中古マンションを買いたいけれど、その為には頭金が必要です。しかし頭金がどうしても用意できない場合、諦めるしかないのでしょうか。自己資金がなくても購入できるのかどうか、またその場合は何かデメリットがあるのかどうか。住宅ローンを組む際の条件等も含めて、説明していきます。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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自己資金がなくても中古マンションは購入できる?
「自己資金がないと中古マンションは買えないの?」と疑問に持つ方も多いでしょう。結論からいうと「住宅ローンで頭金分も借入をすれば買えます。」ここでは住宅ローンで頭金を補うという方法で中古マンションを購入した場合どのような注意点やデメリットがあるかをお伝えしていきます。
頭金2割説は過去のもの
頭金が2割必要となる。このような情報を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかしこれは過去の話であって、現在では必ず当てはまるというものではありません。ではなぜこのような説が広まっていたのでしょうか。その理由を説明します。
この頭金2割説がなぜ広まっていたかというと、2つの理由があるとされています。
・金融機関の融資限度額が8割であったため
現在の住宅金融支援機構、以前の住宅金融公庫の住宅ローンから借入をする場合、物件価格の8割までしか住宅ローンが下りないという条件がありました。つまり残りの2割を自己資金として用意しなければならず、「頭金2割」という説が広まっていきました。
実際には住宅金融公庫以外の民間の銀行から合わせて借り入れをすれば、自己資金を減らすことができました。しかしその場合は余計な諸費用がかかってしまうため、住宅ローンは金融公庫のみで借入する方が多かったのです。
また、住宅金融公庫は政府系の金融機関であるため、民間の銀行に比べ審査基準の幅が広くなっていました。そのため住宅金融公庫を利用する人は数多くおり、余計にこの頭金2割説が広まる要因となったのでしょう。
しかし現在では頭金分も含めての借り入れ「フルローン」を提供している民間銀行は多くあります。
・そもそもの金利が高かった
ここ最近は、歴史的に見れば非常に低金利です。しかし、一昔前は金利も高く、バブルの時代は変動金利で8%という時代もありました。そんな時代でしたから、自己資金は多く借り入れは少なくすることが良しとされていた時代だったのです。
しかし今の時代は借入金利も安く、金融機関の融資審査も住宅購入希望者にとっては借りやすい時代になっています。このような時代では、金利コストが安いため自己資金をあえて出さず、借入で賄うという戦略的な選択も行われるようになってきました。
諸費用も借り入れるときの注意点
中古マンション購入時には様々な諸費用がかかります。登録免許税、火災保険料、仲介手数料、印紙代等、数十万円~数百万円かかる場合もあります。こういった諸費用も一緒に住宅ローンで借入する場合、注意点がいくつかありますのでこちらで説明します。
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審査が厳しくなる
諸費用も住宅ローンとして借入する場合、審査に何か影響はあるのか。結論から言えば、諸費用も込みのフルローンで借入をする場合、銀行の審査は厳しくなります。
それは物件の担保価値を超える借り入れになるからです。その分審査は厳しくなるので、勤務先や年収などの属性によって判断されます。
また自己資金がないと貯蓄計画がないと見なされ、返済計画も立てられないと判断される可能性もあります。その他にも、諸費用や頭金を込みにすると必然と住宅ローン借り入れの総額が大きくなります。その場合年収等から算出する返済比率の基準にひっかかる可能性もでてきます。
このような点から、金融機関の審査が厳しくなります。
金利が高くなることも
いざフルローンで借入をした場合、通常の住宅ローンと比べ金利に対して何か影響があるのでしょうか。銀行はリスクが少ないと見なされる人に対しては安い金利を出します。反対に銀行に対してリスクが大きいとみなされる場合は金利が高くなります。
これはどういうことかというと、銀行は貸出するリスクを金利に反映しているからです。つまり自己資金が少ないのにも関わらず大きな借入をする人と、自己資金が多く少ない借入をする人では銀行側から見たリスクが大きく違います。
