中古マンションを購入するときの築年数の限界は?

中古マンションの購入をするとき、多くの人が気にされるポイントの一つに「築年数」が挙げられます。マンションは古いものであれば建築されてから50年経っているものもあります。

LIXILが2016年12月に行ったアンケートによれば、中古マンションの購入を検討している人の実に45%の人が「期間・どれくらい住めるか」と答えており、その関心の高さがうかがえます。実際は筆者も、実際の営業現場で古めの中古マンションを探しているお客様に、かなりの割合で質問を受けます。

そこでここでは、中古マンションを購入するときに気を付けたい、築年数とその限界についてお伝えしています。


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耐用年数と寿命を分けて考える

よくインターネット上で、マンションの寿命について調べていると、「耐用年数」というキーワードを見かけると思います。まず、どれくらい住み続けることができるのかを考える上で、耐用年数と実際の寿命は全く別のモノとして考えるべきです。

耐用年数というのは、税法上で決められた償却期間のことで、マンションのような鉄筋コンクリート造の建物は47年とされています。税務上では、例えば法人がマンションを買えば、買った価格を47年で割った数字を毎年の償却分として経費に算入できるという、便宜上の数字です。

それに対して寿命というのは、実際にどれだけ住むことができるのかという、利用価値をもとにした考え方です。そしてマンションの寿命は様々な要因によって決まります。その大きな要因を3つに分けると、

  1. コンクリートの質
  2. 修繕(管理)状況
  3. 周辺環境

に分けられます。それぞれの要因のポイントをこれから説明していきます。

ちなみに2014年7月に発表された、東京カンテイの「マンション建替え寿命」によれば、建て替えられたマンションの寿命は全国平均で33.4年となっています。

これはマンションの建築が始まった当初の建物が、配管などがコンクリート内に埋められていて、交換などができないことから建て替えられたという設備の寿命による要因が大きいと考えられます。

コンクリートの寿命は100年以上?

コンクリートの質がマンションの寿命に関わってくるとすれば、コンクリートの寿命はどれくらいなのでしょうか。実際いくつかの研究データが公表されていますので、ご紹介します。

RC(コンクリート)の寿命に関わる既往の研究例

テーマ分野等得られた知見根拠論文名等
鉄筋コンクリート部
材の損傷程度の実
態調査
実態調査を行った結果、鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上
あると認められた。
篠崎徹・毛見虎雄・平賀友晃・中川
宗夫・三浦勇雄(1974)「約50年を経
過した鉄筋コンクリート造の調査」
日本建築学会学術講演梗概集
鉄筋コンクリート造
建物の減耗度調査
に基づく物理的寿命
の推定
実際の建物の減耗度調査のうえ、建物の減耗度と実際の使用年数との
関係から、鉄筋コンクリ-ト造建物の物理的寿命を117年と推定。
飯塚裕(1979)「建築の維持管理」
鹿島出版会
構造体としての鉄筋
コンクリートの効用
持続年数
鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は、
鉄筋を被覆するコンクリートの中性化速度から算定し中性化が終わった
ときをもって効用持続年数が尽きるものと考える。鉄筋コンクリート部材
の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる。)の耐用年数は120
年、外装仕上により延命し耐用年数は150年。
大蔵省主税局(1951)「固定資産の
耐用年数の算定方式」
鉄筋コンクリート造
の住宅・事務所等の
平均寿命
固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋
の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した結果(2011年調査)、
RC系住宅は68年、RC系事務所は56年。
小松幸夫(2013)「建物の平均寿命
実態調査」

これらの研究データを見ると、かなりバラツキがあります。4つ目にある最近の研究結果は、固定資産台帳の滅失データが元となっているので、先ほど説明したマンションの建築が始まった当初の古いマンションのデータを元に推計されているので、多くの専門家は大体100年以上と考えている方が多いです。

ただし、これを鵜吞みにして100年以上持つと考えるのは、少し早すぎます。それは、コンクリートの寿命を決めるのは、コンクリートの質と、修繕状況(管理)、周辺環境によるからです。

コンクリートの質の見分け方

コンクリートの質は、「水とセメントの比率」と「かぶりの厚さ」が重要と言われています。それぞれ説明していきます。かなりマニアックな話なので、より厳密に見極めたい人向けです。

