「定期借地権のマンションって資産性は大丈夫?」
「買って後悔することはないか不安」
定期借地権のマンションは、三大都市圏を中心に徐々に分譲数を増やしており、近年では東京大学やお茶の水女子大学など国立大学法人の土地活用として、定期借地権マンションが建設される事例もあります。
定期借地権マンションの一番の魅力は、価格が安いことです。
新築マンションでは周辺相場の2割程度、中古マンションでも相場より安く売買されるケースが多く、近年の不動産相場の高騰のなかでは、消費者にとって気になる価格設定となっています。
しかし、定期借地権マンションは、土地を借りて建物のみを所有する形態であるため、将来的な資産性を不安視されることがあります。
さらに、借地権に期限があるため、残存年数が少なくなることでリセール面での不安や地代等の負担でランニングコストが高く支払面での不安もあります。
では、定期借地権のマンションを購入すると後悔してしまうのでしょうか?購入は避けるべきなのでしょうか?
この記事では、定期借地権についての詳しい紹介や定期借地権マンションで後悔する一般的な理由等をご紹介します。
最後までお読みいただくことで、定期借地権のメリットやデメリット、リスクやリセール面についての理解を深められます。
また実際に立地や住環境などの条件により、定期借地権マンションを物件として検討できるようにもなるでしょう。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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定期借地権とは
定期借地権とは、借地期間に期限がある形態の借地権です。
不動産の場合は、一般定期借地権が利用され、その借地期間は50年以上と決められています。
定期借地権は、1992年の借地借家法の改正により新たに設けられた制度です。
当初は借地期間を50年で設定するマンションが多かったなか、近年では70年の借地期間を設けた定期借地権のマンションも分譲されるようになってきています。
定期借地権の場合、借地期間の更新が一切できないため、借地期間が満了するまでに建物を取り壊し地主へ更地返還することが最大の特徴です。
また、建物の取り壊しが決定しているため、管理費や修繕積立金といった通常のマンションでかかるランニングコスト以外でも、解体準備金の積み立てや、土地のレンタル料として地代の負担があることが一般的となっています。
そのため、不動産自体の価格が割安であることがメリットと言える一方で、月々のランニングコストが高く、ローンを含めた月々の返済額が一般的な所有権マンションと比べると割高となることがデメリットです。
また、定期借地権マンションは1992年に始まった制度であり、最も古いマンションでも1993年築となります。
そのため、2024年時点で定期借地権の期間を満了したマンションは国内にはなく、残存年数が残り僅かとなったときの資産性やリセール面、管理や修繕等についてどのような形態になるのかについて事例がない、ということも定期借地権マンションのリスクと言えるでしょう。
定期借地権以外の借地権の種類
ここからは、定期借地権以外の下記借地権についてご紹介します。
・旧借地権
・普通借地権
旧借地権
旧借地権とは、現在の借地借家法ができる以前の借地法に基づいた権利のことで「旧法借地権」と表現されることもあります。
旧借地権は、借主が借地期間更新の意思を示せば、半永久的に土地を借りられる権利です。
また、存続期間の定めがあれば建物がなくなっても借地権は消えず、再建築が可能となっています。例えば、火災で建物が滅失しても地主の許可なく再建築ができます。
つまり、現在の普通借地権と比べると、やや借主有利なルールとなっているのが旧借地権です。
普通借地権
普通借地権とは、借地期間の更新ができる形態の借地権です。
借地期間が到来すると、地主に更新料を支払い、借地期間の更新手続きができます。
なお、借地期間の設定は新築当初は30年以上、2回目の更新で20年以上、3回目の更新で10年以上にすると決められています。
また、更新については借地借家法により借主側に更新の意思があれば、借地期間の更新ができ、貸主側が借主との契約を拒むには相当な正当事由が必要です。
一方で旧借地権との違いは、建物が滅失したときの再建築に地主の許可が必要であることと、存続期間に制限があることです。
これにより、旧借地権よりやや借主の権利が制限されていますが、借地期間の更新については借主有利の権利であることに変わりはありません。
借地権と勘違いされやすい地上権とは
地上権とは、借主が土地をある程度自由に使える権利です。
土地の利用で貸主から制限や承諾を取る必要はないため、借地権のなかでも土地利用の自由度が高い権利と言えます。
地上権は、貸主にとっては都合が良い権利ではないため、設定できることはあまりないと思ったほうが良いでしょう。
定期借地権のマンションで後悔する理由
ここからは、定期借地権のマンションで一般的に後悔することが多い理由についてご紹介します。
これから定期借地権マンションを検討する際の参考にしていきましょう。
売却がしにくい
定期借地権マンションは、売却がしにくいことがあります。
まず、中古マンションとして流通している数が少ないため、借地権という漠然としたものから不安を感じ、一般消費者に敬遠されてしまうことがあります。
次に、残存年数が少なくなるほど居住期間が短く、期間満了で取り壊しとなるので資産性が見込めないという理由もあります。
最後は、定期借地権だと銀行のローンが使えないケースが多く、買主が資金確保できずに購入を断念するケースもあります。
以上3点の理由により、定期借地権マンションは売却がしにくいとされています。
リセールが悪い
定期借地権マンションは、リセールが悪いこともあります。
マンション市場として流通が少なく人気がないため、中古で売却しても購入時の価格より下回ってしまうことが多く、売却損になるケースが多いようです。
さらに土地の評価がないため、建物の経年劣化が、ダイレクトに資産価値の下落に繋がってしまうことも、リセールが悪い理由の要因となっています。
購入年齢によっては老後まで住むことができない
購入年齢によっては、老後まで住めないこともあります。
なぜなら、定期借地権マンションには居住期間に期限があるからです。
例えば、残存年数30年の定期借地権マンションに40歳で入居したら、期間満了で退去時の年齢は70歳となります。
つまり、老後の棲家として考えることはできず、高齢の状態での引っ越しを強いられます。
また、退去時は建物が残らないため資産として残るものは何もなく、次の住処の資金を売却資金で調達ができないことや、民間の賃貸住宅は高齢者が借りずらという風潮があるため、老後に新たな住処を確保しにくいというリスクも考えられるでしょう。
そのため、定期借地権マンションは老後を全うできない可能性があるため、後悔しているという意見があります。
ランニングコストが高い
最後は、ランニングコストが高いことです。
定期借地権マンションは、一般的にかかる管理費や修繕積立金の他に、土地のレンタル料としての地代と解体準備金が余計に掛かってしまうからです。
不動産価格は安いものの、ランニングコストは高いことで月々の支払金額は高くなる傾向があります。
また、一般的な所有権(土地付き)マンションと支払いが変わらないというケースもあり、結果定期借地権マンションを選ぶ意味合いがなくなってしまうこともあります。
メリットとデメリットを比較して検討をしよう
この記事では、定期借地権マンションの購入で後悔した理由やリスク、リセール面の注意点について解説してきました。
定期借地権マンションには、分譲価格が周辺相場より安いことや土地分の固定資産税がかからないなどのメリットはあるものの、一方でランニングコストの増加や土地がないのでリセールがしにくく、実際売却がしにくいという一面もあります。
つまり、定期借地権マンションには当然にメリットとデメリットが存在するため、不動産の立地条件や住宅購入を推し進める自らの背景、住宅購入に関する自らの考え方や意向などを鑑みて、購入には総合的な判断が必要です。
なお、定期借地権マンションの購入か否かについて、自らで判断が付きにくい場合には、不動産の専門家などの助言を聞きながら、物件の取捨選択を行っていくことがおすすめです。
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ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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