世の中には様々な物件情報サイトがあり、一戸建てやマンションの購入を検討し始めた方はいくつものサイトを見て、物件探しを行います。
しかしここでおすすめしたいのは、気になる物件があっても物件情報サイトから直接問い合わせないことです。
こう言うと、「気になる物件があるのに問い合わせてはダメとは、いったいどういうこと?」と疑問に思うかもしれません。
この記事では、なぜ気になる物件があっても物件情報サイトから直接問い合わせてはいけないのか、気になる物件の詳細はどのように問い合わせたら良いのかご紹介します。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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日本の不動産情報サイトは物件情報が中心
日本の不動産情報サイトは、物件情報の紹介が中心になっているものがほとんどです。
「いやいや、不動産会社は物件を売りたいし、こちらも良い物件がないか探しているのだから、物件情報紹介が中心になっていてもおかしくないじゃないか」と思う方もいるでしょう。
確かに買い手が物件情報を知りたいと思うのは当然のことで、そのためにサイトで物件情報を調べることは間違いではありません。
しかし不動産先進国と言われるアメリカでは、不動産物件を探す時は物件情報サイトを利用しますが、実際に内覧や問い合わせをするときには、「担当者(不動産エージェント)」を探すことが一般化しています。
物件探しができるサイトはもちろんのこと、担当者(エージェント)探し用のサイトまであるくらい「人から買う」が広く浸透しています。
これが日米の不動産情報サイト事情の大きな違いです。
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不動産業界と物件情報サイトの全体像
ここで、日本の不動産業界と不動産情報サイトの全体像をご説明しましょう。
不動産業界に関わりがない一般の方であれば、「不動産を売りたい方(売主)がいて、その方から依頼を受けた不動産会社が買主に物件を紹介する」という流れでイメージされているかもしれません。
もしそのイメージを持たれている場合は間違いではないのですが、実は売主が物件を売り出してから買主に物件情報が届くまでの間には、以下のような流れがあるのです。
(1)売主が不動産会社に物件の売却を依頼し、物件情報が不動産業界専用のデータベースに登録される
売主がどこかの不動産会社に「この物件を売りたい」と相談すると、依頼を受けた不動産会社はREINS(レインズ)と呼ばれるデータベースに物件情報を登録します。
また同時に、SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトと呼ばれる全国の不動産情報を公開しているサイトにも物件情報を登録します。
レインズとポータルサイトの違いですが、レインズは不動産業者のみが見られる不動産業界専用データベースなので、一般の方が閲覧することはできません。
一方、ポータルサイトは一般の方向けに登録済の物件情報を公開しているため、不動産業界以外の方も閲覧可能です。
なお売主から売却依頼を受けた不動産会社は、「元付(もとづけ)仲介業者」といいます。
(イラスト:住宅仲介の全体像)
(2)元付仲介業者とは別の不動産会社がレインズに登録されている物件情報をチェックし、買主の条件に合いそうな物件を紹介する
レインズには、売主から売却依頼を受けた元付仲介業者が物件情報を登録していて、元付仲介業者以外の不動産会社も閲覧できます。
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買主から物件探しの依頼を受けた不動産会社は、レインズに登録されている物件情報の中から条件に合いそうな物件をピックアップして、「こんな物件がありますがどうですか?」と紹介します。
買主は紹介された物件情報の中で気になる物件があれば、依頼した不動産会社を通じて売主と交渉し、双方が合意したら晴れて売買契約成立となります。
なお買主から依頼を受けて、売主側の不動産会社に物件の詳細を問い合わせたり交渉をしたりする不動産会社のことを、「客付(きゃくづけ)仲介業者」といいます。
そして客付仲介業者は、元付仲介業者から売り物件を借りて、買主を募るため物件情報をポータルサイトに掲載することもあります。
よく同じ物件が色んな不動産会社から物件情報サイトに掲載されているのは、こういった仕組みになっているからです。
不動産情報サイトから直接問い合わせてはいけない3つの理由
ここからは、なぜ不動産情報サイトから直接問い合わせてはいけないのか、その3つの理由をご説明します。
①問い合わせ先が元付業者かもしれない
1つ目の理由は、物件情報を問い合わせた先が元付仲介業者かもしれないからです。
なぜ元付業者でない方がいいのかというと、まず同じ不動産仲介でも、元付業者と客付業者に求められる知識や経験が全く違います。
元付仲介業者に必要な経験や知識は、売却時にかかる税金や抵当権抹消の手続きとそのために必要な債権者(融資している銀行)との調整など、法令上の説明責任が発生するような事項や瑕疵(かし)に対する調査です。
一方で客付仲介業者は、住宅ローンの知識や、インスペクションや住宅ローン控除などの税制、耐震診断および改修工事・リフォーム・自治体ごとの住宅に関する補助金など、買主が知っておくべき事柄に関するものが多く、元付業者と全く異なります。
また買主が将来はどういう人生を送りたいのか、そのために必要なライフプランニングを考えて無理なく住宅ローンを返済できるプランを提案するスキルや、プロ目線で見て買ってはいけない物件に関するアドバイスなども求められるのが客付仲介業者です。
このように、元付仲介業者と客付仲介業者では求められる役割がかなり違い、買主にとって必要なのは客付仲介業者であることがお分かりいただけるでしょう。
しかし実際は、不動産業界に多いのは客付仲介業者より元付仲介業者です。
これは日本の不動産業界が、買主が軽視され、売主が優位な立場にあったことも関係しています(ちなみにこの風潮は今でも変わっていません)。
