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タワマンは本当に崩壊するのか?2030年問題と修繕積立金の現実|業界17年のプロが解説する5つの注意点

マンション

「2030年、タワーマンション大崩壊」——最近、こうした言葉をニュースやネットで見かけた方も多いのではないでしょうか。お客様からも「あれって本当に起こるんですか?」と聞かれることが増えました。

「大崩壊」という言葉はメディアで映えるバズりやすいキーワードなので、やや煽り気味に使われている面はあります。ただ、業界17年でいろいろなマンションの管理組合を調査してきた私の正直な感覚をお伝えすると、この見出しはあながち間違いではない、というのが本音です。

この記事では、これから中古でタワーマンションの購入を検討している方に向けて、タワマン特有のリスクと「2030年問題」の正体を、5つの注意点に整理して解説します。タワマンを全否定するものではなく、慎重に見極めるための判断材料としてお読みください。

この記事は動画でもご覧になれます。

この記事で分かること

  • 「2030年問題(タワマン大崩壊)」がなぜ言われているのか、その正体
  • タワマン特有の5つのリスク(積立金の安さ/修繕工法/特殊設備/コスト高騰/スラム化)
  • 40階クラスのエレベーター交換が1基1.5億円になるという現実
  • 「空室が増えると残った住民の負担が増える」という”よくある誤解”の真相
  • 例外的に健全なタワマンの見分け方(均等積立方式)
  • タワマンを買うなら必ず確認したいポイントと、担当者選びの重要性

そもそも「2030年問題」とは何か

結論から言うと、2000年代から2010年代に一気に建てられたタワマンが、ちょうど2030年前後に「大きな出費が重なる時期」を迎えるために問題視されています。

マンションは一般的に12〜15年ごとに大規模修繕工事を行い、築30〜35年あたりで2回目から3回目の大規模修繕、エレベーター・機械式駐車場・給排水管の更新時期などが一斉に重なります。私がよく「魔の30年」とお伝えしているのがこのタイミングです。

タワマンのブームは2000年代から2010年代でした。つまり、それらが築30〜35年を迎える2030年前後に、修繕工事や積立金の問題が一気に表面化するのではないか、というのが「2030年問題」の中身です。ここからは、私が管理組合の調査で実際に感じてきたタワマン特有の注意点を、5つに分けて解説します。

注意点1:修繕積立金がそもそも安く設定されている

1つ目は、修繕積立金が本来必要な額よりも安く設定されている、という問題です。これはタワマンに限りませんが、マンションは新築時に買いやすく見せるため、ランニングコストを低めに設定する傾向があります。

タワマンでは、新築時に修繕積立金が月数千円から始まっているケースもあります。しかし、その金額で収まるはずがなく、段階的に値上げをしていく必要があり、途中で足りなくなれば一時金の徴収も起こり得ます。新築時に買ってすでに売却した人はよいのですが、これから中古のタワマンを買う方は、この「値上げ・一時金のリスク」をそのまま引き継ぐ形になります。

しかも、長期修繕計画書の見込み自体が甘いケースも少なくありません。さらに近年は建築費が全体的に上がっており、建物の特殊性が高いタワマンは、その影響をより大きく受けやすい状況にあります。私自身もタワマンに住んでいますが賃貸であり、買う場合はこうしたリスクがあるため、慎重派の立場でいます。

注意点2:大規模修繕の「直し方」が確立されていない

2つ目は、タワマンの大規模修繕は、そもそも直す方法が明確に決まっていない部分がある、という問題です。

タワマンは階数が高いため、工事にもかなりの特殊性があります。足場を最上階まで組むことができないため、たとえば30階建てなら18階くらいまでは足場を組み、それより上はゴンドラで吊るして人が乗り、修繕していく、という手法を取ります。ゴンドラ作業は風の強い日にはできず、特殊な機械も必要で、工事期間も長くなりやすいため、工法そのものからしてお金がかかりやすいのです。

私のマンションでも工事期間は1年以上かかりました。足場や養生がかかっている階は、1年近く外の景色が見えない暗い状態が続きます。一般的なマンションなら3か月から長くても半年程度ですから、負担はかなり大きくなります。

さらに深刻なのが給排水管の更新です。外壁はゴンドラ等で対応できても、30階・40階・50階と高層になる建物で、壁の中を通る給排水管をどうやって交換していくのか、その工事方法がまだ十分に確立されていません。「分からないことが多い」こと自体が、タワマンの大きなリスクです。

