中小の不動産業者に比べ、大手の不動産業者のほうが取り扱う不動産の情報量が豊富だと思っている方も多くいらっしゃいます。
しかし、実際には取り扱う不動産の情報量は会社の規模により大きな差はありません。
不動産業界においては「REINS(レインズ)」と呼ばれるネットワークシステムに不動産情報を掲載しますが、レインズは会社の規模に関係なく利用できます。
なかには売主の意向などで「未公開物件」として扱われる物件も存在しますが、物件数はほとんどありません。
もちろん、大手の不動産業者の方が従業員の数が多く、新人育成や研修体制が整っている傾向はありますが、「大手の業者なので営業マンも優秀だろう」と過信することは危険です。
この記事では、不動産売却は「どこの不動産業者がいい?」ではなく、「どの担当者がいい?」が正解といえる理由を解説します。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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不動産売却を業者でなく担当者で選ぶべき理由
不動産売買において、依頼主は、担当者で選ぶことはなく、不動産業者側が一方的に担当者を当てがうことが一般的です。
大手の不動産業者のほうが従業員数も多く、良い担当者が付く可能性は高いかもしれませんが、担当者1人1人には能力の差があります。
また、取り扱う不動産の種類やエリアでも担当者によって得意不得意があるため、大手の会社だからといって安心せず、担当者選びまでこだわる必要があります。
主に以下の理由が挙げられます。それぞれ見ていきます。
個別性が強い不動産は担当者次第
不動産とは、ひとつとして同じものが存在しない個別性が強い商品です。
たとえば、同じマンション内にある物件でも、階数や部屋の状況により値付けや販売戦略などは異なります。
不動産市況はもちろん、売却対象となる不動産のことを徹底的に熟知し、値付けや販売戦略を考えなければ、高値や早期での売却は難しいでしょう。
また戸建てにおいては、所有者の管理の仕方によって建物の状態も様々ですし、土地についてはより個別性が強くなります。
その他にも、売主の状況によって取り得る販売戦略も変わってきます。
個別性が強いということは、画一的な販売戦略を取ることができず、それぞれの物件や売主の状況ごとに合わせた販売戦略や値付けが必要となります。
そのため、不動産取引においては、他の商品以上に担当者の存在が重要になります。
同じ業者であっても担当者で結果は全く違う
同じ業者であっても、担当者によって結果は異なります。
担当者1人1人には能力の差があり、入社したばかりの新人が担当になる可能性もあるためです。
多くの不動産業者のHPでは、営業担当者の自己紹介、過去の実績、得意分野などが掲載されています。
「会社の実績」だけではなく「担当者の実績」に目を向けることが大切です。
同じ仲介でも、得意分野は人によって様々
同じ不動産仲介業者でも、得意分野は担当者によって異なります。
例えば、「賃貸」を得意とする不動産会社と「売買」を得意とする不動産業者では、後者の業者の方が不動産売却を依頼するのに向いている可能性が高くなります。
また同じ売買でも「売却」が得意な担当者もいれば、「購入」が得意な担当者もいます。
さらに言えば、売却が得意であっても「マンション」「戸建て」「土地」など、物件種別によって得意・不得意もあります。
担当者がどのエリアや物件種別に強いのかを確認しておく必要があります。
大手不動産業者≠売却がうまくいく
たとえば、過去にも色々と相談に乗ってもらっているので「この不動産業者は信頼できる」と思っていても、売却がうまくいくかどうかは限りません。
不動産業者の中には、媒介契約を結ぶまでは親身になって話を聞いてくれますが、媒介契約を結んだ瞬間から放置されるといったことも、残念ながらしばしばあります。
これは、専属専任媒介契約や専任媒介契約を結ぶと、少なくとも3ヶ月間は特段の事情がない限り業者の変更ができないということも関係しています。
なお、専属専任媒介契約や専任媒介契約の特徴については、以下の記事で解説しています。
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https://houseclouver.jp/sale/baikaikeiyaku-sennin/
houseclouver.jp
大手であったとしてもこの内容は変わらず、中には「囲い込み」をしている業者も実際の営業現場で遭遇することも少なくありません。
囲い込みとは、悪しき不動産慣習の一つで、他の不動産業者からの購入者紹介をさせないようにし、自社で見つけた買主にしか紹介をしない行為で、不動産業者としては買主からも仲介手数料がもらえるため、売り上げが増えますが、売主からしてみては、早期かつ高額で売却できる機会をみすみす逃すことになる最悪の行為です。
囲い込みについてより詳しい解説は以下の記事もご参照ください。
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https://houseclouver.jp/sale/hudousan-cyukai-kakoikomi/
houseclouver.jp
そのため、大手の不動産業者だからといって、売却がうまくいくと過信することは危険であり、やはり大手・中小の業者関係なく、担当者次第を探すという視点を持つことが重要になります。
信頼できる担当者の見極め方
ここまで、業者ではなく担当者で選ぶべき理由について解説しました。
しかし、不動産の知識や営業の経験を持たない一般の消費者に、優秀な担当者を見極めることは難しいものです。
そこで、ここからは信頼できる担当者の見極め方を解説します。
あえて高い売却希望価格を伝えてみる
不動産の売却を依頼する際には、あえて高い売却価格を伝えることをおすすめします。
なぜなら、真摯に対応してくれる担当者かどうかを見極められるからです。
二つ返事で引き受けるような担当者の場合、売却をすることよりも媒介契約を取ることが目的となっている可能性があります。
売却価格を高くすることにはリスクもありますが、そのことについて特に触れず、契約を催促するような担当者との契約はおすすめしません。
