この記事を読むとわかること
- マンション売却に関わる全てのこと
- マンション売却の流れ
- 現役のプロによるその時々の注意点やポイント
「マンションをそろそろ売って住み替え時かな」「マンションが高く売れそうなうちに売っておこうかな」「親からの相続でマンションを売りたい」などマンションを売るときには人それぞれの事情があると思います。
事情は十人十色であっても、マンションを売るときの流れであったり、注意すべきポイントは共通のものです。
この記事では、これからマンションを売ろうと考える方が全体の流れや、どんなことに気をつければいいのかが理解できる内容となってます。
これからマンションを売ろうと考えている方は、ぜひご覧ください。
また長文となりますので、結論を手っ取り早く知りたい方は、まとめをご覧いただください。
目次を表示して「まとめ」をクリックするとジャンプできます。
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1、マンション売却の心得
まず初めにマンションを売却するにあたって、準備しておくことを解説していきます。
最低限の知識は身につけておく
マンションを売るときは基本、不動産仲介業者を通じて行います。
不動産取引自体、それほど多く経験するものでもないですし、あったとしても取引と取引に時間が空くことがほとんどだと思われますので、取引に慣れた不動産業者の介在は必須となります。
しかし不動産業界にクリーンなイメージを持つ方が少ないように、グレーな部分がいまだに多く残っている業界で、まったくの知識がない状態で臨むのは、言い方は悪いですが「鴨がネギを背負って歩いている」状態です。
ご自身の利益を守るためにも、ある程度の情報を仕入れておくことに自助努力をしておいた方がいいと思います。
全てを把握することは目指さなくても構いませんが、ある程度の知識は身につけておくべきです。
あなたが損をすることがないよう、最低限の準備をしてから取引に臨むようにしましょう。
この記事を最後まで読んでいただくと、売却時に必要な知識が一通り身につくようになっています。
経済状況や相場、ご自身の状況を把握する
マンション売却は経済状況が影響しやすい商品になります。
純粋な住宅地域よりも、商業地やタワーマンションなどは投資マネーも流入しやすいので、特に景気の影響を受けやすいと言えます。
ご自身に差し迫った状況がないのであれば、売り出すタイミングについてもある程度見極めていくようにしましょう。
住み替えの場合は、マンション相場が下がっているときは、売る時も安くなりがちですが、買う時も安く購入することができますので、相場についてはそこまで深慮しなくても大丈夫です。
また売却にどれくらいの時間がかけられるのかによっても売却価格や売却戦略は変わってきますので、ご自身の状況についても把握しておくようにしましょう。
2、マンション売却の準備
マンション売却のマインド的な準備ができたら、次は実際に売却にあたっての準備をしていく段階になります。
マンション市場の調査と市況の分析
まずはマンション市場の調査と市場の分析をしていきます。
今のマンション市場は上昇しているのか、下落しているの、それによって販売戦略も変わってきます。
どのように調べれば良いか。
いくつか方法はありますが、私がお勧めするのは、レインズが運営する「レインズタワー」のマーケット情報を活用することです。
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レインズデータライブラリー | REINS TOWER
www.reins.or.jp
レインズとは、不動産事業者のみがアクセスすることができる流通物件のデータベースシステムで、売りに出されている物件情報だけでなく、過去の成約事例についても掲載されています。
そのレインズのデータを集計して1ヶ月遅れではあるものの、ほぼリアルタイムに近い状況でマンションの相場のトレンドを確認することができます。
マンションの売却価格の調べ方
マンションは一戸建てと比較すると、相場の見極めがしやすい商品です。
同じマンションで売りに出ている部屋があれば、ひとまずその売り出し価格が目安となります。
なかったとしても、売り出そうとしているマンションと同じような駅徒歩分数や築年数、間取りなどによっておおよその売り出し価格の目安は把握することができます。
不動産仲介業者に依頼する前に、ある程度目安や相場観を把握しておくと良いでしょう。
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マンション売却時にリフォームは必要?
