ここ最近、戸建てを買う方が明らかに増えています。私自身の感覚でも、昨年までは取り扱いの比率がマンション8:戸建て2くらいでしたが、今年に入ってからは戸建てが4〜5まで伸びてきました。関東1都3県という比較的マンションが多いエリアでこれですから、かなりの変化です。
背景にあるのは、やはりマンション価格の高騰です。平均価格で見ると、戸建ての方がおよそ1,300万円安いという状況になっています。一昔前は戸建ての方が高かったことを考えると、完全に逆転しました。
ただし、だからといって全員に戸建てが正解というわけではありません。この記事では、業界17年の私が、数字の実態と、それぞれに向いている人・向いていない人を整理してお伝えします。
この記事で分かること
- マンションと戸建ての価格差と、在庫数に表れている市場の変化
- なぜ今マンションが高く、戸建てが選ばれているのか
- ランニングコストを含めた「総支払額」の差
- マンションに向いている人の条件
- 戸建てに向いている人の条件
- 築40年で起こる価値の逆転現象
- 今後の見通しと、戸建てを買うときの最大の注意点
数字で見るマンションと戸建ての現状
私は毎月レインズのデータを分析して一覧にまとめ、LINEで発信しています。そこから見えてきているのが、次の2つの動きです。
- 価格:平均で戸建ての方がおよそ1,300万円安い。かつては戸建ての方が高かったが逆転している
- 在庫:マンションは在庫が増加傾向、戸建ては逆に減少傾向
在庫が増えているのは単純に売れ残りというより、売れる物件と売れない物件の二極化が進んでいる面もあります。一方で戸建ての在庫が減っているのは、実際に売れているということです。現場の体感と数字が、はっきり一致しています。
なぜ戸建てに流れているのか
理由1:マンション価格が高すぎる
マンション価格は高止まりしています。在庫が残り始めているとはいえ、下落局面に入ったわけではありません。
「暴落する」「相場が下がる」という話も耳にしますが、あくまで調整の範疇であり、大きくは下がらないと考えています。
マンションが高くなった理由のひとつが投資マネーです。マンションは管理会社が管理を代行してくれるため投資対象にしやすく、円安を背景に海外からの資金も入ってきました。一方、戸建ては何かあるたびに業者を手配する必要があり手間がかかるため、投資対象として選ばれにくい。結果として、戸建ての方が価格が抑えられやすいのです。
理由2:ランニングコストの差が大きい
マンションには管理費・修繕積立金に加え、駐車場代もかかります。物件によっては合計で月5万円ほどになることもあります。
仮に月5万円を30年間、金利1%で支払い続けた場合と比較すると、総支払額で500万円ほどの差が生まれる計算です。つまり同じ5,000万円の物件でも、ランニングコストまで含めると総額はまったく変わってきます。
裏を返せば、戸建てはこの強制的なランニングコストがない分、物件価格に予算を振り向けられるという特徴があります。
マンションに向いている人
市場の流れとしては戸建てが有利に見えますが、マンションの方が合っている方も確実にいます。
- 利便性を重視する人:マンションは駅近や複数路線が使える立地に建っていることが多く、平均価格が高いのはこの立地の良さも理由のひとつです。同じ利便性の場所で戸建てを買おうとすると、土地が高いためマンションより高くなることもあります。
- コンパクトな間取りで暮らせる人:家族の人数が少ない方はマンションが向いています。
- 売る可能性が高い人:マンションは流通量が多く成約事例も豊富なため、値段がつきやすく早く売れやすい。ここで言う「売る可能性」とは、おおむね10年から長くても20年程度の短期スパンを指します。
- 老後もそのまま暮らしたい人:マンションは基本性能としてバリアフリーです。戸建ては階段があり、子どもが独立した後に住み続けるかという問題も出てきます。
戸建てに向いている人
- 家族が多く、広さが必要な人:マンションでは十分な広さを確保しにくいケースです。
- 車を2台以上持つ人:地域によっては夫婦で1台ずつというケースもあります。1台までならマンションでも成り立ちますが、2台になると駐車場代が重くなります。
- 20年、30年以上と長く住む予定の人:後述する価値の逆転現象があるためです。
- 自分で判断して決めたい人:マンションには管理規約があり、何かを決めるにも多数決が必要です。多数決は少数派の意見が通らない仕組みでもあるため、意見調整を煩わしく感じる方もいます。戸建てなら自分の采配で決められ、自由度は高くなります。
逆に戸建てに向いていない人
戸建てで最も大きいのは、建物のメンテナンスをすべて自分で行う必要があるという点です。
マンションなら管理会社が主導して修繕計画を立て、工事も進めてくれます。しかし戸建ては、外壁の塗装、防水、草むしりといった日常の手入れから、メンテナンスの計画・タイミング・業者選定まで、すべて自分で判断しなければなりません。
放置すれば建物は劣化し、価値にも影響します。そのため、最低限の建物の知識がないと戸建ては負担が大きくなります。
私自身、20代の頃に8年ほど戸建てに住んでいました。子どもが小さかったので庭を芝生にしてプールを出せるようにしたりと良い面もありましたが、草むしりで蚊に刺されながら休日が1日潰れる、ということも現実にありました。こうした作業が向かない方には、戸建ては正直おすすめしにくいところです。
築40年で起こる「価値の逆転」
長く住む前提なら戸建てが有利、という理由がここにあります。
最初のうちはマンションの方が流動性も高く価値も保たれます。しかし築40年を超えたあたりで、マンションと戸建ての価値は逆転します。これはデータにも表れている現象です。
