この記事で分かること
- 中古マンションの管理状態を、買う前に3段階で調べる方法
- 無料の公開サイトで分かることと、分からないこと
- 内見の現地で見るべき5つの場所
- 重要事項調査報告書など、書類で確認する5つの数字
- 数字を見ても「足りているか」が分からない理由
- 自分で判断できないときの3つの選択肢と費用
- 慎重に検討したほうがいいマンションのサイン
「マンションは管理を買え」という言葉を、聞いたことがある方は多いと思います。
キッチンや壁紙は買ったあとに変えられますが、管理組合の財政や修繕の計画は、自分ひとりでは変えられないからです。
ところが、その管理状態を買う前にどう調べればいいのかは、意外と知られていません。
内見で共用部を見ただけで安心してしまう方もいれば、書類を取り寄せたものの数字の意味が分からず、そのまま契約に進んでしまう方もいます。
この記事では、無料で今日からできる調べ方から、書類の読み方、そして数字を見ても判断できないときの選択肢まで、順番にまとめました。
業界歴17年の私が、買う人の目線で解説します。

宅地建物取引士、2級FP技能士、ホームステージャー2級
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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管理状態は「見た目」「数字」「判定」の3段階で分かる
中古マンションの管理状態は、1つの方法で全部が分かるものではありません。
私は、次の3段階に分けて考えるようにお伝えしています。
- 無料の公開サイトと現地で分かる「見た目と評判」
- 重要事項調査報告書などの書類で分かる「数字」
- その数字が将来足りるのかという「判定」
1段階目は費用がかからず、物件を検討し始めた日からできます。
2段階目は売主側から書類を取り寄せる必要があり、申し込みの前後になることが多いです。
3段階目は、書類の数字を将来の工事費と照らし合わせる作業で、ここで多くの方がつまずきます。
順番に見ていきます。
無料で今日からできる調べ方:2つの公開サイト
物件名が分かっていれば、書類を取り寄せる前に無料で確認できるものがあります。
管理計画認定マンション閲覧サイト
マンション管理計画認定制度は、管理組合の運営や修繕積立金の計画が一定の基準を満たしていることを、地方公共団体が認定する制度です。
認定を受けたマンションは、公益財団法人マンション管理センターが運営する「管理計画認定マンション閲覧サイト」で公開されていて、誰でも物件名で検索できます。
認定の基準には、長期修繕計画の期間が30年以上あること、その期間に大規模修繕が2回以上含まれること、一時金の徴収を予定していないこと、修繕積立金の平均額が著しく低くないことなどが含まれます。
2026年7月末時点で認定を受けているのは4,215件で、全国の分譲マンションのごく一部です。
認定があるマンションは、少なくとも計画とお金の裏づけを第三者が確認しているということです。
ただし認定は管理計画に対するもので、建物の品質や工事の出来を保証するものではありません。
制度の中身と買う人にとっての意味は「マンション管理計画認定制度とは?認定マンションを買うメリットとデメリット」にまとめています。
マンション管理適正評価サイト
一般社団法人マンション管理業協会が運営する制度で、管理状態を100点満点で採点し、★0から★5までの6段階で公開しています。
管理体制、管理組合の収支、建築・設備、耐震診断、生活関連の5分野30項目が対象で、結果は「マンション管理適正評価サイト」で誰でも見られます。
2025年12月末時点の登録は10,498件で、そのうち★4以上が75.8%を占めています(出典:一般社団法人マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度 登録状況等について(2025年度第3四半期終了時点)」2026年1月13日)。
つまり★4は「平均より少し上」という程度の意味で、★の数だけで安心してはいけません。
★の裏側で何を見るべきかは「マンション管理適正評価制度とは?★の見方と買う前に確かめる3つの数字」で解説しています。
登録がないマンションが「悪い」わけではない
どちらの制度も、管理組合が費用と手間をかけて自ら申請するものです。
全国の分譲マンションはおよそ700万戸ありますが、適正評価の登録は約1万件、管理計画の認定は約4,200件にとどまります。
登録がないのは管理が悪いからではなく、単に申請していないだけというマンションが圧倒的に多いのです。