よくある質問にマンション売却時にリフォームをするべきかどうかというものがありますが、リフォームは必要ありません。
むしろ自分たちでリフォームをしたいと考える層も一定数いますので、リフォームをされた物件が逆に敬遠されてしまうこともあります。
ただし、あまりにも汚れた状態だとイメージが悪くなることもありますので、空き家の場合はクリーニングを入れることも検討しましょう。
また住みながら売却する際は、とにかく室内をきれいにすること。
そして引越しの時に捨てるであろうものについては、マンション売却が決まった時に捨てておくのもいいと思います。
人は最初の10秒の印象で買うか買わないかが決まると言われていますので、とにかくその10秒で買わないという判断をされないようにキレイな状態にしておくように心がけるようにしてください。
また室内の状況は価格交渉においても影響があります。
住み替えの場合
マンションの売却理由は住み替えとなることが大半だと思いますが、その際に「売り先行」で行くのか、「買い先行」で行くのか判断で迷うことがあるかもしれません。
売り先行とは、先に物件の売却に目処を付けてから、次の住み替え先を探す方法です。
一方で買い先行とは、先に住み替え先を見つけてから売却をする方法になります。
それぞれに一長一短があり、ご自身にとってどちらが合うかは担当者に相談しながら決めていきましょう。
以下の記事に売り先行と買い先行のそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
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https://houseclouver.jp/sale/sumikae-kaisenkou-urisenkou-timing/
houseclouver.jp
3、不動産仲介業者の担当者を探す
ここにきてようやく不動産仲介業者に問い合わせをしていきます。
このフェーズが売却活動において最も重要なポイントと言っても過言ではないくらい、マンション売却の成否は不動産仲介業者の担当者によって決まります。
いくら会社として優良な業者であっても、最終的には担当者の良し悪しで決まります。
担当者が良ければ希望の値段で売れることもありますし、担当者が悪ければ長い時間がかかり、値段も希望よりも安くなってしまうこともあります。
これは個別性が高い不動産取引において揺るがない事実ですので、ぜひ覚えておいてください。
マンション売却の担当者選びは、全国の優良な不動産エージェントが探せるハウスクローバーがお勧めです。
経験や知識など、一定の基準を満たし、なおかつ実際に利用したユーザーの評価も合わせて参考にできる日本で唯一のサイトです。
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不動産売却や住み替えは、不動産エージェント探しから|ハウスクローバー
全国の優良な不動産エージェントが探せるサイトです。一定の基準と運営による面談をパスした担当者のみ掲載しています。また掲載後も囲い込みに対するペナルティーなど、消費者が損をすることがないように厳格なルー ...
houseclouver.net
また問い合わせや査定依頼については、一人だけでなく2〜3人くらいに相談をすると、色々担当者を比較できていいと思います。
会社名よりも人柄やスキル・経験など、総合的に考慮して決めるようにしましょう。
優良な担当者の選び方の基準などについては以下の記事も合わせてご参照ください。
-
https://houseclouver.jp/sale/hudousan-baikyaku-cyukai/
houseclouver.jp
4、マンションの販売価格を決める
不動産仲介業者の担当者に問い合わせをすると、まずは売却予定のマンションの査定から始まります。
これまでの成約事例や周辺の売り出し状況を確認しながら価格を出していく「机上査定」からスタートします。
その後、実際に室内や現地を確認しながら価格を調整して売り出し価格を決めていきます。
話が上手すぎる高額査定に注意
担当者から提出される査定は人によってまちまちになります。
その中で注意が必要なものが、心が惹かれてしまう「高額査定」です。
不動産仲介業者の中にはとにかく媒介契約を取ることを優先する担当者もいます。
高額査定を鵜呑みにして、いざ販売活動を開始したものの、実際蓋を開けてみたら問い合わせや内覧がなく、ずるずると値段を下げていくという販売戦略のミスにつながりかねません。
このパターンは、高い値段で売りに出されて、ずるずると時間をかけて価格が下がっていくところを、多くの購入希望者はちゃんとみています。