①「水とセメントの比率」

水とセメントの比率は、コンクリートを調合するときのそれぞれの分量のことです。この分量がコンクリートの強度を左右すると言われています。密度が高ければ高いほどコンクリートの強度が増すと言われています。

見極め方としては、建築時の設計図書が残っていれば「構造特記仕様書」を見ます。設計図書は管理会社か管理組合で管理されていることが多いですが、残存していないこともあります。仲介業者を通じて依頼するようにしましょう。

この水とセメントの比率は単位が「N/mm2」であらわされ、日本建築学会では以下のように定義されています。

コンクリートの設計基準強度大規模補修不要期間
18N/mm2約30年
24N/mm2約65年
30N/mm2約100年

②コンクリートのかぶり厚

コンクリートのかぶり厚というのは、鉄骨や鉄筋を覆うコンクリートの厚さの事です。コンクリートそのものの厚さではなく、鉄筋からコンクリートの表面までの最短距離のことをいいます。この厚さによっても中古マンションの耐久性は変わってきます。

現代の建築基準法では、30㎜のかぶり厚を確保することが定められています。この厚さも設計図書の「構造特記仕様書」によって調べることができます。できれば40㎜以上あればいいでしょう。

住宅性能評価証明書でも耐用年数が分かる

2000年10月から法制化された「住宅性能表示制度」というものがあり、その法令に基づいた基準を示す客観的な書類として「住宅性能評価証明書」と呼ばれる書類があります。

全体の割合として、住宅性能評価書が発行されている中古マンションは決して多くありませんが、もしあればその中の「劣化対策等級」という項目を見てください。1~3等級で表示されており、数字が大きくなるほど耐久性が向上します。目安として、以下の表を参考にしてください。

等級目安
1等級建築基準法をクリアする最低限の対策
2等級50年~60年間(およそ二世代)大規模改修不要
3等級75年~90年間(三世代)大規模改修不要

中古マンションの築年数の限界は管理で決まる

結局のところ、いくらコンクリートが長持ちしたところで、適切な修繕がされていなければ意味がありません。

たとえば、適切な修繕を行わずにコンクリートが劣化したマンションでは、そもそもの寿命自体が短くなってしまいます。それに劣化したコンクリートの亀裂から雨水が侵入すると、コンクリートのさらなる劣化を招くだけでなく、コンクリート内の鉄筋が錆(さ)びてしまい、建物の強度そのものも劣化してしまいます。

2011年に発生した東日本大震災において、宮城県内のマンションの損壊状況を調べたデータがありますが、旧耐震のマンションが「中破」が3棟、「大破」が1棟だったのに対して、新耐震基準のマンションでは「中破」が12棟、「大破」が0棟と、大きな損傷を受けた二つの区分を比べると、新耐震基準のマンションの方が多くなっています。

(参照:東京カンテイ https://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/80TR_life%20span.pdf

これは、耐震基準そのものに問題があったわけではなく、管理状態によるコンクリートや鉄筋の劣化があったとこが大きな要因だと考えられます。

環境によっても中古マンションの寿命は変わる

他にも中古マンションが立地している環境によっても寿命は変わってきます。例えば、まわりに高い建物がなく日当たりが良い中古マンションなどでは、コンクリートの消耗も早くなります。

特に海の近くに建っているマンションは、塩分を含んだ浜風による劣化の影響を大きく受けます。この場合は外壁に「錆防止の塗料」が使われているかどうかを確認するようにしましょう。

中古マンションを購入するときの築年数の限界は?

ここまで説明してきたように、マンションは一律で築年数の限界が何年という単純なものではなく、コンクリートの質と管理の質、そして環境の3つの掛け算によって決まってきます

極端な話、築50年たっている中古マンションでも、まだまだ耐久性はあると判断できるものもあれば、築20年であってもそこまで耐久性はないと判断できるものもあるわけです。

こう考えると、それぞれの物件を個別で見ていかなければいけません。これはなかなか一般の消費者にはハードルの高いことです。だからこそ、中古マンションを探すときは、どんな中古マンションを購入するかということももちろん大切なのですが、「誰から買うか」という視点も同じように大切になってくるのではないでしょうか。

あなたも中古マンションの購入を検討しているのであれば、単純に「築○○年だから」と判断するのではなく、様々な視点から、信頼のおけるプロの助けを得ながら、納得のできる中古マンションを購入してください。

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