中古マンションを購入しようと思ったとき、あなたは何から始めますか?
大体の予算を考えてから、物件情報サイトで気になりそうな物件を見つけていくという探し方をする方が、多いのではないでしょうか?
結論から申し上げると、中古マンション購入において最も重要となるのは不動産屋、もっと言えば担当者選びにあると断言できます。
しかし多くの人はマンション購入において、この最も重要な箇所を飛ばしてしまっている方が多いのが現実です。
不動産業界に15年以上在籍し、自らも不動産エージェントとして多くの人のマンション購入のお手伝いをしてきいる経験から申し上げますが、中古マンション購入を考えている大半の方は、不動産業界または不動産屋に対する認識がかなり甘いです。
そこでこの記事では、不動産業界の仕組みと不動産屋のあなたが知らない本音、そして本当に味方になってくれる不動産屋の選び方など、業界に長くいる筆者だからこそ分かる業界の裏側の話を踏まえて、詳しく解説していきます。
これから中古マンション購入をお考えの方は、この内容を知らないと失敗のリスクが高くなりますので、必ず最後までご一読いただければと思います。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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中古マンションはどの不動産会社からでも同じ物件が購入できる
まず最初に不動産業界の仕組みについて解説します。
最近でこそ、ご存知の方も増えてきましたが、「SUUMO」や「AtHome」などに掲載をしている不動産屋からでないと購入できないと勘違いしている方が多くいます。
しかし、インターネットや住宅情報誌などで中古マンション情報を見ていると、「あれ?こことここは違う不動産屋なのに、同じ物件を扱っているな」と思ったことはありませんか?
実は中古マンションを含む不動産物件は、どの不動産会社に依頼しても同じ物件を購入する仕組みになっているのです。
つまり、中古マンションはどこの不動産屋からでも同じ物件を購入することができるのです。
不動産業界には、レインズ(REINS)と呼ばれる物件情報を集めるデータベースがあるのですが、ここにあるデータはどの不動産会社でも閲覧できるようになっています。
たとえば、ある中古マンションを売りたいと考える売主AさんがX不動産会社に売却を依頼したとします。
Aさんから依頼を受けたX不動産会社が、引き受けた中古マンション情報をレインズに登録すると、その情報を見た他の不動産会社が自社のお客様(買主)に「こういう物件がありますがどうですか?」と紹介します。
これが「どの不動産会社からでも同じ物件を購入できる」仕組みなのです。
どこの不動産屋から物件紹介をしてもらっても同じ物件ばかりというのは、この仕組みからです。
あなたが知らない不動産会社の本音
どの不動産屋からでも同じ物件を買えるということは、買う側からすると不動産屋の選択肢が多く、メリットに感じる方もいるかもしれません。
しかし不動産屋としては、ライバル社にお客様を取られてしまうと自社の利益を得られないため、以下のような本音を隠して顧客獲得、売り上げのためにさまざまな策を講じてきます。
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不動産屋は、買ってもらうことがゴール
買主にとって中古マンション購入はゴールではなく、そこから新たな生活が始まるターニングポイントです。
しかし不動産会社にしてみれば、自社の利益を上げることが重要なので、買ってもらえればそこでゴールとなります。
中古マンション購入を新たなスタートラインと考える買主と、中古マンション購入をゴールと考える不動産屋、この意識のギャップはとても大きいです。
この目的の違いを知っておかないと、不動産屋がアドバイスしてくれることが、本当に自分たちのことを思ってのことなのか。
それとも不動産屋の利益のためなのかが分からず、買ってはいけない中古マンションを購入してしまう羽目になるかもしれません。
買ってもらうことが目的となっている不動産屋の言動については、後ほど詳しく解説します。
住宅ローンの支払いが、後から厳しくなっても知らない
買ってもらえればそれでいいと考える不動産屋にとっては、とにかく売ることだけが目的なので、買主が後々住宅ローンの返済に苦しんでも責任は負いません。
購入時はギリギリセーフでも、長期間にわたって住宅ローンを返済する中で徐々に生活が苦しくなることが分かっていても、それを言わずに物件購入をすすめるケースもあるのです。
