中古マンションを購入しても、入居後に発生する物件の不具合が心配な方は少なくないようです。ここでは中古マンションの入居後に発生する不具合に、どのように対処したら良いか整理してみました。
本文では、入居後のトラブルに対応する瑕疵担保責任についても分かりやすく解説しています。記事は瑕疵担保責任について正しい知識を得たい人にもおすすめです。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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中古マンションの不具合にはどんなものがあるか?
中古マンションの入居後の不具合には、どんなものがあるでしょう。思いつくまま、幾つかあげてみます。
- 思ったよりも傷や汚れが多く、クリーニングを入れるべきだった。
- 残して欲しいと伝えたものが残ってなかった。
- 売主に確認してもらう前に自分で修理を依頼し、結果は保証してもらえなかった。
- 入居から2年ほどで漏水が発覚したが、保証期間を過ぎていたため修復工事は全て自分もちで行なった。
- 給湯器が保証期間の過ぎた後で壊れてしまい、結局自前で修理することに。
- 内覧時は静かだった上階から、夜間は意外に大きな足音が…
戸建て住宅とは違い中古マンションは、入居後の不具合は比較的少ないと言います。それでも集合住宅特有の音の問題などは必ず出てきますし、相変わらず多いのが付帯設備に関するトラブルです。
ただ共通することは、生活をスタートしてしばらくしてから気付く不具合です。そのため保証期間はとっくに過ぎていますし、中には明らかな不満、後悔の声も聞こえてきます。
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瑕疵担保責任の対象
中古マンションの不具合に対処できるのが、瑕疵(かし)担保責任という考え方です。ここでは瑕疵担保責任とは何か、担保責任の対象範囲や中古マンションならではの特徴など、詳しくみていきます。
瑕疵担保責任とは?
不動産についての「瑕疵(かし)」とは「目で確認できない隠れた傷や不具合」のことです。また不動産の瑕疵担保責任とは、売却物件に瑕疵が見つかった際、売主が買主に対して負う責任のことで、売買契約では通常契約書に内容が記載されています。
ちなみに不動産売買での実際に瑕疵や不具合にはどんなものがあるでしょう。一般的に瑕疵と認められるのは、次のようなものです。
- シロアリの被害
- 雨漏り
- 給排水管の漏水
- 建物の傾き
この他には
- ゴミなど地中埋設物
- 土壌汚染
- 法令上の建築制限や権利関係等
など、少し特殊なものがあります。前者は建物に関する瑕疵で、一方で後者は土地に関する瑕疵です。
中古マンションの入居後の不具合では漏水が代表的な瑕疵としてよく問題になりますが、漏水も目では気付かず、大抵は住んでしばらくしてから気付く類の瑕疵と言えます。
ただし瑕疵とは、実は買主だけではなく、物件の売時点で売主も知り得なかった不具合かが論点となります。この点については覚えておきましょう。
売主が不動産会社か個人かで内容が変わる?
瑕疵担保責任では売主に責任が及ぶのは10年と規定され、キズ・不具合の発覚から1年以内に売主に申し出ることが民法で規定されています。ただし民法の規定はすべて売買目的物についての規定であって、不動産に特化したものではありません。
そこで宅建業法では、売主が不動産会社(宅建業者)であれば、引渡しから2年以上を瑕疵担保責任が及ぶ期間と規定してます。
ただ不動産の売買は、不動産会社(宅建業者)が売主であることより、個人間の売買が圧倒的に多くなります。そこで個人間の不動産売買では、特殊な事例として、瑕疵担保責任が及ぶ期間について規定はなく、お互いの合意で良いとされています。一般的には引渡しから2ヶ月から3ヶ月と定めることが多いです。
また個人間の売買の場合、築年数がかなり経過している建物や空き家状態が長く続いていた物件については、いわゆる「現況引き渡し」や瑕疵担保責任を負わないという特約付きの契約を、買主の同意を得て結ぶことも可能としています。
このため個人間で行われる中古マンションなどの売買取引では、瑕疵担保責任の保証期間を長くて3ヶ月、あるいは担保責任を免責とする契約も存在しています。
中古マンションの主要構造な部分
ここまでの説明で、瑕疵担保責任の概要は大分つかめたのではないでしょうか。ただ、具体的に建物の保障範囲がどこまでなのかが釈然としません。一般的なルールとして言われる、瑕疵担保責任の保障範囲は
- 雨漏り
- 建物構造上主要な部位の木部の腐蝕(一戸建てのみ)
- 給排水管の故障
- シロアリ被害
の4箇所に定められています。もちろんマンションについては、2番目の「建物構造上主要な部位の木部の腐蝕」は指定されていません。
そもそも、鉄筋コンクリート造のマンションでは「木部の腐蝕」ということはあまり関係がなく、マンションでは「主要構造部」が「建物構造上主要な部位」に該当します。
具体的に「主要構造部」とは次の箇所を指します。
- 柱(間柱・付け柱を除く)
- 梁(小梁を除く)
- 床(揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床を除く)
- 壁(間仕切壁を除く)
- 階段(小階段、屋外階段を除く)
ただマンションの場合は「主要構造部」を住戸内(専有部)から確認はできず、建物の共有部から確認することになります。しかしながら中古マンションの「主要構造部」は部屋の所有者ではなく管理組合で管理し、補修工事も修繕積立金で行われます。
こうした違いや経緯がありますので、実はマンションの区分所有者が管理できる建物の保障範囲は、実質的には非常に限定的となります。
アフターサービスと瑕疵担保責任の違い
アフタサービスとは、主に新築住宅でのサービスとして使われる言葉で、通常は無償サービスと有償のサービスに別れ、利用者は双方を活用できます。
一方で瑕疵担保責任は、ここまでの説明でも登場している宅建業法のほかにも、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で規定されている瑕疵担保責任もあります。
品確法で規定されている瑕疵担保責任は、新築住宅を対象とします。そのため中古マンションをテーマとするこの記事では、混乱を避ける意味もあって、ここまで登場しませんでした。
ただここではアフターサービスと瑕疵担保責任との違いについて解説しますので、品確法で規定されている瑕疵担保責任についても簡単に触れておきます。
そもそも中古マンションにはアフターサービスが付けられない?
