この記事で分かること
- マンション修繕積立金の全国平均(令和5年度調査で月額13,054円)
- ㎡単価ベースの相場(250〜300円/㎡、70㎡換算で約17,500〜21,000円)
- 築年数別の修繕積立金の推移
- 業界17年のプロが教える「3万円ライン」の購入判断軸
- 修繕積立金がどこまで上がるか(平均約3.6倍値上がりの実態)
- 段階増額方式と均等積立方式の違いと選び方
- 2024年6月改定の国交省ガイドライン(1.8倍上限・0.6倍以上)
- 値上げ実態(全国平均は5年で月1,811円上昇)
- 建設工事費デフレーター 30%超上昇のインパクト
- 修繕積立金が払えなくなった時の対処法と相談窓口
- 値上げを抑制する管理組合の取り組み
- 中古マンション購入時の修繕積立金チェックリスト
マンションの修繕積立金は「払い始めたら止められない月額コスト」です。購入前に相場を知っておかないと、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔します。本文では業界17年・管理組合財務調査5,000件以上の経験を持つ現役不動産エージェントの目線で、後悔しない判断軸を本音で解説していきます。
「マンションの修繕積立金っていくらぐらいが相場なの?」
「修繕積立金についてくわしく知りたい」
マンション購入時に修繕積立金の金額や将来的な上がり幅については、コスト面で気になる方も多いのではないでしょうか。
昨今では建築資材や人件費の上昇で、さらに修繕積立金が上がる可能性が高まってきています。
実際、マンションは築年数が進むと修繕箇所が増えるため、修繕積立金は徐々に上がっていくことが一般的です。
では、修繕積立金に相場はあるのでしょうか?
また相場があれば、いくらぐらいが妥当なのでしょうか?
この記事では、修繕積立金に関する基礎的な内容や相場、実際の積み立て方法について解説します。
さらに、国土交通省が発表している修繕積立金に関する指針についても、くわしくご紹介します。
この記事をお読みいただくことで、マンションの維持管理に欠かせない修繕積立金について深く理解できます。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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修繕積立金とは

修繕積立金とは、建物のメンテナンスに関する費用や大規模修繕の費用を捻出するために積み立てを行っているお金のことです。
毎月一定の金額を所有者から徴収し、集めたお金は管理組合の口座に貯められ、工事が必要なタイミングに応じて使用されます。
なお、修繕積立金は築年数が進むほど上がります。
その理由は、建物が古くなるにつれて外装や共用部の傷みが酷くなり、メンテナンスの頻度や対象が多くなるからです。
つまり、築年数が進むほど修繕積立金が高くなっていくのが一般的です。
修繕積立金と管理費の違い
管理費とは、マンションの管理や運営のために支払う費用です。
例えば、実際に管理業務を行う管理会社に支払う費用や共用部の光熱費などに充てられます。
修繕積立金は上がるケースが多いのですが、管理費は上がること前提で金額設定は行われていません。
しかし、管理費等の収支悪化や物価高騰などの要因により、管理会社から値上げの要請があった場合、管理費が上がる可能性もあります。
長期修繕計画書とは
長期修繕計画とは、マンションの大規模修繕や定期点検などの予定を長期間にわたり先を見据えて計画するものです。
これらをまとめたものが、長期修繕計画書となります。
長期修繕計画書は、一般的に30年先を見据えて計画されており、今後発生する修繕箇所や見積もり金額をもとに、修繕積立金として集める金額を設定しています。
修繕積立金には相場が提示されている
修繕積立金の目安については、国土交通省が発表する「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」にて示されています。
このガイドラインは、マンション購入者や所有者が修繕積立金に関する基本的な知識や金額の水準などについて、目安となる水準が分かります。
修繕積立金と長期修繕計画については、一般の消費者では分かりづらい部分となります。
設定されている修繕積立金が適正か否かの判断がつきにくいため、このようなガイドラインの存在は重要と言えます。
修繕積立金の目安と算出方法
ここからは、修繕積立金の目安と算出方法について解説します。
修繕積立金の額の目安
修繕積立金の目安と算出方法について、国土交通省のガイドラインを参考にご紹介します。
まず修繕積立金は、建物の階数や戸数などの規模感や共用部としての施設や設備の多さにより変わってきますが、ガイドラインでは目安的な金額を示しています。
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「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)」
修繕積立金は、基本的にマンションの戸数が少ないと高くなる傾向があります。
その理由は、総戸数が少ない分、1世帯あたりにかかる負担額がどうしても多くなってしまうからです。
そのような背景もあり、5,000㎡未満のマンションについては、他の規模のマンションと比べて修繕積立金の平均値は高くなっています。
