この記事で分かること
- 不動産売却の仲介手数料はいくらか(計算方法と物件価格別の早見)
- 仲介手数料の支払いタイミング
- 仲介手数料は値引きできるのか、そのコツとリスク
- 無料・半額の仲介業者のからくりと注意点
- 仲介手数料を「下げる」より「高く売る」方が得な理由
不動産売却の仲介手数料とは、売買が成立したときに仲介した不動産会社へ支払う成功報酬で、上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」(400万円超の場合)と決められています。
多くの方が「値引きできないか」「無料・半額の会社はどうか」を気にされますが、業界の内側を知る立場から言えば、手数料を下げることばかりに目を向けると、かえって損をすることがあります。
この記事では、不動産業界歴17年の現役エージェントである私が、仲介手数料の正しい知識と、本当に手残りを増やす考え方を解説します。
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不動産売却時の仲介手数料はいくら?

不動産を売却するときにかかる仲介手数料の上限は、実際に売却された価格に対して以下の計算式で求められます。
「仲介手数料の上限=売却価格×3%+6万円」
ここで覚えておいて欲しいのが、仲介手数料はよく法律で決められていると言われたりしますが、決められているのはあくまで上限であって、この上限を超えなければいくらでもいいということになっています。
ただし実際の取引においては、上限の仲介手数料がかかることが多いです。
物件価格別の仲介手数料はいくら?早見と計算の詳細
上限の計算式(売却価格×3%+6万円+消費税)だけでは金額のイメージがつきにくいので、物件価格別の上限額(消費税10%込み)を挙げておきます。
- 売却価格200万円:約11万円
- 売却価格400万円:約19万8,000円
- 売却価格1,000万円:約39万6,000円
- 売却価格2,000万円:約72万6,000円
- 売却価格3,000万円:約105万6,000円
- 売却価格5,000万円:約171万6,000円
「×3%+6万円」という速算式は、売却価格が400万円を超える場合に使えるものです。400万円以下の場合は、価格帯ごとに料率が分かれており(200万円以下は5%、200万〜400万円は4%など)、上限額も変わります。
なお、2024年7月の制度改正で、800万円以下の物件については、売主の仲介手数料の上限が33万円(税込)まで認められるようになりました(いわゆる「低廉な空き家等の特例」。媒介契約時の合意が必要です。出典:国土交通省)。空き家など価格の低い物件を売る場合は、通常の計算より手数料が高くなることがある点に注意しましょう。
繰り返しになりますが、この金額はあくまで「上限」です。法律で決まっているのは上限だけで、これを超えなければいくらでもよいことになっています。ただし実際の取引では、上限どおりの仲介手数料がかかるのが一般的です。
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支払いのタイミングはいつ?
仲介手数料は、契約が成立したときに債権が確定します。
つまり不動産業者は契約が成立したら、そのタイミングで一括請求をしても構わないこととなっております。
ただしこれも不動産業者との話し合い次第で、契約時に半金・決済時に半金や、決済時に一括など様々なパターンが存在します。
契約の相手方から受け取る手付金の額や、ご自身の資金繰りによってもどのパターンがいいかは変わってきます。
仲介手数料の値段交渉はできる?

