令和4年度の国土交通省が実施した住宅購入者に対して実施したアンケート「住宅市場動向調査」において、新築マンションを選んだ理由の1位が「新築住宅だから(58.0%)」となっていました。
このことからも、日本の新築信仰の根強さがうかがい知ることできます。
「きれいで、新しいおうちに住みたい」「やっぱり買うなら最新の設備がついた新築じゃないと」という思いから、そこまで深く考えずに新築マンションを選ぶ方も多いと思います。
もちろん新築マンションは誰も入ったことのない部屋で、設備も最新のものが採用されていて、部屋も全てがまっさらで魅力的です。
しかし、今の新築マンションは買わない方がいいと考えるだけの明確な理由があります。
もちろん全ての新築マンションが買ってはいけないという訳ではありません。
ただしその数はかなり限られたもので、どちらかといえば買ってはいけない新築マンションの方が多いというのが実情です。
そこでこの記事では、新築マンションを買ってはいけない理由だけでなく、買ってもいい物件と買ってはいけない物件との見分け方も業界歴15年以上のプロが資産価値など視点で解説します。
これからマンション購入をお考えの方は、新築マンションのことだけでなく、マンション購入全体における理解が深まりますので、ぜひ最後までご一読ください。
要点をすぐに知りたい方は、目次の「まとめ」をクリックしてください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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新築マンションは買うな!?そう考える10の理由
新築マンションといえば、かつては誰もが憧れを持ち、中古マンションと比較しても断然人気がありました。
きれいな部屋に、最新の設備、充実した共有施設と魅力的な部分はたくさんあります。
ではなぜ今、新築マンションを買ってはいけないのか。
その理由をここからお伝えしていきます。
価格が高騰している
今の新築マンションを買ってはいけない理由のひとつに、この価格の高騰があります。
値上がり理由としては都心の土地価格の値上がりが大きく影響しています。
一般的に新築マンションは立地や生活利便性を考え、都心部に多く建てられます。
そのため都心の土地価格が上昇するにつれて、マンション自体の販売価格も高くなります。
また土地価格以外にも、人手不足や円安などによる材料の値上がりにより、建築費が高騰しています。
つまり土地価格高騰と建築費高騰の影響を最も受けているのが今の新築マンションなのです。
部屋は狭く、グレードは低く
このような背景から、ニュースでも見かけるように新築マンションの価格は、一般家庭ではなかなか手が届かない価格水準となっています。
一部のプレミアム物件を除いて、一般家庭の方に少しでも手が届きやすい価格水準に抑えようと、ここ最近の新築マンションは一昔前とくらべ、部屋は狭くなり、グレードは落ちています。
これはマンションディベロッパーの営業努力でもあるのですが、少しでも多くの一般家庭の人が購入できるように、質を落として価格の採算を合わせているのです。
こういったマンションが中古市場に売りに出された場合、比較的安価にマンションをつくることができた時代のマンションと比べるとどうしても見劣りしてしまいます。
そしてそれは資産価格にダイレクトに反映します。
つまり今の新築マンションは、将来、中古マンションとして売りに出す際に、他の中古マンションと比較して競争力が弱いため、価格を下げやすく、損をする可能性が高まるのです。
新築プレミアム
新築プレミアムとは、新築マンションの販売価格と実際の資産価値の間にある差のことを指しています。
新築マンションの販売価格には、広告費や宣伝費、販売会社の利益等が計上されています。
新築マンションの値段が高いのは、ただ新しいから価値があるというわけではなく、そういった様々な費用が価値に上乗せされているからなのです。
ではなぜここにリスクがあるかというと、もし今後購入した新築マンションを売ることになった時、購入した時の値段と全然違う値段で取引されることが多いからです。
新築マンションは一般的に引き渡しを受けた時点で、中古マンションとなります。
そして一般的には中古マンションとなった時点で相場で判断されるようになるので、2割~3割近く価格が落ちる傾向にあります。
悪く言えば、新築マンションは買った時点で損をしているともいえるのです。
もちろん土地価格の変動や、そのマンションの人気等により購入時より高くなるケースもありますが、相場が上昇した現在では、そういったことは非常に稀なケースです。
いい条件の立地が余っていない
マンションの売りは立地です。
マンションを選ぶ際に、駅から近く、便利な場所であることはとても重要なことです。
しかし今都心でいい立地はとても少ないのが現状です。
あったとしても、非常に高額で一般の家庭でとても手の届く価格水準ではありません。
なぜならこのような状況になっているかというと、良い立地にはもうすでに物件が建てられているからです。
