あなたは、担当者に気になる物件を連絡した際、「この物件は囲い込みです」と言われた経験はありませんか?
私自身も、実際にお客様から気になる物件の連絡を受け、売主側の不動産業者に連絡した際に、囲い込みが発覚し、お客様に伝えることがあります。
その際に、「そんなことってあるんですか⁉︎」とか「それって何かデメリットとかリスクってありますか?」と聞かれることがあります。
結論から言えば、デメリットもリスクもあります。
そこでこの記事では、囲い込みについての現状や、デメリットやリスク(特に購入者側にとって)について、実際にあった怖い事例なども含め、解説します。
この記事で分かること
- 囲い込みとは?
- 囲い込みが起こる理由
- 購入者における囲い込み物件のデメリットとリスク
- 囲い込み物件での怖い事例
- あなたもやっているかもしれない、囲い込みと同等のリスク行為
- 物件探しで後悔しないために
囲い込みとは?
そもそも囲い込みとは、何なのか?基本的な説明からさせていただきます。
内容について理解されている方は、読み飛ばしてもらって構いません。
囲い込みとは、売主から依頼を受けた不動産業者が、他の不動産業者の購入希望者に紹介することを拒否する行為です。

売主側の業者は、基本的なルールとして物件を売主から預かった時には、レインズという不動産業者だけが閲覧できる物件データベースシステムに掲載しなければいけないことになっています。
しかし、一部の不動産業者はレインズに掲載をしなかったり、問い合わせがあってもそれらしい言い訳をしたり、一般媒介契約というレインズへの掲載が義務付けられていない形態を活用し、他業者が紹介できないようにします。
囲い込みは売主にとって、より多くの人に紹介される機会が減ることで、売却のスピードや売却価格にも影響が出ることから(一般的に売却価格は安くなり販売期間は長くなる)、非常に不利益が高い行為として禁止されています。
特に2025年1月からは、罰則規定も追加され、業界全体として厳しく取り締まられています。
そのような流れもあり、大手ではあからさまな囲い込み行為は減りましたが、今でも中小零細などでは行われています。
罰則規定はあるものの、売主からのみの申告となっているので立証することも難しく、実務的には形骸無形な制度になっています。
囲い込みが起こる理由
それではなぜ、囲い込みが起こるのか。それは、売主側の業者が、売主だけでなく、買主からも仲介手数料を受け取る「両手仲介」を狙っているからです。
両手仲介ができれば、一つの物件で、売主と買主と両方から仲介手数料を受け取ることができ、どちらか一方の取引よりも売り上げが倍になります。

一般的な理解は、この両手仲介を狙ってのことと理解され、売主へのデメリットの方が大きいとされていますが、実は購入側にとってもデメリットが大きいとされています。
囲い物件の買い手のデメリット
囲い込み物件の場合、ご自身とやり取りをしている担当者を通して、内覧や取引をすることができないので、直接売主側の業者に問い合わせをするしかありません。
購入者側の明確なデメリットとしては、売主側の味方である不動産業者と直接やり取りをしなければいけないということです。
不動産取引において、事件事故や取引に影響すると考えられる告知事項や、不動産のと取引について買主に説明をするべき義務が不動産業者には定められていますが、そもそも予算の範囲内か、将来の資産価値への影響する内容などについては、説明義務はありません。
つまり法律上定められていることについては説明をしますが、それ以外のことについては説明をしてくれない可能性が高いデメリットがあります。
考えてみれば当然なのですが、不都合な事実を言うと物件は売れません。本来、その不都合な事実については、あなたの味方である担当者が見極める内容です。
そして、そもそも囲い込みという法令違反を犯してまで、消費者の利益よりも自社の利益を優先するようなコンプラ意識の低い業者と直接やり取りをしなければいけないというデメリットが、購入側にも生じます。
私も不動産業界は長いので、その上で言えば、不動産業者と消費者の情報格差は未だに大きく、あまり情報を持たない消費者であれば、嘘をつくことも誤魔化すことも全然できてします。そんな業界だからこそ、業者の倫理観が非常に大切になるのですが、囲い込みをする業者にその倫理観が備わっているかどうかは、甚だ疑問です。
囲い込み物件であった怖い事例
ここからは、実際に経験した囲い込み物件における事例をご紹介します。
