マンションを購入する人にとって大なり小なり関係してくる問題。それが音問題です。
実際マンションで最も多いトラブルの一つが「騒音問題」です。
隣や上下階の部屋が壁で繋がっているので致し方のない話ではあるものの、やはり毎日の生活を送る人にとってなるべく音のトラブルは避けたいところですよね。
この記事は、実際にすでにマンションに住んでいる方が音問題に対して対策などを求める記事ではなく、これからマンションを購入しようと考えている方にとって、音問題に対する知識を正しく持ってもらうための記事になります。
最後まで読んでいただくことで、遮音性への正しい知識と、遮音性能が高いマンションの見極め方がわかります。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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マンションの構造「二重床」とは?
実際の営業の現場でも、マンションを探している中で、音問題について気にされている方がかなりの割合でいらっしゃいます。
その時によく聞く希望条件として「二重床」があります。
二重床は写真のようにコンクリート(スラブ)から専用の支持ボトルを立てて、その上に床材を貼る構造のことをいいます。
コンクリートと床材との間に空間があることから、コンクリートに直接床材を貼る「直床(じかゆか)」のように衝撃が直接コンクリートに伝わらないので、遮音性にとって有利と考えられている方が多いです。
しかし、実は音の種類によっては「二重床」の方が「直床」よりも遮音性能が低いということが分かっています。
なぜ二重床の方が直床よりも遮音性能が低い理由
二重床の方が直床よりも遮音性能が低い理由として「太鼓現象」があげられます。
太鼓現象とは
太鼓がなぜあれだけ小さくても大きな音を出せるかというと、太鼓の面をバチで叩いた時に音の振動が発生し、太鼓内の空間でその振動が増幅され音が大きくなるからです(音は音波です)。
この太鼓現象もこの太鼓の原理と同じで床の空間内で音が増幅してしまい、直床よりもより大きな音波になって下の階へ届いてしまいます。
これが直床よりも二重床の方が遮音性能が低いと言われる所以です。
音の種類によっては二重床の方が優れていることも
音には大きく分けて2種類あります。
軽量衝撃音:スプーンや軽いものを落とした時の「コン」とか「カシャーン」などといった比較的軽くて高い音です。
重量衝撃音:ジャンプしたり走り回ったりする時の「ドン」といった低くて大きい音です。
二重床はこのうち軽量衝撃音に優れた効果を発揮すると言われています。
しかし一番気になることが多い、重量衝撃音が太鼓現象の発生しやすい音となります。
マンションにおける二重床のメリット・デメリット
この太鼓現象のことが周知されていったのが2008年頃からだと言われていますが、なぜそれでも二重床が採用されているのでしょうか?
それは床下にスペースがあるので配管を通すことができるので、メンテナンスの容易さや将来的なリフォームや間取り変更に対応しやすいことが挙げられます。
一方でデメリットは手間が余分に発生するので、コストが嵩んでしまうこと。
また部屋の高さも直床よりも低くなりがちです。
ただ近年は梁が室内から極力減らすことができる外梁工法が一般的になり、室内が広く取れるようになったことから二重床も普及しました。
しかし最近の新築マンションは、コスト削減のため直床の物件も増えていると聞きます。
二重床と直床の見極め方
音の問題はともかくとして、二重床はメンテナンス性などメリットも多くあります。
また後述しますが、二重床だからといって必ずしも遮音性が直床よりも劣るというものではありません。
ここでは二重床と直床を見分けるポイントについて解説していきます。
リビングのサッシのレールをチェック
サッシのレールの下枠の部分とリビングの床の高さがどれくらいあるかチェックしてみてください。
この下枠の部分がリビングの床よりも10センチ以上高く設置されている時は直床の可能性が高いです。
逆に床と同じくらいの高さや少し低いくらいであれば二重床である可能性が高いです。
フローリングを歩いた感触
マンションを実際に内覧した人なら実感があるかもしれませんが、床の上を歩いた時にふかふかした感覚がするときがあります。
これは床材の下にクッション材を引いているからで、直床の可能性が高いと推測できます。
