「なんだか相場よりも安い気がする。」
「理由はわからないけど、安いから買い時かもしれない!」
このように住宅探しをしている時に、相場よりも安いマンションを見つけた場合、それは定期借地権付マンションかもしれません。
もし知らずに定期借地権付マンションを購入してしまうと、メリットもありますが、デメリットもあるため、後々後悔してしまう可能性があります。
この記事では定期借地権付マンションとは何なのか、そしてメリットや購入時に注意する点についてご説明していきます。
定期借地権付マンションとは?
そもそも定期借地権とは、土地の所有者から一時的に土地の部分だけを借りる権利のことです。
どういうことかというと、マンションは土地部分と建物部分に分かれますが、その土地部分の所有者はずっと変わらず、土地部分はその所有者から借り、建物だけを購入する仕組みになります。
しかし一定期間を経過すると、その土地を所有者に返還しないといけないため、土地を含めて所有し続けることができません。
売却することや住宅ローンを組むことはできますが、様々な条件が加わるため難しく、そのため相場よりも安い価格で売られていることが多いのが特徴です。
市場で相場よりも安いマンションを見かけたら、まずは権利関係を確認してみてください。
土地の権利形態に定期借地権という言葉が見つかれば、借地権付きの物件ということになります。
定期借地権付マンションのメリット
大きなメリットとしては相場よりも安い価格であることと、固定資産税等の支払いが不要なことです。
定期借地権付マンションの場合、通常よりも2割近く安く売られていることが多いため、購入時にかかる費用を抑えることができます。
また、土地を所有するわけではないので、固定資産税等の税金を支払う必要がないのもメリットとなります。
定期借地権付マンションのデメリット
一方のデメリットとしては以下の通りです。
- 地代が毎月かかる
- 住宅ローンが組みにくくなる
- 売却するのが難しく、譲渡承諾料がかかる場合がある
- 期間が満了すると、更地にして返還しなければならない
固定資産税等はかからない一方で、代わりに地主への地代が毎月数万円程度かかります。
また、売却が難しいことや担保評価としてみることが難しいことなどから、銀行からの住宅ローン審査が下りにくい傾向にあるのもデメリットとなります。
売却時にも地主に支払う譲渡承諾料が別途で必要になる場合があり、場合によっては数百万円かかるケースもあります。
そして一定期間が満了となると、今度は更地にして地主に返還しなければいけません。
マンションの場合は解体するのに莫大な費用がかかるため、全住民で解体費用を積み立てるなどして期間満了時に備えているところもあるのです。
定期借地権付きマンションだと知らずに購入してしまうと、購入後に売却ができないことや、期間満了時に住まいを失うことなど分からず、買った後の後悔を生むことになります。
事前に物件の権利関係を確認するなどして、物件の見極めが必要となります。
定期借地権付マンションの資産価値は?
将来的な売却価格という点からみると、定期借地権付マンションは残存期間によって資産価値が変わってきます。
なぜなら期間満了に近い場合は、居住期間があまりとれず、返還しなければならないからです。
ただ、定期借地権付マンションは基本的に立地に優れた場所にあるため、利便性や住みやすさという部分の価値は意外とあります。
都心でマンションを欲しいけれど、手が届かない人にとっては、安い価格で利便性のある立地のマンションに住めるという価値が生まれます。
いずれにしても、最終的に手元に残り物はないため、資産というよりも賃貸に近い部分があります。
投資物件としてはアリかも?
将来的に子供に相続して、住み続けてもらいたいという人には定期借地権付マンションは向きません。
しかし一時的な住まいとして、または投資用の物件として利用するのであれば、その魅力を生かすことができます。
都心で勤務する間のみの住まい、投資用として賃貸に出す物件としては、便利な立地と利便性が十分に生きます。
あくまで安さにとびつくのではなく、物件をよく見極めて、将来のライフプランを見据えて選ぶ必要があります。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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