「マンション相場が下落」というニュースは、実は市場全体の話ではなく、一部エリアで起きている「物件の選別」が表面化したものです。本記事では、業界歴15年のプロが、これから価値が下がる物件と残る物件の違いを5つの特徴に分けて解説します。
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「マンション相場が下落」のニュースは本当か?売り出し価格と成約価格の違い
結論から言うと、下がっているのは「売り出し価格」であって「成約価格」ではありません。一般の方が目にする表示価格と、業界が見ているレインズ(不動産流通の実データ)の裏側の数字は異なります。
| 価格の種類 | 意味 | 現在の動き |
|---|---|---|
| 売り出し価格 | 最初に提示される表示価格 | 一部で3〜5%下落(1億円なら500万円減も) |
| 成約価格 | 価格交渉などを経て実際に取引された価格 | 大きくは下がっていない |
背景には、これまで相場を押し上げてきた海外マネーが、政府による規制強化で流れにくくなったことがあります。ただし、これは湾岸エリア(晴海など)の一部で起きている限定的な現象であり、市場全体が下落しているわけではありません。
今は相場の「踊り場」であり、ここで起きているのが「物件の選別」です。良い物件は適正価格できちんと売れる一方、上昇相場に乗っただけの物件は、適正価格まで下げないと売れなくなってきています。では、選別で「下がる側」に回る物件にはどんな特徴があるのでしょうか。
特徴①:立地の悪い新築・築浅マンションがなぜ危ないのか?
立地の悪い新築・築浅マンションは、新築時こそ売れますが、中古になると価値が大きく下がりやすい物件です。
現在の新築は、相場高騰と建築費上昇を抑えるため、建物のグレードが下がり、部屋も狭くなる傾向があります。新築・築浅のうちは売れても、時間が経って中古として評価されるときに「部屋が狭い・グレードが低い・駅から遠い」が重なると、買いたい人が一気に減ります。
「立地が悪い」の最も分かりやすい指標は駅からの距離です。徒歩10分を超えてくると厳しくなってきます。新築は最初の価格が高い分、落ち幅も大きくなるため、駅から離れた物件を狙うなら、ある程度価格が下がったものを選ばないと「買った時と売った時の差」で損をしやすくなります。
特徴②:人口減少エリアのマンションは利便性も一緒に下がる?
人口が減るエリアのマンションは、需要の減少と利便性の低下がセットで進むため要注意です。
日本全体の人口は減少していますが、自治体ごとに見ると増えるエリア・横ばいのエリア・大きく減るエリアに分かれます。人口が減るエリアでは、次のような悪循環が起こります。
- 会社や店舗が商売を続けにくくなり、撤退が進む
- 小学校・中学校の統廃合が進む
- 生活の利便性が全体的に低下する
特に「人口減少エリア × 駅徒歩10分以上」という条件が重なると、将来売却が極めて困難になる可能性があります。地方でも人口が増えるエリアはあるため、購入前に各自治体の人口動態(将来推計人口)を必ず確認しましょう。
特徴③:ランニングコストが高いマンションに潜む「便乗値上げ」のリスクとは?
管理費・修繕積立金(ランニングコスト)が高くなるマンションは、住宅ローン完済後もコストが家計を圧迫し続け、売却時にも敬遠されます。さらに近年は「便乗値上げ」のリスクにも注意が必要です。
管理業界は人件費高騰や建築費上昇の影響を受けており、国土交通省のデータでもここ2〜3年で値上げが相次いでいます。ただし、ここで知っておきたいのが建築費の実態です。
建築費インジケーター(公開データ)で見ると、2015年を起点とした建築費・人件費は、直近でもまだ1.5倍に達していません。「もう倍になっている」という話も聞きますが、実態はそこまでではないのです。それにもかかわらず、管理会社から前回の大規模修繕の倍以上の見積もりが出され、「今の環境だから仕方ない」と管理組合が承認してしまうケースが増えています。これがいわゆる「便乗値上げ」です。
ランニングコストの上がり方はマンションによって大きく異なります。管理会社の大手・中小や戸数の多寡よりも重要なのは、管理組合が自分たちでも相見積もりを取り、コストを抑える努力をしているかどうかです。たとえば管理費+修繕積立金で月6〜7万円というマンションは、エリアによっては1Kの家賃に匹敵する負担となり、立地がよほど良くない限り価値が下がりやすくなります。
特徴④:賃貸化率が高いマンションはなぜ管理が荒れるのか?