予算を考えるのは、買いたい人がやるべきことで、不動産屋としてはそこまで関知もしなければ、責任も持たないというスタンスです。
なぜこのようなスタンスになるのかといえば、予算のシミュレーションなどにはファイナンシャルプランナーの知識も必要になりますし、余分に時間がかかる行為でもあります。
不動産屋は限られた時間内でたくさんの売り上げを作りたいので、できるだけ一人当たりにかける時間を少なくしたいと考えているのです。
都合の悪いことは言わない、ごまかす
住宅ローンの返済が将来滞りそうかどうかだけでなく、物件そのものに問題があると分かっていても事実を告げない、もしくは聞かれてもごまかすケースもあります。
もちろん法令上、定められた事項、例えば告示事項(事故やトラブルに関する情報)は伝えてくれますが、将来の資産価値や管理におけるリスクなどをしっかり伝えてくれないことが多いです。
正直に伝えてしまうと、契約成立のチャンスを逃すからという理由からなのですが、そもそもそんなことを普段から考えていない、さらに言えば多くの方が中古マンション購入に求めているコンサルティングがそもそも出来ないという不動産屋はたくさんいます。
買うかどうか分からない人に時間はかけたくない
中古マンション購入となれば多額のお金が動くわけですから、買主が慎重にじっくり検討したいと思うのは当然のことです。
しかし不動産会社にとってみれば、じっくり考えた末にその物件を購入してもらえるかどうか分からない買主をずっと相手にするのは、せっかくの売上の機会を逃してしまうことになりかねません。
そのためそういう買主より、素早く確実に買ってくれる買主を1人でも多く増やすことが自社の利益アップにもつながるため、購入決断に時間がかかる方を敬遠するのです。
とにかく稼ぎたい
不動産会社の営業担当者は、歩合で給与が決まる方式(歩合制)が多いため、自分の成績次第で給与の額が左右されます。
そのため少しでも多く稼ぐために、手荒な手法の営業を行う営業担当者も散見されるのです。
これまでに解説してきた不動産屋の行動原理には常にこの「とにかく稼ぎたい」というのが根本にあります。
商売ですので、その気持ち自体が決して悪いものではないのですが、不動産業界の場合、特にこの行動原理が強く、顧客の利益よりも不動産屋や担当者の利益が優先されてしまう風潮があります。
物件情報サイトから問い合わせをしてはいけない3つの理由
今現在、中古マンションを購入する上でおそらく最も多くの方がやっているであろう不動産屋の選び方が、SUUMOなどの物件情報サイトから気になる物件を問い合わせて、その物件を掲載していた不動産屋の担当者がそのまま担当者になるというケースです。
この物件情報サイトから問い合わせて、結果として不動産屋が選ばれているという流れですが、業界に身をく人間としてお勧めできない方法です。
むしろ失敗するリスクが高まる方法でもあります。
その3つの理由について解説します。
こちらの内容は動画でもご覧になれます。
売主側の業者が広告を出していることが多い
SUUMOをはじめとした物件情報サイトには、様々な物件情報が掲載されていますが、物件情報を掲載している7〜8割は売主から直接依頼を受けている売主側の不動産屋です。
売主側の不動産屋に問い合わせても、物件を購入することは問題なくできるのですが、問題はその不動産屋の立ち位置です。
売主から売りの依頼を受けている不動産屋は、基本的に売主から預かった物件を少しでも早く高く売ることが仕事です。
ですから、法令上定められた告知事項(人が亡くなっている・事件事故など)は教えてくれますが、将来の資産価値や説明義務のない将来的なリスク要因については教えてくれません。
正直に教えてしまえば、売れなくなったり、価格を下げなければいけなくなったりするからです。
また少しでも高く売りたい売主と、少しでも安く買いたい買主の利益は相反します。
つまりどちらかが必ず損をします。
売主側の不動産屋は売主の味方なので、基本的には買主側が損をすることになります。
百戦錬磨の不動産屋と対等に渡り合うことができれば話は別ですが、このような構造になりやすいので、物件情報サイトからは問い合わせない方がいいです。
担当者の質がわからない
2つ目の理由は担当者の質がわからないことです。
担当者の良し悪しは非常のピンキリで、良い担当者ももちろんいますが、先に解説した売ることが目的になっているような質の良くない担当者もたくさんいます。
物件情報サイトから問い合わせをするということは、担当者を選べず、たまたま掲載していた不動産屋の担当者があなたの担当になるので、場合によっては非常に強いストレスを感じながら取引を進めなければいけません。
