この記事を読むことでわかること
- 中古マンションのおすすめの築年数
- 中古マンションの築年数ごとの特徴と注意点
- 中古マンションの築年数ごとのお勧め度
新築マンションの価格が高騰し、物件数そのものも減少する中、日本のマンション市場では中古マンションの取引量が年々増え続けており、すでに新築マンションの取引量を超えています。
また年々取引量が増えるにつれて、中古マンションに関わる様々な疑問についても増えてきています。
その中でも特に多い疑問の一つが築年数についてです。
「築何年くらいものものまで買って大丈夫なのか?」
「買うなら築何年くらいのものがお勧めですか?」
などなど、筆者も実際に営業の現場で聞かれることが多い質問のうちの一つです。
そこでこの記事では、中古マンションを買うのであれば、おすすめは築何年の物件か?
様々な築年数に関するデータと業界歴15年以上の経験をもとに、その正解と理由を紐解いていきたいと思います。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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マンションの築年数ごとの価格推移
まずは新築マンションから築年数が経つにつれてどのように価格が推移していくのかをみていきたいと思います。
こちらのグラフをまずはご覧ください。
「参考:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏不動産流通市場(2019)」
このグラフは新築マンションの時から築年数が経つにつれて、どのように価格が推移していくのかをデータ化したものです。
新築時が最も価格が高く、そこから値段を下げていき、築26〜30年の時点で下げ止まることが見て取れます。
新築時からおよそ3分の1まで価格が落ちています。
資産価値を考えるのであれば、買った時と売った時の差が小さい中古マンションほど資産価値が高いと言えますので、築26〜30年くらいの中古マンションがお勧めといえます。
マーケット状況(相場)との関係性
このグラフを見たときに、人によっては「15年前の中古マンションでも新築時よりも値段が上がっているのに」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
その実感は正しいもので、そのような状況が起こっているのはマーケット状況、つまり相場が上がっているからです。
既出のグラフはあくまで物価や相場が変わらないという前提となっており、少し違和感を覚えるかもしれません。
相場や物価を考慮しないで考えるためには、例えば築20年の中古マンションで平米単価が65万円の時、このマンションが仮に新築時の時も平米単価が65万円であったとしても、今の物価や相場で同じものをもう一度新築したら、平米単価は95万円になるという捉え方をすると正しく理解ができます。
マーケットは常に動いているので、今後どのように相場が変わっていくのか、現在のマーケット情報についてもある程度把握しておくようにしましょう。
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新築プレミアムとマンションの実力
新築マンションには新築プレミアムと言われる分譲会社による利益部分が反映されていると言われています。
新築マンションで買ったらすぐにその新築プレミアムがなくなるので、2〜3割ほど価値が落ちると言われたりしますが、私が考える新築プレミアムは少し意味合いが違います。
私が考えている新築プレミアムは新築だからこそマンションの実力以上に評価されているということです。
どういうことか詳しく解説します。
本来、マンションは立地や管理でその価値が決まります。
しかし新築マンションや築浅のマンションでは、建物が新しいからこそ、立地(管理については時間が経っていないので判断できない)が多少悪くてもそれなりの値段で売れます。
他にもマンションデベロッパーによるブランドで売れます。
このことを私は新築プレミアムと解釈しています。
しかし築年数が経つごとに、マンションが持つ本来の実力でしか評価されなくなっていきます。
この概念、考え方はこの後に解説していく築年数ごとの特徴や注意点において重要な考え方になりますので、ぜひ押さえておくようにしてください。
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築年数ごとの中古マンションの特徴とお勧め度
ここからは、実際に中古マンションの築年数ごとの特徴と注意点、そして筆者が考えるお勧め度を解説していきます。
