内見した部屋がフルリフォーム済みで、新築のように綺麗だった。これなら間違いないだろう。そう感じた経験はありませんか。
部屋が綺麗だと、それだけで印象は大きく上がります。そのまま話を進めたくなる気持ちはよく分かります。
ただ、マンションには見た目では判断できない部分があります。表面がどれだけ綺麗に仕上がっていても、見えないところの劣化が進んでいれば、入居後に想定外の費用がかかり、後悔することになります。
この記事では、業界17年の私がリフォーム済みの部屋でも必ず確認している「内見では分からない劣化」を、第7位から順にお伝えします。自分の目で見つけられるものから、不動産業者に調べてもらう必要があるものまで、確認する順番どおりに並べました。
この記事で分かること
- リフォーム済みでも隠せない劣化のサイン
- 五感を使った内見のやり方
- 不動産業者に調べてもらうべき4つの項目
- 築30年超のマンションで必ず確認したい交換履歴
- 漏水履歴がなぜ重要なのか
- 最も怖い「修繕積立金が将来なくなる」マンション
第7位:窓まわり・サッシのカビ跡
まずは自分でも見つけやすいポイントからです。
リフォームされていない部屋なら、「北側の部屋はカビが多いな」といったことが壁紙から分かります。しかしリフォーム済みだと、その跡はすべて隠れてしまいます。
そこで見ていただきたいのが窓サッシと、サッシに付いているゴムパッキンです。黒い点が出ていないかを確認してください。
なぜ窓だけは隠せないのか
窓は共用部分だからです。
意外に思われるかもしれませんが、マンションの窓ガラス・窓枠は区分所有者が勝手に交換できません。バルコニーや玄関扉も同じで、外から見える部分は基本的に共用部分として扱われます。住戸ごとにバラバラに変えてしまうと外観の統一感が失われ、資産価値に影響するためです。交換するとしても、管理組合として大規模修繕の際に一斉に行う形になります。
つまり、室内をどれだけ綺麗にリフォームしても、窓まわりはそのまま残っているということです。ここを見れば、その部屋が結露しやすいかどうかが分かります。
第6位:押入れ・クローゼットの中のにおい
これは扉を開けてみないと分かりません。
リフォームで内装が一新されていても、収納の中まで手が入っているケースは、フルリノベーション物件でない限り多くありません。そしてカビは、日が当たらず空気が動かない場所を好みます。
棚の奥に黒ずみが残っていないか、開けた瞬間に少しカビ臭さを感じないか。においで分かることは意外と多いものです。
においがあるということは、表面上は綺麗でも断熱性能が弱く、結露しやすい・湿気がこもりやすいということです。収納の奥は、しっかり見て、そして嗅いでください。
第5位:床のきしみ・へこみ
古い建物で「ギシギシ」と鳴る、いわゆるきしみです。
これは二重床の物件で起こりがちで、床下にある木の枠組み(下地)が劣化しているサインです。
ただし、きしみがあるからといって、ただちに直してもらわなければいけないという話ではありません。あくまで自然損耗のひとつという扱いになります。とはいえ、下地の板が劣化しているということは、今後さらに進む可能性があるということです。
直そうとすれば床を剥がし、大工さんに下地からやり直してもらうことになります。床は簡単には直せず、意外に費用がかかります。
スリッパを脱いで歩いてください
ここで私からのアドバイスがあります。
内見のときはスリッパを使う方がほとんどですが、私がおすすめしているのは裸足か靴下で歩くことです。汚れるのが気になるなら、内見用の靴下を別に用意すればよいでしょう。
足の裏の感覚は想像以上に優秀です。「ここだけ少し柔らかい」「わずかにへこむ」といった違和感は、スリッパを履いていると分かりません。戸建てでは特にこの傾向が顕著です。
内見は見るだけの作業ではありません。触って、感じて、音を聞く。五感をフルに使うことがポイントです。
第4位:専有部の給排水管が一度も交換されていない
ここからは見た目だけでは分からない領域で、不動産業者の力が必要になります。
リフォーム済み物件で必ず確認したいのが、室内の給排水管に手が入っているかどうかです。配管は開けて見ることができず、見たところで一般の方には判断できません。
古い物件ほど専有部の配管に問題を抱えやすく、昔は劣化しやすい素材が使われていました。逆に、比較的新しいマンションの給水管は普通に使っていても長持ちします。
交換されていなければ、その費用はいずれ自分に降りかかってきます。しかも配管交換は安くありません。壁や床をめくる必要が出てくることもあり、配管を交換しやすい間取りとしにくい間取りがあるため、物件によって難易度も変わります。
どうせリフォームするなら、その段階で配管まで新しくなっているのがベストです。確認方法は難しくありません。不動産業者の担当者から売主側に、リフォームの内容を照会してもらえば基本的に把握できます。表面の仕上げだけでなく、必ず配管まで聞いてもらってください。
第3位:築30年超なのに共用部の交換歴がない
ここからは部屋の内部だけの話ではなくなります。
築30年を超えているのに、エレベーターや共用部の給排水管に交換履歴がないマンションは要注意です。
一般的には築30年から35年ほどで、これらの更新時期が来ます。そこに何も手が入っていないということは、これからそのマンションに大きな費用がかかるということです。
どの書類で確認できるのか
管理会社から取り寄せる「管理に関わる重要事項の調査報告書」に工事の履歴が載っています。不動産業者から取り寄せてもらいましょう。
ただし、履歴が簡易的にしか記載されておらず、実態が分からない場合もあります。その場合は担当者から売主側に聞いてもらうか、管理会社に直接問い合わせてもらってください。
マンションは部屋を買う形になりますが、実際には共用部も一緒に買っています。室内がどれだけ綺麗でも、共用部がボロボロであれば良い買い物とは言えません。
第2位:漏水履歴