よくこのような状況下で筆者が相談を受けることがあるのですが、物件の状況にもよりますが、不動産屋や担当者を変えられないことも多く、苦労されている方も少なくはありません。
物件情報サイトの特性上、売ることが目的になりやすい
さらに、物件情報サイトの特性上の問題点があります。
SUUMOなどへの物件情報サイトへ物件情報を掲載するには、不動産屋が広告費を支払わなければいけません。
さらに物件情報サイトに広告費を払って物件情報を掲載したら、対応する営業マンも必要になります。
一般的な不動産屋であれば収益は契約が成立したときにもらえる仲介手数料のみとなりますので、広告費や人件費、そして事務所経費などの運営費を賄うためには、とにかく売り上げを上げなければいけません。
そのような背景がある中で、想像してみて欲しいのですが、物件情報サイトから問い合わせをするときは、気になる物件を2、3件に絞って問い合わせをすると思います。
問い合わせを2、3物件するということは、その向こうに不動産屋が2、3社いるということになります。
つまり不動産屋同士はすでに競合がいる状態になるのです。
そこで仮に問い合わせを受けた物件が実は将来の資産価値的に問題がある物件であっても、それを正直に言ってしまうと、お客様には喜ばれるかもしれませんが、お客様は他に問い合わせをしていた不動産屋のところにいき、営業を受けて他の物件を買ってしまうかもしれません。
そうすると正直にアドバイスをした不動産屋の売り上げがゼロで、他の不動産屋に売り上げが入るという「正直者がバカを見る」状態になってしまうのです。
このような仕組み上の弊害があり、物件情報サイトから問い合わせをすると、どうしても売り上げ目的となってしまうことを覚えておいてください。
中古マンション購入で損をしやすい不動産屋の特徴と見分け方
全ての不動産会社が、利益最優先で強引な営業を行っているわけではありませんが、残念ながら自社や担当者の利益を追求してしまうような不動産屋が多くいるもの事実です。
ここまでの解説で、闇雲に不動産屋に訪問したり、物件情報サイトで気になった物件をたまたま掲載していただけの不動産屋で中古マンションを購入するリスクがご理解いただけたかと思います。
しかし不動産屋を探したところで、どうやってダメな不動産屋を見分けたらいいのか?という疑問が浮かぶと思います。
ここからは、ダメな不動産屋で、購入者であるあなたが損をしやすいと考えられる不動産屋の特徴について解説していきます。
住宅購入で絶対に失敗したくない方へ
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- 全国の優良な担当者(不動産エージェント)が探せる
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借入可能額で予算を設定してくる
住宅ローンを借りる時は、金融機関は申し込む方の年収やその他の借り入れ状況などを考慮して、融資する金額の比率(融資率)や返済負担率を定めています。
融資率や返済負担率は、買主がどのくらいの金額を借り入れられるかを判断するための指標ですが、借りられる金額=無理なく支払える予算とは限りません。
当たり前ですが、借入可能額はあくまで銀行が決めた基準であって、あなたにとって最適な借入額という訳ではないのです。
また住宅ローンは長期間にわたり支払っていくことになるので、今は大丈夫と考えていた支払額であっても、将来お子さんの教育費がかさむ時期に家計が非常に苦しくなってしまうこともあり得ます。
いくら良い物件を購入できたところで、住宅ローンの支払いで苦労してしまうのは本末転倒ではないでしょうか。
不動産屋は、そういう可能性も考慮して万が一のことが起きても買主が無理なく返済できる予算を考えるべきですが、ダメな不動産屋はそのための計算を面倒がるか、そもそも計算できないことが多いです。
そうした不動産屋や担当者に当たってしまった場合は、借りられる金額を予算として設定されてしまい、無理なく住宅ローンを支払える予算を超えた借入となりやすい点に注意しましょう。
このタイプの見極め方は、さりげなく年収を聞かれて「これくらの価格なら大丈夫そうですね。月々の支払いだと〇〇円くらいです」のようなトークをしてくる担当者です。
他にも、予算を聞いてきて、その金額を特に深掘りすることもなく、そのまま鵜呑みしてしまう担当者も注意が必要です。
この時は「どのようにして予算を求めましたか?」と聞いてくれる担当者の方が安心です。
