オフィスのデスクより、
リノベーションという言葉が一般化してから10年近くが経とうとしています。
ここでいうリノベーションとは表層的な修繕ではなく、一度内装を解体してから、一から作り直すような大掛かりな工事のことです。
リノベーションが受けている理由は、注文住宅のような自分らしさを表現できること、そしてリノベーションをしても新築よりも安いことがあげられます。
しかし、リノベーションを考えるうえで、ぜひ知っておいてほしい資産価値との関係性があります。この視点がないと、人によっては後悔することも出てくるので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
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リノベーションには資産価値に反映されないものがある
住宅購入者の方のお手伝いをさせていただく中で、たくさんの方からお問いあわせをいただきますが、多くの人が勘違いされていることがあります。
それは「資産価値」についてです。
資産価値というのは、あくまで今それを売った時の価格です。買った価格=売れる価格ではないことに注意してください。
例えば新築マンションで3000万円しはらったとしても、中古になった瞬間に「新築プレミアム」がなくなり、2300~2600万円でしか売れません。
この場合、資産価値は、支払った3000万円ではなく、今売った時の2300~2600万円というのが資産価値となります。
初めから、この違いを正確に理解している方は、そこまで多くありません。
弊社にお問い合わせいただければ、この違いは最初にしっかりお伝えするのですが、この考え方を知らずに住宅を購入している方も多くいます。
そしてこのリノベーションも、例えば1000万円かけたとしても、資産価値が500万円しか反映されないということが多々起こります。
自分にとっての100%は他の人の100%ではない
冒頭で、リノベーションの人気の理由の一つに「注文住宅のような」と説明しましたが、実は注文住宅も資産価値に反映されにくい物件です。
なぜなら、注文住宅にしろリノベーションにしろ、自分にとっての100%は、他の人にとっては100%ではないからです。
自分の100%をかなえるためには、汎用品などでは対応できないことが多く、余分に費用がかかることが多いですが、その余分にかかった費用までは評価してもらえないということです。
一番無難だったりするのは、だれにとっても70%くらいのものだったりします。
誰にとっても70%くらいであれば、汎用品で事足りますし、通常のリフォームであれば、かけた分と資産価値の乖離はそこまでありません。
短期で転居する人には向かない
こういった性質をもつリノベーションですから、まだ長期で住むことができれば、住んでいる時の価値として割り切ることもできます。
しかし、転勤や実家へ戻る予定がある方など、短期で売却するときはかなり損をしやすくなります。
こういったことが当てはまる方は、よく考えた方がいいと思います。
リノベーション費用を中心に考えないように
リノベーション費用を中心に考えるとは、リノベーション予算を先に決めて、そのあとに残った予算で物件の予算を決める考え方です。
マンションは立地や管理状態など、資産価値に影響する気を付けるべきポイントがたくさんありますが、物件の予算を落とすことで、こうした将来の資産価値が低い物件を買ってしまうリスクがあるからです。
住宅購入に「資産価値」を求めたいのであれば、物件の予算を先に確保して残ったお金でリノベーション費用を捻出するのが正しい順番です。
正しい知識を身に着けたうえでの判断は、あなたにとっても納得感が出やすくなりますが、知らずに後から気が付くのでは、ライフプランが狂ってしまうことも考えられます。
ぜひ正しい考え方を知ったうえで判断するようにしてくださいね。
宮田明典