さらに元付仲介業者は、依頼を受けた物件が売れれば売主から仲介手数料をもらえるため、自社の利益を上げるために何とか物件を売ろうとします。
不動産会社が物件を売る時は、宅建業法という法律で「購入後のトラブルを防ぐためにも、必ず買主に伝えること」と決められている下記の事項があります。
- 取引対象の物件に関する問題点(物理的瑕疵・環境的瑕疵など)
- その物件で起きた事件や事故(心理的瑕疵)
- 宅建業法で決められているその他の事項
これらの事項は告知漏れがあると法律違反となるため、必ず買主に告知しなければなりません。
しかし問題は、買主が知らないとトラブルになりやすい事項にも関わらず、宅建業法で告知義務がないため下記のような事項が伝えられないケースがあることです。
- 住宅ローン控除適用の可否
- 物件の立地周辺で予測される災害に関するリスク
- 管理費や修繕積立金について(中古マンション購入の場合)
- 対象物件の販売価格と相場との乖離がどのくらいあるのか
- 購入後の資産価値の変動予測
いずれの項目も、買主にとっては知らされないと購入計画に大きな影響を受けかねません。
ですが売主から依頼されている業者とすれば、その物件をとにかく売ることが仕事であるため、言わなくてもいい都合の悪いことについてあえて教えるようなことはしません。
これが、元付仲介業者に問い合わせてしまった時に考えられるデメリットです。
②担当者の質が選べない
2つ目の理由は、物件情報サイトからの問い合わせだけでは担当者の質を選べないためです。
実は不動産会社では、不動産経験が浅い新人スタッフをサイトの問い合わせ担当者に配置していることがあります。
ポータルサイトから物件の問い合わせをしてくる営業現場は、恰好の教育の場となっていることも多くあるのです。
これは私自身も経営者として経験がありますが、物件から問い合わせずに来店される方に関しては、弊社の看板や営業担当者を指名してくることもあるため、経験の浅い担当者はつけたとしてもアシスタント業務程度です。
しかし、物件情報サイトから問い合わせてくる方は、特に会社への問い合わせでもなく、実際どんな方からも会ってみないと分からないということもあり、新人の経験を積む教育の場としては実は最適だったりします。
不動産業界の経験や知識が足りていないだけでなく、そもそも不動産営業に欠かせない宅地建物取引士の資格すら持っていないこともあります。
一生ものの買い物をお願いするために訪れたお客様にしてみれば、そんなスキルや経験がない新人スタッフに高額な買い物の担当者になってほしいと思うことはまずないでしょう。
しかし、いくら知識や経験が乏しい新人であっても、一般の消費者がそれを見抜くには、それなりに知識量が必要になります。
不動産購入の知識やスキルが豊富な担当者にお願いしたいと思っても、問い合わせたお客様からすると画面の先の相手が新人かどうか分からなければ、担当者の質を選ぶことができません。
③そもそもどの不動産業者(担当者)からでも同じ物件が購入できる
「不動産業界と不動産情報サイトの全体像」の章でもご紹介したように、客付仲介業者がどこであろうと物件情報を引っ張り出すデータベースが同じである以上、どの不動産会社や担当者に依頼しても同じ物件を購入できます。
基本的にはレインズに掲載されている物件であれば、「この物件はこの不動産会社からしか買えない」ということはありません。
不動産という商品は、同じものが2つとない個別性の強い商品です。似たような物件でも調査をすると中身は全く違うものであることはよくあることです。
個別性が強い商品というのは、担当者の力量によって結果が変わることが往々にしてあり得るということになります。
そのことをぜひ理解しておくようにしてください。
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アメリカには担当者を選べる情報サイトもある
日本より中古住宅市場が盛んなアメリカでは、不動産物件を紹介する不動産エージェントの社会的地位は医者・弁護士と並ぶほど高いといわれています。
アメリカでは不動産取引を行うための資格取得条件や、実際の業務を行ううえでのルールに日本以上の厳しい制限を設けていて、それをクリアしないと営業活動を行えません。
逆にいえば、アメリカで不動産エージェントとして活動できている方は、難易度が高い試練をきちんとクリアしてスキルを積んだプロとみなされます。
そして「日本の不動産情報サイトは物件情報が中心」の章でも触れましたが、アメリカで不動産を買う際は不動産会社ではなく不動産エージェントを調べて依頼する方が多く、不動産エージェント検索用の情報サイトがあるほどです。
物件情報サイトを見てそのまま問い合わせをする文化の日本からすると、アメリカの不動産購入のやり方は不思議に思えるかもしれません。
しかし、人生でもっとも大きな財産=不動産を買うのですから、しっかり知識やスキルがあって信頼できる担当者から買いたいと思うのは当然ではないでしょうか。
不動産という買い物は、個別性が非常に強い商品であるため、担当者のスキルや経験によって結果が変わることが多々あります。
不動産売買が日本よりも活発で、住宅に対しても投資の視点をもつアメリカ人だからこその考え方です。
もちろん、日本と仕組みが違う部分もありますが、「物件でなく人から選ぶ」という点においては非常に合理的なのではないでしょうか。
誰から買うかが、不動産購入には欠かせない考え方
「人(エージェント)を選んで不動産を買う」ことが主流のアメリカに対し、日本はまだ「物件を選んで買う(担当者や会社を選ばない)」ことが根付いています。
しかし同じ物件がどの不動産会社や担当者からも買える以上、今後重視するべきは「どの担当者から買うのか」ということです。
物件そのもののスペック(価格・立地・周辺環境など)の確認も大事ですが、大きな買い物で損しないためにも、ぜひ信頼できる不動産エージェントを探してから物件選びを行いましょう。
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