また、20階以上のいわゆる高層住宅については、修繕工事自体に特殊な作業が多く、修繕積立金は高くなってしまいます。
このように修繕積立金の目安がガイドラインで示されることで、現在設定されている金額が適正か否かの判断材料になるでしょう。
次に、修繕積立金の算出方法は、以下のとおりです。
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「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)」
上記計算式をもとに修繕積立金の金額について、計算してみましょう。
なお、これらの計算式はあくまで参考です。
ここで計算する金額よりも高ければ「安全」、安ければ「リスクが高い」というわけではありません。
修繕積立金の運用の良し悪しは、管理組合の運営によって、かなり差が出ます。
つまり毎月の修繕積立金が高くても、それでも足りないマンションもあれば、毎月の修繕積立金が安くても十分運営ができているマンションもあるということです。
なぜそのような違いが出るかが気になる方は、こちらの記事も合わせてご参照ください。
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機械式駐車場がある場合の加算額
機械式駐車場があると、設備自体の保守メンテナンスがあるため、修繕積立金はさらに加算されます。その目安は、以下のとおりです。
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「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)」
例えば、2段(ピット1段)昇降式が3つ(6台分)あった場合、機械式駐車場の修繕工事費は1台あたり6,450円です。
マンションの総床面積が3,000㎡の場合の加算額は、以下のように計算できます。
【機械式駐車場がある場合の加算額=6,450円×6(台)÷3,000(㎡)=12.9円】
つまり、既存の修繕積立金に12.9円を加算した額が修繕積立金の目安です。
機械式駐車場の個別性や、将来お金が足りなくなった時に取ることができる対応策など、詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
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修繕積立金の全国相場(令和5年度マンション総合調査)
国土交通省が5年ごとに実施している「マンション総合調査」の令和5年度版を参考に、修繕積立金の全国相場を整理します。
1戸あたりの平均月額
令和5年度マンション総合調査によると、1戸あたりの修繕積立金の平均は月額13,054円(駐車場使用料等からの充当額を除く)です。
価格帯別に見ると、最も多いのが月額10,000円超15,000円以下の価格帯になります。中古マンションを検討するときの「ざっくりした目安」として、月10,000〜15,000円が一つの基準と考えてよいでしょう。
㎡単価ベースの目安
修繕積立金は専有面積によって金額が変わるため、より正確な目安として1㎡あたりの単価で比較すると判断しやすくなります。
全国の平均的な水準としては、おおむね1㎡あたり月250〜300円で推移しているケースが多いです。70㎡換算で計算すると、月額17,500〜21,000円が平均的な目安となります。
国土交通省ガイドラインでは、専有面積あたりの目安として規模別に1㎡あたり月252〜335円前後(平均値)を提示しており、70㎡で換算すると月額およそ17,600〜23,500円が平均的な水準の目安となります。
検討中のマンションの修繕積立金が、この範囲を大きく外れている場合は注意が必要です。安すぎる場合は将来の値上げリスク、高すぎる場合は管理運営に問題がある可能性を疑ってください。
築年数別の修繕積立金の推移
築年数別に見ると、新築直後は月額が低く、築年数が進むにつれて値上げされていく傾向があります。具体的な目安としては次のとおりです。
- 築5年以内:月額7,000〜10,000円程度(70㎡換算)
- 築10〜15年:月額10,000〜13,000円程度
- 築20〜25年:月額13,000〜16,000円程度
- 築30年以上:月額15,000〜25,000円程度(マンションによって幅が大きい)
- 築40〜50年:月額20,000〜35,000円程度のケースも
新築時に月額5,000円程度だったマンションが、築20〜30年で月額20,000〜30,000円まで上がるケースは決して珍しくありません。中古マンションを購入するときは、「今の金額」だけでなく「将来上がる予定」を必ず長期修繕計画書で確認してください。
修繕積立金3万円は高い?
私がお客様の中古マンション購入のお手伝いをしている中で、1つの目安となるのが毎月の修繕積立金が3万円というラインです。
3万円を超える中古マンションは、お客様が購入にあたって躊躇する方が多いと感じるのです。
よって、3万円を超えているかどうか、また将来的に3万円を超えそうかどうかで、その中古マンションの良し悪しを判断する目安とするのも良いと思います。
修繕積立金はどこまで上がるか?
