オートロックや宅配ボックスなど便利な共用設備があり、立地の良さもあって住みやすい条件が揃うマンション。
そんなマンションでの暮らしに憧れる反面、騒音問題が気になる方もいらっしゃるでしょう。
どの程度の音が気になるのかは人それぞれなので、音に関する問題は意外と深刻です。
この記事では、マンションの騒音問題についてご紹介します。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎
公式LINE@に友だち登録すると
マンションならではの騒音問題
マンション内で発生する騒音は、ほとんどが日常生活の中で生じる生活騒音です。
環境省の調査によると、1年間で寄せられた騒音に関する苦情のうち、家庭生活関連の音の苦情は6.2%でした。
この割合は、建設作業の33.6%、工事・事業場の28.0%と比べると小さい数値です。
しかし航空機の3.2%や自動車の1.9%、鉄道の0.4%より苦情が寄せられた件数が多いことを踏まえると、生活騒音で悩まされている方が多いことが分かるでしょう。
なお、マンションで発生しやすい騒音トラブルの原因としては足音や話し声・テレビの音量などが挙げられますが、楽器の音や給排水音・ペットの鳴き声・車のアイドリングなどもあります。
※参照元:環境省 うるさくなっていませんか?生活騒音 互いの思いやりで騒音のない社会を
マンションで騒音問題が起きやすい理由は、記事冒頭でも述べたように「どの程度の音が気になるのかは人それぞれ」だからです。
自分では特に気にならない程度の音でも、隣人や下の階の方にとってはうるさく感じてしまうことは珍しくありません。
特にマンションは戸建てと違い、上下左右のお宅と壁・天井・床を隔てて密接している分、戸建てより音が伝わりやすくなります。
これが、マンションならではの騒音問題が発生する理由です。
賃貸マンションと分譲マンションでは造りが違う
ところで、同じマンションでも賃貸と分譲では建物の造りが違います。
住居用の建物は、木造・軽量鉄骨造・重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の5種類に大別されますが、遮音性は以下のように異なります。
※軽量鉄骨造・重量鉄骨造の違い…使用する鉄骨の厚みが6mm以上なら重量鉄骨造、6mm未満なら軽量鉄骨造となる。
上の図のように、木造・軽量鉄骨造・重量鉄骨造は音が響きやすく、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は音が響きにくい構造です。
そして賃貸マンションの多くは遮音性が低い構造で建てられているため、音が響きやすい特徴があります。
対して分譲マンションは、購入して長く住むことを想定して建てられるため、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造など遮音性が高い構造が基本です。
そのため同じマンションでも賃貸は音が響きやすく、分譲は音が響きにくくなっているのです。
住宅購入で絶対に失敗したくない方へ
「こんなサービスが欲しかった!」の声が続々!住宅購入で失敗しないためのサービスがひとつに。
- 無理なく支払っていける予算が分かる
- 全国の優良な担当者(不動産エージェント)が探せる
- 物件検索を自動化させて、希望の物件を見逃さない
音の種類は二種類ある
音の伝わり方には、空気伝播音(くうきでんぱおん)と固体伝播音(こたいでんぱおん)があります。
空気伝播音とは空気中で伝わる音のことを指し、具体的には人の話し声やペットの鳴き声・テレビの音などが当てはまります。
ただし、空気伝播音は壁が厚く床や天井にも遮音設計がされているマンションなら、よほど大音量だったり窓を開け放ったりしていない限りはあまり問題になりません。
一方で固体伝播音は床や壁が振動して伝わる音のことを指し、人の足音や家具を動かす音・ドアを開け閉めする時の音などが当てはまり、騒音問題になりやすいです。
さらに固体伝播音のうち、床から伝わる音は軽い音と重い音の2種類に分かれます。
軽い音とは人の歩く音や軽い物が床に落ちた時の音などで、重い音は子どもが飛び跳ねる音や椅子を引きずる音・重い物を床に落とした時などの音が該当します。
軽い音はマンションの床の構造や床材次第で軽減しやすいですが、重い音は軽減できる度合いに限度があるため、騒音問題に発展しやすいのです。
生活音は床材をチェック
購入希望のマンションではどのくらい生活音が響くのか調べるには、床材のチェックがおすすめです。
マンションの床材といえばフローリングを思い浮かべる方が多いと思いますが、フローリングにも遮音フローリング・クッションフロア・無垢フローリングなど複数の種類があります。
遮音フローリングやクッションフロアは、ふわふわした床材で音を吸収しやすく、階下に響く音を軽減しやすい素材です。
床材の遮音性は「L値(LL値またはLH値)」と呼ばれる遮音等級で表示され、この数値が高いほど遮音性が高い床材となります。
一方、無垢フローリングは表面が固いため遮音性も低く、階下へ音が響きやすいデメリットがあります。
もし購入希望のマンションの床材が遮音性の低いものだったら、床材を張り替えてリフォームし、遮音性を高めるのもいいでしょう。