また駅前の土地が残っていても、最近ではマンションよりも収益性の高いホテルやオフィスビルに取られています。
そのため新築マンションを建てようと思っても、実はもういい土地がなく、少し中心街から離れた土地に建てられることが多いです。
しかしこういった少し離れた土地や、利便性に少し劣る場所にあるマンションを購入してしまうと、結果的に資産価値が低い物件を手に入れてしまうことになる可能性が高くなります。
価格の落ち幅が大きい
マンションの価格推移は、新築時から徐々に価格を下げていき、最終的に3分の1程度まで下がっていくと言われています。
「出典:東日本レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場」
このグラフを見るとわかりますが、築26年〜30年ほどで価格は下げ止まりますが、それまでは一貫して価値は下落していきます。
つまり新築の場合、このグラフで見ると一番高いところになりますので、住宅ローンを払い終わっても結果として支払ったローン価格の3分の1しか価値が残らないことになります。
資産価値は買った時と売った時の差が小さければ小さいほど高いと言われていますので、その考え方から照らし合わせてみると、新築マンションはキッパリと損をするということが言えます。
ちなみにここ最近、築15年〜20年の中古マンションが新築時と比較して全然下がっていない、むしろ値上がりしているという話を聞きますが、これはあくまで物価や相場が上昇した結果に過ぎず、物価や相場を考慮しなければ基本全ての物件はこのグラフのような価格推移になります。
モデルルームとの落差
「狭いし、高級感もないし、モデルルームと全然違う」
こういったモデルルームと実際の物件の落差でとても後悔をするケースが実は多く見られます。
モデルルームを見に行くと、高級感があってとても広々としていてきれいで、とても魅力的な空間が広がっています。
しかしモデルルームとはその部屋を最高の空間に作るプロが、隅から隅まで作り上げた空間なのです。
例えば部屋の広さについて。
モデルルームはインテリアのプロが作り上げており、そこにある家具や設備は部屋を広くみせるためにサイズの小さいものが使われていることが多いです。
そのため実際に住んで生活雑貨や家具を置くと、とても狭く感じてしまいます。
また、モデルルームは一番おすすめの部屋のタイプが使われています。
実際に購入を考えている部屋のタイプとは全然違うため、部屋の空間は別物です。
部屋の明るさや風遠しなど、もちろん住環境も全く違います。
モデルルームには光が差し込んでいたが、購入した部屋は全く違うなんてこともあります。
モデルルームを見ながら注意することは、自分の購入したい部屋との違いを理解しておくこと、そして部屋の中の設備やインテリアが有料オプションのものなのか、などをよく考慮し、一度で決めてしまうことは決してしないことです。
ただ、やはり実物をみていない状態で理想の住まいを探すという点ではなかなか難しいところではあります。
完成して入居するまで、どんな住民がいるか分からない
長く快適に住み続けていくうえで、周りにどんな人がすんでいるかはとても重要です。
実際隣人や、マンション内での人にまつわるトラブルは本当に多いです。
そのためにも住まい探しの際は、周りの人についてよく調べてから決めていきたいところです。
しかし新築マンションの場合、実際に住み始めるまでどんな方が周りに住むかがわかりません。
つまりここは運次第という部分になってしまいます。
もちろんいい人に囲まれればいいですが、そうでない場合であっても、購入後は長く付き合っていかなければなりません。
管理組合の状況がどうなるか分からない
新築マンションは良くも悪くも全てが新しく始まります。
新しい部屋、新しい住民、そして新しい管理組合。
中古マンションであれば管理組合が今までどのような管理をしてきたのか、管理組合の書類や住民等からの調査でわかります。
しかし新築マンションの場合は全くわかりません。
つまりものすごいいい管理体制で、安心・安全に管理されていくのか、それともそうでないのかが現状わからないということです。
この管理についての状況が、今後のマンション自体の価値にも大きく影響してきます。
管理状態の優れたマンションは将来的にも価値が残りますが、そうでない場合は資産価値として下落の一途をたどってしまいます。
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完成して間もない時期はトラブルも発生しやすい
完成していないマンションは様々な問題が発覚しやすい時期と言われています。
よくニュースなどで、マンションの傾きや杭の偽装問題などが報じられていますが、あれは氷山の一角と言われています。
大きな問題であれば流石にニュースにもなりますが、小さな問題であれば表に情報が出てしまうと事故物件扱いになってしまうので、内々で処理されることも多いと言われています。
建築後10年以内、特に最初の5年は建物の問題が出やすい時期と言われていて、できるだけ避けたほうが賢明と言えるのではないでしょうか?
