中古住宅の取引が活性化するにつれ、ホームインスペクションという言葉をよく聞くようになりました。
ホームインスペクションとは、中古住宅の外から見ていただけでは分からない欠陥がないかどうかを、資格者が機械などを使いながら検査をしていくサービスです。
有料となりますが、安心して中古住宅を取引するためには欠かせないものです。
しかし欧米では比較的一般的なものですが、新築が中心だった日本では歴史は比較的浅く、ホームインスペクションに対する正しい認識が当事者だけでなく、不動産業者についてもそこまで広まっているわけではありません。
この記事ではそんな日本のホームインスペクション事情から、本来であれば契約前に行っておきたいインスペクションができない場合にどんな注意点があるのか、またその対応策について解説していきます。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎
公式LINE@に友だち登録すると
ホームインスペクションはするべきか
まず大前提として、ホームインスペクションは必要かという論点ですが、戸建に関しては新築であっても中古であっても絶対にやったほうがいいと考えています。
逆に中古マンションに関しては、そこまで必要がないかと考えています。(プロによっても意見は変わるかもしれませんが、概ねこの考え方が大勢ではないでしょうか)
戸建は施工によって新築でも品質にバラツキが出やすいですし、中古戸建ともなれば、新築時の施工に加えてどのようなメンテナンスをしてきたかによって、玉石混合となるためです。
ですから私の場合、戸建であれば必ずインスペクションの提案を行います。
しかし、契約前にインスペクションができればいいのですが、中にはできないケースもあります。
こちらもCHECK
インスペクションは契約前か契約後のどっちがいい?
建物の安全性を知るうえでも必須とされるホームインスペクション。建築士等の専門家が住宅の目に見えない部分まで建物診断をしてくれるサービスです。 中古住宅を買う場合は建物の不具合箇所を事前に ...
続きを見る
ホームインスペクションが契約前に出来ない原因
ホームインスペクションの知識がある方であれば、インスペクションを契約前にやりたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、そう希望してもインスペクションが契約前にできないこともあります。
その主な要因としては、
- 時間的な問題
- 売主が拒否をする
- 業者の理解不足
この3つになります。それぞれ詳しく解説してきます。
時間的な問題でできないケース
時間的な問題が出やすいのは、同じ物件を検討している競合がいる、もしくは人気物件の場合です。
ホームインスペクションは専門の業者がいますので、依頼・発注をかけて実際にインスペクションに入るまで早くて1週間。
遅ければ2週間かかることもあります。
人気物件などではその間に、同じように検討している競合が商談をまとめて、契約を取られてしまうかもしれません。
誰からに取られてしまうリスクを冒して契約前インスペクションにこだわるかどうか、というケースで、確実に買うことを優先する場合です。
売主が拒否をする
私は経験をしたことがありませんが、売主がホームインスペクションを拒否することもあります。
拒否される理由として
「欠陥が見つかったら買ってもらえなくなる」
と考えていることが多いです。
むしろ欠陥は先にわかっていた方が後からトラブルになりにくいメリットもあるのですが、ホームインスペクションに対する認識がまだ広がっていないことに起因するものです。
業者の理解不足
2020年4月に宅建業法が改正されて、契約前に行う重要事項の説明に含まれるようになってから、不動産業界のホームインスペクションに対する認識は深まったと思いますが、実際のところはまだまだ理解や経験が不足している業者は多いと思います。
特に都心部になると、マンションが中心のマーケットになりますので、戸建を扱ったことがない業者もいるのではないでしょうか。
特に中古戸建は物件種別の中でも、取り扱い難易度は高いので、できない担当者も多いです。
そんな担当者に当たると「面倒だから」「分からないから」「契約を急ぎたいから」という理由で上手くいって実施しないように誘導してくることもあります。
売主が拒否するケースも、もしかすると媒介の依頼を受けている不動産業者の理解不足ということもあるかもしれません。
大きな買い物ですから、経験や知識のある担当者から購入を進めていくようにしましょう。
次のパートからは、もしどうしても物件が欲しいけど契約前にホームインスペクションができない場合、どうすればいいのか、その対応策について解説していきます。
ホームインスペクションが契約前にできない時はどうすればいい?
物件は欲しい、契約はしたい。
しかし先述したような理由によりインスペクションができない。
このような時にどうしたらいいのか。
その対策と注意点についてお伝えします。
売主が不動産会社であれば契約後にインスペクションをする
売主が不動産会社である物件は、新築全般とリフォーム済みの物件です。
一般の方が売主となる中古マンションや中古戸建では、あまり効果はありませんが、売主が不動産会社の場合は有効な方法です。
そもそも大前提として、インスペクションの結果を元に契約を白紙撤回にすることはできません。
もし解除したい場合は、手付金を放棄する必要があります。
しかし売主が不動産会社の場合は不具合があれば手直しをしてくれます。(個人の場合はこの対応は難しいです)
注意点としては、手直しの箇所は主要構造部分に関するところ(雨漏りやシロアリ、建物の傾きや給排水管の不備など)と、施工の不具合に限られます。
つまり中古の場合、経年劣化や消耗品に関するものは対象となりません。
また必ず契約前にインスペクションを契約後に入れる承諾を得ておくこと。
できれば契約書の特約に「売主は、契約後のインスペクション実施について承諾をする。また不具合が見つかった場合は、売主の責任と負担において修復をしてから引き渡すものとする」などといった一文を入れておくと安心です。
リフォーム会社に見てもらう
個人が売主の中古住宅の場合に有効な手法です。
実は住宅検査自体は、資格がなくてもできます。
建築知識や経験の豊富な現場監督なんかもできます。
もちろん、ホームインスペクターがチェックするほど細かい箇所を見ることはないですが、傾きや床下・天井裏・外壁や基礎のチェックなど、主要構造部分は検査できます。
注意点としては、仲介業者が良いリフォーム会社を紹介できること。
普段から中古住宅の取り扱いがないと、なかなか良いリフォーム会社と連携をとることはできませんので、ここでも担当者の良し悪しが重要になります。
インスペクションが原因で失敗や後悔をしないために
不動産という商品は個別性が強く、取引の中でもイレギュラーな対応を求められることは多々あります。
特にインスペクションが絡む場合、マンションよりも戸建てが多くなるので、建築の知識やインスペクションの慣れや経験が絶対的に必要です。
失敗を回避するためにも、物件を探す前に必ず良い担当者を選んでおくことがとても大切です。
ハウスクローバーでは全国の優良な不動産エージェント(担当者)が探せます。
エージェントの中には工務店出身や、建築士を持ってインスペクションを業務としても行っている人もいます。
ぜひ住宅購入で失敗しないためにもハウスクローバーを活用して良い担当者を探すようにしてください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎
素晴らしい仕組み
30代男性