古い物件の場合や水回りの嵩上ががある時
二重床は比較的新しい工法です。
2000年以前の物件や、特に水回りだけ嵩上げがある物件などは直床である可能性が高いです。
なぜなら嵩上げしている箇所に配管を通しているからです。
以上、紹介した方法を1つだけでなく、複数組み合わせて考慮すると精度が高くなるのではないでしょうか。
遮音性を見極めるポイント
ここまで二重床の音の面でのデメリットについてお伝えしてきましたが、結局のところ、二重床であっても直床であっても、床のスラブ厚(コンクリートの厚さ)やスラブの種類、床材の遮音性能を総合的に考慮する必要があるということです。
スラブ厚についても比較的最近のマンションであれば180mm以上としているところが多いです。
200mm以上あると割といい方かなと思います。
旧耐震の物件などになると130〜150mmくらいの物件が割と多いので注意したいところですね。
中古マンションの場合は、発売当時のパンフレットに記載されている場合もありますが、記載がないときは管理組合や管理会社に保管してある設計図書を確認しましょう。
この辺りは一般の方には難易度が高めなので、具体的に検討している物件であれば仲介業者の担当者に確認してもらうといいのではないでしょうか。
また床材も遮音等級がL-45以上のものを使うことを規定しているマンションを選ぶようにしましょう。
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マンションの騒音問題でトラブルにならいないための対策
先ほどまでのパートでは、マンション全体の遮音性能について解説してきましたが、ここからは購入者でできる騒音対策について解説します。
前提条件として、対策としてできるのは、あくまでこちらから騒音を発生させてしまう度合いを減らしたい場合を想定しています。
例えば小さなお子さんがいて、「あまり階下に音が響かないようにしたい」などといった場合です。
他の部屋からの騒音が気になる時は、マンションそのものの遮音性に気をつけてください。
音を出す側は対策はできても、音を出される側の対策はそこまで方法は多くありません。
二重床の場合、床と壁に隙間を開ける
先ほど二重床で「太鼓現象」について解説しましたが、太鼓現象は空間が密室の場合に発生します。
つまり隙間を作れば密室とならず太鼓現象は発生しません。
穴の空いた太鼓が音が出ないのと同じ原理です。
リフォーム業者に相談してみましょう。
防音性の高いマットやシートを床の上に貼る
床自体に遮音性能の高いマットやシートを貼るのも、効果としては大きいです。
お子様の可愛いマットもたくさん売られていますので、その手のアイテムも活用してみてもいいのではないでしょうか。
リフォームの際に遮音性能の高い床材を選ぶ
マンションに利用される床材はほとんどが防音性能があるものになります。
そして防音性能の中にランクがあり、遮音等級と呼ばれています。
ほとんどのマンションは L-45以上の遮音性能がある床材を使用するよう規定されています。
L-45から数字が小さくなると遮音性能は上がります。
L-40になるとお子様が走り回っても、上からというよりも遠くから聞こえる感じになると言われています。
もちろんその分費用が嵩んでしまうのがたまに傷です。
マンションの騒音問題で悩まされないように購入時にできること
音問題を極力回避するために欠かせないのは、売主へのヒアリングと調査です。
売主へのヒアリングはすでに空室であったり、不動産業者が買い取っている場合は、ヒアリングできないこともあります。
その場合は、調査をしっかりするようにしてください。
また色んなお客様に接していると、そういう調査を面倒臭がる、やってくれない業者もいるという話はよく聞きます。
マンションには図面調査の他にも、管理組合の調査など、プロにしかできないことはたくさんあります。
ですから、失敗しないマンション購入のポイントは担当者選びにあると言っても過言ではありません。
ぜひハウスクローバーで全国の優良な担当者を選び、満足のいくマンション購入をしてください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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