修繕積立金がどこまで上がるかは、長期修繕計画にその予定額が示されています。
ただ、長期修繕計画書はあくまで管理会社が作成したものであり、必ずその通りになるとは限りません。
実際どの程度まで上がるかは、マンションの管理組合がどれだけ機能しているかにかかっています。
私が調査してきたマンションでは、将来的に毎月の積立金額が6万円以上になると予測されるものもありました。
一方で毎月の積立金額が数千円で運営できているマンションもあります。
修繕積立金は、仮に同じ管理会社であったとしても、管理組合の運営次第で大きく変わるということを覚えておきましょう。
マンションの管理組合と管理会社の違いや、マンションを購入するのであれば必ず知っておくべきポイントをまとめた記事も合わせてご参照ください。
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修繕積立金の積立方式

ここからは、修繕積立金の積立方式について解説します。
段階増額積立方式
段階増額積立方式とは、一定の時期ごとに段階的に修繕積立金を上げていく方式のことです。
徐々に上がっていくことが確定されているわけではなく、その時々でマンションの管理組合の総会で話し合いをしながら決議を採択して金額が上がっていきます。
上げなければいけないタイミングで値上げをしていなかったり、本来不必要な工事まで管理会社主導で進んでしまい、将来的に修繕積立金が不足するなど、問題が出やすい方式といえます。
均等積立方式
均等積立方式は、建物竣工の初年度から一定金額の修繕積立金を集める方法で、期間途中での増額を行わない方式となります。
均等積立になるので築年数が古くなっても、ランニングコストが上がらないことがメリットで、比較的安全性の高い積立方式といえます。
ただし建築費単価やマンションの状況によっては変更をせざるを得ないような状況になる可能性はあります。
段階増額積立方式と均等積立方式はどちらが多いか?
国土交通省が5年ごとに管理組合に対して行っているアンケートによれば、築年数が新しくなればなるほど、段階増額積立方式が多くなっているのが分かります。
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令和5年度 マンション総合調査(国土交通省)
段階増額積立方式が多くなっている理由は、新築マンションの販売時になるべく支払額を安く見えるようにして、売れやすくしたいという販売会社の思惑からです。
特に近年では新築マンション価格が高騰しており、ほとんどのマンションで段階増額積立方式が採用されています。
それだけに、築年数が新しくなればなるほど、修繕積立金のリスクがあると考えても良いのではないでしょうか。
計画に対して積立金が不足しているマンション
同じく令和5年度「マンション総合調査」(国土交通省)」によれば、修繕積立金が不足しているマンションは全体に対して36.6%あるとされています。
つまり、実に3割超のマンションでは、修繕積立金が不足している事態に陥っています。
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また積立金がしっかり積み立てられていると答えているマンションの割合は4割を切っている状況で、2割強のマンションでは、そもそも足りるか足りないかが分からないと答えています。
なぜこのような状況が起こってしまっているのでしょうか。
もちろん、近年の物価高騰、資材高騰や工事費の上昇などが要因でもあります。
また、値上げをしなければいけない状況で管理組合の意見がまとまらずに値上げを先送りしてしまっているマンションもあります。
そして何よりも問題なのは、管理会社が本来修繕をまだしなくても良い箇所や、工事費の水増し(キックバックなど)により、管理組合が本来負担すべき積立金を超えてしまっていて、結果として不足しているマンションも実は数多く存在しています。
ここ最近の建築費の高騰もあり、それに便乗した管理会社からの積立金の値上げを国土交通省が問題視するようになりました。
修繕積立金の値上げ実態と「平均約3.6倍」の現実
「修繕積立金は値上げされる」と聞いても、どのくらい上がるのかピンとこない方が多いと思います。国の調査データから、値上げの実態を見ていきます。
修繕積立金は調査のたびに上がり続けている
国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、修繕積立金の全国平均は1戸あたり月13,054円で、前回調査(2018年)から月1,811円上昇しました。これは平成20年度以降の15年間で最大の上げ幅です。25年前と比べると、修繕積立金の平均額はおよそ1.8倍に膨らんでいます。
修繕積立金は調査のたびに上がり続けているのが実態で、これから中古マンションを買う人にとっても、値上げは「起こるかどうか」ではなく「どの程度の幅で起こるか」を前提に考える必要があります。
平均で約3.6倍の値上げ
国土交通省の調査では、段階増額方式を採用したマンション249例を分析したところ、計画当初から計画の最終年までの間に、平均で約3.6倍の値上げになっているという結果が報告されています。
