中古マンションや中古戸建てを購入するにあたって、一緒にリフォームを検討する方は多いと思います。一方でやはり中古ですので、必要に迫られてリフォームをすることも同じくらい多いと思います。
また昨今ではリノベーションという言葉もでてきて、中古市場の活況を感じますが、そもそもリフォームとリノベーションの違いをはっきり認識できている方は少ないと感じています。
また違いだけでなく、中古マンション・中古戸建てとリフォーム・リノベーションとこれまであまり注目されてこなかったカテゴリーが脚光を浴びるとともに、いろいろな問題点も出てきています。
そこでこの記事では、リフォーム・リノベーションの違いと注意点についてまとめました。この記事を読むことで、リフォームとリノベーションの違いとその注意点が分かるようになります。
中古マンションや中古戸建てを購入してリフォーム・リノベーションをして、自分好みの家を作りたいという方はもちろん、中古住宅全般を探す方にとっても参考になる内容となっています。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームはどちらも「建物の修繕・改修工事」のことを指しています。実はどちらも明確な定義がありません。ここがややこしいところなのですが、ここでは一般的なニュアンスとしての違いを解説します。
リフォームは設備の入れ替えやクロスの張替えなど、小規模な修繕や表層的な修繕を意味することが多く、リノベーションは間取り変更、配管設備の変更、耐震改修など大規模な改修工事を指すことが多いです。またデザイン性がつよい工事もリノベーションということが多いです。
つまり、リフォームはどちらかと言えば小規模な修繕・改修工事のときに使われていて、リノベーションは比較的大規模な改修工事を行う場合に使用されることが多いです。
リフォームは和製英語?
リノベーションとリフォームの事前準備の違い
先ほどリフォームとリノベーションの区別で工事の規模やデザイン性の違いがあると説明しました。その他にリフォームとリノベーションでは事前準備に違いがあります。
リフォームは表層的な修繕になります。例えば壁紙や床の張替え、水回りの交換などがリフォーム工事の範囲になります。こういった工事は汎用な工事ですので、見積もりも早く着工までそこまで打ち合わせをしなくても進めていくことが出来ます。
しかし、リノベーションとなると比較的大規模なものになるものが多くそうは行きません。特に耐震改修工事やデザイナーが入るような工事になると、汎用なものではなく個別性が強くなるため、時間も多くかかりますし、打ち合わせも多くなります。
ここで問題になることは、住宅ローンにリフォーム・リノベーション費用を組み込む場合です。住宅ローンにこれらの工事費用を組み込むためには、事前審査(仮審査)の時に見積もり、本審査の時には請負工事契約書が必要になります。
通常の不動産の売買は、空き家の物件であれば購入申し込みから、物件の引渡しや残代金の支払いまで、1カ月半~2カ月ほどで終わります。
それぞれにスケジュールがあるので、リフォーム・リノベーションが絡む場合は時間がかなりタイトになります。特にリノベーションの場合はその傾向がとくに強くなります。
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リノベーションの場合は、業者を先に見つけておく
そこでデザイン性が強いリノベーションを希望する場合や、築年数の古い一戸建てを購入して耐震改修工事もあわせて検討するときには、事前にリノベーション業者や設計士を見つけておく必要があります。
リフォームであれば汎用な工事ですので、見積もりも早く出ますし、打ち合わせも材質や色を選ぶくらいで済みます。ですから、時間はタイトであっても、購入したい物件を見つけてからリフォーム業者を探しても問題はありません。
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実際のことろリフォーム業者もかなりピンキリです。中古の取り扱いになれた業者であれば、信頼できるリフォーム業者と提携していたりしますので、そういった業者を紹介してもらった方が早いと思います。
しかし、リノベーションの場合はそうはいきません。デザイナーを選んだり設計士を選んだりすること自体に時間がかかるからです。ですから、この場合は事前にリノベーション業者や設計士を選ぶなり、打ち合わせをしておくようにしましょう。
関連記事「中古住宅・中古戸建て購入とリフォームを同時に行うときの流れと事前に準備しておくこと」
ワンストップサービスの注意点
リノベーションを行う会社の中には「ワンストップサービス」を提供しているところがあります。ワンストップサービスとは、中古の物件探しと並行したリノベーション業者探し、資金計画・ローンの相談などの業務を1つの会社がすべて行うサービスのことをいいます。
ワンストップサービスを利用することで窓口が1つとなりますから、打ち合わせなどの手間がかかりにくいというメリットがあります。その一方で注意点もあります。
それは、リノベーションを含めたワンストップサービスの場合、売上を得るのは物件を仲介したときの仲介手数料とリノベーション費用になりますが、利益が大きいのはリノベーション費用です。