長く売れ残っている物件に関しては「何か問題があるのでは?」と思われることが多いですし、ずるずると価格を下げていく物件に対しては「まだ下がるのでは?」と思われがちで、様子を見られてしまう傾向にあります。
変に欲を出してしまったばっかりに、適切な価格で売り出しておけば売れたであろう価格を下回ってようやく売れるという失敗のパターンもたくさんあります。
事前準備のところである程度ご自身で相場観を掴んでおく方が良いとお伝えしましたが、このような悪手に騙されないようにするためでもあります。
また相場感をある程度身につけておくと、担当者の良し悪しの判断をする時にも役立ちます。
売り出し価格と売り出し期間の関係
またいつまでに売るかにもよって、売り出し価格は変わります。
販売期間をかけても大丈夫な状況であれば、多少時間がかかることを理解した上で少し高めの値段で売り出すことができます。
逆にあまり販売期間をかけられない場合は、短期間で問い合わせや内覧がそれなりに入るように、相場並の絶妙な価格で売りに出すことになります。
また数字によってもパッと見た時に高く見える数字や、逆に安く見える数字というものもありますし、物件情報サイトで検索に引っかかりやすいような数字設定も戦略として考えていくべきです。
売り出しの価格設定は、物件売却における大きなポイントとなりますので、じっくり担当者と話し合ってから様々なケースを想定し、ご自身の納得のできる価格で売り出すようにしましょう。
コラム①:仲介で売りに出すのと、買取業者に買い取ってもらうのはどちらがいい?
仲介業者に相談をした時に、状況によっては「買取業者による買取」という話が出てくるかもしれません。
状況によっては買取業者の方が最適なケースもありますし、そうでない場合もあります。
まず売れる価格で言うと、仲介の方が高く売れます。
当然ですが、買取業者は物件価格と諸費用、部屋の状態によってはリフォーム費用をかけて、そこにさらに買取業者の利益を乗せて再販するため、逆算的にどうしても買取価格は安くなります。
それでも買取業者に買い取ってもらうメリットとしては、現金化までのスピードが速いこと。
現金決済の業者とかであれば最短1週間で決済できることもできます。
またプロに買い取ってもらうと基本的に引渡した後の欠陥への対応や、内覧の時などに発生する手間がないので、遠方に引っ越す場合や、早く売りたい時など、状況によっては選択肢に入れてみてもいいと思います。
5、媒介契約書を締結する
担当者が決まって、販売価格が決まったら、次は不動産仲介業者と媒介契約書を締結します。
媒介契約書の種類には以下の3つがあります。
専属専任媒介契約
一社専属で、他の会社に依頼することができません。
また売主が自分で見つけてきた購入希望者についても仲介業者を通さなければいけない義務があります。
縛りがある分、仲介業者にとってもレインズの登録が媒介契約書締結の翌日から5営業日以内、1週間につき最低1回以上の報告が義務付けれています。
有効期限は原則として3ヶ月となります。
専任媒介契約
一社専属であることは、専属専任媒介契約と変わりませんが、売主が自分で見つけてきた購入希望者については直接取引をすることができます。
縛りが専属専任媒介と比較するとやや緩くなるため、レインズの登録が媒介契約書締結の翌日から7日以内、報告義務は2週間に1回以上となります。
有効期限はこちらも原則として3ヶ月となります。
一般媒介契約
一般媒介契約は、一社専属でなく何社でも依頼することができます。
もちろんご自身で購入希望者を見つけて取引することもできます。
また仲介業者としても、縛りがない分、レインズの掲載義務もなければ報告義務(任意)もありません。
契約期間についても期限は定められていません。(標準契約約款では3ヶ月以内となっています)
3つの媒介契約の比較を表でまとめると以下のようになります。
複数社との契約 | 売主が見つけた買主との取引 | レインズへの登録義務 | 売主への報告義務 | 契約有効期間 | |
---|---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | × | × | 5営業日以内 | 1週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
専任媒介契約 | × | ○ | 7営業日以内 | 2週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
一般媒介契約 | ○ | ○ | 義務なし | 任意 | 3ヶ月以内 |
おすすめの媒介契約は?
