マンション売却と築年数は密接に関係しており、価格や売れやすさに影響を与える大きな要因の一つとなります。
一般的にマンションの築年数が経つごとに価値は下がっていきます。
そして古くなればなるほど、マンションのスペックが売却の成否を左右します。
記事内で紹介するデータはあくまで一般的なもので、マンションごとに差があります。
つまり全てのマンションが一律に価値を下げるものではないということです。
マンションは築年数とともにスペックによって売れやすい売れにくいが分かれていくものです。
そこでこの記事では、データから見る平均的な築年数ごとの下がり幅や、これまで業界歴15年以上に渡り、様々なマンション売却のお手伝いをしてきた経験から、築年数ごとの売り方のポイントや注意点について解説していきます。
この記事を読むことで、これからご自身がマンションの売却を考えたときに、マンションの築年数ごとの注意点やポイントを参考に適正な時期などが、分かるようになります。
ぜひあなたのマンション売却の戦略立案にお役立てください。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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マンションの築年数ごとの価格の推移
マンションは新築の時が価格のピークでそこから徐々に値段を落としていきます。
まずは下のグラフをご覧ください。
このグラフはレインズの中古マンションの築年数ごとの平均㎡単価をグラフ化したものです。
青い線がマンションの成約のデータで、オレンジの線が新規登録(売り出し価格)のデータです。
売り出し価格から値段交渉が入りますので、成約価格(青の線)が低くなります。
このデータはあくまで平均値となり、実際はマンションのスペックによって差は開きます。
マーケット状況(相場など)との関係性
もう一つ、上のグラフを見る上で知っておいてほしいことが、価格に影響を与える重要な要素であるマーケットの状況です。
上のグラフはあくまで、物価や相場が変わらないと想定した時の価格推移です。
例えば今この記事を書いている2023年8月現在は10年前と比較すると相場は上がっていますので、築10年のマンションでも価格は下がらずに、変わっていないものや、物件によっては上がっているものもあるかもしれません。
逆に今の新築がピークの状態だとして、今後マーケット状況が悪化して相場が下がった場合は、このグラフの下り幅よりも大きくなります。
マーケットは常に動いているので、今現在マンション売却を検討している方は、現在のマーケット状況をある程度把握しておくと良いでしょう。
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マンション売却にお勧めなのは築11〜20年
データを見る限り、マンション売却にお勧めな築年数は築11〜20年です。
理由として
- 築1年〜10年と築20年以降は価格の下落率が大きいこと
- 住宅ローンの元本が減っていること
- 2000年6月以降、現代的なマンションが確立されたから
ということが挙げられます。
築1年〜10年と築20年以降は価格の下落率が大きいこと
こちらは築年数別のグラフ(成約単価)を数値で表にしたものになります。
成約㎡単価 | |
---|---|
築0〜5年 | 94.63 |
築6〜10年 | 82.83 |
築11〜15年 | 69.41 |
築16〜20年 | 64.35 |
築21〜25年 | 54.10 |
築26〜30年 | 37.15 |
築31年〜 | 35.61 |
こちらを見ていただくと分かりると思いますが、築11〜15年の区切りと、築16〜20年の区切りが価格の下落率が最も低く、価格が安定している時期です。
逆の築21年を超えるとさらに下落率が大きくなるので、築10〜20年がマンション売却に最適な時期となります。
住宅ローンの元本が減っていること
価格の下落率で言えば、築0〜10年までも大きいので、この時期に売り出す時には住宅ローンの残債の問題があります。
住宅ローンは、支払い方法が「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つから選べるようになっています。
元利金等返済は、毎月の支払額が一定で、返済期間に応じて利息と元金の割合が変わる仕組みです。
一方で元金均等返済では、毎月の元本額が一定で、残債額に応じた利息が毎月計算されます。
元利金等返済は、支払い当初は利息の方が多くなり、元本の減りが遅くなります。
元金均等返済の方が元本が一定のため、支払い当初の支払額が多くなりますが、元本の減りも元利金等返済と比べて早く、支払い総額も早く済みます。
元金均等返済の場合であればともかく、最も多く選ばれている元利金等返済の場合、取得後から時間が経っていないと住宅ローンの残債がほとんど減っていないことが多く、マンションの売却価格よりも住宅ローンの残債が多く、手出し資金が必要になることがあります。
しかし築11〜20年は、住宅ローンの残債がそれなりに減っていて、マンションを売却した資金で住宅ローンの残債を返し切ることができるからです。
2000年6月以降、現代的なマンションが確立されたから
これまはマンションのスペックの一つに挙げられる近代的なマンションの構造です。
実際に中古マンションの取引を数多く経験してきましたが、売れやすい時期のマンションの特徴のひとつに、2000年6月に改正された建築基準法改正以降の物件であるかどうかが挙げられます。