1年ほど前に担当をしていたお客様から、この物件を見たいのですがと物件情報が送られてきました。
物件情報を確認しようと思い、レインズを確認しましたが、掲載されていません。
「もしかしてこれは…」と思い、物件情報サイトから業者の連絡先を調べて電話確認をしましたが、案の定、囲い込みでした。
そこでお客様には事情とデメリットを説明し、その上で直接業者に問い合わせをしてもらいました。そして内覧を済ませたあと、お客様から連絡がありました。
話の内容は、以下のようなものでした。
お客様「宮田さん、あの物件見てきたのですが、止めることにしました」
私「そうなんですね。止める理由は何ですか?」
お客様「あの物件、たぶん人が⚪︎んでます」
私「!? なんと!それって業者から聞いたのですか?」
お客様「いえ、何となく宮田さんに事前にアドバイスを聞いていたのですが、売却までの経緯を詳しく聞いたところ、少し違和感を感じたので、その後に『大島てる(事件事故のデータベース)』で調べたところ、自⚪︎の履歴が出てきました」
その物件は、売主は不動産業者でリフォーム済み物件です。私が売主側の業者に連絡をしたところ、「ずっと追いかけてきた物件なので…」と返されました。
お客様が売却経由を聞いたところ、不動産会社が3年前に買って、賃貸に出した後に、リフォームをして販売することになったというものです。
この話を聞いてピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。都市伝説的な話ですが、賃貸に貸して2年か3年すれば、事件や事故の告知はしなくてもいいというものです。
ちょうどその頃、国土交通省のガイドラインで、賃貸では基本的に3年経てば告知しなくても良いとされたのですが、売買では基本的にそのルールは適用されません。しかしガイドラインが出たばかりで、売買でも賃貸と同じルールで良いと勘違いをしていた業者も多かった時期です。
そのお客様は情報系のコンサル会社にお勤めだったこともあり、比較的リテラシーが高い方だったので、自分でも違和感を感じて『大島てる』を自分で調べたことから、その事実を知ることができました。しかし、これがこのお客様でなかったらどうなっていたでしょうか?
ここからは推測の域を出ない話にはなりますが、今回の件をまとまると、囲い込みをしていたのは「両手仲介」狙いよりも「業者を入れることで不都合な事実がバレてしまうことを恐れた」ということではないかと考えています。
つまり、囲い込みは自社の利益を優先したいという考え以外にも、他の業者を挟みたくない後ろめたい理由があることもあるのではないかというのが、この件を通じて感じたことです。
囲い込みのデメリットを自分から取りに行っていませんか?
先ほどの事例は極端な例かもしれませんし、事実だったのかどうかを確認する術はありませんが、囲い込み物件には買い手にとってもデメリットやリスクがあることを、ご理解いただけたのではないでしょうか。
しかしこんな囲い込みのデメリットを、自分から取りに行っている人たちもいるのです。それは、SUUMOやAthomeなどの物件情報から直接問い合わせをしている人たちです。
そもそも囲い込みは、他の業者からの買い手の紹介を受け付けず、自社に直接物件情報サイトなどを見て問い合わせてきた人に仲介をして、売主だけでなく買主からも仲介手数料をもらうことです。
そして物件情報サイトでは、複数社が同じ物件を載せているもの以外は、基本的に売主から物件を預かっている売主側の業者が物件を掲載しています。
つまり、物件情報サイトから問い合わせをするということは、売主の味方である売主側の業者に直接問い合わせていることと同じことなのです。
これは購入側の囲い込み物件のデメリットを、そのまま自ら取りに行っているのと変わりません。
不動産業界は、基本的に今回のような囲い込みのケースを除き、流通している物件はレインズに掲載されるため、どの不動産業者でも同じ物件を購入することができます。物件情報サイトで物件を掲載している業者からでないと購入できないなんてことはありません。
なので、自身の味方としてリスクを見極め、サポートをしてくれる担当者を探し、そこから物件の問い合わせや資料請求、内覧や取引を進めていくことが、後悔しないために外せないポイントになります。
しかし不動産業界はこれまで物件中心で集客をしていて、サービス競争がほとんど起こってこなかった業界もあり、なかなか良い担当者に巡り合うことも容易ではありません。
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