どの中古マンションを選ぶかは、購入する方の価値観によるところも大きいので、なるべく対象となる価値観や、その際に注意していただきたいポイントを詳しく解説していきたいと思います。
築0年〜5年の中古マンション
お勧め度
中古マンションというよりは、新築マンションを希望されている方が対象となる築年数です。
新築マンションが建つまで待てない方であったり、希望するエリアに新築マンションが建つ予定がないという方などが対象となります。
新築ならではの新しさや最新の設備を求める方に向いています。
ただし価格はまだ新築と同等くらいに高く、新築プレミアムが乗っている状態です。
新築ならではの新しさを実感できる築年数ですが、今のこの築年数は非常に割高な時期に建っているので、マンションの実力をしっかり見極めることが必要です。
マンションの実力にもよりますが、損をするリスクも高いため、お勧め度は星3つです。
築6〜10年の中古マンション
お勧め度
築5年以内のマンションよりは時間が経っているとはいえ、まだまだ築浅と呼ばれる範囲内です。
新築とまではいかないものの、比較的新しさやそれなりに先進的な設備があります。
新築マンションよりは価格も落ち着いてきており、新築マンションの雰囲気も残っています。
新築のような暮らしを満喫したいのであれば、この築年数はお勧めでしょう。
ただし、この築年数もまだ新築プレミアムが残っていますので、マンションの実力をしっかり見極めるようにしましょう。
こちらもマンションの実力次第でかなり変わってきますので、お勧め度は星3つです。
築11〜15年の中古マンション
お勧め度
築浅と呼ばれる築年数ではなりますが、マンション市場ではまだまだ人気のある築年数です。
この時期になってくると、そろそろ大規模修繕工事の話が管理組合では出てくる頃です。
大規模修繕工事が終わっているかどうかで変わりますが、管理組合の財務調査にある程度精度が出てくる時期です。
マンションの価値は「立地と管理」と先述しましたが、管理の部分で物件の取捨選択ができるようになります。
他にも建築された時代背景を考えると質の面でもマンションの実力は高い傾向があります。
また価格についてもそれなりに落ちてきているので、お勧め度は星4つです。
注意点としては、いかに管理組合の財務状況を見抜けるか。
この財務状況によって修繕積立金が高くなったり、一時金が発生するようなことがあれば、マンションの価値はもちろん住みやすさの価値も毀損しますので注意が必要です。
管理組合の調査は、調査経験が豊富な担当者でなければできません。
不動産業務をしているだけでは身につかない知識と経験になりますので、担当者選びがこの築年数からは特に重要になってきます。
築16〜20年の中古マンション
お勧め度
この時期になると、完全にマンションの実力で判断されるようになります。
大規模修繕工事は終わっていますので、表面的には分かりにくくても、管理組合の調査をすれば、リスクのあるマンションはしっかり判別ができます。
また質の面でも、築16〜20年の中古マンションは建築年でいえば2000年代前半〜後半となりますので、今の新築と比較してもグレードが高くマンションの実力が高い物件が多いです。
その分、価格はまだ高いですが、マンションの実力がしっかりしたものであれば資産価値的にもお勧めの時期です。
もちろん個別で良し悪しを判断しなければいけないものの、築年数的にはお勧め度星5つです。
築21〜25年の中古マンション
お勧め度
築21〜25年の中古マンションは今から逆算すると、ちょうど2000年を挟む形になります。
この2000年という年数が何かというと、2000年6月に建築基準法の改正があり、この改正後から現代的なマンションが形成された時期となります。
2000年以降はバリアフリー性や省エネ性能が向上し、外梁工法が広まったことから室内から梁が少なくなり、室内がすっきりするようになりました。
また床暖房や宅配ボックスなどもこの時期から普及し始めていきました。
その一方で1990年代までのマンションは、物件にはよるものの、水回りが段差になっていたり、梁が室内にあり邪魔になっている物件も数多くあり、2000年6月以前か以降かで中身が変わります。
これまでの築年数のようにマンションの実力が重要となること、管理組合の調査が欠かせないことは変わりませんが、2000年を境に変わるマンションの構造の違いからお勧め度は星4つとしています。
2000年以降であれば星は5つです。
築26〜30年の中古マンション
お勧め度
この築年数は価格の下落もほぼ止まっており、データ上では買った時と売った時の差が最も開きにくい築年数であり、資産価値的な側面でいえば最もお勧めな築年数となります。
