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プロは物件資料「マイソク」のここを見ている|危ない中古マンションを見抜く7つのポイントを業界17年のプロが解説

知識・マインド

中古マンションを探していると、不動産会社で「マイソク」と呼ばれる1枚の物件資料を必ず受け取ります。スーモなどで資料請求をしても、最初についてくるのがこの紙です。多くの方は価格・間取り・駅からの距離あたりを中心に見ると思いますが、プロはまったく違うところを見ています。

銀行や不動産のチラシは「大事なことほど小さく書かれている」とよく言われますが、マイソクもまさにその通りです。安いなりの理由や注意点は、目立たない場所にひっそり書かれていることが多いのです。

この記事では、業界17年の私が物件資料(マイソク)で必ず確認している7つのポイントを解説します。これを知っておくだけで、同じ資料でも見え方がまったく変わり、危ない物件を事前に見抜けるようになります。

この記事は動画でもご覧になれます。

この記事で分かること

  • プロがマイソクで最初に見る「取引態様(帯)」の意味と、売主の味方かどうかの見分け方
  • 築年数と管理費・修繕積立金の「バランス」から分かる積立金不足のリスク
  • 管理形態(全部委託・一部委託・自主管理)と、自主管理物件の注意点
  • 所有権か借地権かという「土地の権利」の落とし穴
  • 現況・引渡し(居住中・賃貸中)から読み取れる購入の可否とタイミング
  • 備考欄に小さく書かれた「本当の注意点」の探し方
  • 徒歩分数を鵜呑みにしてはいけない理由

そもそも「マイソク」とは何か

マイソクとは、物件の価格・間取り・所在地・駅距離・管理情報などが1枚にまとまった物件資料のことです。不動産会社で受け取ったり、ポータルサイトで資料請求したりすると必ずついてきます。

多くの方は価格や間取りだけを見て判断しがちですが、マイソクには「その物件の安さや危うさの理由」を読み取るための情報が詰まっています。プロはどこを見ているのか、7つのポイントを順番に解説します。

ポイント1:取引態様(帯)で「売主の味方か」を見抜く

私が最初に見るのは、資料の一番下にある「帯(おび)」と呼ばれる部分です。ここには資料をくれた会社名と、その横に「取引態様」が書かれています。これは、その会社がどんな立場でこの取引に関わっているかを示すもので、主に次の3つに分かれます。

  • 売主:その不動産会社が物件の所有者で、直接販売しているケース。仲介手数料はかからないことが多いです。
  • 専任・専属専任:売主から1社だけが依頼を受けて預かっているケース。いわゆる「物元(ぶつもと)」です。
  • 一般・仲介:売主から直接預かってはいないが、レインズ経由で物件を紹介している会社です。

ここで大切なのは「売主の味方かどうか」という視点です。売主や専任・専属専任の会社は、売主から預かった物件を「少しでも早く・高く売る」のが仕事です。人が亡くなっているなどの告知事項は法令上伝える義務がありますが、たとえば将来の修繕積立金がどうなるかといったネガティブな要素は、言うと売れにくくなり価格交渉も入るため、基本的に積極的には説明されません。

なお、専任・専属専任の物件だからといって、その会社からしか買えないわけではありません。不動産業界はレインズという仕組みで全社がつながっており、物元が登録した物件は、他の会社(一般・仲介の立場)が自分の客に紹介できます。つまり、どの会社からでも同じ物件を購入できます。だからこそ、知識や経験が浅いまま売主側のプロと直接対峙すると不利になりやすい、という点を理解しておきましょう。

ポイント2:築年数と管理費・修繕積立金の「バランス」を見る

2つ目は、管理費と修繕積立金のバランスです。ただし金額だけ見ても高いか安いかは判断できません。あわせて見るべきが「築年数」です。

マンションの規模にもよりますが、築30年を超えていれば、修繕積立金は2万〜3万円程度が平均的な目安です。それなのに月1万円や5,000円と「妙に安い」場合は注意が必要です。本来は値上げが必要なのに、値上げできていないパターンがあるからです。

このようなマンションを買うと、しばらくして修繕積立金が大きく上がったり、一時金の徴収が発生したりするリスクがあります。もちろん、安い金額できちんと回せている健全な組合もあるので絶対ではありませんが、築年数と積立金のバランスが取れているかは必ず確認しておきましょう。