実際に見比べてみるとわかりますが、建築基準法以上に見た目に大きな違いがあります。
少し例を挙げると、以下のような違いが見られます。
2000年以降 | 2000年以前 | |
---|---|---|
室内の梁 | 外梁工法の普及により、室内に減った | 室内に梁があり、天井が低い部屋も多い |
オートロック | ほぼ標準完備 | 年数によっては無いものも多い |
宅配ボックス | ほぼ標準完備 | 年数によっては無いものも多い |
バリアフリー性 | 室内の段差はほぼ無い | 水回りが高くなっていることが多い |
現代的なマンションは2000年以降にほぼその形が完成していて、この時期を境に大きく変わるので、それゆえに売れやすさや価格にも影響が出ます。
そういった意味でも築11〜20年は売却にとって良いタイミングと言えるでしょう。
築年数ごとの注意点とポイント
ここからは築年数ごとの注意点やポイントを解説していきます。
あなたが売却を考えているマンションに応じた築年数の注意点とポイントをご参照ください。
築0〜5年のマンション
築0〜5年のマンションは築浅マンションと呼ばれ、新築マンションを探している人たちがターゲットになります。
新築マンションが完成するまで待つ時間がない方や、対象のエリアで新築マンションを探しているものの、なかなか新築マンションが売りに出ないという方が主なターゲットです。
逆に中古マンションをメインで探している方には、まだ価格が高く対象とならないことが多いです。
価格も今は新築マンションの数が減っていて、相場も上がっていることからそれなりに強気で売りに出すこともできます。
注意点としては、新築時に完売せずに、竣工後も部屋が売りに出ている場合、それらの部屋との競争が起こります。
新築で完売していない場合は、それなりの価格で売りに出さないと売却に時間がかかることもあります。
現状をよく把握して売却の戦略を立てるようにしましょう。
またデータでは下落率が高い築年数になりますので、立地にもよりますが、住宅ローンの残債と成約価格のバランスに注意が必要です。
その他にもこの時期はマンションの竣工時には発覚していた問題があるときは総会の議題に上がっていますので、もし問題が起こってしまっていた場合は告知しなければいけないので、販売時に不利になります。
築6〜10年のマンション
築6〜10年のマンションも築浅の部類に入ります。
新築マンションを探している人だけでなく、中古マンションを探している人たちもターゲットになってきます。
新築で販売していた部屋も基本的には売却が終わっており、築年数も浅いことから同じマンション内での販売もそこまでは多くないでしょう。
ただし税金の関係で5年と10年は一つの節目になりますので(税率の関係で)、投資目的で購入していたマンションの売りが出ることもあります。
この時期は修繕積立金の値上げもまだほとんどされていないため、見た目のランニングコストが安く売りやすいといえます。
この築年数も、築0〜5年と同じように下落率が高いので、住宅ローンの残債と成約価格のバランスに注意するようにしましょう。
築11〜15年のマンション
完全に中古マンションを探している人たちがターゲットになってきます。
価格の下落も少し落ち着いてくる頃で、中古マンションの中でも比較的新しい部類になりますので、まだまだ売れやすい時期といえます。
注意点として、この辺りの築年数になってくると、新築感は抜けてきますので、立地などの利便性が良くないと売れづらさが出てくる時期でもあります。
また、マンションは築12〜15年くらいで大規模修繕工事を迎えます。
大規模修繕工事が始まると養生が部屋を覆ってしまうめ、内覧時の部屋のイメージが少し印象が悪くなります。
また大規模修繕前後で修繕積立金の値上げが総会などでも話し合われるようになります。
すでに値上げの議題が出ている時は、買主に対しても告知義務が出てきますので、値上げの幅によってはマイナスに働くこともあります。
その他にも10年〜13年で住宅ローン減税が終わり、売却益に対する税金も10年を超えると低くなりますので、ほかの部屋の売り出しが増えて競争が発生する可能性もあります。
築16〜20年のマンション
新築感はなく、完全に立地やマンションのスペックなどでの勝負になってきます。
価格は安定している築年数なので、条件が良ければそれなりの高値で売れる可能性もあります。
大規模修繕工事も終わり、外観も綺麗になっているのと、管理組合が機能していて修繕積立金の財務状況が良ければ、購入する側としても安心感を持って購入することができます。
逆にハウスクローバーのバイヤーズエージェント(購入者側の担当者)のように管理組合の調査を付帯サービスとして提供しているような担当者は、管理組合の状況をしっかり調査してきますので、ここが悪いとやや売れにくくなります。
新築時にはほとんどなかったマンションごとのスペックの差が開いてくる時期になります。
今後管理組合の財務状況が悪くなる恐れがあるのであれば、早めに売り抜けてしまうのも戦略の一つではないかと思います。
現在の管理組合の状況を確認してみたい場合は、ハウスクローバーのエージェント、もしくは事務局に相談してみましょう。
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そのほかの注意点としては、室内に古さが出てくる時期にもなります。
利用状況にもよりますが、リフォーム代などの価格交渉も入りやすくなる時期です。
築21〜25年のマンション
ちょうど2000年の建築基準法改正の時期が含まれる築年数になります。