全国の優良な担当者が探せる「ハウスクローバー」では、無理のない予算をご自身でシミュレーションできます。無料で登録・利用ができます。
管理状態をしっかり調べてもらえない・調査が出来ない
マンションは一戸建てと違い、建物を所有者で共有する形態です。
そこでマンションでは管理費と修繕積立金を所有者から毎月徴収しています。
マンションの価値は、立地と管理で決まると言っても過言ではなく、実際「マンションは管理を見てかえ」という格言も存在するくらいです。
立地は一般の方でもネットなどで調べやすい内容ですが、管理については何を調べたら良いのか分からないと思います。
マンション管理の調査の肝は、所有者の集まりである管理組合の運営状況です。
そして、マンションの管理の良し悪しは、財務状況によって決まります。
財務状況がしっかりしていなければ、マンションの健全な資産維持活動に支障が出ます。
大規模修繕工事などには、外観をきれいにするだけでなく、マンションの寿命にもつながる非常に重要な役割があります。
この資産維持活動をするための財源が将来大きく不足しないかどうかを見極めることが、管理組合の調査の肝なのです。
この調査は誰でもできるようなものではなく、かなりの知識と経験が求められます。
この管理調査をイメージしやすいように他のものに例えると、会社の決算書を読み解くことに似ています。
会社の決算書を正しく読み解くことに、かなりの知識と経験が求められると考えたら理解しやすいのではないでしょうか。
実際に財務状況を調査した上で、買ってはいけないマンションの割合は筆者の感覚で3割ほどありますので、不動産屋選びを間違えてしまうと買ってはいけないマンションを買ってしまうリスクがあるのです。
実際この調査に関してダメな担当者の特徴として、以下のようなセリフが出てきたら要注意です。
「管理会社が大手」
管理会社はあくまで管理組合から業務を委託されているだけの第三者でしかなく、管理会社が大手でも、内容の悪いマンションはたくさん存在します。
「積立金がたくさんあるから大丈夫」
積立金の金額の多い少ないではなく、工事費はマンションの規模や形状によっても変わる。積立金が多く見えても将来足りなくなるマンションもたくさんある。
「滞納金が無い(少ない)から大丈夫」
滞納金の多い少ないも管理の良し悪しには関係がありません。
全国の優良な担当者が探せる「ハウスクローバー」では、不動産エージェントが独自のシステムを利用して、管理会社の財務調査をシミュレーションできる機能ができるようになっており、ハウスクローバーの不動産エージェントであれば、難解と言われる調査を一定の基準以上のレベルで行えます。
旧耐震基準の中古マンションを勧めてくる
地震大国といわれるほど多くの地震に見舞われている日本では、建築物は一定基準の揺れに耐えるよう設計する基準(耐震基準)が法律で決められています。
現在の耐震基準は1981年(昭和56年)6月1日から施行されたもので新耐震基準といい、同年5月31日まで施行されていた基準を旧耐震基準と呼びますが、両者の違いは以下の通りです。
中程度の地震 (震度5程度) | 大規模地震 (震度6〜7程度) | |
---|---|---|
旧耐震基準 | 倒壊しないこと | 規定なし |
新耐震基準 | 軽微なひび割れに留める | 倒壊しないこと |
旧耐震基準が施行されていた頃は、震度6~7クラスの地震がそうそう起きるとは想定されていなかったため、大規模地震に対する建物の規定が決められていませんでした。
しかし新耐震基準施行時に大規模地震に対する規定が設けられたことで、1981年6月以降は、より地震に強い建物が建てられるようになりました。
そして1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、新耐震基準に沿って建てられた建物のうち、被害が中・小破と大破に該当したのは3割未満だったのに対し、旧耐震基準の建物は7割近くと大きな差が出ています。
※参照資料:国土交通省 阪神・淡路大震災による建築物等に係る被害
また旧耐震基準の中古マンションは、住宅ローンの取り扱いをしていない銀行も増えてきています。
銀行はお金を貸す代わりに、中古マンションに抵当権を設定し、お金の返済が滞ったときに、抵当権を執行して競売で売却し、貸し出していたローンを回収する権利を持ちます。
しかし銀行の中には、旧耐震の中古マンションは資産価値がないと考えているところがあるのです。
資産価値がないので、担保価値もなく、それゆえに住宅ローンを貸すことができないという理由です。
旧耐震の中古マンションに住宅ローンを貸してくれる銀行はだんだん減ってきており、その傾向は今後も続くと思います。