ポイント3:管理形態(特に自主管理)に注意する

3つ目は管理形態です。ここは「管理員の勤務形態」と「管理業務の委託形態」の2つに分けて見ます。

まず管理員の勤務形態は、手厚い順に「常駐 → 日勤 → 巡回」です。常駐は常に管理員がいて管理が最も手厚く、巡回はときどき見回って清掃し次の物件へ移るため、ほぼ不在に近い状態です。

もう1つの委託形態は、管理組合が管理業務をどう回しているかを示すもので、「全部委託・一部委託・自主管理」に分かれます。最も多いのは管理会社にすべて任せる全部委託です。一部委託は業務の一部だけを委託し残りは自分たちで行うもの、自主管理は管理会社を入れず住民だけで運営するものです。

注意したいのが自主管理です。マンション管理士のような専門家が住んでいて運営している優良な自主管理マンションもありますが、一般的には専門家を入れていないぶんトラブルが起きやすく、調査に必要な書類もきちんと出てこないことが多いです(手書きのペラ1枚、ということもあります)。さらに、総戸数が20戸以下といった小規模マンションで自主管理が重なると、金融機関にリスクが高いと見られ、住宅ローンが通らないこともあります。

ポイント4:土地の権利が「所有権」かどうかを確認する

4つ目は、建物が建っている土地の権利です。所有権であれば基本的に問題ありませんが、「借地権」「定期借地」「地上権」などになっている場合は要注意です。これは見落としやすいポイントです。

所有権以外は、土地を人から借りてその上に建物が建っている状態です。そのため、毎月の地代が別途かかり、契約によっては将来土地を返さなければならないものもあります。返却時には更地にして返すのが基本で、解体用の積立金が別途設定されているケースもあります。

土地の固定資産税がかからないぶん安く見えることもありますが、その他のランニングコストはむしろ高くなりがちです。「新しいのに立地の割に安い」という物件は、土地の権利が所有権でないことが理由のケースが少なくありません。売りにくく住宅ローンも付きにくいため、買うときも売るときも苦労しやすい点を理解しておきましょう。

ポイント5:現況・引渡し(居住中・賃貸中)を確認する

5つ目は「現況」と「引渡し」の項目です。現況には、空室・所有者居住中・賃貸中などが書かれています。

「居住中」は売主がまだ住んでいる状態です。多くは住宅ローンが残っている住み替えのケースで、先に売却を決めてから次の物件を買うため、住みながら売りに出しています。内覧は調整が必要で、すぐに見られないこともあります。

特に注意したいのが「賃貸中」です。これは所有者が人に貸している状態で、原則として自分が住む目的では買えません。所有権だけは購入できますが、借りている人(賃借人)の権利は法律で非常に強く守られており、簡単に退去させられないため、自分で住むことはできず、住宅ローンも使えません。基本的に投資目的の物件で、そのぶん価格が安くなっていることがあります。

あわせて引渡し時期も確認しましょう。居住中の売主が「これから注文住宅を建てる」といった理由の場合、引渡しが1年後など先になることがあります。自分が引っ越したい時期と合わないこともあるので、見落とさないようにしてください。

ポイント6:備考欄に小さく書かれた「本当の注意点」を読む

6つ目は備考欄です。小さな文字で書かれているこの欄にこそ、本当の注意点が隠れています。「大事なことほど小さく書かれている」典型例です。

たとえば次のような重要情報が、備考欄にひっそり書かれていることがあります。

  • 告知事項あり(事件・事故など。内容までは書かれないことが多い)
  • 賃貸中の場合の家賃(いくらで貸しているか)
  • 土砂災害特別警戒区域・崖条例などの該当
  • 再建築不可

「新しくて広い割に安い」という物件には、たいてい安いなりの理由があり、それがこの備考欄に書かれていることが多いものです。意味の分からない用語が出てきたら、まずは自分で検索してみることをおすすめします。気になる言葉を放置せず確認する習慣が、危ない物件を避ける近道です。

ポイント7:徒歩分数を鵜呑みにしない

7つ目は、多くの方が最初に見る「駅徒歩分数」です。大きく目立つ場所に書かれていますが、そのまま鵜呑みにしないでください。

徒歩分数は「1分=80メートル」というルールで計算され、敷地のうち最も駅に近い地点から、駅の入り口までの距離で測られます。敷地の広いマンションや、改札からホームまで長い駅、信号待ちなどは一切考慮されていません。嘘は書いていないものの、道をまっすぐではなく斜めに測るなどして、ぎりぎりまで短く見せているケースもあります。