理論的に言えば、仲介手数料の値段交渉は可能です。
特に金額の高い物件については交渉の余地はあると思います。
またご自身のお勤めになっている会社の福利厚生の一環で、仲介業者との提携があり多少の割引がきく場合は、それを根拠に交渉することもできます。
ただ気をつけていただきたいのが、根拠のない、割引率の高い値段交渉です。
仲介手数料は、仲介業者からしてみたら収入の全てで、仲介手数料によって人件費や広告宣伝費を全て賄っております。
仲介手数料を値段交渉するということは、仲介業者からしてみるとその収入が減ることになるので、収入を確保するために結果として、売主にとって利益相反行為となる「囲い込み」が発生してしまう可能性が高くなります。
囲い込みは、最終的に売主が損をする可能性が高い違法行為になりますので、せっかく仲介手数料を値段交渉できたとしても、それ以上に安く売れてしまったら本末転倒です。
この人だと思える担当者に仲介手数料をしっかり払って少しでも高く売ってもらったほうが、結果としては良くなることの方が多いというのが、17年以上この業界にいての実感です。
担当者の選び方について、まとめた記事も合わせてご参照ください。
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不動産売却 仲介業者の選び方のポイントや注意点を解説
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仲介手数料の値引き交渉のコツ・タイミングとリスク
「値引きできるのか」という点をもう少し掘り下げます。理論上は可能ですが、やり方とタイミング、そしてリスクを理解しておく必要があります。
値引きが比較的しやすいケース
- 高額物件の売却:手数料の絶対額が大きいため、会社側も多少の割引に応じやすい
- 人気物件・希少物件:すぐ売れる見込みが立つ物件は、会社にとって労力が少なく交渉の余地がある
- 住み替えで売却と購入を同じ会社に依頼する:1社で両方の手数料が入るため、まとめての交渉がしやすい
- 勤務先の福利厚生で提携割引がある:これを根拠に交渉できる
また、大手より中小・地域密着の会社のほうが、値引きに柔軟なことがあります。
交渉のタイミング
値引きを切り出すなら、査定結果の報告を受けたときに軽く打診し、媒介契約を結ぶ直前に「専任で任せる代わりに」といった形で交渉するのが現実的です。契約後に値引きを求めても応じてもらえません。
値引きのリスク
一方で、根拠のない大幅な値引き交渉には次のようなリスクがあります。
- 担当者との信頼関係が築きにくくなり、本気で売ってもらえなくなる
- 収入が減る分、広告など販売活動にかけるコストを抑えられてしまう
- 収入確保のため、売主が損をする「囲い込み」を誘発しやすくなる
仲介手数料は不動産会社の収入のほぼ全てで、人件費も広告費もここから賄われています。手数料を削るということは、その物件にかける力を削ることにもつながりかねない、という点は頭に入れておきましょう。
不動産売却時の仲介手数料が無料や半額の仲介業者の注意点

よくネットを調べていたりすると、仲介手数料が無料や半額の仲介業者を見かけることがあるかもしれません。
決して安くない仲介手数料が無料や半額になるのは非常に魅力的に感じるかもしれませんが、注意も必要です。
それは先にも述べましたが、不動産仲介業者も仲介手数料が全てであるため、他のところで収入源を補わなけばいけません。
そうなると、売主として損をしやすい「囲い込み」を行うこととなります。
ただし、仲介手数料の無料や半額を謳っている不動産仲介業者は違法行為としての「囲い込み」ではなく、合法的な「囲い込み」を行います。
具体的な方法を説明すると、レインズに登録義務のない「一般媒介契約」を締結し、レインズに載せないことで他の仲介業者を排除し、SUUMOなどのポータルサイトを利用して自社のみで集客を行い、販売活動を行います。
仲介業者から「SUUMOなどで十分集客できる」という説明があるかもしれませんが、私のこれまでの実務を通じての体感としてはSUUMOなどのポータルサイトで成約するのは全体の2〜3割くらいで、残りは他の仲介業者が連れてきたお客様で成約をしています。
つまり他の仲介業者が抱えている顧客数は、多くの人が考えている以上に多いのです。
ここを排除するということは、問い合わせ自体も減りますし、高値で売れることの機会損失にも繋がります。
問い合わせが多ければ価格交渉も強気で望めますし、問い合わせが少なければ価格交渉も弱気になり買い手の価格交渉が有利に進んでしまうかもしれません。
最悪の場合、販売価格を徐々に下げていくという販売戦略としてはあまり良くない手法をとる羽目になってしまうこともあります。
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無料・半額のからくりと、使ってもよいケースの見分け方
仲介手数料が無料や半額になる会社には、必ずその原資となる「からくり」があります。代表的なのは次の3つです。
- 両手仲介で買主側から手数料を取っている:売主を無料にしても、買主から満額もらえれば成り立つ。ただし「自社で買主を見つけたい」という動機が働き、他社経由の買主を遠ざける囲い込みにつながりやすい
- 広告費や人件費を削る企業努力でコストカットしている:その分、販売活動が手薄になったり、サポートが簡素になることがある
