築年数が古いマンションの売却を考えていると、「本当に売れるのか」「価格が思ったより下がってしまうのでは?」という不安を抱えてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、古いマンションは新しいマンションと比較すると売りにくさは感じます。
しかし、正しい知識と適切な対策を取れば、築年数が古くても高値で売却できる可能性は十分にあります。
この記事では、築年数の古いマンションを成功裏に売却するための具体的な方法や高値を引き出すためのポイントについて詳しく解説します。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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築年数が古いマンションの売却は難しい?データから見る現状
まずは中古マンションのマーケットがどのようになっているのか。
実際のデータを見ながら確認していきます。
中古マンション市場の最新動向
築年数が古いマンションの売却は確かに難しい場合がありますが、近年の中古マンション市場は活況を呈しています。
近年は新築マンションの供給量が減少し、徐々にマーケットの平均的な築年数も増加してきています。
こちらのデータを見ていただいても分かる通り、年々マンションの成約築年数と新規登録築年数は増加してきております。
この傾向は今度も続くと見られています。
次に築年別の成約件数の伸び率を見ていきます。
築年 | 成約件数 | 前年同月比(%) |
---|---|---|
~築5年 | 436 | 13.0 |
~築10年 | 758 | -4.1 |
~築15年 | 575 | 5.5 |
~築20年 | 731 | 4.4 |
~築25年 | 630 | 9.8 |
~築30年 | 439 | 41.2 |
築30年~ | 1,468 | 11.1 |
同じくレインズのデータとなりますが、前年同期比の伸び率が「築25〜30年」で最も大きくなっています。
次いで「〜築5年」「築30年〜」と伸び率が大きくなっており、件数は「築30年〜」が最も多くなっています。
このように、マーケットに古いマンション自体が増えてきているということもあり、築年数の古いマンションであっても、それ相応に取引がされていることがわかると思います。
築年数が古いマンションが売りにくいと言われる理由
それでは、築年数が古いマンションが売りにくいと言われる理由について
築年数が古い物件が売りにくいと言われる理由は、主に以下の要因によるものです。
建物や設備の老朽化
築年数が古くなると、マンションの躯体や設備の老朽化によって、築年数が新しいマンションと比較して、どうしても古さを感じてしまいます。
また2000年を境に、マンションの室内の梁や、構造などが、現代的なものと、そうでないものに分かれます。
オートロックや宅配ボックスなど、現代のニーズに合っていないマンションもあります。
このようなことから、築年数が古いマンションは売りにくいと言われています。
特に耐震性や断熱性能が現行基準を満たしていない物件は、購入者にとって大きなリスクと感じられます。
修繕積立金の増加
古いマンションは修繕が必要な箇所が多く、修繕積立金の負担が大きくなるため、これが購入者にとっての不安要素となります。
修繕積立金は、新築の時は安く、徐々に値上げを繰り返していくため、築年数が浅いものと比較して、ランニングコストが高いと考えられがちです。
築年数が古いマンションでも売却しやすい物件とは
ただし、築年数が古いマンションが売りにくいと言われていても、売れる物件も多くあります。
その特徴として、次のような条件を満たす、築古のマンションは売却しやすい傾向にあります。
立地が良い
駅近、商業施設や公共交通機関へのアクセスが良好な物件は、築年数が古くても購入希望者の目に留まりやすいです。
またこのような立地にある築浅のマンションは、どうしても価格が高くなりやすく、ある程度価格が落ちている築古マンションが購入対象となりやすい傾向があります。
逆に立地が良くないマンションは、築浅のような物件の新しさをアピールすることができないため、そのデメリットの影響が大きいと言えます。
もし築古のマンションを所有していて、立地が良くない場合は、なるべく市況が良い時に、早めに売却することをお勧めします。
管理が行き届いている
管理内容はマンションによって、最も個別性が出やすい内容です。
その中でも、管理組合がしっかりしている物件や、定期的な修繕が行われているマンションは、築年数に関わらず安心して購入されます。
逆に管理がしっかりしていないマンションは、敬遠される傾向にあります。
今後改善される計画があれば、その内容をアピールすることで、購入希望者の不安を回避できますが、今後も管理が行き届かないような状況が続くと考えられる際も、なるべく市況がいい時に、早めに売却することをお勧めします。
古いマンションを売却する際に押さえておくべき7つのポイント
ここからは、築年数の古いマンションを売却するための、7つのポイントを解説していきます。
1. 物件の価値を客観的に把握する
まずはマンションの市場価値を客観的に把握することが重要です。
この記事を執筆している現在、中古マンション市場は活況を呈しており、相場も上昇しています。
ただ、全ての中古マンションが同じように上昇しているわけではありません。
築年 | 成約㎡単価(万円) | 前年同月比(%) |
---|---|---|
~築5年 | 168.6 | 23.1 |
~築10年 | 133.8 | 10.8 |
~築15年 | 123.6 | 13.3 |
~築20年 | 106.8 | 9.4 |