例えば、新築時に月額5,000円だった修繕積立金が、築30年で月額18,000円になっているような水準です。マンションによっては5倍以上に上がるケースもあり、購入時の月額は「将来の負担」を見るための出発点にすぎません。
建設工事費デフレーターの30%超上昇
なぜ修繕積立金がここまで上がっているのか。最も大きな要因は建築コストの上昇です。
国土交通省の建設工事費デフレーターによれば、2012年(アベノミクス開始)から2023年までの建築コスト上昇率は30%を超えています。資材費・人件費・物流費がそろって上昇しており、大規模修繕工事の費用も比例して高騰しています。
この上昇傾向は2024〜2026年も継続しており、過去の長期修繕計画で見込んでいた工事費では足りなくなるマンションが続出しています。値上げの根本原因は「管理会社の悪意」よりも「建築コストそのもの」にあるという理解が重要です。
均等積立方式 vs 段階増額方式の実態割合
令和5年度マンション総合調査によれば、全国のマンションの修繕積立金の積立方式は次のような割合になっています。
- 段階増額積立方式:47.1%
- 均等積立方式:40.5%
- その他・不明:約12%
新築マンションでは段階増額方式が多い一方、築古マンションでは均等積立方式への移行を進める動きも見られます。
国土交通省が修繕積立金に対する新しい指針を公表

2024年6月、国土交通省は修繕積立金に関する指針「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改訂版を発表しています。
これはマンションの修繕に関する問題意識を政府が改めて示し、既存マンションに住む居住者の快適で安全な住まいを確保するために定められています。
国土交通省がガイドラインを示すことで、長年放置されていたマンション修繕に関する問題の露呈と管理組合の意思決定の後押しになるような位置づけを目指しています。
マンションの修繕積立金の値上げが払えない問題を問題視
マンションの修繕積立金が値上げになると支払いができない世帯が今後出てくることが予想されます。
その理由は、マンション価格の高騰と歴史的な低金利により、世帯年収のギリギリまで夫婦でペアローンを組むケースが多いからです。
ランニングコストの上昇を考慮せずにローンを組んでいるため、修繕積立金が値上げになると支払いが厳しい事態に陥るケースが出てくる可能性があります。
また、ローンを組んだ時よりも世帯年収が下がってしまった場合や子供の教育費の増加でも、支払いが難しくなるケースも当然に考えられるでしょう。
これら修繕積立金の支払いができなくなると、修繕計画自体に狂いが生じ、必要な個所の修繕が必要な時期にできないおそれが出てきます。
修繕積立金の値上げ幅を、当初の1.8倍を上限に
このような状況を問題視した国土交通省は、2024年2月、修繕積立金の値上げ幅を当初の1.8倍を上限にする方針を示しました。
例えば、当初の修繕金が10,000円であれば、18,000円が上限となります。
ちなみに当初というのは、マンションが建築された時点のことをいい、今後のマンションは大幅な積立金の値上げができないようになります。
だからといって、それで安心ではなく、上げられないのに積立金が足りないという状況も来る可能性があることに注意が必要です。
新築時の積立金は基準額の0.6倍以上
段階増額積立方式で、新築時の修繕積立金は基準額の0.6倍以上としています。
基準額とは、計画期間全体における月あたりの修繕積立金の平均額です。
つまり、基準額を下回る修繕積立金の初期設定はできないこととなっています。
新築マンションの分譲業者のなかには、初期の修繕積立金を安くし月々のランニングコストを安く見せることで販売を進捗させる手法が一部で横行しているため、これらを防止する役目も果たしています。
引き上げの上限は1.1倍以内を推奨
現在存在している既存のマンションについては、本ガイドラインでは修繕積立金の引き上げ上限は、平均値の1.1倍以内を推奨しています。
これは修繕積立金の引き上げを実現性の高い範囲で早期に完了し、その後均等積立方式へ誘導することを目的としているためです。
ガイドラインでは、新築当初から5年おきに3回程度の引き上げを行い、その後の修繕積立金については均等に集めていくことを推奨しています。
これにより、将来的な修繕に支障が出ないように早めの引き上げと、安定的な修繕金の確保ができるようになります。
なお、実際の引き上げ幅はマンションにより異なります。
修繕積立金が払えなくなった時の対処法と相談窓口
家計が厳しくなり、修繕積立金の支払いが難しくなった場合の現実的な対処法をお伝えします。
まずは絶対に滞納しない
修繕積立金の滞納は、最終的に物件の差押え・競売につながるリスクがあります。管理組合は滞納者に対して、督促状送付・支払督促・最終的には強制執行(区分所有権の競売)まで法的手段を取ることができます。
支払いが厳しくなったら、滞納する前に必ず管理組合・管理会社に相談してください。早めに相談すれば、分割払いや一時的な減額の交渉が可能な場合があります。
売却を検討する
支払いが今後も継続的に厳しい見通しであれば、売却を選択肢に入れるのが現実的です。修繕積立金の値上げに苦しんでいる世帯が増えており、買い手側もこれを警戒しているため、値上がりがさらに進む前に売却したほうが市場価値を維持できます。