そのためフルローンでの借り入れをする場合、銀行側から見るとリスクが大きく見なされ、金利が高く算出される可能性が高くなります。
またフラット35をはじめ、諸費用分の借入金利をもともと高く設定している住宅ローンもあります。トータルで考えればネットなどで表示されている金利よりも高くなることも十分考えられるので、資金計画に注意が必要です。
住宅ローンの支払いが苦しくなる
諸費用も含めフルローンで組んだ場合、借入金額は通常よりも多くなります。そのため月々の返済金額も通常より高くなります。途中で自己資金を投入し、繰り上げ返済等をすれば話は変わりますが、基本的には通常よりも多い返済額となります。
購入時にかかる費用はほとんどありませんが、住宅ローンの返済は長きにわたります。購入時だけではなく、将来も見据えて資金計画を立てる必要があります。
自己資金0でも、立替(手付金など)は必要
では自己資金が全くなくても大丈夫かというと、そういうわけではありません。
中古マンションを購入する際、契約時に手付金が必要になります。手付金とは契約時に買主が売主へ支払い、決済時に買主へと返還されるお金のことです。実際には決済時に売買代金の一部として充当されるのが一般的です。
この手付金を支払う際には、まだ住宅ローンの借り入れはできません。したがって一時的でもこの場面で資金が必要となります。その他、契約書に貼る印紙代や不動産会社への仲介手数料がかかる場合もあります。
契約書に貼る印紙代は通常1万円~2万円程度です。不動産会社によっては契約時に仲介手数料の半金の支払いが必要となる場合もあります。そのため仲介手数料の金額や支払い方法は事前に確認しておくほうがいいでしょう。
間違えても手付金や仲介手数料を支払うために、個人信用情報機関にのるような新たな借り入れはしないようにしてください。
物件売却時の残債リスク
将来、もしかしたら何らかの理由で物件を売却することもあり得ます。物件を売却する際、住宅ローンの残債がある場合には物件の売却費用で住宅ローンの残債を返済します。
しかしこれがフルローンで組んでいる場合、残債をなくすことができない可能性があります。これは本来の物件評価額以上の金額を住宅ローンで借入しているからです。
売却費用で残債を返せない場合、自己資金で補う必要があります。そのため住宅ローン返済中での売却はリスクがあるといえるでしょう。
あえて自己資金を出さないという戦略も
頭金は用意してあるが、自己資金を使わずあえてフルローンを選択する方法もあります。その場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか。こちらでご説明していきます。
・現金を手元においておくことができる
例えばこれから子供の受験や入学を控えている、車の購入を検討している、出産を控えているなど様々なライフイベントが直近である場合。現金を手元に残しておくと万が一、もしもの時に備えた心のゆとりを残すことができます。
いくら自己資金を出して、手元にいくら残しておけばいいのか、このあたりのこともライフプランニングをすることで明確になります。そのあたりの設計も含めてお金の戦略を考えたい方はぜひライフプランニングを受けることも検討してみてください。
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また、その現金を資産運用し資産を増やすことも可能となります。
・住宅ローン控除を最大限に活用できる可能性もある
住宅ローン控除とは、マイホームを住宅ローンで購入した場合に一定の割合に相当する金額が所得税と住民税から控除される制度です。この制度は住宅ローンの金額によって、控除される金額が変わります。つまり基本的には借入金額が大きければ大きいほど恩恵を受けることができます。
もちろん上限の金額も定められているので、そこは注意が必要です。
事前に計画をしっかり立てた上で決める
フルローンで組むのがいいのか、自己資金をある程度出した方がいいのかはその人によって違います。どちらを選ぶかは今後のライフプランをよく考えたうえで、それに沿った方法を選ぶしかありません。事前に将来設計をよく考え、資金計画をしっかり立てた上で決めていくのがいいでしょう。
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