注意点3:特殊設備の交換費用が桁違いに高い

3つ目は、エレベーターなどの特殊設備の交換費用が、一般的なマンションとは桁違いに高額になる点です。

たとえば20階くらいのマンションのエレベーター交換費用は、一般的に1基2,500万円ほどと言われます。これでも高額ですが、40階クラスになると、エレベーター1基あたりおよそ1億5,000万円。桁が一気に変わります。しかもタワマンのエレベーターは1基・2基ではありません。仮に6基あれば、それだけで交換費が10億円近くに達することもあり、これを住民全員が修繕積立金で負担することになります。

エレベーターの寿命はおよそ30年とされ、まさに2030年前後と重なります。加えてエレベーター業界は人材不足で納期も伸びており、交換したくてもすぐにできない、壊れて動かないエレベーターが出てくる、といった事態も想定されます。すべてが止まることはないにせよ、渋滞がひどくなり、交換費用の負担も重くのしかかります。実績が少ないこともあり、試算すると修繕積立金が月6〜7万円に達するタワマンも多く出てくるはずです。これは住宅ローンや管理費とは別の負担です。

注意点4:材料費・人件費の高騰が止まらない

4つ目は、材料費・人件費の高騰です。これらは今後も下がる見込みが乏しく、タワマンの工事費を一段と押し上げます。

インフレが収まる気配はなく、人件費についても人口減少や労働時間の規制といった構造的な要因があるため、おそらく今後も解決しないと考えられます。エレベーターの工事人材の取り合いになれば、工事費はさらに上がります。

ただでさえ特殊性が高いタワマンは、工事をやりたがる業者も限られ、対応できる業者はそれなりに高額な工事費を提示してきます。そのため、一般的な建築費の上昇率だけを見ても、タワマンの工事費がどこまで上がるかは正直読み切れません。「分からない」こと自体がリスクであり、そのリスクを理解したうえで買うかどうかが問われます。

注意点5:スラム化が進むおそれがある

5つ目は、こうした状況が積み重なることで、タワマンのスラム化が進むおそれがある点です。

大きな出費が見えてくると、いち早く気づいた一部の富裕層は早めに売却し、住み替えていくと考えられます。残るのは、すぐには動けない一般の住民や、賃貸で貸し出している投資目的の所有者です。タワマンは所有者がそのまま住むより賃貸に出されているケースも多く、ここに管理組合運営の難しさが生まれます。

自分で住む実需の所有者は、長期的な視点で「積立金を上げてでも建物を維持しよう」という合意形成がしやすいものです。一方、投資目的の所有者は、積立金が上がると収益性(利回り)が落ちるため、値上げに反対しがちです。結果として必要な修繕の資金が確保できず、適切な工事が行われないまま、見た目も価値も寿命も落ちていく——これがスラム化の流れです。

もちろん、タワマンの画期的な工事方法やロボット施工などが確立されれば状況は変わり得ます。しかし現時点でそこまでの未来は見えておらず、こうした将来の確率は決して低くないというのが正直なところです。

「空室が増えると残った人の負担が増える」は誤解

ここで、よくある誤解を1つ正しておきます。「空室が増えると、残って住んでいる人だけで大規模修繕費を負担するので、1人あたりの負担が増えるのでは?」という疑問です。実はこれは正確ではありません。

空き家になっても所有権はなくなりません。持ち主は存在し続けるため、その所有者から管理費や修繕積立金は引き続き徴収されます。したがって「空室が多い=その分のお金が入らず、他の住民の負担が増える」とは限りません。

本当の問題は別のところにあります。住んでいない所有者(特に投資目的の人)は、管理費や積立金を上げたがらないため、適切な値上げや一時金の決議が通りにくくなるのです。空室が多いほど反対意見が増え、必要な工事の資金が集まらず、結果として工事が行われない。これが価値の下落と寿命の短縮、そしてスラム化につながります。なお、所有者が行方不明・相続未登記といったケースもありますが、近年の法改正で追いやすくはなってきています。

それでも「健全なタワマン」を見分けるには

ここまで厳しい話が続きましたが、すべてのタワマンがダメというわけではありません。中には大丈夫なものも残っています。見分けるカギの1つが、修繕積立金の徴収方式です。

多くのマンションは、年々段階的に積立金を上げていく「段階増額積立方式」を採用しています。一方で、30年間にかかる工事費を最初に計算し、それを均等に割って徴収する「均等積立方式」を採用、あるいは途中から切り替えるマンションもあります。こちらはかなり健全だと考えています。