これらの3つの媒介契約のうち、どれがいいのか。
この質問はプロの中でも判断が別れるところなのですが、私個人的には一般媒介契約で2社、ないし3社に依頼するといいと考えています。
理由としては「囲い込み防止」に尽きます。
囲い込みとは、消費者の利益を無視した、最悪な業者都合の違反行為です。
下の動画はWBSが数年前に不動産業界の闇の部分(囲い込み)を暴いた特集番組になります。
この時から徐々に囲い込みは減っていますが、いまだに大手も含めやっている業者はあります。
またその手口も年々巧妙化しています。
囲い込みによって業者は利益を独占できますが、囲い込みをされた売主は本来もっと早く高く売れたかもしれない利益を損する可能性が非常に高くなる行為です。
この囲い込みを封じる最も最適な手段が一般媒介契約です。
人によっては一般媒介契約では身が入らす手を抜かれることが多いという人もいますが、実際現役のプロでもある私からすればそんなことはありません。
むしろ他の会社との競争になるので、逆にサービスの質が良くなることもあります。
さらに言えば、囲い込みは可能性が無くなるので、早く高く売ることもできます。
デメリットとしては業者とのやりとりが依頼社数分となるので、手間が発生すること。
また一つの業者から買い付けが入った時に、他の業者が色々言ってくることがあるので、考えがブレてしまうことがあることです。
ただデメリットを考慮しても私は一般媒介契約の方が、売主が享受できるメリットは多いと考えています。
不動産仲介業者へ問い合わせをするときに用意しておくべき書類
不動産業者に査定を依頼するときに用意しておくべき書類を紹介します。
登記識別情報(権利証)
一昔前では権利証と呼ばれていた書類で、登記識別情報と呼ばれる書類があります。
所有者であることを証明する書類で、無くても売買はできますが、通常とは違う手続きが必要となるため、現存することを確認するために用意しておきましょう。
またこの書類で所有者の確認をすることもできます。
固定資産税がわかる資料
毎年送られてくる固定資産税の請求書についている課税明細書と呼ばれるもので大丈夫です。
税額の確認という意味もありますが、マンションに付帯する土地や付属建物の内容がわかりますので、売買の対象を特定するためにもあった方が好ましい書類です。
住宅ローンの関係書類
マンションを売却する際に、住宅ローンがあとどれだけ残っているのかを把握しておくことは、販売戦略を考える上で必要不可欠な情報となります。
銀行から送られてくる明細などがあればそれを用意しておきましょう。
購入時の資料
あまり残っていない場合もあるかもしませんが、少しでもあると販売活動の資料として利用することができます。
特に間取り図面(パンフレット)やリフォームの履歴がわかるものは役に立ちます。
総会の議事録等の資料
マンションの管理組合関係の資料も調査をする上で重要になります。
もちろん管理会社にも調査はしますが、ある程度マンション内でどんな話が出ているかを知ることは重要で、買主側に提示するかどうかは仲介業者の判断に委ねられる部分もありますが、中には告知をしておかないといけないこともあります。
2期分ほどあるとベストです。
不利益になりそうなことも全て申告しよう
これを言ったら安くなるので言わないほうがいいかもと思っても、担当者には必ず伝えましょう。
中には法令上の義務に関わることもありますし、万が一の時に責任問題になりかねません。
告知するかどうかの判断は担当者に任せて、とにかくどんな些細なことでも伝えた方がいいでしょう。
税金のこともあらかじめ押さえておこう
マンションを売却して利益が出ると見込まれる場合、税金が発生しますので、あらかじめどれくらいの税金がかかりそうか、おおよその予測を立てておくと良いでしょう。
また利益の金額によっては、「3000万円の特別控除」もしくは住み替え先での「住宅ローン減税」のどちらかを選択していきます。
今すぐに決定するわけではないものの、ある程度どうするか、ぼんやりとで構わないので考えておくと良いでしょう。
売却時の税金については以下の記事に詳しくまとめてありますので合わせてご参照ください。
-