~築25年 | 93.7 | 3.4 |
~築30年 | 81.6 | 5.6 |
築30年~ | 62.9 | 1.0 |
こちらの表も、レインズのデータによるもので、築年別の成約価格のデータになります。
注目してほしいのが、築年別の「前年同月比(%)」です。
築年数が新しいものほど、相場は上昇していますが、築年数が20年を超えるとそこまで相場が伸びていないことが分かると思います。
つまり今の中古マンション市場を牽引しているのは、築年数が比較的新しいマンションであり、築年数が古いマンションは、そこまで伸びていません。
この事実をしっかり理解しておくことが大切です。
マンションの売却にあたって、売り出し価格は、マンション売却が成功するかどうかに影響する最も大きな要因の一つになります。
この状況を踏まえた上で、適切な価格設定を行いましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼し、周辺物件の売却実績も確認しながら適正な価格を見極めましょう。
築年数が古くても、周辺の需要や立地によっては高値で売れることがあります。
こちらで、ご自身のマンション名を入力をして検索をすると、過去の販売事例などが確認できますので、目安の確認としてご活用ください。
2. リフォームやリノベーションは必要か
築年数がそれなりに経っているマンションは、室内もそれなりに長く住んでいることが考えられ、普通に考えればリフォームやリノベーションが必要と考えるかもしれません。
しかし、リフォームやリノベーションは基本的には必要ありません。
理由として、費用をかけた分だけ、価格転嫁されにくいこと。
特に築年数が古いマンションは、価格が安い分、費用対効果は悪くなりがちです。
また中途半端なリフォームは、その分価格に転嫁されているのではないかと、買主候補者に敬遠されてしまうきっかけにもなります。
他にも、購入者が自身でリフォームやリノベーションを行いたい層も一定数、存在します。
特にリノベーションを自身で行いたいと考える方は、リノベーション費用をかけてでも、自分たちの理想の室内にしたいと考えていることから、価格が高い築浅のマンションよりも、価格が控えめな築古マンションを探す傾向があります。
よって、基本的なスタンスとして、リフォームやリノベーションは必要ないと考えています。
3. マンションの管理状況を確認する
マンションの管理状況は、築年数が古いマンションであればあるほど、物件によって差が出やすい項目です。
管理組合の運営や総会での議論が活発でれば、管理状況は比較的良好となる傾向があります。
特に運営状況がよく、積立金がそこまで高くなっていないマンションは、購入希望者にとって大きなアピールポイントになります。
自身では、当たり前のことと思っていても、周辺のマンションと比較して、自身のマンションの管理状況の良し悪しが判断できるようになります。
管理組合がしっかり機能しているか、修繕積立金の計画が適切かなどを確認し、売却時にこれらの情報を購入者にしっかり伝えることが大切です。
逆に、管理状況が不十分な場合には、あえてアピールすることはせずに、購入希望者に聞かれた際に、どのような話が総会で出ているのか。
改善する案が出ている場合などは、アピールポイントになることもあります。
4. 売却時にかかる税金や諸費用を把握する
売却時には、仲介手数料や登記費用、譲渡所得税などがかかります。
これらをあらかじめ把握しておくことで、売却後にどのくらい手元に残るかを明確に計算できます。
事前に見積もりを出しておくことで、価格交渉にも冷静に対応できます。
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5. 住宅ローンの残債を把握する
売却時に住宅ローンが残っている場合、残債額がどれくらいあるのか、把握しておくことが重要です。
住宅ローンの残債額よりも、高い価格で売却できれば問題はありませんが、住宅ローンの残債額の方が、売却額よりも多く、残債が残ることが予想される場合、差額分をどうするか考えておきましょう。
住宅ローンの残債額がある状態では、銀行の抵当権と呼ばれる担保権がついています。
銀行は基本、一括返済をしないと抵当権を外してくれません。
よって、住宅ローンの残債が売却額を超える場合には、差額をどうするのか、不動産エージェントと相談して適切な対策を立てましょう。
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6. ホームインスペクション(住宅診断)は必要か
ホームインスペクション(住宅診断)とは、国土交通省の研修を受けた建築士が、専用の機械などを用いて室内の状況を、客観的に調査することをいいます。
ホームインスペクションを実施すると、物件の状態を客観的に把握でき、戸建ほどではないものの、購入希望者も安心して物件を選びやすくなります。
特に目に見えない部分である、給排水管の状態について気にする購入希望者が多いため、給排水管の状況が分かると安心感を持ってもらいやすくなります。
築年数が古いマンションでは、予想外の問題を事前に発見し、修繕にかかる費用を見込んでおくことで、売却交渉がスムーズに進みます。
7. 買取業者は対象になるか
急いで売却したい場合や、売却が難しい物件の場合は、買取業者に依頼する方法も検討しましょう。
市場価格より低くなる可能性はありますが、スピーディーに現金化できるのが大きなメリットです。
たとえば、相場より30%安く売却されたケースなどもありますが、状況によっては検討の余地があります。
特に室内の状況がフルリフォームが必要になる状況であれば、購入希望者から多額のリフォーム代を懸念されることから、買取も有力な候補となります。
