この記事で分かること
- マンションに火災保険は必要か(必要性とリスクの考え方)
- 分譲マンションで火災保険が補償する範囲(専有部分)
- 火災保険の選び方の手順(補償・保険金額・期間・特約・比較)
- 火災保険料の相場と、安くするポイント
- 地震保険を付けるべきかの考え方
マンションを購入するときに、引渡しが近づいてきたら考えることの一つに火災保険があります。
普段、保険にあまり馴染みがある人は多くなく、どんな保険に入れば良いのか。
そもそも火災保険はマンションでも必要なのか?
補償内容はどんなものを選べば良いのか?
などなど、様々な疑問が浮かぶと思います。
そこでこの記事では、私がかつて大手損害保険会社に勤務していた経験から、火災保険はどこがいいか?
またお勧めの補償内容などを判断できるよう、火災保険に関する様々な知識をお伝えしていきます。
この記事を読むことで、ご自身の考え方に合った火災保険選びができるようになるのではないでしょうか。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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本記事を読むにあたって知っておくべき単語
まず、本記事を読むにあたり、押さえておくべき単語について解説します。
保険用語は、慣れない人にとっては難解で分かりにくいものも多々あります。
記事を読む前に、単語の意味を押さえておくことで、内容が理解しやすくなります。
用語解説
- 主契約…保険契約で主となる契約
- 特約…主契約の付帯するもの。特約単体で加入することはできない。主契約が必要。
- 保険価格…保険の対象となるものの最大支払額
- 保険料…保険の支払い代金
マンション購入時の火災保険 入らなくても大丈夫?

マンション購入時の火災保険は、一昔前は住宅ローンを借りるときに、火災保険に対して「質権設定」をすることがよくありました。
質権設定とは、住宅ローンを貸し出す金融機関が、万が一対象物件が火災などで消失した際に、保険契約者に変わって保険金の請求や受け取りができる権利を設定するものです。
質権設定が比較的よく行われていた、2015年10月までは、火災保険は最長で35年間契約(地震保険は最長5年間)をすることができた時代です。
ですから、住宅ローンの借り入れ期間と火災保険を同じとすることができたのですが、頻発する災害リスクに対応するため、長期契約が10年(現在は最長5年)となった頃から、更新時の手間が考慮され、質権設定をされることが無くなっていきました。
質権設定がされるのであれば、マンション購入時の火災保険は必ず入らなければいけませんでしたが、現在は金融機関にもよりますが、確認で終わるところが多くなってきています。
ただ入らなくてもいいというわけではないので、注意しましょう。
リスクを自身で保有するか、保険に転嫁するか
そもそも保険というものは、必ず入らなければいけないというものではありません。
正しい考え方として、何か保険の支払いの対象になるような事故が起きたときに、その支払いを自分の財布から出すのか(リスクの保有)、保険から出すようにするのか(リスクの転嫁)、その選択をすることが保険加入の基本です。
ですから、ご自身にキャッシュが潤沢にあって、保険料がもったいないと感じるのであれば、保険に入らないという選択をすることも出来ます。
ただし損害保険は、何か事故が合った際の支払い金額は大きくなりがちなので、基本的には入った方がいいと思います。
分譲マンションの保険対象は専有部分のみ
分譲マンションは一戸建てと違い、所有者が加入する火災保険は専有部分のみとなります。
専有部分とは、壁の内側の部分になります。
建物の躯体そのものや、共用部については、管理組合で加入することが一般的です。
ですから、部屋の内部のみが対象となるマンションの火災保険は、一戸建てなどに比べると、頑丈さによる保険料率の安さも相まって、比較的安価で加入できます。
地震保険について
地域によっては、地震の発生確率が高く、地震保険に入りたいというニーズが高いところもあります。
地震保険は、他の損害保険と違い、国と保険会社が折半で保険料を積み立てる方式となっています。
また水害などの自然災害が発生したときに支払われる保険金は、損害保険会社にとっては損金として処理されますが、地震保険についてはその性質から、支払い保険金は損金処理されません。
これは地震保険の持つ意義に大きく関係しています。
地震保険は、一度発生すると、保険会社が単体で処理できるようなものではありません。
ですから、国がリスクを半分負担する形で運用されています。
また支払いも迅速に行われるように、保険会社の積立とは別会計で運用されています。
地震保険は火災保険の保険価格の半分まで
地震保険は、火災保険で設定した保険価格の半分が限度額となります。
例えば火災保険の保険価格が1000万円とした場合、地震保険の最大保険価格は500万円になります。
なぜ、地震保険は半分までしか保険をかけられないのか。
火災保険については、基本的に災害によって被害が生じた場合の保険対象物(マンション)の、完全復旧が目的とされていますが、地震保険については完全復旧ではなく、被災者の当面の生活資金という位置付けになっています。
例えば仮設住宅を出るときも、ある程度のまとまった費用が必要になります。
このような公共性の高い目的があるからこそ、国が半分危険を負担しているのです。
また国の制度として被災時のローンの減免制度が用意されています。
続きを読む被災したら、住宅ローンはどうなるの?