もし将来売るときに取り扱いのできる住宅ローンが少なければ、それだけ売りにくくなるので、資産価値は下落します。
つまり、旧耐震基準のままで何も対策がされていない中古マンションは、安全性・資産価値ともに低い物件と言えます。
そうしたデメリットを知りながら、買主にそのことを伝えず旧耐震基準の中古マンションをすすめる不動産会社は、良い不動産会社とはいえません。
試しに「旧耐震の中古マンションは買っても大丈夫ですか?」という質問をしてみてください。
回答でその担当者の良し悪しは判断できると思います。
また旧耐震の中古マンションを紹介してきたときは、その理由についても聞いてみましょう。
リノベーション済み物件ばかり紹介される
リノベーション済の中古マンションは、築年数が経っていても内装が新築マンションと遜色ないくらいきれいな点が魅力的ですが、ここで気をつけるべき点が「仲介方法」です。
中古マンションの売買では、不動産屋が売主と買主の間に入って仲介し、契約が成立したら報酬として仲介手数料を受け取ります。
この仕組み自体は問題ないのですが、仲介取引には不動産用語で「片手」「両手」と呼ばれる方法が存在します。
以下のイラストで違いをご覧ください。
上記のように、通常の不動産売買は売主・買主それぞれに仲介役の不動産会社がいて、売買契約成立時は売主・買主のどちらかからしか仲介手数料を受け取れません(片手仲介)。
しかし、両手仲介は売主・買主双方から仲介手数料を受け取れるため、片手と比べると報酬が2倍になります。
そして、リノベーション済物件は基本的に売主が不動産会社となるため、売買契約が成立すると、再販した不動産会社からは売却分の、買主からは購入分の仲介手数料を受け取れる=両手取引が成立します。
特にこちらからリフォーム済み物件やリノベーション済み物件を希望していないのに、これらの物件ばかり紹介してくる不動産屋や担当者は、自社の利益追求が目的になっている可能性が高いので注意しましょう。
中古マンション購入で失敗しないための不動産屋(担当者)選び方7つのポイント
それではここからは、中古マンション購入において、あなたの利益を最大化してくれることを目的としている、優良な不動産屋や担当者の特徴について解説していきます。
不動産屋の具体的な探し方については以下の記事もご参照下さい。
予算についてもしっかり考えてくれる
良い不動産屋・担当者は必ず予算についてしっかり考えてくれます。
不動産屋の中には独自にファイナンシャルプランナーの資格を取得し、仲介サービスの一環としてライフプランニングシミュレーションを提供してくれるところもあります。
もしライフプランニングシミュレーションをサービスとして提供していないにしても、購入希望者が考える予算がどんな根拠で求められたものなのか、またもし正しい方法でなければファイナンシャルプランナーの紹介やアドバイスをしてくれるなど、親身な対応をしてくれます。
すでに解説したダメな不動産屋や担当者と全く逆の対応です。
じっくり時間をかけて付き合ってくれる
私も含めて良い不動産屋や担当者は、中古マンションの購入を考え始めたらなるべく早めに相談をしにきてほしいと考えています。
買うかどうか分からない状況でも構いません。
なぜなら、相談のタイミングが早ければ早いほど、様々な視点でアドバイスやアイデアを提供することができます。
つまり色々な面で協力することができると考えているからです。
少しでも一人当たりの対応時間を減らして売り上げを上げたいと考える不動産屋とは、全く逆の発想です。
実際、中古マンションの購入を考えたときは、予算をはじめ住宅ローン選び、立地、物件をどのように決めて探すか、分からないことが多いと思います。
そんなときに頼りになる不動産屋や担当者がいれば、きっとあなたの助けになってくれることでしょう。
良い不動産業者や担当者ほど、あなたの中古マンション探しに対して、嫌がることなく急かすこともなく、じっくり時間をかけて付き合ってくれます。
フットワークやレスポンスが早い
フットワークやレスポンスの早さは、不動産営業にとって最も重要な要素の一つです。
中古マンションに限らず、不動産は一点もので、常に他の買主候補と競争をしています。
担当者のフットワークやレスポンスが遅く、買いたい物件を逃してしまうこともあるのです。
また普段のやり取りから、質問をしても回答が遅い場合など、取引を進めるにあたり非常にストレスが溜まります。
何千万円という買い物で、仲介手数料も100万円単位で払うことになるのに、このようなストレスがある中で取引をするのはナンセンスだと思いませんか?