また管理状態が良くない場合も、買取業者は一般の購入希望者ほど気にするところは少ないため、買取も候補になります。
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高値で売却するための不動産業者の選び方
築年数が古いマンションを売却する場合、築浅の中古マンションのように、誰が担当してもそれなりの売却ができる(もちろん成約価格や期間に差は出ます)ことが少ない分、その売却を担う不動産業者選びの重要性は、より増します。
そこで、築年数の古いマンションを売却する際の、不動産業者選びのポイントについて解説します。
売却の成功は担当者によって左右される
売却の成功の可否は、不動産業者よりも、担当者の質で決まります。
いくら大手であったとしても、担当者が良くなければ、売却に苦労することにもなりますし、逆に中小零細企業であっても、担当者が良ければ結果は満足のいくものになりやすいです。
ですから、マンションの売却を考えたときは、「どこの会社に依頼するか」というよりも「誰に依頼するか」という発想を持った方が上手くいきやすいです。
売却実績と成功事例を確認
不動産業者を選ぶ際には、築年数が古いマンションの売却実績が豊富な業者を選びましょう。
過去の成功事例を確認し、どのような戦略で売却に成功したのか具体的に聞くことで、適切な選択ができます。
またプラス要素として、購入者向けの実績も多い方が好ましいです。
理由として、購入者向けの仲介実績が多いということは、それだけ購入者の気持ちが理解しやすいため、それが販売戦略に活かせるからです。
例えば、管理組合の見極めも、売却ばかりやっている担当者よりも、購入者向けの仲介をやっている担当者の方が得意である傾向があります。
媒介契約の適切な選び方
媒介契約には、専任媒介や一般媒介があります。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った契約を選ぶことが、効率的な売却活動につながります。
以下の表に、それぞれの違いをまとめましたので、参考にしてください。
複数社との契約 | 売主が見つけた買主との取引 | レインズへの登録義務 | 売主への報告義務 | 契約有効期間 | |
---|---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | × | × | 5営業日以内 | 1週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
専任媒介契約 | × | ○ | 7営業日以内 | 2週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
一般媒介契約 | ○ | ○ | 義務なし | 任意 | 3ヶ月以内 |
高値を狙える物件であれば、一般媒介契約でも構いませんが、そうでない場合は、専属専任や専任媒介契約が向いていると考えています。
注意点としては、専属専任媒介契約や専任媒介契約で担当者選びに失敗してしまうと、売却活動に苦労してしまうことです。
どのような戦略で売却をするのか
売り出し価格の設定、内覧スケジュール、広告の出し方など、売却戦略の具体案を不動産業者と共に検討しましょう。
一見、不利に思えるような条件であっても、発想の転換でアピールポイントとして購入希望者にアピールすることもできます。
例えば、駅から離れている立地であれば、駐車場の付与率が高く、駅近よりも安い駐車場代で借りることができます。
車を所有しているユーザーに向けて、このようなアピールポイントを提示することで、デメリットをメリットに変えることもできます。
これらの戦略を考えるという意味でも、担当者の重要性がポイントになります。
優良な担当者の探し方
それでは、どのように優秀な担当者を見つけるか。
残念ながら今の日本において、優良な担当者を見つける方法は多くはありません。
古くから、担当者は会社に社員として所属するという雇用形態が一般的であったため、担当者を選ぶという文化がありませんでした。
しかし近年では、市場の不透明さが際立つようになってきた中で、担当者の存在が改めて見直されるようになってきています。
また新しい働き方として、サラリーマンのような雇用形態でなく、個人事業主として不動産会社に所属し、個人の名前と責任で働く人も増えてきています。
このような新しい働き方をする方は、不動産エージェントと呼ばれています。
不動産エージェントは、本来アメリカで使われる不動産業者の営業マンを指す言葉です。
アメリカの不動産エージェントは、顧客の利益を最大化する代理人としての立ち位置で、社会的なステータスも高いです。
そういう意味では、日本の中小零細企業で社長が自ら営業をしているようなところも、不動産エージェントの一形態とも言えます。
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築年数が古いマンションを高値で売却するためには担当者が重要
築年数が古いマンションでも、適切な戦略を取れば高値で売却できる可能性は十分にあります。
物件の特性をしっかりと理解し、適切な対策を講じることで、売却の成功に導くことも可能です。
ただその戦略立案や実行を担うパートナーとして、優秀な担当者(不動産エージェント)の存在が欠かせません。
この記事で解説してきたポイントの理解と、優秀な担当者を選ぶことで、築年数の古いマンションの売却も安心して進めていけるようになるでしょう。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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