マイホームを購入する際に借り入れた住宅ローンは、条件を満たせば住宅ローン控除を受けられることをご存じの方は多いと思います。
では、リフォームやリノベーションをするための費用も含めて借り入れた住宅ローンはどうでしょうか?
施工内容によりますが、リフォームやリノベーションもそれなりに費用がかかるため、少しでも負担を軽減したいものです。
今回は、リフォームやリノベーション用の費用も含めて借り入れた住宅ローンと控除に関して、押さえていただきたいポイントをご紹介します。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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物件購入費だけでなく、リフォーム・リノベーション費用もローン減税の対象
まず結論から述べると、リフォームやリノベーション費用も含めた住宅ローンでも、条件を満たせば控除を受けることが可能です。
国税庁では、住宅ローン減税に関して以下のように定義づけています。
住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームを新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たす場合において、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。
上記文章の「増改築」がリフォームやリノベーションを指しているので、物件購入費だけでなくリフォームやリノベーションにかかった費用も控除対象であることがお分かりいただけるでしょう。
そしてリフォームやリノベーションを行う際、ローン控除を受けられる条件は以下の通りです。
基本要件 | 注記・付加要件など |
(1)リフォームやリノベーション工事を行う方が物件の所有者で、なおかつご自分が住むための住宅に対して行う工事であること | |
(2)工事内容が右のいずれかに該当していること | ①増改築や建築基準法で定められている大規模修繕や模様替えに該当していること
(構造上の主要耐力壁でない間仕切り壁・間柱・最下階の床・屋外階段は除く) ②マンションの場合は、区分所有部分の床・階段・壁のいずれかが工事対象で、該当設備の半分を超える面積のリフォームやリノベーションであること(①に該当する部分を除く) ③一戸建てのリビングや寝室・キッチン・浴室・トイレ・洗面所・納戸(サービスルーム)・玄関・廊下の一部分の床もしくは壁全体に対して行う工事(①と②に該当する工事は除く。マンションの場合は区分所有部分に限る) ④建築基準法で定められている構造の強度や耐震性に適合させるために行ったリフォームやリノベーション(①~③に該当する工事は除く) ⑤一定の基準を満たすバリアフリー工事(①~④に該当する工事は除く) ⑥一定の基準を満たす省エネ工事(①~⑤に該当する工事は除く) |
(3)リフォームやリノベーションを行った日から6ヶ月以内に工事が完了した家に引っ越し、なおかつローン控除の適用を受ける年の12月31日まで住み続けていること | |
(4)ローン控除の適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること | |
(5)リフォームやリノベーション後の住宅の床面積が50㎡以上かつ、床面積の2分の1以上にあたる部分を所有者自らが住居用として利用していること | ①床面積は登記簿に記載されている面積が基準となる
②マンションは専有部分のみが対象である ③店舗や事務所併用の住宅や二世帯住宅などは建物全体の床面積も含めて判断する |
(6)リフォームやリノベーション工事にかかった費用が100万円超で、そのうち2分の1以上の金額がご自分の居住部分に対する工事に使われていること | |
(7)住宅ローンの返済期間が10年以上あること | |
(8)リフォームやリノベーション工事を終えて住み始めた年とその前後2年間の合計5年間に、長期譲渡所得の課税特例などを受けていないこと | 例:2018年にリフォームしたら、2016年~2020年までの5年間に一部の特例を受けると、住宅ローンの控除対象外となる |
そして上記条件を満たしてローン控除を受けられる場合は、下記のとおりの金額が控除されます。
消費税率 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 最大控除額 |
8%または10% | 4,000万円 | 1.0% | ※10年間 | 400万円 |
上記以外の税率 | 2,000万円 | 1.0% | 10年間 | 200万円 |