ただし、2000年6月以前のマンションとなりますので、古い感じがするのは否めないですし、オートロックや宅配ボックスがないマンションもありますので、人によっては受け付けない人も多くなるのではないでしょうか。
駅近など比較的好立地な物件も多く、マンションの古さなどが気にならない方であれば問題ありませんが、気にする方も一定数いると思われますので、お勧め度は星4つです。
築30年〜の中古マンション
お勧め度
築26〜30年までの築年数のマンションと同じく、価格は下げ止まっていますので、資産価値面においてはお勧めです。
しかし同じように古さが感じられますので、人によって好みが分かれるところだと思います。
ただ駅近などの比較的好立地な物件も多く、バブルの頃に作られた豪華絢爛なマンションであったり、ヴィンテージマンションと呼ばれる人気物件が存在するのもこの築年数です。
また管理組合の財務状況についても、この時代のマンションは今のように少しずつ積立金が値上げされていく段階積立方式でなく、最初から一定の金額を徴収する均等積立方式を採用しているマンションも多く、比較的安定しているマンションも多いです。
人によって好みが分かれる築年数なのでお勧め度は、星3つです。
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1981年6月以前の旧耐震マンションは避けるべき
築30年〜は一括りになっていたので、追記します。
築30年〜の中古マンションで特に購入しても問題がないのは、1981年6月に改正された建築基準法、いわゆる新耐震基準のマンションです。
1981年6月以前に確認申請がされたマンションは旧耐震物件と呼ばれ、地震に対する安全性はもちろん、コンクリートの厚みや質などにも問題があることが多く、基本的には避けるべきだと考えています。
安全性ももちろんなのですが、住宅ローンが組みにくいというデメリットもありますので、将来売る時にも時間がかかります。
現行の耐震基準へ耐震改修工事がされている、解体&立て直しの計画があるなど、よほどの好材料がない限りは避けるべきでしょう。
ちなみに1981年6月以降に建築確認が申請されたマンションですので、実際は1982年は新耐震と旧耐震が混じっていて、1983年以降であれば基本的には新耐震基準と判断して良いでしょう。
最も売れている中古マンションの築年数は?
ちなみに現在最も売れている中古マンションの築年数は、21.64年です。
以下のグラフは年数ごとに最も多い売り出しの築年数と、成約の築年数をグラフ化したものです。
グラフを見ていただくとわかると思いますが、築年数は売り出し・成約ともに年々増えていっています。
これは新築マンションが年々減少し、中古マンションが増加していることを考えれば当然のことと言えるでしょう。
この傾向は今後も間違いなく進んでいきます。
そして、着目すべきは今の時点で築20〜25年くらいの中古マンションでも、2000年6月以降の中古マンションが一番売れているということです。
これはある程度価格が落ちて買いやすくなっている築年数であることや、近代的なマンションであることが人気の要因だと考えられます。
中古マンション買うなら築何年がオススメ?
ここまで中古マンションの築年数ごとの特徴や注意点、築年数について解説してきましたが、結論、中古マンションを買う上で最もお勧めな築年数は築16〜21年(2000年6月以降)であると考えられます。
価格もある程度落ち着いてきて資産価値もよく、立地やグレードも良いことから中古マンション市場においても競争力が高い築年数です。
私自身も、お客様からお勧めの築年数を聞かれたときは2000年代前半と答えることが多いです。
もちろんエリアによっては価格はまだまだ高い部類に入りますので、予算次第にはなりますが、もし予算が許すのであれば参考にしていただければと思います。
また繰り返しになりますが、中古マンションは築年数が古くなればなるほどマンションの実力がものを言います。
マンションの実力は「立地と管理」ですが、管理については不動産業者の担当者(不動産エージェント)の力を借りて、リスクの高い中古マンションを買ってしまわないように気をつけましょう。
管理の調査がしっかりできる担当者は全国的に見てもそこまで数は多くはありません。
担当者探しには、全国の優良な担当者が探せるハウスクローバーを利用するようにしましょう。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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