地震保険は火災保険に加入しないと入ることができない
また地震保険は単独で加入することができません。
地震保険は火災保険の特約扱いになりますので、火災保険の契約がないと加入ができません。
地震の保険金支払いは割合払い
また他の損害保険が、被害額の実損払いであるのに対し、地震保険は割合払いとなっています。
地震保険の支払い率
- 全損・・・・ 保険金額の100%(ただし、時価を限度とします。)
- 大半損・・・ 保険金額の60%(ただし、時価の60%に相当する額を限度とします。)
- 小半損・・・ 保険金額の30%(ただし、時価の30%に相当する額を限度とします。)
- 一部損・・・ 保険金額の5%(ただし、時価の5%に相当する額を限度とします。)
このような支払い方法になっている理由ですが、地震は広範囲で災害が発生しますが、少しでも多くの人に早く保険金を届けるためです。
火災保険では一般的な実損払いでは、損傷の算定を一件一件やらなければいけないので、それだけ保険金の支払いが遅れます。
地震保険の性質から、少しでも早く多くの人に保険金を届ける必要があるのです。
地震が起因となる事故は、全て地震保険の対象となる
また地震が起因として発生した火災や津波災害については、地震保険でしか支払われないことに注意が必要です。
火災保険では被害額が全額カバーされますが、地震の際の火災は、地震保険価格(火災保険の半額)までしか支払われないことを覚えておきましょう。
マンションの火災保険のおすすめ補償内容
主契約となるマンションの火災保険に主に以下の補償内容が存在します。
呼称などは保険会社によって変わることもありますが、基本的な内容については同じになります。
補償内容
- 火災
- 風災
- 水災
- 盗難・水漏れ等
- 破損等
火災の補償は基本補償となりますが、その他の補償は保険会社にもよりますが、ある程度組み合わせることができます。
マンションの1階や2階でなければ基本的には水害は必要ないと思われます。
また建物の補償に加えて、家財保険を付帯することが出来ます。
家財保険は、家具や家電などにかける保険です。
家財保険単独で保険に加入することも出来ます。
私のおすすめはこの家財保険で、特に地震保険については家財保険が最も出やすいです。
マンションの建物はそこまで大きく破損することは少ないですが、家財は地震の揺れで倒れたり、食器が落ちたりと被害が出やすくなります。
実際に東日本大震災のときに、私は保険会社に勤めていましたが、マンションに関しては家財保険の方が支払い率が高かったです。
予算が許すのであれば、補償を厚くすることも出来ますが、保険料を抑えたいのであれば、補償の組み合わせは出やすいと思われるものを優先的に選んでいくと良いでしょう。
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マンション火災保険のおすすめ特約
その他にもマンションの火災保険には様々な特約が付帯できます。
その中でも、ぜひ検討していただきたい2つの特約を紹介します。
個人賠償責任保険
個人の生活において、賠償責任が発生した際に、利用できます。
例えば、お店で買い物していたときに、商品を壊してしまったりした時や、相手に怪我をさせてしまった際に使えます。
保険会社によっては示談サービスが付いているものもあります。
基本的には示談サービス付きのものを選んだ方がいいでしょう。
またこの特約は、生計を同一にするご家族も使えます。
他にも、自動車保険やクレジットカードなどに付帯されていることもあり、他の保険などで加入している場合は重複となりますので、特に入る必要はありません。
類焼損害補償特約
類焼損害とは、自身の自宅が火元となったときに、隣の部屋が消火活動で水が入ったり、上の階が煙ですすだらけになってしまった時などに対応できる保険です。
先に解説した個人賠償責任保険でも支払いは出来ますが、個人賠償責任保険の支払い限度額は「時価」になります。
時価とは、ものが新品の時と比較して経年による価値減少を考慮したもので、被害に合った人は、納得がいかずトラブルになることもあります。
しかしこの特約では、「新価」で支払われるので、新品のものを買い直すことができるので、トラブルも起こりにくくなります。
マンションの火災保険の選び方の手順
補償内容や特約の話をしてきましたが、実際にどう選べばよいか、手順で整理しておきます。この順番で考えると、過不足のない火災保険を選べます。
1. 補償内容(リスク)を選ぶ
まずは、どんな事故に備えるかを選びます。火災・落雷・破裂爆発はほぼ必須として、水濡れ(上階からの漏水など)、風災・雹災・雪災、盗難、水災(洪水・内水氾濫)などから、自分の住戸のリスクに合わせて取捨選択します。マンションの上層階で水災リスクが低いなら、水災を外して保険料を抑えるといった調整ができます。
2. 保険金額を決める
専有部分(内装・設備)を再び元通りにするのに必要な金額を保険金額に設定します。高すぎても保険料の無駄になり、低すぎると十分な補償が受けられません。マンションの専有部分は建物全体の評価より小さくなるため、適正な金額を確認しましょう。
3. 保険期間を決める
火災保険は最長5年での契約が可能です(以前の10年契約は廃止されました)。一般的に、長期で一括契約するほど1年あたりの保険料は割安になります。
4. 必要な特約を付ける
個人賠償責任保険(自分や家族が他人にケガをさせた・他人のものを壊した場合の補償。漏水で階下に損害を与えたときにも使える)や、類焼損害補償特約(自分の火事で近所に延焼させた場合の補償)など、必要な特約を検討します。
5. 複数社で比較する
同じ補償内容でも、保険会社によって保険料は変わります。必ず複数社で見積もりを取り、補償内容と保険料のバランスで比較しましょう。火災保険は不動産会社や銀行から提携代理店を紹介されることも多いですが、内容と金額を自分でも確認することが大切です。
マンションの火災保険料の相場は?