公開サイトは「あれば参考になる」ものであって、「なければ避ける」ものではありません。
内見の現地で分かること:5つの場所を見る
公開サイトに情報がなくても、内見に行けば管理の一端は見えます。
私が現地で必ず見るのは、次の5つです。
- ゴミ置き場:分別が守られているか、収集日以外にゴミが出ていないか
- 駐輪場:放置自転車がないか、整理されているか
- 掲示板:総会や理事会の案内が最近の日付で貼られているか、注意書きが荒れていないか
- エントランスと共用廊下:切れた照明が放置されていないか、清掃が行き届いているか
- 管理員:常駐か巡回か、挨拶や対応は自然か
どれも、住民のマナーと管理会社の仕事ぶりを映す場所です。
掲示板は特に情報が多く、総会の開催案内や議事録の閲覧案内が定期的に貼られているマンションは、管理組合が動いている証拠になります。
逆に、何か月も前の注意書きが色あせたまま残っていたり、騒音やゴミ出しへの苦情の貼り紙が何枚も重なっていたりする場合は、住民同士の関係や管理会社の対応に課題があるサインです。
ただし、ここで分かるのは「日常の管理」までです。
見た目がきれいでも修繕積立金が大きく不足しているマンションはありますし、その逆もあります。
現地の印象で安心して、書類の確認を省いてしまうのが、いちばん多い失敗です。
書類で分かること:重要事項調査報告書と長期修繕計画書
管理の「お金」は、書類でしか分かりません。
取り寄せる3つの書類
- 重要事項調査報告書:管理会社が作る、管理の実態が数字で載っている書類
- 長期修繕計画書:今後30年程度の工事予定と、それに必要な積立金の計画
- 総会議事録:直近2〜3年分。値上げや一時金、借入の議論が出ていないか
いずれも、売主側の不動産会社や担当エージェントを通じて管理会社に請求します。
買主が管理会社に直接請求することは、基本的にできません。
重要事項調査報告書は発行に1週間前後かかり、手数料は1万円から2万円が相場です。
申し込みの段階で「確認したうえで契約するか判断したい」と伝えておくのが現実的です。
書類を取り寄せて中身まで見てくれるかどうかは、担当者次第です。管理組合の資料まで確認してくれる担当者を、物件を決める前に選んでおいてください。
→ ハウスクローバーで管理まで見てくれる担当者を探す(無料会員登録)
必ず見る5つの数字
重要事項調査報告書を受け取ったら、次の5つを見てください。
- 修繕積立金の積立総額:管理組合がいま持っているお金
- 管理費・修繕積立金の月額:この部屋が毎月払う額
- 滞納額:マンション全体でどれだけ未収があるか
- 管理組合の借入:大規模修繕のために借金をしていないか
- 改定予定:管理費や修繕積立金の値上げが決まっていないか
書類の見方は「重要事項調査報告書とは?見方・取得方法・費用をプロが解説」に、大規模修繕の履歴と計画の読み方は「マンション大規模修繕は買う前にどこを見る?周期・費用と修繕履歴の読み方」に、それぞれまとめています。
総会議事録で見る3つのこと
議事録は数字の書類ではありませんが、管理組合が機能しているかどうかがいちばんよく分かる資料です。
私が見るのは次の3点です。
- 値上げや一時金、借入の議案が出ていないか、出ていたなら可決されたのか否決されたのか
- 大規模修繕の発注で、複数社から見積もりを取って比較した記載があるか
- 管理会社の提案が、議論なく「原案どおり可決」で続いていないか
管理会社の言いなりになっている管理組合は、工事費が高止まりしやすく、その分が将来の値上げとして買主に返ってきます。
管理組合と管理会社の関係は「マンション管理組合と管理会社の違い|「言いなり」にならないための知識と関係性」で詳しく書いています。
数字は載っている。ただし「足りているか」は載っていない
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
重要事項調査報告書には、積立金の残高も月額も書いてあります。
しかし、その残高が次の大規模修繕に足りるのか、月額をいくらまで上げれば健全に回るのかは、どこにも書いてありません。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金の残高が長期修繕計画上の予定額に届いていないマンションが36.6%ありました(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」令和6年6月21日公表)。
管理費や修繕積立金を3か月以上滞納している住戸があるマンションも30.1%です(出典:同上)。