確実なのは、Googleマップで測り直すことです。Googleマップは出発点と到着点を指定でき、信号や坂道なども加味した、より実情に近い時間が分かります。物件から最寄り駅までを設定して、表示どおりの分数になるか確認しておきましょう。

マイソク確認チェックリスト

物件資料を受け取ったら、価格や間取りだけでなく、以下の7点を確認してください。

  • 取引態様(帯)を見て、売主・専任・一般のどれか、売主の味方かを把握した
  • 築年数に対して管理費・修繕積立金のバランスが妥当か確認した
  • 管理形態(全部委託・一部委託・自主管理)と管理員の勤務形態を確認した
  • 土地の権利が所有権か、借地権などになっていないか確認した
  • 現況(空室・居住中・賃貸中)と引渡し時期を確認した
  • 備考欄の小さな文字に告知事項・災害区域・再建築不可などがないか確認した
  • 徒歩分数をGoogleマップで測り直して確認した

まとめ

マイソク(物件資料)は、価格や間取りだけを見るための紙ではありません。取引態様・管理費と築年数のバランス・管理形態・土地の権利・現況と引渡し・備考欄・徒歩分数という7つのポイントを押さえることで、その物件の「安さや危うさの理由」を事前に読み取ることができます。

特に、大事な注意点ほど備考欄に小さく書かれていたり、土地の権利や賃貸中といった条件で安く見えていたりします。これらを知っているかどうかで、同じ1枚の資料でも見え方はまったく変わります。

とはいえ、用語の意味や管理組合の実態まで一般の方がすべて読み解くのは簡単ではありません。気になる物件こそ、資料を一緒に読み込み、リスクまで正直に説明してくれる担当者と組むことが、後悔しないマンション選びの近道です。

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よくある質問(FAQ)

Q. マイソクとは何ですか?

A. 物件の価格・間取り・所在地・駅距離・管理情報などが1枚にまとまった物件資料のことです。不動産会社で受け取ったり、ポータルサイトで資料請求したりすると必ずついてきます。価格や間取りだけでなく、取引態様や備考欄まで読むことで、その物件のリスクを把握できます。

Q. 取引態様が「売主」や「専任」だと買わないほうがいいのですか?

A. 一概に悪いわけではありませんが、これらは売主側の立場であり、物件を早く高く売るのが仕事です。ネガティブな情報は積極的に説明されにくい点に注意が必要です。専任物件でもレインズを通じて他社から購入できるため、買い手の立場に立つ担当者を介して検討するのも一つの方法です。

Q. 自主管理のマンションは避けるべきですか?

A. 必ずしも避ける必要はなく、専門家が運営する優良な自主管理マンションもあります。ただし一般的には書類が整っていないことが多く調査しにくいうえ、トラブルも起きやすい傾向があります。小規模マンションで自主管理だと住宅ローンが通りにくくなることもあるため、慎重な確認が必要です。

Q. 借地権の物件は安いですが買って大丈夫ですか?

A. 土地を所有しないぶん価格は安く見えますが、毎月の地代がかかり、契約によっては将来更地にして返す必要があります。住宅ローンも付きにくく、売却時にも苦労しやすいため、ランニングコストや出口(売りやすさ)まで含めて総合的に判断してください。

Q. 「賃貸中」の物件は自分で住めますか?

A. 原則として住めません。所有権は購入できますが、入居している賃借人の権利は法律で強く守られており、簡単に退去させられないためです。住宅ローンも使えず、基本的に投資目的の物件となります。そのぶん価格が安くなっていることがあります。

Q. マイソクの徒歩分数はどこまで信用できますか?

A. 「1分=80メートル」のルールで計算された理論値で、信号待ちや駅構内・敷地内の移動は考慮されていません。嘘ではないものの短めに見せているケースもあるため、Googleマップで物件から駅までを測り直し、実際の所要時間を確認することをおすすめします。

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ハウスクローバー Founder&CEO

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。 ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。 また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。 全国から毎年300組以上の相談を受け、実際の売買もサポート。 マンション管理調査において、独自のノウハウとロジックを確立し、失敗しないための住宅購入エキスパートとして多くの指名買いを集める。 実際の業務の中で、多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。 2012年〜 不動産会社スタイルイノベーション株式会社を名古屋にて設立 2021年〜 ハウスクローバー株式会社を東京都港区にて設立 2023年〜 拠点を東京に移す ▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎

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