新築後3年くらいは地震に弱い
新築3年くらいはコンクリートが完全に固まりきっておらず、耐震性が脆弱性があると言われています。
コンクリートは3年経ってから固まっていき、本来の耐震性を発揮すると言われています。
すぐに大地震が来るとは限りませんが、そのような事実も知っておいて損はないでしょう。
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新築マンションの価格予想をしてみよう
これまで新築マンションの資産価値というポイントについていくつかお話してきましたが、ピンとこない方は実際に新築マンションの価値がどのくらい下落していくものなのかを調べてみるのがいいでしょう。
例えばある一定のエリアで同じような条件の中古マンションをポータルサイトでいくつか探してみましょう。
そして築年数と新築時の価格を比較してみると、大きな差があることがおわかりいただけると思います。
こうやって時系列で物件を見比べることで、新築マンションを購入したあと、5年後、10年後、15年後の価値がどのようになっていくかも合わせて見えてきます。
価格推移を見る時のポイントですが、部屋の広さが物件によって様々なので、平米単価でみると分かりやすいと思います。
買ってもいい新築マンションの特徴とは?
今現在買ってもいいと思える新築マンションは非常に数は少なく、一部の新築マンションに限られます。
具体的な条件を挙げれるのであれば、
- 駅から至近距離、もしくは直結
- 希少性が高い立地
- 災害リスクが低い立地
- 低層マンション
などです。これらの条件のうち、1番と2番に関して必須です。
しかし、これらの条件を満たす新築マンションは、非常に高額となっており、予算に余裕があればいいですが、無理して高いお金を払って購入するのはライフプランの観点からもあまりお勧めではありません。
買ってはいけない新築マンションの特徴とは?
買ってはいけない新築マンションとは、以下の特徴に当てはまるものです。
ここで挙げる特徴は、先ほどお伝えした新築からの価格の推移ではあくまで平均ではありますが、その中でも特に資産価値の下げ幅が大きいと考えられる特徴です。
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駅からの距離が離れている新築マンション
駅から10分以上離れた新築マンションは資産価値的に、かなりリスクが高くお勧めしません。
そもそもマンションの良さはその利便性になります。
これから家は余っていく時代です。
その中で、利便性の良いマンションに人はどんどん集まっていきますので、利便性の悪いマンションは人気がなく、値段は下がっていきます。
特に今の新築はこれまでのマーケットの中でも高い時期になりますので、今後相場が下がったりしたときは、かなり大きな影響を受けると考えられます。
再開発地域で新築マンションがたくさん建築されているエリア
こちらは賛否が分かれるところだと思いますが、短期的には良くても長期的に見たときにリスクが高い特徴と考えられます。
その理由として、再開発エリアではしばらく人気が続くものの、その人気が将来にわたって永続的に続くかどうかわからないことです。
限界ニュータウンと呼ばれるエリアが話題となったこともありますが、ニュータウンも新築当時は大流行していました。
そして、このようなエリアや物件では、将来売るときに売り物件が大量に出やすいことが考えられます。
新築マンションを購入する世帯像は比較的似ている傾向がありますので、将来年数が経ってお子様が独立するタイミングも似通っていて、売りに出す比較的同じようなタイミングとなることが多いのです。
物件を売り出す場合、周辺にライバルはあまりいない方が有利となりますが、たくさんのライバルがいる場合、価格は下落傾向になります。
よほどエリアとして求心力があればいいのですが、20年、30年経ったときに街の様子がどうなっているのか、よく考えてみるようにしましょう。
そもそもの価格が安い新築マンション