https://houseclouver.jp/sale/hudousan-baikyaku-tax/
houseclouver.jp
6、マンションの広告・販売活動開始
準備が整ったら実際に販売開始になります。
また専属専任媒介契約と専任媒介契約の場合、レインズ掲載をした後の証明書を必ず担当者からもらうようにしてください。
レインズに掲載されている内容を確認できるだけでなく、販売状況を記載のIDとパスワードで確認することができます。
物件情報サイトやホームページでの記載を確認
販売開始とともに、物件情報サイトや不動産仲介業者のホームページなどに掲載がされます。
実際に掲載されたら内容を確認し、もし気になることや変更をしてほしい文言などがあれば担当者に伝えましょう。
その他、担当者の判断で他の不動産仲介業者が発行するチラシや不動産情報サイトへの掲載を許可することもあります。
担当者としては自社以外の集客も広く活用した方が有利と判断した場合に、このような対応を取ることがあります。
また物件情報サイトへの掲載は、不動産会社にとっては基本的な広告ツールとなりますので、特に追加費用がかかることはありませんが、SNS上での広告宣伝活動など、通常の集客手法と異なるものを特別に依頼するときは別途費用がかかることもあります。
7、お部屋の内覧とポイント
物件情報を広告に掲載すると、問い合わせが入り、実際の内覧の申し込みが入るようになります。
空室の場合は、不動産仲介業者に鍵を預けることがほとんどで、実際にご自身で立ち会うことはほとんどありません。
しかし住みながら売却活動をする際は、日時を調整して在宅時に来訪してもらい内覧をすることになります。
購入希望者への対応はほとんど担当者がしてくれるため、聞かれたことには答えるくらいで担当者に説明などはお任せしてしまって問題ありません。
売主であるあなた自身も緊張しますが、他人の生活スペースに入ってくる購入希望者も緊張しています。
少しでもリラックスして室内を見ていただかけるよう、程よい距離感を意識すると良いでしょう。
交渉については担当者が間に入って行いますので、もし内覧時に価格の話をされた場合などは、すぐに答えないようにしましょう。
また質問された内容については、嘘偽りなく答えるようにしましょう。
不利益に思えるようなことであっても、買う側としては不利益なことも把握した上で判断したいと考えています。
空き家のお部屋を売れやすくするポイント
空き部屋のメリットは購入希望者が売主に気兼ねなくじっくりと室内を見ることができます。
デメリットとしては空き部屋なので、モノがなく、生活のイメージをしにくいという点が挙げられます。
欧米では空き家を売る場合、必ずと言っていいほどホームステージングを行います。
ホームステージングとは、照明や家具、植物などをモデルルームのように配置し、購入希望者にここに住みたいと思ってもらえるようにするための手法です。
日本ではあまり馴染みがありませんが、欧米ではホームステージングをしないと売れないと考えられているくらい一般的に行われています。
実際に家具や小物を購入するのは現実的ではありませんが、有料で家具のレンタルや、実際の売りやすい配置を行なってくれるサービスもありますので、担当者に相談しながら活用する余裕があれば検討してみてもいいかもしれません。
またハウスクリーニングを入れないまでも、せめて清掃は一通りしておいた方が、購入希望者への印象はよくなります。
住んでいる状態のお部屋を売れやすくする方法
住んでいる状態の部屋も極力ものを減らし、すっきりとした印象を与えられるようにするといいでしょう。
引っ越すときに捨てそうなものであれば、先に捨てておいた方がいいです。
人の目がいきそうな場所は特にしっかり整理整頓をしておきましょう。
室内よりも、生活感に意識が行ってしまうことを防ぐために有効な手段です。
また柑橘系のドゥヒューザーなどを活用して、視覚だけでなく臭覚などを刺激するのも、イメージを良くするための有効な手段となります。
8、商談と価格交渉
実際に内覧した購入希望者が気に入って話を進めたいということになれば、買付申込書という書類が提出されます。
買付証明書が提出されたら俗にいう「商談」となります。
買付申込書とは?