- 高額物件で手数料額そのものが大きい:割引しても利益が残るため融通が利く
問題は、これらのうち「両手仲介前提」のケースです。元記事でも触れたとおり、売主側を無料にする代わりに他社の買主を排除すると、本来もっと高く買ってくれたかもしれない買主との出会いを失い、結果的に売却価格が下がってしまうことがあります。手数料が浮いても、売値がそれ以上に下がっては本末転倒です。
一方で、無料・半額を使っても比較的リスクが小さいのは、もともと人気エリアの好条件物件で、囲い込みをされても自社集客だけで十分に高く売れるようなケースです。それでも、レインズにきちんと登録され、他社経由の問い合わせも受け付けてくれるか(囲い込みをしないか)を必ず確認してください。
無料・半額という言葉だけで飛びつくのではなく、「なぜ無料にできるのか」「その結果、自分の物件が一番高く売れる売り方になっているか」を見極めることが大切です。
手数料を下げるより「高く売る」方が得な理由(具体例)
仲介手数料の値引きにこだわる方は多いのですが、売却で本当に大切なのは「手残り(最終的に手元に残るお金)」です。手数料と売却価格、どちらのインパクトが大きいかを具体的な数字で見てみましょう。
たとえば3,000万円で売り出した物件の場合、仲介手数料の上限は約106万円です。これを1割値引きできたとしても、節約できるのは約10万円です。
一方で、囲い込みなどによって販売の機会が狭まり、本来なら3,100万円で売れたはずの物件が3,000万円でしか売れなかったとしたら、その差は100万円です。
手数料を10万円浮かせても、売値が100万円下がってしまえば、差し引きで90万円のマイナスになります。
これが「手数料を下げることより、高く売ってもらうことの方がはるかに大事」という理由です。仲介手数料は数万円〜十数万円の世界ですが、売却価格は数十万〜数百万円単位で動きます。
ですから、会社を選ぶときは「手数料をいくら引いてくれるか」ではなく、「自分の物件を一番高く売ってくれそうか」「囲い込みをせず、買い手を広く探してくれるか」を基準にすることをおすすめします。
仲介手数料で損をしないためのチェックリスト
仲介手数料について、契約前に次のポイントを確認しておきましょう。
- 自分の物件の売却価格だと、仲介手数料の上限はいくらになるか把握したか
- 提示された手数料が上限なのか、それ以下なのかを確認したか
- 支払いのタイミング(契約時半金・決済時半金など)を確認したか
- 値引きを求める場合、根拠(高額・人気物件・住み替え一括依頼など)があるか
- 無料・半額の会社の場合、その原資(両手仲介か・企業努力か)を確認したか
- 無料・半額でも、レインズに登録し他社経由の買主も受け入れる(囲い込みをしない)か確認したか
- 手数料を下げることより、一番高く売ってくれる担当者かどうかで選べているか
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不動産売却時の手数料をしっかり払って高値で売ることがベスト

個人的な経験による見解ではありますが、不動産売却時にかかる手数料は下手に交渉するよりも、しっかり手数料を払って少しでも高値で売却をした方が、結果としての手残りは多くなると考えています。
ただどの不動産業者、担当者を選ぶかということがネックになりますので、全国の優良な担当者が探せるハウスクローバーで担当者を探すか、複数の不動産業者に依頼することができる「一般媒介契約」の利用についても検討してみるようにしてください。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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よくある質問
Q1:不動産売却の仲介手数料はいくらですか?
上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」(400万円超の場合)です。たとえば1,000万円なら約39万6,000円、3,000万円なら約105万6,000円、5,000万円なら約171万6,000円が上限の目安です。これは上限であり、これ以下でも構いません。
Q2:仲介手数料は値引きできますか?
理論上は可能です。高額物件・人気物件・住み替えで売買を一社に依頼する場合などは交渉の余地があります。タイミングは媒介契約の直前が現実的です。ただし根拠のない大幅な値引きは、販売活動の手抜きや囲い込みを招くリスクがあります。
Q3:仲介手数料無料・半額の不動産会社は使っても大丈夫ですか?
仕組みを理解したうえでなら選択肢になります。多くは両手仲介で買主側から手数料を取る前提のため、他社経由の買主を排除する囲い込みが起きやすく、結果的に売値が下がることがあります。レインズに登録し他社の買主も受け入れるかを必ず確認しましょう。
Q4:仲介手数料を値切るとどんなデメリットがありますか?
担当者との信頼関係が築きにくくなる、収入減で販売活動が手薄になる、囲い込みを誘発する、といったデメリットがあります。手数料は会社の収入のほぼ全てで、物件にかける力に直結するため、削りすぎは逆効果になりかねません。
Q5:仲介手数料の支払いタイミングはいつですか?
売買契約が成立した時点で支払い義務(債権)が確定します。実務では契約時に半金・決済時に半金、または決済時に一括など、会社との話し合いで決まります。手付金の額やご自身の資金繰りに合わせて相談しましょう。