言い方が悪いかもしれませんが、価値が残りやすい特徴のある新築マンションは、今の相場や物価を考えるとかなり高額になり、エリアによっては一般の会社員には手が届かない水準となっています。
そんな中で比較的安く、手が届きやすい新築マンションにはそれなりの理由があると考えるべきです。
駅から遠い、再開発エリアで土地が比較的安く仕入れられる。
仕様やグレードをかなり落としているなどなど、安いなりの理由があるはずで、そのような新築マンションは資産価値が大幅に下落する可能性が高いと考えられます。
単身者向けの間取りが多い新築マンション
新築マンションの中で中長期的に考えた時に管理上のリスクが大きいと考えられるのが、単身者向けの間取りが多い物件です。
比較的、立地は良い場所にあるのですが、単身者向けの部屋は投資家向けに販売されることが多くあります。
投資家は実際に住むために購入する実需層と、価値観が相容れない部分があります。
実需層は長期的な視点から管理組合に関わりますが、投資家は短期的な利益を優先するため、本来値上げをしなければいけない修繕積立金を値上げせずに、後から積立金不足が問題となることが考えられます。
実際に筆者もそのような中古マンションの売買に携わったときに、そのような問題が内在しているマンションをいくつも見てきました。
短期的に売却する予定ならともかく、長期保有をお考えであれば、単身者向けの部屋が多い新築マンションは注意するべきでしょう。
中古マンションで賢くリスク回避を
最新の設備、共有施設、そして新品の部屋と、とても魅力のある新築マンション。
一方で新築プレミアムや、実際に物件や住民、管理組合の運営状況を見て選ぶことができないなど、様々なリスクもあります。
そんな中、今市場でも人気がでてきているのが中古マンションです。
新築と比べ価格も市場の相場にあわせた実際の資産価値で取引されていますし、実際にどんな管理状況で、どんな人が周りに住んでいるかも当然わかります。
資産価値の点でも、中古マンションの方が、買った時と売った時の差が開きにくいので、住宅支出を減らす効果が高いのではないでしょうか。
また新築マンションに比べて、中古マンションの方が多くの選択肢があります。
さらに立地も比較的いいところにあって、良質な中古マンションも増えてきています。
しかし不動産の特性といえるのですが、一つ一つの物件全てが違ってきます。
そのため一つ一つよく調べ、買ってはいけないマンションを買わないようにしなければいけません。
そのためにも不動産のプロである、知識と経験を兼ね備えた不動産エージェントを見つけ、一緒になって物件選びをすることが、失敗しない中古マンションの選び方になります。
新築マンションならではの様々なリスクを避け、豊かな暮らしをするためにも、中古マンションという選択をしてみてはいかがでしょうか。
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まとめ
最後に新築マンションを避けた方がいいと思われる理由についてまとめておきます。
- 新築マンションは価格が高騰、部屋は狭くなりグレードを落とした物件が増えている
- 新築プレミアムにより、価格の下落に見舞われやすい
- そもそもいい立地が余っていない
- モデルルームを見て購入するしかないが、ギャップがある
- 入居するまでどんな住民が住んで、どんな管理になるか分からない
- 新築時からの価格下落幅が大きくなりがち
- 新築マンションならではの物件的な欠陥や耐震性などの問題が起きやすい
- 新築からの価格推移は、近隣の中古マンションを見ると予測がつく
- 買ってもいい新築マンションは今はかなり高額
- 買ってはいけない新築マンションは比較的手が届きやすい価格帯になっていることが多い
- 中古マンションで賢くリスク回避を
これらのポイントを押さえて、後悔のないマンション購入をするようにしてください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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