マンションの火災保険料は、年払いにするのか、一括払いにするのか。
また補償内容をどこまで付帯するかによって、保険料は大きく変わります。
年払いだと、数千円〜3万円前後。
一括払いだと、3万円〜15万円前後が相場的な目安かと思います。
ただ内容によってピンキリですので、まずは希望する補償内容を全部つけてみて、そこから削っていくような見積もりの作り方がいいのではないでしょうか。
マンションの火災保険を選ぶ前のチェックリスト
火災保険を契約する前に、次のポイントを確認しておきましょう。
- 補償の対象が専有部分(壁の内側)であることを理解しているか
- 自分の住戸のリスクに合わせて補償内容(水災・盗難など)を取捨選択したか
- 保険金額を、専有部分の再調達に必要な適正額に設定したか
- 保険期間(最長5年)と、長期一括による割安化を検討したか
- 個人賠償責任保険(漏水で階下に損害を与えた場合などに使える)を付けたか
- 地震保険を付けるか、リスクと保険料を踏まえて判断したか
- 不動産会社・銀行紹介の代理店だけでなく、複数社で見積もりを比較したか
- 不要な補償を外して、保険料に無駄がないか確認したか
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マンションの火災保険はどこの会社がいい?

マンションの火災保険は、正直どこでも保険料に差が出にくいのですが、補償のオプション的な内容によって純粋に比較がしにくいとも言えます。
色々な保険会社で、条件をある程度揃えて見積もりを取ると良いでしょう。
また支払いの速さでいくと、東日本大震災のときに、地震保険の支払いが最も早かったのは、東京海上日動でした。
東京海上日動では、震災から1か月で支払いを始めたそうですが、遅い保険会社だと10か月くらいかかったところもあるようです。
保険という商品の特性上、支払いのスピードも重要な要素とも言えますので、値段だけでなく、総合的に判断をするといいのではないでしょうか。
保険会社の見積もりは、一括比較サイトが便利ですので、以下のリンクもご参照ください。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は17年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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よくある質問
Q1:マンションに火災保険は必要ですか?
法律上の加入義務はありませんが、加入を強くおすすめします。火災はもちろん、上階からの漏水や自分が階下に与えてしまう水濡れ損害など、マンションならではのリスクがあり、いざというとき自己資金で全てまかなうのは現実的でないためです。住宅ローン利用時は加入が条件になることも多いです。
Q2:マンションの火災保険の相場はいくらですか?
補償内容・保険金額・保険期間・建物の構造によって変わるため一概には言えませんが、マンション(耐火構造)は戸建てより保険料が安くなる傾向です。長期で一括契約するほど1年あたりは割安になります。正確な金額は複数社の見積もりやシミュレーションで確認しましょう。
Q3:マンションの火災保険はどう選べばいいですか?
「補償内容を選ぶ→保険金額を決める→保険期間を決める→特約を付ける→複数社で比較する」の手順で選びます。自分の住戸のリスクに合わせて補償を取捨選択し、不要な補償を外すと保険料を抑えられます。個人賠償責任保険は付けておくと安心です。
Q4:分譲マンションの火災保険はどこまで補償されますか?
分譲マンションで個人が加入する火災保険は、専有部分(壁の内側の内装・設備)が対象です。建物の共用部分(エントランス・外壁・廊下など)は管理組合がまとめて火災保険に加入しているため、購入者が個人で入るのは専有部分の分になります。
Q5:地震保険は付けた方がいいですか?
地震・噴火・津波による損害は火災保険では補償されず、地震保険でしか備えられません。地震保険は火災保険とセットでしか加入できず、保険金額は火災保険の半分までです。地震リスクや家財の状況を踏まえ、付帯を検討することをおすすめします。







素晴らしい仕組み
30代男性