そのマンションに漏水の履歴がないか、特に検討している住戸や、その上の階で漏水が起きていないかを確認してください。
マンションでは漏水は比較的起こります。工事履歴を見ていると「○号室 漏水工事」といった記載が出てくることも珍しくありません。
離れた部屋で1〜2回起きた程度なら、過度に気にする必要はないでしょう。しかし自分の部屋が漏水事故の対象になっていた場合、水が回ることでさまざまな部分が傷みます。
これも不動産業者の担当者に調べてもらえば、あったかなかったかは簡単に分かります。
構造的な問題が隠れていることもある
注意したいのは原因です。上階の住人の不注意で起きたのか、それとも建物の構造的な問題なのかで意味がまったく変わります。
漏水が起こりすぎるので調べてみたら配管全体がだめになっていて、順番に工事を進めている最中だった——そんなマンションを実際に見たこともあります。この場合、漏水箇所がそこだけに限られる保証はなく、他からも出てくる可能性があります。
室内がいくら綺麗でも、共用部分がどうなっているかはしっかり見てください。
第1位:修繕積立金が将来なくなるマンション
最も怖いのがこれです。
管理の良し悪しとは、清掃が行き届いているかといった話ではありません。必要な工事をやっていけるだけの財源があるかどうか、ここに尽きます。
財源が足りなければ、値上げをするか、工事を見送るかの二択になります。修繕積立金は住宅ローンを払い終わってもかかり続けるランニングコストですし、ランニングコストが高いマンションは将来売るときにも敬遠されます。立地が良ければ価格を下げて売ることもできますが、立地も悪ければ本当に手が打てなくなります。
業界の不透明さという現実
正直にお伝えすると、この領域には業界の不透明さがついて回ります。
マンションの大規模修繕工事をめぐる談合について、公正取引委員会が多数の管理会社に処分を出したというニュースが報じられました。しかも、本来は住民側の味方であるはずの設計コンサルタントが関わっていたケースもありました。
業界を知る者からすれば「何を今さら」という話で、報道されたのは証拠が残っていた分だけ、というのが実感です。管理会社や設計コンサルタントに過大な費用を取られれば、そのしわ寄せは住民に向かい、結果として積立金が足りなくなり値上げという流れになります。
一方で、管理組合がきちんと監視できているマンションもあります。その監視ができているかどうかで、将来の修繕積立金の姿はまったく変わります。
室内が綺麗で気に入って買ったけれど、5年後に修繕積立金が大幅に値上げされる——こうなると生活にも影響が出ます。だからこそ「マンションは管理を見て買え」なのです。
内見チェックリスト
自分で確認できるものと、業者に依頼するものを分けて整理します。
自分で確認できること
- 窓サッシとゴムパッキンに黒い点(カビ)がないか
- 押入れ・クローゼットの奥に黒ずみやカビ臭さがないか
- スリッパを脱ぎ、床のきしみ・へこみを足の裏で確認する
不動産業者に調べてもらうこと
- 専有部の給排水管がリフォーム時に交換されているか
- 築30年超なら、エレベーター・共用給排水管の交換履歴があるか
- マンション全体と検討住戸・上階に漏水履歴がないか
- 長期修繕計画と修繕積立金の残高・将来の見通し
まとめ
リフォーム済みの部屋は、見た目の印象が圧倒的に良くなります。しかしその綺麗さは、結露の跡も、カビも、配管の状態も覆い隠してしまいます。
窓まわり、収納の奥、床の感触。この3つは、リフォームされていても自分で確かめられるサインです。そして配管の交換歴、共用部の更新履歴、漏水履歴、修繕積立金の将来像。この4つは必ず業者に調べてもらってください。
室内の綺麗さは後からでも手に入りますが、共用部と管理組合の財務状況は、買ったあとに個人の力で変えることができません。内見では、見えている部分と同じくらい、見えない部分に時間をかけてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. リフォーム済み物件は買わない方がいいですか?
A. そうではありません。問題は「表面だけのリフォームかどうか」です。給排水管まで手が入っているリフォーム済み物件はむしろ有利です。仕上げの綺麗さだけで判断せず、工事の中身を確認してください。
Q. 窓やサッシは自分で交換できないのですか?
A. できません。窓ガラス・窓枠・バルコニー・玄関扉は共用部分にあたり、区分所有者が勝手に交換することはできません。交換は管理組合として大規模修繕などの際に一斉に行う形になります。
Q. 床のきしみは売主に直してもらえますか?
A. きしみは自然損耗として扱われるのが一般的で、当然に補修を求められるものではありません。ただし下地の劣化は今後進む可能性があり、直すには床を剥がす工事になるため費用も小さくありません。購入判断の材料として見ておいてください。
Q. 給排水管の交換歴はどうやって調べますか?
A. 専有部については、不動産業者の担当者から売主側にリフォーム内容を照会してもらえば基本的に分かります。共用部については、管理会社から取り寄せる「管理に関わる重要事項の調査報告書」で工事履歴を確認します。
Q. 漏水履歴があったら買ってはいけませんか?
A. 一概には言えません。離れた住戸で過去に数回あった程度なら過度に気にする必要はありませんが、検討している住戸や上階が対象だった場合、また原因が建物の構造的な問題だった場合は慎重に判断すべきです。原因まで確認してください。
Q. 修繕積立金が将来足りるかは素人でも分かりますか?
A. 判断は簡単ではありません。長期修繕計画と積立金の残高、過去の工事費用、総会での議論の中身まで見る必要があります。管理をきちんと調査できる担当者をつけるか、診断サービスを使うことをおすすめします。
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