買付申込書とは、購入の意思表示を書面で行うもので、購入希望条件が纏まれば契約しまうという書面です。
取りまとめ依頼書など様々な呼ばれ方をすることがありますが、意味合いは基本的に同じです。
買付申込書に記載される内容は、
- 申込日
- 申込者名
- 対象物件を特定する内容
- 購入希望価格
- 手付金の額
- 融資の有無
- 買付申込書の期限
- その他、交渉内容(引渡時期やインスペクションの有無など)
などが記載されます。
また同時に購入希望者が住宅ローンの審査が通っているかどうかもポイントになります。
そもそも住宅ローンに通っていなければ、買える人かどうかが分からないためです。
価格交渉のポイント
商談の中で、最大の交渉のポイントとなるものが、価格交渉です。
購入希望者としては少しでも安く買いたいという心理が働きますが、売る側としてみれば少しでも高く売りたいという心理が働き、その間を取り持つのが不動産仲介業者の担当者の役目です。
基本的には価格交渉は発生する前提で考えておきましょう。
そして価格交渉の際には事前に、デッドラインを決めておくと良いでしょう。
担当者としても相手側の意思の強さ、つまり買い上がり(商談価格よりも価格を高くすること)をしても購入してもらえそうかどうかを確認しながら交渉を進めていきます。
また他の検討している人の状況や、これまでの内覧件数や引き合いを加味しながら交渉をしていきます。
囲い込みが損をする理由
引き合いがそれなりにあり、コンスタントに内覧が入っているのであれば、ある程度強気な交渉ができますし、問い合わせや内覧が少ない状況ではどうしても弱気になってしまいます。
前の説明で囲い込みについて解説しましたが、囲い込みの弊害はまさにこれで、他の業者の購入希望者も受け入れていれば引き合いも多くなり、強気で交渉に望めますし、高値で売れる可能性が高いです。
逆に囲い込みをされてしまうと自社で集客した購入希望者しか来ませんので、引き合いの少なさから弱気な交渉で、価格を落とさなくても良かったところを下げて売ってしまう可能性が高くなります。
一方で囲い込みをした業者は売主だけでなく、購入希望者からも仲介手数料をもらえるので、物件がいくら安く売れても業者は儲かるわけです。
これが囲い込みの本質で、いかに囲い込みをさせないようにするかというのも、残念ながら考えておかなければいけないのです。
9、売買契約の締結
商談がまとまったら、次は売買契約となります。
担当者がマンションの調査内容をもとに重要事項の説明書を作成し、買主に対して説明をするとともに、契約書を作成し、売主と買主のそれぞれが署名・捺印をしていきます。
また売買契約時に手付金を買主から受領しますが、この手付金は売買代金の一部を先に預かる性質もので、もし契約が解除となったときはペナルティー的な性質を持つものです。
収入印紙を節約できる電子署名による契約とは?
