするときは、この相場がひとつの目安になるので、相場をある程度把握しておくことも重要になってきます。
そもそも値段交渉ができない物件も
中古マンションを買う場合、買い手が考えることは値段交渉のことです。ただ、中古マンションの中にはそもそも値段交渉ができない(しにくい)物件もあります。その代表的なモノを2つばかりあげておきます。
値段交渉ができない(しにくい)中古マンションとは以下のモノになります。
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1. 売り出して間もない物件
中古マンションに限りませんが、売り出したばかりの物件は、なかなか値引きに応じてもらえません。
そのため、交渉はかけても良いですが、深追いすることはおすすめしません。どうしても欲しいと思ったなら“言い値”で押さえてしまうか、専任媒介契約の期限が終わるのを待ちましょう。
2.住宅ローンの残債がある物件
これは外部からでは分かりませんが、住宅ローンの残債を一括返済しようとしている案件は値引き交渉しても断られることが多いです。これは住宅ローンの残債が多く残っていて、値引きをしてしまうと住宅ローンの残債額を下回ってしまうケースで多く見られます。
どちらのケースも事前に不動産エージェントに確認しておいてもらうと交渉の時に失敗せずに済みます。
中古マンション購入時の値引きについては、関連記事「中古マンション購入時の値引きは最大でどれくらい?」も合わせてご参照ください。
中古マンションの交渉が決裂しないための心得
ここでは中古マンションの交渉が決裂しないための心得を、4つの項目に分けて解説しています。取引を始める前に確認しておきましょう。
とりあえず交渉は厳禁
中古マンションの交渉が決裂しないためのマナーとも言えるのが“とりあえず交渉”は控えるということです。この場合の“とりあえず交渉”とは、軽はずみな指値での買付などです。
指値を出すということは、売主側がこの条件を飲むとなったとき、買主も契約を前提に話を前向きに進めなければいけません。
確かに買付には法的拘束力がありません。しかし買付は書面により証明書を提出していますので一定の道徳的責任はあります。そのため、正当な理由がなく、商談を取り下げるようなことは慎むべきです。
また指値での買付を出しておきながら、一方的な理由でキャンセルした場合は、このあと二度と相手にしない仲介担当者もいます。少し厳しいようですが「価格が下がってから考え直す」ということは、業界ではタブーとお考えください。
相手の気持ち・立場を理解する
“とりあえず交渉”とも繋がることですが、交渉が決裂しないための心得として意識していただきたいのは、相手の気持ちや立場を理解するということです。
逆に不動産取引に失敗しやすいのは、相手の気持ちや立場を理解しない人で、不動産の買い手側に時々紛れているのがこのタイプです。
“とりあえず交渉”を例にとれば分かりますが、これをやってしまう人は、そもそも売主や仲介業者の気持ちや立場を理解できません。そのため中古マンションの買付申込を軽い気持ちでキャンセルしますし、指値したことも忘れてしまうのです。
しかし指値をしてキャンセルを食らった売主は、別の買付を断ってあなたの指値を受け入れたかもしれないのです。また仲介担当者も価格交渉に力を尽くしたでしょう。そうした人の尽力があって、不動産売買や取引は成立しています。
エージェントや営業マンの中には、人の気持ち・立場を理解できない人かを敏感に察知し、はじめから非効率な相手とみきわめ、そうした人からの相談には真剣に乗らないようにします。このことから、相手の気持ちや立場を軽視すると、交渉をうまく運ぶためのチャンスをどれだけ無駄にしているかが分かるでしょう。
値引きには根拠があった方がいい
買主であればたとえ少額でも、売主の“言い値”より値引きを引き出したいと考えるのが普通です。そのため多くの値引き交渉は、根拠がないものが多くなります。ただ、交渉が決裂しないためにも値引きには根拠があった方が良いでしょう。
例えば「ぜひとも購入したいのですが、予算オーバーをしておりますので、端数だけでも値引きしていただけないでしょうか」などと問うだけでも、答えは違ってきます。また「リフォームを予定していますので、残留物の処分や清掃代分を値引きしてもらえないでしょうか」なども、より具体的に根拠を伝える一例です。
もちろんこれ以外にも、仲介担当者に相談すれば、もっとたくさんの実例を教えてくれるはずです。このような値引きを伝える工夫は、断りや拒絶されるケースを遠ざけるのに一役買います。
ギブアンドテイクの精神を忘れない
交渉が決裂しないための心得の最後に、ギブアンドテイクの精神について付け加えておきます。ギブアンドテイクの精神とは「好意の返報性」や「返報性の法則」を語る上で、忘れてはいけないものです。