均等方式は、途中で値上げすることを基本的に想定していないため、「足りないから上げる」「工事費が高くなったから上げる」という事態になりにくいのが強みです。そして、そもそもこうした方式変更を決議できること自体が、管理組合が円滑に運営されている証でもあります。取扱い実績は決して多くありませんが、こうした健全なタワマンは存在します。

タワマン購入前のチェックリスト

タワマンの購入を検討するなら、外から見て分かる情報だけでは不十分です。以下の点を必ず確認してください。

  • 長期修繕計画書の見込みが甘くないか(特に給排水管・特殊設備の費用が反映されているか)
  • 修繕積立金が今後どこまで上がる計画か、一時金徴収の可能性はないか
  • エレベーターなど特殊設備の交換時期と費用が見込まれているか
  • 積立方式が「段階増額」か「均等」か(均等方式は健全度が高い)
  • 賃貸(投資目的)所有者の割合が高すぎないか
  • 総会議事録で、修繕や積立金について建設的な議論が行われているか

まとめ

「2030年タワマン大崩壊」という言葉は煽り気味ではありますが、2000〜2010年代に建てられたタワマンが築30〜35年を迎え、大規模修繕・エレベーター・給排水管の更新が重なる時期に入ることを考えると、決して的外れではありません。

タワマン特有のリスクは、積立金がそもそも安く設定されていること、修繕工法が確立されていないこと、特殊設備の交換費が桁違いに高いこと、材料費・人件費の高騰、そしてスラム化のおそれの5つです。いずれも「分からないこと」が多く、それ自体が大きなリスクになります。

私自身は、タワマンに住むなら一時的に賃貸で、という考えで、購入には慎重な立場です。とはいえ健全なタワマンも存在するため、どうしても買いたい場合は、管理組合の中身や総会議事録まで取り寄せて読み込み、丁寧に説明してくれる担当者と一緒に、慎重に見極めることが何より大切です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 2030年タワマン大崩壊は本当に起こるのですか?

A. 「大崩壊」という表現は煽り気味ですが、根拠のない話ではありません。2000〜2010年代に大量に建てられたタワマンが2030年前後に築30〜35年を迎え、大規模修繕・エレベーター・給排水管の更新が重なります。費用負担が一気に高まり、管理が回らなくなるタワマンが相応に出てくる可能性は高いと考えています。

Q. タワマンのエレベーター交換費用はどれくらいですか?

A. 20階クラスで1基2,500万円ほどが目安ですが、40階クラスになると1基あたりおよそ1億5,000万円と桁が変わります。基数が多いタワマンでは、交換費が総額10億円近くに達することもあり、これを住民全員が修繕積立金で負担します。エレベーターの寿命は約30年で、2030年前後と重なります。

Q. 空室が増えると、残った住民の負担が増えるのですか?

A. 「負担が増える」とは限りません。空き家でも所有権は残るため、その所有者から管理費・積立金は引き続き徴収されます。本当の問題は、住んでいない所有者が値上げに反対しがちで、必要な積立金の値上げや一時金の決議が通りにくくなることです。結果として適切な工事ができず、価値の下落やスラム化につながります。

Q. 健全なタワマンはどう見分ければいいですか?

A. 修繕積立金の徴収方式が1つの目安です。将来の工事費を最初に計算して均等に割って徴収する「均等積立方式」は、途中の値上げを想定しないため健全度が高い傾向があります。こうした方式を導入・変更できること自体、管理組合が円滑に機能している証でもあります。あわせて賃貸化率や総会議事録の議論の質も確認しましょう。

Q. タワマンは買わないほうがいいのですか?

A. 一律に否定するものではありませんが、特有のリスクが大きいため慎重な判断が必要です。住み心地を重視するなら賃貸という選択肢も現実的です。購入する場合は、長期修繕計画書・積立方式・賃貸化率・総会議事録などを取り寄せて読み込み、内容を説明してくれる担当者と一緒に見極めることを強くおすすめします。

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ハウスクローバー Founder&CEO

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。 ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。 また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。 全国から毎年300組以上の相談を受け、実際の売買もサポート。 マンション管理調査において、独自のノウハウとロジックを確立し、失敗しないための住宅購入エキスパートとして多くの指名買いを集める。 実際の業務の中で、多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。 2012年〜 不動産会社スタイルイノベーション株式会社を名古屋にて設立 2021年〜 ハウスクローバー株式会社を東京都港区にて設立 2023年〜 拠点を東京に移す ▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎

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