筆者も顧客から色んな不動産屋や担当者の話を聞きますが、言っていること自体が適当な内容であったり、質問をしにくいオーラを出しているような営業もいると聞きます。
無理な営業をしてこない
無理な営業をしてこないのも、良い不動産屋や担当者の特徴です。
お客様が納得できる物件を購入できれば良いと考えているので、買わなくてもいい物件などを無理な営業をして売る必要はないと考えているからです。
これは担当者というよりも、担当者が在籍する不動産屋の社風や方針が色こく影響が出る部分です。
とにかく売り上げを至上主義としている会社の場合は、特に無理な営業で契約を進めてこようとしてきます。
筆者の元には様々な相談がきますが、以前私が担当していないエリアで、新築戸建ての契約を2日後に控えたお客様からご相談がありました。
よくよく話を聞くと、その方は離婚歴がある独身の女性で50歳を超えていました。
さらに娘さんやご家族とは誰も一緒に住んでいない状態で、なんとなく問い合わせをした新築戸建てで強引な営業をされて契約することになったのだが、本当にしても大丈夫なのかという相談でした。
少し考えたら明らかにおかしいことに気が付きますよね?
そう、この女性のお客様に必要なのは新築戸建てでなく、本当なら中古マンションではないかということです。
そんな嘘のような話が本当にあるのが、この不動産業界なのです。
もちろんその相談者の女性には、契約予定をキャンセルしてもらうように伝え、実際キャンセルしました。
キャンセルの際にも色々言われたらしいですが、その内容を聞くと、それっぽい嘘や脅しを言ってきましたが、全く効力も何もないので無視してくださいと伝えました。
あまりにも酷いようでしたら免許事業者なので、県の不動産業課に連絡してくださいと伝えて何もなく無事に契約することなく済みました。
このような無理な営業は論外ですが、もし本当に良いと思える中古マンションに出会えたなら、他の人に取られてはいけないので、最速で動きます。
そのような動きの緩急をつけられるのが、良い不動産屋や担当者の特徴です。
コンサルティング能力が高い
良い不動産屋や担当者の5つ目の特徴として、高いコンサルティング力が上げられます。
買ってはいけない中古マンションを見極める能力や経験・知識はもちろんなのですが、お客様が言語化できないことを言語化したり、不安や心配に対して適切な対処をしてくれるコミュニケーション力などが上げられます。
不安や相談があれば、ちゃんと納得できる答えが返ってくる。
もし分からなければしっかり調べてから回答をくれる。
当然のようなことですが、意外にできていない人も多いです。
ダメな物件はダメと言ってくれる高い倫理観
不動産屋は消費者よりも圧倒的な情報強者です。
極端な話、嘘をついて売り上げを優先することもできます。
それでも、自分の良心に基づいて、自社の利益よりも顧客の利益を優先し、ダメなものはダメと言ってくれる高い倫理観を持ち合わせていることが何よりも大切な要件になります。
こちらが相談をする中古マンションの良いところばかりを伝えてくるのではなく、デメリットや気をつけるポイント。
また中には買ってはいけない中古マンションもあるので、両手仲介がもらえるような物件であっても、真実をちゃんと伝えてくれる不動産屋がいれば、失敗するリスクはかなり減らすことができるでしょう。
担当者個人の名前で商売をしている
最後に大きなポイントですが、不動産屋であっても、いち担当者であっても個人の名前で営業をしているような人は信頼できる可能性が高いです。
例えば私が企画運営をしているハウスクローバーでは、会社名でなく個人(担当者)を探すことができるサイトになっているのですが、営業マン(不動産エージェントと呼んでいます)個人の考え方や経歴、そしてお客様の評価を参考にして、問い合わせができるようになっています。
個人を前面に出して営業をして、その評価がダイレクトに自分に跳ね返ってくるので、良い対応をしていれば良い評価が集まり、次の集客へつながります。
しかし、悪い対応で悪い評価がつけば、その人への依頼は減るだけでいずれ退場しなければいけなくなります。
このような仕組みの中で、個人名で商売をしている人は、会社の名前に守られている人に比べて、お客様のことを考えて動いてくれる人が多くなる傾向がありますので、担当者を探すときは、このような仕組みを活用すると良いでしょう。
ココがポイント
物件からではなく、不動産屋や担当者を探してからマンション購入を進めるということは、まず担当者はサービスやコンサルティングの内容で選ばれますので、これまでの不動産業界になかったサービス競争が初めてここで発生します。
しかも選ばれた担当者は、自分のところで何かしらを買ってもらえる安心感がありますので(もちろんサービスの質が低ければ変えられる)、この状態になってようやく、買ってはいけない物件をちゃんとダメですと言える状態になるのです。