信頼できる担当者は、媒介契約の締結前から販売戦略などをしっかりと考えています。
売却価格を高くすることで反響が減り、売却までに要する時間が延びてしまうリスクなども事前に伝えてくれるようであれば、真摯に対応する担当者であると見極めることができます。
これまでの実績を掘り下げて聞いてみる
担当者が決まったら、過去の実績を掘り下げて聞いてみましょう。
ホームページなどにも掲載されていることがありますが、あまり具体的には掲載されていないため、できれば対面や電話で聞いてみることをおすすめします。
特に、売却を依頼する不動産の条件に近い売却実績があるかどうかは重要です。
築年数やエリア、間取りや面積の近い物件を売却した実績が豊富にあるといった場合、ぜひ掘り下げて聞いてみましょう。
実績が豊富であれば、その後の内覧対応、契約、決済もスムーズに進めてくれることが期待できるため、満足度の高い結果になることでしょう。
強引に話を進めようとしないか
担当者はみな営業ノルマを抱えています。
そのため、担当者によっては「全てこちらにお任せ下さい」と、売主側の提案や事情を考慮せずに、強引に媒介契約の締結などを進めようとする方も一定数いますが、その担当者との契約は避けた方がいいでしょう。
不動産の売却がうまくいくためには、担当者と売主が良好な関係を築きつつ、二人三脚で長期間にわたって進めていく必要があります。
不動産の売却においては、長期間にわたって買主が見つからないことや、重要事項説明書などの書類のミスといったトラブルが起こる可能性もあります。
そういったトラブルが起きた際、謝罪や理由の説明もなく、業者や担当者だけの都合だけで強引に進められてしまうと、どうしても不安に感じてしまいますよね。
そのため、媒介契約の際に担当者の話し方や相性などに気になる点があった場合は、焦って契約をせず、「持ち帰り検討させてください」と毅然とした対応をすることも大切です。
質問への回答は的確か
初めての不動産売却では、分からないことや不安なことが多くあります。
その際には担当者に質問することが一般的ですが、専門用語を多用した回答であったり、分からないことを確認せずに回答する担当者には注意しましょう。
不動産を売却する過程においては、法律面や税金面など多くの専門知識が必要となります。
そのため、国家資格である宅地建物取引士の資格を保有し、売買実績豊富な担当者といえども内容によってはすぐに回答できないこともあります。
しかし、信頼できる担当者は、分からないことをその場しのぎで適当に回答することは決してありません。
たとえば、買主が売主に売買代金(残代金)の全額を支払う決済の場では、買主はもちろん、銀行や司法書士などさまざまな関係者が存在します。
書類においても正確性が問われるため、1つのミスが大きなトラブルに発展することを理解しているためです。
売却予定不動産の販売戦略を説明してもらう
担当者と媒介契約を締結する際には、売却を予定している不動産の販売戦略について説明を求めてみましょう。
信頼できる担当者はその不動産のことはもちろん、現在の不動産市況やエリアの動向なども把握し、さまざまな側面から販売戦略の説明ができます。
不動産の立地や市況などによっては、どんなに優秀な担当者でも早期での売却や、高値での売却が難しいケースもありますが、時間がかかることや、売却価格を下げる必要があるといった戦略を正直に伝える担当者は信頼できるといえます。
逆に、「すぐに売れます」「高額で売れます」などと強引に契約を締結させようとしたり、これといった成果もない状態で契約期間を引き延ばそうとする担当者には注意しましょう。
説明を聞く際は、併せて査定書を依頼しましょう。
査定書には周辺不動産の販売価格や売却価格の値付けの根拠などが書いてあり、後から見返したり、他社と比較する際にも役立ちます。
専門用語を多用せず、一般の消費者にも分かりやすく書かれているかどうかもポイントです。
連絡の回答速度やフットワークを確認する
連絡の回答速度やフットワークがあるかを見極めることも大切です。
実際に、売却を任せてもらうまでは熱心に連絡をするものの、媒介契約を結んだ瞬間から別人のように連絡が遅くなる担当者がいることも事実です。
特に、締結した契約が専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、少なくとも3ヶ月間は独占的に販売活動ができることから、売却の優先順位を落とされる可能性があります。
担当者に売却を依頼したものの、定期報告や問い合わせに対しての連絡が遅い場合、買主になるかもしれない人の問い合わせや内覧の対応も同じである可能性が高いです。
信頼できる担当者は、どんなに忙しくても常に自分のタスクやスケジュールを管理しているものです。
不動産売却は「どこがいい?」ではなく「誰がいい?」が正解
不動産の売買に関しては専門知識が多く必要であり、知識の少ない消費者が大半です。
そのことにつけ込み、媒介契約を締結してから放置されたり、問い合わせへの回答が遅い担当者も残念ながらいることが現状です。
最悪の場合、自社や担当者の利益のみを考え、強引に契約を進めることで大きなトラブルに発展する可能性もあるでしょう。
しかし、担当者の善し悪しを一般の売主が見破ることは非常に難しいものです。
これは、大手の業者であっても例外ではなく、大手だから、ベテランの営業担当者だからといって安心できるとは言い切れません。
そのため、大手の業者でなくても、売主のことを第一に考え、誠心誠意担当してくれる営業担当者を選ぶことが大切だといえます。
この記事を読むことで、信頼できる担当者を選ぶ参考になれば幸いです。
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの不動産売買希望者の相談があり、実際の売買もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅売買に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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