売却時は信頼できる不動産エージェントを選び、買い手に対して修繕積立金の現状と将来見通しを正直に伝えることが、トラブル防止につながります。
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公的な相談窓口
修繕積立金に関するトラブルの相談窓口は次のとおりです。
- マンション管理士(独立した第三者の専門家)
- マンション管理センター(公益財団法人。電話相談無料)
- 各都道府県の宅地建物取引業協会
- 国民生活センター(消費者ホットライン188)
- 自治体のマンション管理担当窓口(東京都・横浜市など独自の支援制度あり)
値上げを抑制する管理組合の取り組み
「修繕積立金を下げる」のは現実的には難しいですが、「これ以上値上げしない」「適正な水準に抑える」ための取り組みは可能です。代表的なものを挙げます。
管理会社の見直し
管理会社を変更することで、管理委託費用を下げて修繕積立金の値上げを抑制できる場合があります。5年に1回程度の頻度で複数社から相見積もりを取ると競争原理も働くため、管理費の抑制につながります。
ただし、管理会社の質には大きな差があり、安いだけの会社に変更すると後で対応の悪さに悩むケースもあります。価格だけでなく実績・対応力を含めて判断してください。
大規模修繕工事の競争入札
大規模修繕工事は、管理会社が指定した1社だけで進めると、工事費が割高になりがちです。複数の施工会社から相見積もりを取り、競争入札で発注することで、工事費を10〜20%程度削減できるケースが多くあります。
ただし管理会社から提出してくる見積もりだけで競争入札をするのは避けましょう。管理会社から出てくる見積もり業者は、談合が問題になっており、出来レースが問題視され、近年では公正取引委員会の調査も入るほどです。
あくまで大規模修繕工事の見積もりは、管理会社ではなく、管理組合が主体となって取るようにしてください。第三者のコンサルタント(マンション管理士・建築士)に入ってもらうと、より公平な競争入札ができます。
修繕計画の妥当性検証
長期修繕計画書は管理会社が作成しているため、自社(または下請け)に有利な内容になっていることがあります。第三者の建築士やマンション管理士に計画の妥当性を検証してもらうことで、不要な工事を削減できる場合があります。
「築20年で外壁全面塗装」が本当に必要か、「設備の交換時期」が現実と合っているかなど、計画の細部を点検することが大切です。
駐車場収入・店舗賃料収入の最大化
機械式駐車場の空き区画を外部に貸出したり、共用部のスペースを店舗・自販機・通信アンテナ等に貸し出すことで、副収入を増やせます。これらの収入は修繕積立金の補填財源となります。
中古マンション購入前の修繕積立金チェックリスト
中古マンションを購入する前に、修繕積立金について必ず確認すべき項目をチェックリストにまとめます。
現状の金額を確認
- 現在の月額修繕積立金を確認した(管理費と別か併算かも確認)
- 現在の㎡単価を計算した(70㎡換算で約17,600〜23,500円が目安)
- 同じマンションの過去の値上げ履歴を管理会社に確認した
- 現在の修繕積立金残高(管理組合の総資産)を確認した
長期修繕計画書を確認
- 長期修繕計画書を受領した(売主・管理会社経由)
- 計画書の見直し時期(一般的に5年に1回)を確認した
- 30年先までの修繕積立金の予定額を確認した
- 大規模修繕工事の予定時期と工事費を確認した
- 計画書の作成日が古すぎないか確認した
管理組合の運営を確認
- 管理組合の総会議事録(過去2〜3年分)を確認した
- 滞納者の有無・滞納率を確認した
- 管理会社が頻繁に変わっていないか確認した
- 修繕積立金の値上げ議論の経緯を確認した
将来リスクを評価
- 5年後・10年後・20年後の月額予定を試算した
- 将来「3万円」を超える可能性があるか確認した
- 一時金徴収の予定があるか確認した
- 機械式駐車場・タワー型などコスト要因設備の有無を確認した
これらをすべて自分で確認するのは難しいため、管理組合財務調査の経験豊富な不動産エージェントに同行を依頼するのが最も確実です。
マンションの管理調査ができる担当者を選ぼう
マンションの修繕は、そのマンションの資産性を維持するためには重要な要素です。
しかし、修繕積立金が当初の修繕計画通りに集められていないケースが多く、このようなマンションでは修繕積立金の不足や将来的な修繕工事自体に影響が出てくるおそれがあります。
マンション購入時には、修繕積立金が適正に徴収されているかや実際に設定されている金額、将来的に修繕金が足りない事態などに陥る心配がないかなどを、管理調査できる担当者を選ぶことが必要です。
マンション購入時には、金額や広さ、築年数や眺望だけでなく、居住後の管理や修繕計画についても目を向けることが重要となります。
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よくある質問(マンション修繕積立金のFAQ)
Q1. マンションの修繕積立金の全国平均はいくらですか?