つまりおよそ3軒に1軒は、書類の数字を計画と突き合わせると足りていない、ということです。
目安と比べるだけでは判断できない理由
国土交通省は修繕積立金の目安を、㎡あたりの月額で示しています。
20階未満で平均252〜335円、20階以上で338円という水準です(出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」令和6年6月改定)。
70㎡なら月17,600円から23,700円程度が、平均的な水準ということになります。
ただし、この目安と比べて安いから危ない、高いから安心、とは言い切れません。
私がこれまで管理組合の資料を調べてきた経験では、同じような規模と工事内容でも、工事費に2〜3倍の開きが出ることがあります。
管理組合が機能していて、管理会社の見積もりだけでなく自分たちでも相見積もりを取っているマンションは、積立金が安くても健全に回っています。
逆に、値上げを先送りしているだけで安いマンションもあります。
安いという事実だけでは、優良なのか先送りなのかは分かりません。
段階増額方式なら、将来の値上げが前提になっている
2015年以降に完成したマンションでは、段階増額積立方式が81.2%を占めています(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」)。
最初は安く設定し、数年ごとに引き上げていく方式です。
長期修繕計画書には値上げの予定が書かれていますが、その計画自体が工事費の値上がりを織り込んでいないことも珍しくありません。
工事費そのものが近年大きく上がっているためです。
修繕積立金が将来どこまで上がるのかについては「マンションの修繕費はいくら?修繕積立金の相場・管理費との合計・値上げの見通し」で詳しく書いています。
自分で判断できないときの3つの選択肢
数字を将来の工事費と突き合わせる作業は、慣れていないと難しいものです。
判断がつかないときの選択肢は、大きく3つあります。
1. マンション管理士や建築士に個別診断を頼む
管理組合の資料を専門家に読んでもらう方法です。
1物件ごとに費用がかかり、数万円になるものが多いため、ほぼ決めた1件の最終確認に向いています。
候補が複数ある段階では、費用がかさみます。
2. 管理まで見てくれる担当者に調べてもらう
不動産の担当者の中には、管理組合の資料を取り寄せて中身まで読んでくれる人がいます。
ただし、資料の取り寄せまではしても、積立金が将来足りるかどうかまで判定してくれる担当者は多くありません。
担当者を選ぶ段階で、「管理組合の財政まで見てもらえますか」と聞いてみてください。
3. 書類をアップロードして判定を受ける
私が運営しているハウスクローバーでは、重要事項調査報告書と長期修繕計画書をアップロードするだけで、管理状態をA〜Eの5段階で判定する「買っていいマンション診断」を提供しています。
現在の積立水準を続けた場合の30年間の残高推移と、健全に回すために必要な値上げ額を、今すぐ・3年先送り・5年先送りの3パターンで試算します。
判定は原則すぐに出ます。
ハウスクローバーの無料会員なら月額9,800円(税込)で何件でも診断できるため、候補を全部診て比べる使い方も、本命の1件を最終確認する使い方もできます。
なお本診断は情報提供のサービスで、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明や建物状況調査を代替するものではありません。
数字を見て迷ったら、先に判定を出してから担当者に質問する、という順番でも構いません。
→ マンションの管理状態を調べる(買っていいマンション診断)
慎重に検討したほうがいいマンションのサイン
ここまでの3段階で、次のようなサインが出たら、私は一度立ち止まることをおすすめしています。
- 築年数のわりに修繕積立金が極端に安く、値上げの予定も書かれていない
- 長期修繕計画が7年以上見直されていない、または計画期間が30年に満たない
- 数年内に大規模修繕が予定されているのに、残高が1戸あたり100万円を大きく下回る
- 一時金の徴収や借入が予定されている、または過去に繰り返されている
- 滞納が続いている住戸が多い
- 総会で値上げの議案が何度も否決されている
- 議事録が「管理会社の提案どおり可決」ばかりで、相見積もりの記載がない
どれか1つで即座にやめるべき、というものではありません。
ただ、複数が重なっているなら、購入後に大幅な値上げか一時金が来る可能性が高いと考えてください。
買う前に管理状態を確認するチェックリスト
無料でできること