理由は土地です。マンションの相場は基本的に取引事例によって決まり、土地は区分所有者全員の共有です。一方、戸建ては土地が個別に残ります。建物の価値がゼロに近づいても土地が残るため、長期になるほど戸建てが有利になるのです。
ただし注意点もあります。木造戸建ては減価のスピードが速く、築年数が浅いうちは価値の下がり幅が大きくなります。短期で売るなら不利、長期なら有利。この違いを理解しておいてください。
今後の見通し
断言はできませんが、この傾向はしばらく続くと考えています。
マンションの在庫は増えていますが、相場が下がるとは思っていません。インフレが続いていること、建築費が下がる要素がないこと、建築業界の人手不足、そして土地が減っていることなど、コスト構造として下がりようがないためです。
なお「マンションが下がった」と言われているのは、主に東京都内の湾岸エリアのタワーマンションです。投資マネーの動きが止まり、強気に高く出していた売り出し価格が下がっているだけで、実際の成約価格がそこまで落ちているわけではありません。レインズのデータを見ないと分からない部分です。
この状況が続くと、東京都内で家が買えない層が出てきます。実際、東京都のマンション在庫は前年並みで横ばいなのに対し、千葉・神奈川・埼玉は価格が上がってきています。こうした動きの中で、戸建ても含めて検討する方はさらに増えていくでしょう。
戸建てを買うなら、担当者選びが決定的に重要
ここが今日いちばんお伝えしたい点です。
マンションについても管理組合の調査ができる担当者を選ぶべきだとお伝えしてきましたが、戸建ては担当者を間違えると本当に危険です。特に中古戸建てを検討する方は注意してください。
マンションのように管理会社が建物を見てくれる仕組みがなく、建物の状態や将来かかる費用を判断する責任が、そのまま買主側に来るからです。だからこそ、戸建ての取扱い実績がある担当者を選ぶことが不可欠です。
私自身も、戸建てが合いそうな方には戸建てを提案する機会が増えています。合う人が、きちんとした物件を選べれば、今は戸建ての方が損をしにくい時代になってきているのは事実です。
マンション・戸建て判断チェックリスト
- 駅近などの利便性をどこまで重視するか整理したか
- 家族の人数と必要な広さを具体的に想定したか
- 車の所有台数(2台以上か)を確認したか
- 何年住む想定か(10〜20年か、30年以上か)を決めたか
- 管理費・修繕積立金・駐車場代を含めた総支払額で比較したか
- 外壁・防水・庭の手入れなどを自分で管理できるか考えたか
- 老後もそこに住み続けるかを想定したか
- 戸建ての場合、取扱い実績のある担当者を選んでいるか
まとめ
平均で1,300万円ほどの価格差に加え、管理費・修繕積立金・駐車場代といったランニングコストの差もあり、今の市場では戸建てが選ばれやすくなっています。在庫の動きを見ても、マンションは増加、戸建ては減少と、数字にはっきり表れています。
ただし、全員に戸建てが正解ではありません。利便性を重視する方、コンパクトに暮らせる方、10〜20年で売却する可能性がある方、老後も同じ家で暮らしたい方には、マンションの方が向いています。
一方、広さが必要な方、車が2台以上の方、30年以上住む方、自分で判断して決めたい方には戸建てが合います。築40年を超えると土地が残る戸建ての価値が逆転する点も、長期で考えるなら重要な要素です。
結局のところ、ライフスタイルと家族構成、そして何を優先するかによって答えは変わります。そのうえで、特に戸建てを検討するなら、実績のある担当者と組むことを強くおすすめします。
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よくある質問(FAQ)
Q. マンションと戸建てはどれくらい価格差がありますか?
A. 平均価格で見ると、戸建ての方がおよそ1,300万円安くなっています。かつては戸建ての方が高かったのですが、マンション価格の高騰により逆転しました。加えて管理費・修繕積立金・駐車場代といったランニングコストの差もあるため、総支払額ではさらに開きます。
Q. なぜ今マンションはこんなに高いのですか?
A. マンションは管理会社が管理を代行するため投資対象になりやすく、円安を背景に海外を含む投資マネーが流入したことが大きな要因です。加えて、駅近など利便性の高い立地に建っていることも平均価格を押し上げています。
Q. マンション価格は今後下がりますか?
A. 大きくは下がらないと考えています。在庫は増えていますが調整の範疇です。インフレ、建築費の高止まり、建築業界の人手不足、土地の減少といった要因があり、コスト構造として下がりにくい状況です。湾岸タワマンで下がっているのは売り出し価格であり、成約価格ではありません。
Q. ランニングコストの差はどれくらいですか?
A. 管理費・修繕積立金・駐車場代を合わせると、物件によっては月5万円ほどになります。これを30年間、金利1%で支払い続けた場合と比較すると、総支払額で500万円ほどの差が生まれる計算です。物件価格だけで比較しないことが大切です。
Q. 長く住むならどちらが有利ですか?
A. 戸建ての方が有利になります。築40年を超えたあたりでマンションと戸建ての価値は逆転するためです。戸建ては土地が個別に残るのが理由です。ただし木造戸建ては築浅のうちは減価が速いため、短期売却の可能性があるならマンションの方が向いています。
Q. 戸建てを買うときの一番の注意点は何ですか?
A. 担当者選びです。マンションのように管理会社が建物を見てくれる仕組みがなく、建物の状態や将来の費用を判断する責任が買主側に来るためです。特に中古戸建ては危険な領域なので、戸建ての取扱い実績がある担当者を必ず選んでください。
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