賃貸化率(投資目的で貸し出されている部屋の割合)が高いマンションは、管理がうまく回らず、不景気時に値下がりしやすいという問題を抱えています。
投資目的の所有者は「利回り」で物件を評価します。実質利回りは「家賃収入からランニングコストを引いた手残り ÷ 物件価格」で計算されるため、修繕積立金を上げると手残りが減り、結果的に売却価格が下がってしまいます。そのため投資家は積立金の値上げに反対しがちで、必要なタイミングで大規模修繕ができていないマンションも少なくありません。
賃貸化率はどうやって見極める?
賃貸化率は、ネット検索である程度推測できます。マンション名で検索し、賃貸の貸し出し情報や過去の賃貸履歴が多く出てくる場合は、賃貸化率が高い可能性があります。
賃貸化率はどれくらいから「高い」のか?
明確な目安はありませんが、目安として考えておきたい水準は次の通りです。
| ネット上で見える賃貸募集の割合 | 判断の目安 |
|---|---|
| 1割(10%)程度 | すでに貸し出し済みの部屋は表示されないため、実際はさらに高い可能性。要注意 |
| 2〜3割(20〜30%)程度 | かなり危険。管理が荒れているリスクが高い |
ネットに出るのは「今募集中」の部屋だけで、すでに貸し出し済みの部屋は表示されません。そのため見える数が1割でも、実際には30〜40%に達していることもあります。湾岸エリアのタワーマンションでは賃貸募集が大量に出ているケースもあります。投資目的の所有者は景気が悪化すると一斉に現金化(売却)に動くため、売り物件が増えてエリア全体の下落圧力にもなります。理想は、自分で住む人(実需)中心で成り立っているマンションです。
特徴⑤:周辺に売り物件が多いマンションが下落しやすい理由は?
周辺に売り物件が多いマンションは、1件が値下げすると、それが成約事例として引っ張られ、連鎖的な下落圧力が生まれます。
1つの物件が安く売れると、その価格がデータとして残り「アンカー(基準)」になります。すると他の物件も価格を合わせないと売れなくなり、下げの連鎖が始まります。この現象は、再開発などで同じタイミングに大量のマンションが供給されたエリアで特に起きやすくなります。
「再開発エリアは値上がりする」という説もありますが、再開発が必ず成功するとは限らず、一気に供給が増えることで似た条件の物件・投資マネーが集中し、売りが出やすくなります。冒頭の「相場が下がり始めた」というニュースの正体は、まさにこの湾岸・再開発エリアでの売り物件増加と買い手減少(海外マネーの先細り、価格高騰、金利上昇による様子見)なのです。
まとめ:10年後に売れなくなる5つの特徴と「残る物件」の選び方
選別の時代に「下がる側」に回りやすいマンションの特徴は、以下の5つです。
- 立地の悪い新築・築浅マンション(特に駅徒歩10分超)
- 人口減少エリアに立つマンション
- ランニングコストが高く、便乗値上げを許してしまうマンション
- 賃貸化率が高いマンション
- 周辺に売り物件が多いマンション
注意したいのは、「下がり始めたから、もっと下がるまで様子見しよう」というスタンスです。不動産はインフレ資産であり、物価が下がる要素は乏しく、相場自体が大きく下がる可能性は低いと考えられます。物価が上がり金利も上がる中で待つことに、大きなメリットはありません。
大切なのは、値上がりや売却益を狙うことではなく、「将来売る時に適正価格で買い手がつくか」という視点で物件を選ぶことです。価値が残る物件を選べば、購入時と売却時の差額が賃貸の総額より小さく収まり、結果として暮らしを豊かにしてくれます。とはいえ、特に管理の中身は自分で調べるのが難しいため、きちんと見極めを手伝ってくれる担当者の力を借りることが、選別の時代を生き残る近道です。
参考動画:【要注意】10年後に売れなくなるマンションの特徴5選|下がる物件・残る物件の違い|HOUSECLOUVER(ハウスクローバー)
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