先述しましたが、2000年6月以降のマンションは近代的な造りのマンションとなりますので、比較的売れやすいのですが、それよりも前になると物件によっては古さを感じる構造となっており、売れにくくなります。
立地が良ければそれでも売却はできますが、立地が悪くなると売却に苦労することもあります。
また室内の床の色など、今の流行と違っていたりすることもあるので、リフォーム代も含め価格交渉が大きく入りがちな築年数でもあります。
その他にもマンションによっては、修繕積立金が高額になっていることもあるので、売りにくさが出る可能性もあります。
築30年〜のマンション
価格の下落率はデータ上、ほぼ下げ止まっていますが、立地や管理を含むマンションのスペックが非常にものをいう築年数です。
特に年代によっては、オートロックや宅配ボックスなどの設備面でのスペックが劣ることもあり、立地が非常にものをいう築年数になります。
立地で駅から離れているなどのマンションでは非常に販売に時間がかかることも考えられます。
ゆとりのある販売戦略を持つようにましょう。
旧耐震基準のマンション
旧耐震基準のマンションとは、1981年6月の建築基準法改正以前に建築確認が申請されたマンションのことで、耐震基準が古い基準であることから、このように呼ばれております。
2000年6月の建築基準で耐震基準は改正されておらず(戸建は改正されています)、マンションに限っていえば1981年6月以降に建築確認が申請されたマンションは新耐震基準と呼ばれ区別されております。
1981年6月以降というのは、建築確認の申請をした時期になります。竣工(完成)時期ではありません。
マンションは建築期間が長くなりますので、1982年は建築確認を確認しないと新旧、どちらの耐震基準かは判断できません。
1983年以降はほぼ新耐震基準と考えて良いでしょう。
旧耐震基準のマンションは築年数としては、非常に売りづらくなります。
住宅ローンが使える銀行が減り、買取業者も自社規定で買取不可となることも多くなります。
販売戦略としては、立地の他にメリットを見出して購入希望者候補にアピールすることが求められます。
立地が良かったり、耐震改修工事(現行の耐震基準を満たすもの)がされているなど、アピールポイントがどれだけあるのかが、売却にとって大きな影響を与えます。
古いマンションは売れにくいか?
結論から言えば、古いマンションは売れにくくなります。
マンション自体が比較的新しい築年数であれば、多少立地が悪くても売却はできますが、築年数が古くなるにつれてマンションのスペックが売れやすさを分けていきます。
古くなればなるほど、マンションの立地や管理など、その他のスペックで判断されるようになりますので、スペックに不利があるのであれば、言い方は悪いですが、早めに売り逃げることも戦略としてはありだと思います。
これから人口が減少する中で、マンションを含め住宅は余っていきますので、スペックの良いマンションは需要があるので、資産価値を保ちますが、そうでないマンションはよほど価格を落とすか、最悪売りたくても売れないということも考えられます。
ライフプランに合わせてマンションを売却するという考え方が一般的ですが、このような状況を把握して賢くマンションを売買している方もいます。
どの時期にどのように販売するかというのは、ライフプランに限らずマンションの築年数によってもある程度、早い段階から考えておいた方がいいと考える理由の一つです。
マンションの築年数に関連して影響が大きくなるスペックとは?
マンションの築年数に関して影響が大きくなるスペックについてまとめます。
マンションの築年数に関して影響が大きくなるスペックには以下のポイントが挙げられます。
- 立地(駅からの距離や周辺環境)
- マンションの構造(近代的か、バリアフリー性など)
- 部屋からの眺望
- オートロックの有無
- 管理組合の財務状況(修繕積立金などのランニングコスト)
- 新耐震基準かどうか
逆に室内の綺麗さは、そこまで大きく影響はしません。
リフォームをしたほうがいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、してもそこまで意味はありません。
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https://houseclouver.jp/sale/manshion-baikyaku-reform/
houseclouver.jp
築年数とスペックを加味してマンション売却の戦略を立てよう
ここまで解説してきたように、マンションの築年数が古くなればなるほど、マンションのスペックがものをいうので、物件によっては売れにくくなるとこが考えられます。
一方で築年数が新しければ、多少スペック的に弱くても、新しさでカバーはできます。
ライフプランに応じて売却のタイミングを測るのも一つですが、マンションの築年数やスペックを加味しながらタイミングを見極めていくのも、少しでも高く売って住宅支出を減らすためにも有効な手段です。
もし今お住まいのマンションの現在の価値がどうなのか、また早く売ったほうがいいのか、時間が経ってからでも売れるのかなど、住宅ローンの残債なども含めて計画を考えたい時は、ぜひハウスクローバーのエージェントにご相談ください。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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