まず一番の違いは、中古マンションのような個人間の取引で、かつ新築物件でないものに、つけられるアフタサービス自体が残念ながら存在しないということです。
それはサービスの性格上「アフター」といういうものが、
- 会社の資力によって運営されてるサービスということ(個人の資力ではとても提供できません)
- 新築物件だから提供可能なサービスということ
という2点が関係しています。ただし例外もあります。それはリフォーム物件です。新築ほどではありませんが、リフォームによってある程度リニューアル(刷新)された建物には、アフターサービスがつけられます。
そこで簡単に理解するために「新築やリフォーム物件で使える」のがアフタサービスと考えていただくと早いと思います。
一方で新築の瑕疵担保責任は、先ほども出てきた「品確法」という法律で管理されており、原則として保証期間は10年間、建物の保障範囲は「構造耐力上主要な部分」「雨水の浸入を防止する部分」などが規定されています。
しかし繰り返すようですが、中古マンションのような中古住宅には、宅建業法の瑕疵担保責任しか原則として使用できません。ただ宅建業法の瑕疵担保責任では、入居後の不具合には、損害賠償や契約の解除を求められます。
アフタサービスについて、具体的なところまで話は及びませんでしたが、瑕疵担保責任との違いは、ある程度理解できたのではないでしょうか。
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契約時の取り決めによる
このように中古マンションの契約は、個人対個人の取引となることの方が多く、双方の合意の上で契約をすれば、それは民法の規定よりも優先されます。つまり全ては契約時の取り決めによるということです。
反対に、契約独自の取り決めがなければ民法、または宅建業法上の規定が適用されます。このことは覚えておくといいでしょう。
何れにしても避けなければいけないのは、契約後で揉め事に発展することです。ですから売買契約は、不動産エージェントを通じてしっかりとした取り決めをすることです。
中古マンションの購入後に不具合を発見したら?
ここまで色んなケースを考えてきましたが、あらためて中古マンションの購入後に不具合を発見したら、買主がまずすべきことは担当エージェントや不動産会社にすぐ連絡することです。売主に瑕疵担保責任を請求する時は、売主の立ち合いが原則必要となります。先に直して請求書を後から送るという方法では請求が出来なくなることに注意が必要です。
そして出来るなら後で不具合を確認できるように、写真や動画で記録を残しておくことをおすすめします。また連絡方法ですが、電話よりメールの方が、伝達事項や日時などが記録として残るので望ましいでしょう。
契約にもよりますが、中古マンションの購入後のほとんどケースでは、すでに売主には担保責任を負えない時期になっているかと思います。ただ、これについても勝手に自己判断せず、連絡した担当エージェントや不動産会社の指示を待ちましょう。
また該当するトラブルが仮に水漏れの場合は、設備業者が状況を確認に来ることになります。そして原因を究明してもらい、再びトラブルが起こらないよう、復旧工事を進めてもらうことです。
最近ではこうしたトラブルを未然に防ぐ方法として、日本でもホームインスペクションを採用するケースが増えています。どちらかと言えば、中古マンションではあまり積極的ではありませんが、マンションによっては試してみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
中古マンションの入居後に発生した不具合はどうすればいいのかのポイントを整理しておきます。
- 中古マンションの入居後の不具合に対応するのが、宅建業法上の瑕疵担保責任です
- 個人間の売買取引では、瑕疵担保責任の保証期間は引渡し時から長くても3ヶ月、物件によっては免責という契約もあります
- 実は、中古マンションの建物の保障範囲は非常に限定的です
- アフターサービスは主に新築物件に該当するサービスであり、ここでテーマとしている中古マンションには原則として使えません
記事には特に瑕疵担保責任について、理解しやすくまとめました。ただ2020年4月には民法改正で瑕疵がなくなり、「契約不適合責任」に変わります。この改正はどちらかといえば、売主にとって責任が大きくなる改正になります。この件については、また別の機会にお伝えしたいと思います。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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