「好意の返報性」とは何か。これは普段から周囲の人間に愛情を持って接していれば、それは必ず巡り巡ってあなたに返ってくることを言い表したものです。これは中古マンションなど、不動産の取引でも無関係ではありません。
中古マンションの購入では、例えば価格交渉で値下げをしてもらったかわりに、瑕疵担保責任を免責でもいいですよ、とか引渡し日の都合は合わせますなど、他の条件を譲歩することが多いです。
これとは逆に、いつでも人に何かをして欲しいと望んでばかりいれば、同じように求める人が付いてきます。「好意の返報性」は、必ずしも100%の結果を保証するものではありません。しかし、よりハッピーな結果をもたらすと考えられる習慣を、どうせなら日頃から積極的に意識したいものです。普段からギブアンドテイクの精神を忘れないようにすれば、それは巡り巡って必ずや良い結果をもたらしてくれるはずです。
交渉がまとまっても油断は禁物
中古マンションなど不動産売買では、交渉がまとまっても油断は禁物です。ここでは、いち早く売買契約することが如何に大切かについてまとめておきます。
商談がまとまったらいち早く契約を
不動産マーケットでは「契約自由の原則」があり、申込だけでは法的には物件を押さえる拘束力がありません。そのため、商談がまとまったらいち早く契約を固めてしまうことが大切です。
確かに中には契約を意図的に焦せらせる業者も一定数います。それでも特に問題がなければ、いち早く契約をしてしまうことで、物件を押さえらえるというのはこの業界の真実です。
契約には住宅ローン審査などの事前審査が必要ですが、事前審査も早めに済ませておくことも重要になります。タイミングとしては物件を探し始める前に事前審査を通しておくと、割とスムーズにことが運びます。
また最近ではリフォームをする中古マンションも増えていますので、業者の見積もりに時間を要するケースも多くなっています。しかし業者に見積もりを依頼しているうちに、物件を横取りされては目も当てられません。そうならないためにも、できれば早めに契約をしてしまうことをおすすめします。
タイミングが悪いと買いあがりをお願いされることも
また、これは上述の「軽率な買付申込はしない」ことと、ある意味、矛盾するかもしれませんが、タイミングが悪いと“買いあがり”をおねがいされることもあります。“買いあがり”とは簡単に言えば物件の“横取り”のことです。
基本的に契約が終わるまで成約しているわけではないので、物件情報はインターネット上で掲載されますし、中には一番手がいることを承知の上で、一番手よりもいい条件で商談を入れてくるケースもあります。こうなると一番手の方にも、事情を話して「買いあがり」をお願いされることが多いです。
契約までに時間が空いてしまうとこのような事態も起こり得ます。“買いあがり”は狡いことですが、不動産は「契約自由の原則」が守られていますので、こうした手法も割と自由に行われています。
こうしたことを避けるために、特に値段交渉をした場合は、早めに売買契約に持ち込んでしまうことをおすすめしています。
価格交渉は不動産エージェントの腕の見せ所
買付と契約の違いは分かったと思いますが、売主の決定を揺るがせにしないことは、最終的に不動産エージェントの腕にかかっています。例えば慣習的に契約の直前に行われる重要事項説明ですが、経験豊富な担当者であれば事前に注意するべき点について、説明をしてくれるでしょう。
リフォーム業者の選定についても、気の利いたエージェントは、物件を探し始める段階でリフォーム会社も同時に決定しています。こうした目に見えない段取りの積み重ねが、マンションの交渉決裂やキャンセル止めに効いてくるのです。その意味でも担当エージェントには、経験豊かな方を選びたいものです。
まとめ
中古マンションの交渉が決裂してしまわないために、気を付けたいことのポイントをまとめました。
- 中古マンションには売買の目安となる相場価格があり、中には値引き出来ない物件もある
- 軽率な買付の取り下げをしないこと、相手の気持ち・立場を理解するといった考えが、交渉決裂を避けることに繋がっていきます。
- 不動産は「契約自由の原則」が守られているため、物件を押さえるには売買契約を急ぐしかありません
- 最後にモノを言うのはエージェントの力量。エージェント選びには細心の注意を!
当然ですが、人気のある物件ほどスピーディな決断が求められます。これから中古マンションを探す方は特に注意してください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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