つまり、今の不動産業界や日本の住宅市場のことを考えると、担当者を探すということで始めて高品質なサービスを受けることができるようになるのです。
筆者が企画運営しているハウスクローバーはまさにこの理想的な状況を作ることを目的としています。
ハウスクローバーで出来ること
中古マンション購入は不動産屋の選び方が最重要ポイントである5つの理由
ここまでの解説で、中古マンション購入において不動産屋の選びが、いかに重要であるがということが、ご理解いただけたかと思います。
そこで最後にまとめとして、中古マンション購入において不動産屋の選び方が重要であると考えられる5つの理由について解説します。
日本ではスキルや経験、資格がない担当者でも営業活動ができる
日本では、欧米のように資格と経験が条件となっている職業ではなく、極端な話、先月入社したばかりの経験や資格がない担当者でも活動できてしまうのが、日本の不動産業界です。
しかし一般の消費者にとって、担当者や不動産屋が経験や知識が豊富かどうかを見極める術を持っていません。
ですから、物件を問い合わせた先の不動産屋がたまたま担当となるような「担当者ガチャ」の状態ではなく、自身で納得のできる不動産屋をしっかり選ぶことが重要になります。
中古マンションは個別性が非常に強い
中古マンションに限らず、不動産は個別性が非常に強い商品と言われています。
個別性が強いとは、同じ商品が二つとしてないことです。
同じマンション内の部屋であっても、階数や間取りは違うのはもちろんのこと、所有者の状況も全く違ってきます。
個別性が強い分、想定されるリスクや取引を進める上でトラブルにならないように気をつけることも物件ごとに違ってきます。
これらを物件ごとに正確に見抜いて対処していくためには、知識や経験、また知り得た情報をお客様にしっかり伝える倫理観が求められます。
不動産屋が儲かる物件ばかりを紹介されて、不動産屋を儲からせて自分たちは損をするというようなことがないよう、しっかり不動産屋もしくは担当者を選ぶべきです。
資産価値に対する責任
中古マンションを探す方には資産価値を気にされる方が多いように感じます。
当たり前ですが、大きな買い物になるので、なるべく損はしたくないですし、ライフスタイルが多様化する中で、いざという時にちゃんとした値段で売れるかどうかは、購入する人にとってとても大切なことです。
しかしそのような悩みや要望を不動産屋に伝えても、適当なことを言われてそれを信じてしまい、時間が経ってから後悔する方が後を断ちません。
資産価値に対する責任を持つのは買う方になりますが、しっかりした根拠の上に資産価値に対するアドバイスをもらえるような担当者を選ぶようにしましょう。
資産価値と住みやすさの価値に直結する管理組合の調査
中古マンションに関する調査の中で、最も重要な調査内容です。
修繕積立金に関わる財務状況は、資産価値はもちろん、ランニングコストをはじめとした住みやすさの価値やマンションそのものの寿命にも影響します。
正しい中古マンションの管理内容を調査できる担当者を探すようにしてください。
不動産屋にとって利益が大きいマンションは、消費者にとってリスクが高いことが多い
本来不動産屋が果たす役割は、不動産取引を安全に進めることでした。
しかし時代は変わり、不動産を買えば資産になる時代は終わり、買ってはいけない物件がたくさん出回っている現在において、取引を安全に進めるだけでは事足りません。
また不動産屋にとって利益が大きい取引となるような物件ばかりを提案してくる不動産屋は問題外です。
こんな時代だからこそ、顧客の利益を最大化することを目的とした代理人(不動産エージェント)を探すようにしましょう。
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失敗しないマンション購入は不動産エージェント選びから
中古マンション選びは、予算や住宅ローン、物件選びなど重要な工程はたくさんありますが、良い不動産屋や担当者をしっかり選べていれば、随所であなたのサポートをしてくれますので、失敗するリスクはかなりの割合で減らすことができます。
誠実で信頼できる不動産エージェントを選ぶことが中古マンション選びの第一歩であり、失敗しないマンション購入への近道となります。
インターネットで収集できる情報が増えている現代において賢く物件を選ぶためにも、まずは不動産エージェント選びから始めてみてはいかがでしょうか?
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
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