ただしマンションによっては床材が指定されていて、希望の床材でリフォームできないケースがあります。
床材の指定の有無は管理規約を調べると分かるので、購入前に不動産エージェントを通じて調べておきましょう。
足音はコンクリートの厚さに注目
生活音と同じく問題になりやすいのが、足音の響きです。
足音は歩き方次第で響く音の大きさが変わるため、床材だけでは軽減しきれないこともあります。
その足音を軽減しやすいかどうかを見極めるポイントが、コンクリートの厚さ=スラブ厚です。
マンションの壁・床下・天井などに使われるスラブ厚は、数値が高ければ高いほど遮音性が高まります。
最近のマンションだとスラブ厚が200mmあるような、遮音性の高さを意識した物件が増えてきました。
一方、中古マンションの中にはスラブ厚が180mmや150mmなど、200mm未満の物件も多く存在します。
もし気になる中古マンションのスラブ厚が200mm未満の場合は、なるべく数値が200mmに近い物件を選ぶといいでしょう。
なおマンションのスラブ厚は、建物完成時に作成する竣工図と呼ばれる設計図書に記載されています。
竣工図はマンションの管理組合か管理会社で保管しているので、購入前に不動産エージェントを通じて確認させてもらいましょう。
二重床かどうかをチェック
マンションの床は、床材・スラブ厚の他にも二重床かどうかチェックすることも重要なポイントです。
二重床とは、スラブ厚の上にボルトを入れてその上に床材を施工する方法で、文字どおり二重に設計された床を指します。
一方、スラブ厚の上に直接床材を施工する方法もあり、こちらは直床(じかゆか)と呼ばれます。
二重床の場合、スラブ厚と床材の間に空間がある分、床から階下へ伝わる音を軽減しやすくなるのです。
マンションの床が二重床なのかどうかチェックするには、床を叩く方法と歩いてみる方法を試してみましょう。
コンコンと軽く床を叩いてみて軽い感じの音がしたら二重床で、重い感じの音がしたら直床です。
そして二重床は、スラブ厚との間に空間があるため、フローリングの下にクッション材を入れて施工することはあまりありません。
反対に直床はフローリングとスラブ厚の間に空間がない分、クッション材を入れて施工されるのが一般的です。
したがって床を歩いてみて固い感じがしたら二重床、ふかふかする感じがしたら直床と判断できます。
なお二重床の場合、空間は給排水管を通すスペースとして使われます。
そのためキッチンやバスルーム・トイレなどの水回りのみ二重床で、リビングや寝室などは直床の設計になっていることも珍しくありません。
ただし、直床でもスラブ厚の数値が高いほど遮音性は高まるので、二重床でない箇所はスラブ厚の数値にも注目しましょう。
住宅性能評価書の遮音性能をチェック
マンションの遮音性は、床材・スラブ厚・二重床か直床かという方法以外にも、住宅性能評価書で確認することも可能です。
住宅性能評価書とは、新築住宅や中古住宅の性能がどの程度あるのか専門家が評価し、その結果を示した書類です。
評価方法は住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づいて行うこと、評価する専門家は国土交通省に登録済みの評価機関であること、評価ルールは全国共通であることなどの決まりがあり、結果は等級にて表示されます。
住宅性能評価の項目は10個あり、そのうちの8番目が音環境に関する項目です。
音環境に関する項目では、重量床衝撃音対策・軽量床衝撃音対策・透過損失等級(界壁・外壁開口部)の評価結果をそれぞれ決められた等級段階で表示し、いずれも等級数が高いほど遮音性が高いことを表します。
ただし住宅性能評価を受けることは義務ではないため、全てのマンションに住宅性能評価書があるとは限りません。
また住宅性能評価項目のうち、音環境に関する項目は評価を受ける側が評価してもらうかどうかを選べる選択制となっています。
※参照元:国土交通省住宅局住宅生産課 新築住宅の住宅性能表示制度ガイド
国土交通省住宅局住宅生産課 既存住宅の住宅性能表示制度ガイド
そのためまずは住宅性能評価書があるかどうか、そして音環境に関する項目の評価を受けているかどうか、評価があれば等級はいくつなのかをしっかり確認しましょう。
完全に音問題が解決されることは不可能
複数の世帯が同じ屋根の下で暮らすマンションは、住戸同士が戸建てより密接している分、100%騒音問題がなくなることは不可能です。
いくら自分が気を付けていても、隣人や下の階の方が音に敏感な方なら苦情を言われるかもしれないし、反対に自分が騒音で迷惑を被るかもしれません。
せっかく購入したマンションで騒音問題に巻き込まれる確率を低くするには、騒音を出さないように気を付けることと購入前に遮音性をしっかり確認することが重要です。
そしてマンションの遮音性を個人で調べるには難しいので、ぜひ不動産エージェントを頼りましょう。
マンションに詳しい不動産エージェントを通じて遮音性の高さを確認できれば、購入後も安心して暮らせます。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎
素晴らしい仕組み
30代男性