国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、1戸あたりの修繕積立金の平均は月額13,054円(駐車場使用料等からの充当額を除く)です。
最も多い価格帯は月額10,000円超15,000円以下で、中古マンション検討時の「ざっくりした目安」として参考にしてください。
Q2. 修繕積立金は1㎡あたりいくらが目安ですか?
全国の平均的な水準は1㎡あたり月250〜300円程度です。国土交通省ガイドラインでは規模別に252〜335円程度(平均値)の目安が示されており、70㎡換算で月17,600〜23,500円程度なら平均的な水準と評価できます。
この範囲を大きく外れている場合は、安すぎる場合は将来の値上げリスク、高すぎる場合は管理運営の問題を疑ってください。
Q3. 築年数が古いマンションの修繕積立金はどのくらいが相場ですか?
築年数別の目安は次のとおりです(70㎡換算)。
- 築5年以内:月額7,000〜10,000円
- 築10〜15年:月額10,000〜13,000円
- 築20〜25年:月額13,000〜16,000円
- 築30年以上:月額15,000〜25,000円
- 築40〜50年:月額20,000〜35,000円(マンションにより幅大)
築年数だけでなく、マンションの規模・設備・管理組合の運営状況によって大きく変わります。
Q4. 修繕積立金が3万円を超えるマンションは買わない方が良いですか?
業界17年の経験では、月額3万円を超える中古マンションは購入をためらう方が多くいらっしゃいます。
ただし、機械式駐車場やタワー型などコスト要因設備がある物件では3万円を超えることが珍しくなく、必ずしも「悪い物件」とは限りません。長期修繕計画書と管理組合の財務状況を確認した上で、納得できれば購入可能な水準です。
逆に、月額3万円以下でも管理がずさんで将来一時金徴収のリスクがある物件は、3万円を超える優良管理のマンションよりリスクが高いケースもあります。
Q5. 修繕積立金は将来どこまで上がりますか?
国土交通省の調査では、段階増額方式のマンション249例で、計画当初から計画最終年までの値上げ幅が平均約3.6倍になっているという結果が報告されています。
例えば新築時に月額5,000円だった修繕積立金が、築30年で月額18,000円程度になる水準です。マンションによっては5倍以上、月額6万円以上になるケースもあります。
2024年6月の国交省ガイドラインでは、値上げ幅は当初の1.8倍を上限とする方針が示されていますが、強制力はないため必ずしも全マンションで守られているわけではありません。
Q6. 修繕積立金が払えなくなったらどうすれば良いですか?
滞納する前に必ず管理組合・管理会社に相談してください。早めに相談すれば、分割払いや一時的な減額の交渉が可能な場合があります。
継続的に厳しい見通しなら、売却を選択肢に入れることをおすすめします。マンション管理士・マンション管理センター・各都道府県の宅地建物取引業協会・国民生活センター(188)などの公的相談窓口も活用してください。
絶対に滞納したまま放置しないでください。最終的に物件の差押え・競売につながるリスクがあります。
Q7. 段階増額方式と均等積立方式、どちらのマンションを選ぶべきですか?
均等積立方式の方が将来の予測がしやすく、安全性が高いとされています。
ただし、近年の新築マンションは販売促進のために段階増額方式を採用しているケースがほとんどで、選択の余地がない場合も多いです。
段階増額方式のマンションを買う場合は、長期修繕計画書で将来の値上げ予定を必ず確認し、無理のない予算で購入することが大切です。










素晴らしい仕組み
30代男性