2022年5月より宅建業法の改正により、不動産業界でも電子契約が行えるようになりました。
これまでの契約は対面で行わなければいけませんでしたが、Web面談で重要事項の説明や契約書の確認ができるようになり、そのまま電子署名をもって契約が完結できるようになりました。
紙の契約書の場合、物件価格に応じた収入印紙税(数千〜数万円)が必要となりますが、電子契約であれば収入印紙は必要ありません。
さらに遠方であっても、自宅にいながら契約行為が行えますので、メリットも多くとても便利です。
その反面、まだ不動産業界で浸透しているとは言い難く、仲介業者によっては対応ができない、もしくはやったことがない業者が大半です。
担当の業者が対応できたとしても、買主側の不動産仲介業者が対応できない場合もあります。
もし希望があれば担当者に伝えてみてください。
仲介手数料の支払いのタイミング
契約が成立したら仲介手数料の支払いが確定します。
支払いのタイミングは仲介業者によってまちまちで、契約時に一括請求してくるとこともあれば、契約時と決済時に半々というところもありますし、決済時に一括というところもあります。
担当者にどのタイミングで支払えばいいのか確認しましょう。
【売り先行の場合】住み替え先物件を探す
住み替えのケースで、売却を優先する「売り先行」の場合は、ここから本格的な物件探しが始まります。
一般的に住んでいるマンションの引渡し期限は3ヶ月から長くても半年ほどとなりますので、早め早めに動くようにしましょう。
できれば売買契約が終わってから探し出すのではなく、ある程度販売中にも情報収集をしておくようにしましょう。
-
https://houseclouver.jp/sale/sumikae-kaisenkou-urisenkou-timing/
houseclouver.jp
10、住宅ローンの抵当権抹消の手続き
契約が終わったら住宅ローンの抹消手続きをします。
具体的には現在住宅ローンを借りている銀行に連絡をして、マンションの売却をする旨を伝えてください。
そして住宅ローンの抹消書類を送ってもらいましょう。
この書類がないと、住宅ローンの抵当権を抹消することができないため、引渡し日にもよりますが、余裕を持って段取りをするようにしましょう。
住宅ローンがない(抵当権がない)場合はこの手続きはありません。
11、引越しの準備や片付け
契約が終わった後、買主は住宅ローンの本審査を行い、本審査が承認となれば引渡し日を決めていきます。
引渡し日は契約時にある程度話し合って、おおよその時期を決めますが、正確に決まるのはこの段階です。
住んでいる状態であれば引越しに向けた準備も必要になります。
また空き家であっても残置物などがそのままになっている場合は片付けをしていきましょう。
もし大きな家具や電化製品で要らないものがあれば、買主に確認してみましょう。
中には買主が欲しがり、置いていくことができるケースもあります。
また契約時の時にある程度話し合っておくこともできます。
12、物件の立ち会い確認
買主がリフォームの見積もりや打ち合わせを行ったり、設備の動作確認などで引渡し前に立ち会い確認を行います。
ただ、立ち会い確認を行わないこともありますので、担当者と相談をしながら進めてください。
13、決済・引渡し
そして長い販売活動の最後の仕上げが、決済とマンションの引渡しです。
具体的には売主と買主、仲介業者、そして司法書士が集まって、銀行の応接室で手続きをしていきます。
司法書士による本人確認、書類の署名捺印、必要書類の確認をして、銀行の住宅ローンが実行されます。
一旦、買主の口座に住宅ローンが実行された後、売主の指定する口座に残代金と固定資産税の日割り分、管理費等の日割り分などが振り込まれます。
また仲介手数料の残代金や司法書士に対する費用もこのタイミングで支払います。
そしてマンションの鍵や重要書類などを買主に引き渡して終了となります。
着金確認後、今度は住宅ローンの抹消手続きで、借りていた銀行に司法書士と向かい、抹消登記の書類を銀行から引き受けます。
そして司法書士が抹消書類と移転登記関係の書類を持って法務局で登記の申請を行い、全ての手続きが終了となります。
ただし、契約で定められている契約不適合期間中に発覚した設備・排水管などのトラブルがあった場合は、もう後少しだけ対応をしなければいけないこともあります。
14、確定申告
マンションを売却して翌年の確定申告の時期に行います。
確定申告の時期は2月16日〜3月15日になります。
もし1月に売却したとしたら1年以上、間が開くことになりますので、失念しないように注意しましょう。
お金の流れは税務署もある程度把握していますので、忘れていて催促されるようなことがないようにしましょう。