なお消費税率が10%に該当する方がリフォームやリノベーションを行うと、2019年10月1日~2020年12月31日の間にリフォーム済の新居へ引っ越して暮らし始めた場合に限り、控除期間が13年間となります。
ただし11年目~13年目は、「毎年末のローン残高の1%分」か「工事にかかった費用の3分の2のどちらか小さい方」が控除限度額として適用される点にご注意ください。
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住宅ローン減税の対象にならないとき
中古マンションや中古戸建てを購入と同時に、リフォームやリノベーションを行うことを計画している方も多いと思います。
ただし購入した物件が住宅ローン減税の対象に該当していなければ、当然ながら控除を受けることはできません。
たとえば登記簿上の床面積が50㎡未満だったり、店舗併用住宅のうち居住部分にあたる床面積が全体の2分の1未満だったりする物件は、住宅ローン減税の対象外となってしまいます。
その他にも、購入する物件がそもそも住宅ローン減税の対象にならないときは、いくら工事の要件を満たしていても、住宅ローン減税は利用できないことに注意が必要です。
控除を受けるためには、上記の(1)~(8)の基本要件を全て満たすことが必須条件ですが、注記や付加要件は「いずれか」に該当するのか「全て満たす」のかが異なります。
希望の物件が必要な要件を満たしているのか個人で判断するのはなかなか難しいので、物件選びの際は中古住宅の販売やリフォームに精通している不動産エージェントに相談することをおすすめします。
住んでいる家をリフォーム・リノベーションする時も利用できる
中古マンションや中古戸建てを購入と同時にではなく、購入後しばらくしてからリフォーム・リノベーションをしたい方や、新築で買って数年経った現在の家を増改築したいと考える方もいらっしゃるでしょう。
今回ご紹介しているリフォーム・リノベーションに関する住宅ローン減税は、既に住んでいる家を増改築する場合にも利用できます。
このケースでは、住宅購入時に物件そのものが住宅ローン減税の対象になっているかどうかは関係がありません。工事の要件さえ満たしていれば利用できます。
ただし、耐震性の向上・バリアフリー改修・省エネ改修を目的としたリフォーム・リノベーションは、工事完了後から指定の日以降に住み始めた物件でないと控除が認められません。
また、工事費用も2011年6月30日以降に増改築工事の請負契約を締結し、なおかつかかった費用に対する補助金や助成金の交付を受けている場合は、交付額を差し引いた金額のみが控除対象か否かの判断ポイントとなります。
各要件にまつわる指定日は結構バラバラなので、事前に国税庁のホームページや不動産エージェントに確認しましょう。
現金でリフォームをする時は利用できるか?
リフォームやリノベーションにかかる費用をローンを借り入れず現金で支払った場合は、住宅ローン減税は受けられません。
そもそも住宅ローン減税は、住宅ローンを借り入れてマイホームを買った方や、増改築分の費用も含めて借り入れてリフォーム・リノベーションをした方に対する軽減措置です。
現金払いということは、住宅ローン減税の対象者の大前提に当てはまっていないため、いくら物件が対象要件を満たしていても控除が受けられないのです。
後から慌てないようにしっかり準備をしよう
リフォームやリノベーション費用も含めた住宅ローンは、要件を満たせば利用できるお得な制度です。
ただし要件が複雑であることや、必要書類の多さ・スケジュールの立て方など考えるべきことが多すぎて、ご自分だけでは手が回らず控除を受けるチャンスを逃してしまう可能性もあります。
そこで中古戸建てや中古マンション販売を得意とする不動産エージェントに相談すると、控除適用要件に当てはまっているのか、申請に必要な書類は何か、いつまでに用意して申請したら良いかなどのアドバイスを受けられます。
物件の紹介だけでなく、住宅に関する税金制度や住宅ローン、さらには建築のことまで幅広い知識と経験を持つ不動産エージェントであれば、安心して任せられます。
今後中古戸建てや中古マンションの購入とリフォーム・リノベーションを計画している方は、ぜひ頼れる不動産エージェントを選んで理想の暮らしを叶えましょう。
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ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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