つまり、リノベーションの売上を大きくしたいがために、物件費用を抑えてなるべくリノベーション費用を大きくしようとする業者もいます。
ココに注意
不動産は相対取引といって、売主と買主の合意によって価格が決まる相場です。つまり相場と比べて安い不動産というのはほとんど存在しません。安い不動産はそれなりの理由があります。例えば将来の資産価値があまり期待できないような物件は安く購入できます。
限られた予算の中で、リノベーション費用を確保しようとすれば、それだけ物件にかける費用がやすくなるので、購入してはいけない物件を購入してしまう可能性もあります。
ですからワンストップサービス自体は非常に便利なサービスではあるものの、出来ることなら物件購入とリノベーション業者は分けて依頼した方が、購入する方にとっては最終的なメリットは大きくなるのではないでしょうか。
物件探しの注意点
リフォーム・リノベーションを前提とした物件探しの場合、そもそも希望するリフォームやリノベーションが行える物件なのかどうかを見極めなければなりません。なぜなら工事の段階で「構造上、この壁は壊せない」といったことがあり得るのです。
そのため、内見の際に建築業者を呼んで確認してもらうのが確実です。また、中古マンションの場合は念のため管理規約を確認しておくと良いでしょう。
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買ってはいけない物件を買わないようにする
すでに説明しましたが、リフォームやリノベーションなど室内のことにばかり目が行き過ぎないように注意が必要です。なぜなら不動産の価値は立地が9割と言われていて、室内の設備や間取りなどは1割以下しか影響がないとされているからです。
リフォーム・リノベーション費用を優先したくなるところをぐっと我慢して、購入する中古マンションや中古戸建ての将来の資産価値にも注意するようにしましょう。
間取り変更が出来る物件と出来ない物件
マンションの構造には「ラーメン構造」と「壁式構造」があります。後者の壁式構造では建物を壁で支える仕組みの構造となっていますので、壁を壊すことが基本できません。
壁が壊せないということは、間取り変更が難しいということになります。物件によって間取り変更ができる物件とできない物件がありますので、物件探しの際には注意が必要です。
この壁式構造のマンションは、5階までの低層マンションによく見られます。また古い物件で室内に梁があまりない物件なども壁式構造である可能性が高いです。
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これだけ聞くと壁式工法のデメリットばかりが目立ちますが、壁式工法は壁で建物を支えるため、梁や柱がなく室内がスッキリする。また耐震性が非常につよく、旧耐震基準のマンションであっても、耐震診断をすると現行の耐震基準を満たしていると判定されることが多いです。
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リノベーションプレミアムに注意すること
新築住宅には販売業者の利益や広告宣伝費が上乗せされていて、実際に購入した後にすぐに市場に売りに出すと、販売業者の利益や広告宣伝費がなくなり、価格が2割ほど下落すると言われています。
この販売価格と実際の市場価格との差のことを「プレミアム」といいます。
そしてリノベーションプレミアムとは、物件を購入してお金をかけてリノベーションをしても、実際に売りに出すと、かけた費用と市場価格には差がでます。一言でいえば損をするということですが、このことを「リノベーションプレミアム」といいます。
すべてのリフォームやリノベーションにこのプレミアムが発生するわけではありませんが、個人の好みが強いデザインなどは比較的プレミアムが発生する可能性が高いといえます。
デザイン性の強いリノベーションがダメだというのではなく、あくまで資産性に乖離が発生することを理解した上で行うようにしてください。
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まとめ
最後にリフォームとリノベーションの違いと注意点についてまとめておきます。
- リフォームとリノベーションの明確な違いはない
- リフォームは表層的な工事。規模は小さめのものを指すことが多い
- リノベーションは間取り変更や耐震改修工事など、金額の大きな工事や、大規模な工事を指すことが多い。
- ワンストップサービスは便利だが、リノベーション費用を優先して物件のランクを落とさないようにする
- 不動産業者とリフォーム・リノベーション業者は別々に依頼するほうが理想的
- 間取り変更には物件の構造に注意が必要
- リノベーションプレミアムという取得費と市場価格の差に注意が必要
中古マンションや中古戸建てを探す方は、以上のことを意識しながら準備を進めていくようにしてください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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