- 管理計画認定マンション閲覧サイトで物件名を検索した
- マンション管理適正評価サイトで物件名を検索した
- 登録がない場合も、それだけで判断しないと決めた
現地で見ること
- ゴミ置き場、駐輪場、掲示板、共用廊下、管理員の5か所を見た
- 見た目の印象だけで安心していないか、自分に確認した
書類で確認すること
- 重要事項調査報告書、長期修繕計画書、総会議事録を担当者経由で請求した
- 積立総額、月額、滞納額、借入、改定予定の5つの数字を見た
- ㎡単価に直して国土交通省の目安と比べた
- 段階増額方式なら、将来の値上げ予定を確認した
- 議事録で相見積もりの記載と、値上げ議案の可否を確認した
判断すること
- 残高が次の大規模修繕に足りるかを、専門家か診断で確かめた
- 慎重に検討すべきサインが複数重なっていないか確認した
まとめ
中古マンションの管理状態は、買う前に調べられます。
無料の公開サイトと現地で「見た目と評判」を、重要事項調査報告書などの書類で「数字」を、そしてその数字が将来足りるのかという「判定」を、この順番で確認してください。
いちばん多い失敗は、現地の印象で安心して書類を省くことと、書類の数字を見ただけで足りていると思い込むことです。
数字は載っていても、足りているかは載っていません。
そこだけは、自分の目か、専門家の目か、判定の仕組みのどれかで必ず確かめてから決めてください。
中古マンションの管理で失敗しないために
ここまで読んで、自分で全部確認するのは大変だと感じた方も多いと思います。
私が企画運営をしているハウスクローバーは、全国の不動産エージェントのマッチングプラットフォームです。
審査を通過した全国の優秀な不動産担当者のみを掲載していて、エリア・得意物件・取扱実績・業界歴から、自分に合う担当者を選べます。
ライフプランシミュレーション、物件の新着自動通知、マンション管理組合の調査といった機能もご利用いただけます。
ハウスクローバーの登録・利用は無料です。成約したときに通常の仲介手数料がかかります。
詳細はこちら不動産担当者・エージェントが探せる|ハウスクローバー
よくある質問
中古マンションの管理状況を確認するには、何から始めればいいですか
物件名で、管理計画認定マンション閲覧サイトとマンション管理適正評価サイトを検索するところから始めてください。
費用はかかりません。
そのうえで、売主側の担当者に重要事項調査報告書と長期修繕計画書の取り寄せを頼みます。
内見だけで管理状態は分かりますか
日常の管理の良し悪しは分かりますが、お金の状態は分かりません。
ゴミ置き場や掲示板がきれいでも、修繕積立金が大きく不足しているマンションはあります。
現地の確認と書類の確認は、どちらか一方では足りません。
管理計画認定や適正評価の登録がないマンションは避けるべきですか
避ける必要はありません。
どちらも管理組合が自ら申請する制度で、登録しているのは全国のマンションのごく一部です。
登録がない場合は、書類を取り寄せて自分で確かめる、という順番になるだけです。
重要事項調査報告書はどうやって手に入れますか
売主側の不動産会社か担当エージェントを通じて、管理会社に請求します。
買主が直接請求することは基本的にできません。
発行には1週間前後かかり、手数料は1万円から2万円が相場です。
書類の数字を見ても、買っていいか判断できません。どうすればいいですか
数字を将来の工事費と突き合わせる作業は、慣れていないと難しいものです。
マンション管理士などの専門家に1物件ごとに診てもらう方法と、管理まで見てくれる担当者に調べてもらう方法、そして書類をアップロードして判定を受ける方法があります。
ハウスクローバーの「買っていいマンション診断」は、重要事項調査報告書と長期修繕計画書から管理状態をA〜Eで判定し、修繕積立金の30年シミュレーションを返します。
管理状態を代わりに調べてくれるサービスはありますか
あります。
マンション管理士や建築士による個別診断は1物件ごとに費用がかかり、数万円になるものが多いです。
ハウスクローバーの「買っていいマンション診断」は、無料会員なら月額9,800円(税込)で何件でも診断でき、判定は原則すぐに出ます。
いずれも重要事項説明などの法定の調査を代替するものではないため、契約前の重要事項説明は別に必ず受けてください。
管理の良いマンションの見分け方を一言でいうと何ですか
「残高が計画に足りていて、値上げが先送りされていない」マンションです。
見た目の清潔さや★の数は入口にすぎません。
最後は、書類の数字と将来の工事費の突き合わせで決まります。







素晴らしい仕組み
30代男性