ちなみに住宅ローン減税についても同じタイミングで行うことになりますが、こちらは忘れていても税務署からお尋ねは来ません。
なんだか都合よくできていますね。
マンション売却での税金の計算や確定申告については、以下の記事に詳しくまとめてありますので、合わせてご参照ください。
-
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マンション売却の流れと失敗しないための注意点
ここまでマンション売却の流れと、失敗しないための注意点を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
少しでも高く売れるようにするためのポイントについても解説させていただきました。
満足のいく結果を得るためのポイントですが、まずは自分なりに情報収集はしておくこと。
そして担当者選びを間違えないこと。
この2つを押さえておけば、よほど後悔するような結果にはならないと思います。
ぜひ納得のいくマンション売却ができるようにしていきましょう。
担当者選びは、こちらの全国の担当者が探せるサイト「HOUSECLOUVER」をぜひご活用ください。
経験年数や実績、倫理観など、現役のプロが面談をして、合格した担当者のみ掲載しております。
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まとめ
step
1マンション売却の基本知識を身につける
- 損をしないためにも最低限の知識は身につけておく
- 経済状況や相場、ご自身の状況を把握する
step
2マンション売却の準備
- マンション市場の調査と市況の分析する
- おおよその売却価格をインターネットで調べる
- マンション売却時にリフォームは必要なし
- 住み替えの場合は買い先行か売り先行かを考える
step
3不動産仲介業者の担当者を探す
- マンション売却成功の秘訣は担当者選び
- 全国の優良な担当者(不動産エージェント)が探せるサイト「HOUSECLOUVER」を活用する
-
不動産売却や住み替えは、不動産エージェント探しから|ハウスクローバー
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step
4マンションの販売価格を決める
- 話が上手すぎる高額査定に注意
- 売却にかけられる時間から売り出し価格を決める
- 買取業者のメリットが感じられるのであれば検討の価値あり
step
5媒介契約書を締結する
- 専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の違いを理解する
- おすすめの媒介契約は、囲い込み防止ができる一般媒介契約
不動産仲介業者へ問い合わせをするときに用意しておくべき書類
- 登記識別情報(権利証)
- 固定資産税がわかる資料
- 住宅ローンの関係書類
- 購入時の資料
- 総会の議事録等の資料
step
6マンションの広告・販売活動開始
- 物件情報サイトやホームページでの記載を確認
step
7お部屋の内覧とポイント
- 空き家のお部屋を売れやすくするポイント
- 住んでいる状態のお部屋を売れやすくする方法
step
8商談と価格交渉
- 買付申込書が入れば商談
- 価格交渉は担当者の腕の見せ所
- 囲い込みをされていた場合、値段を大幅に下げざるを得ない場合がある
step
9売買契約の締結
- 収入印紙を節約できる電子署名による契約も検討してみる
- 手付金の受け取りと、仲介業者によっては仲介手数料の支払い
- 売り先行の場合は、住み替え先物件を探す
step
10住宅ローンの抵当権抹消の手続き(住宅ローンの残債がある場合)
- 引渡し日に間に合うように余裕を持って早めに段取りをする
step
11引越しの準備や片付け
- 余裕を持ったスケジュールで
- 大物家具などは買主にいらないかどうかを聞いてみる
step
12物件の立ち会い確認
- やらないこともある
step
13決済・引渡し
- 銀行の窓口がやっている平日日中に行われる
- 残代金が支払われ、司法書士手数料や仲介手数料を支払う
- 着金が確認できたら住宅ローンの抹消書類を司法書士と取りに聞く(住宅ローンの残債がある場合)
step
14確定申告
- 売却した年の翌年2月16日から3月15日に行う
- 確定申告をするのは利益が出た場合のみ
- 住み替え先の住宅ローン減税を利用するか、3000万円の特別控除を利用するかを選ぶ
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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