オフィスのデスクより、
日本人は何故だか新しいものが好きだと思いませんか?
欧米ではどちらかというと、伝統を重んじて古くて良いものを長く使う傾向があります。
住宅に関してもこの傾向は見て取れます。
実際に欧米では中古住宅が8~9割で残りが新築。
逆に日本では新築が8~9割で中古が1割くらいと言われています。
最近では少しずつ中古住宅が増えて新築が減ってきていますが、新築寄りの傾向であることには変わりがありません。
では、なぜ日本ではこのような傾向なのでしょうか?
新築文化が形成されたのは戦後
理由としては日本の新築文化というものは、戦後のごくごく短期間に形成されたものと言われています。
戦後の日本は戦争によって、たくさんの家が空爆によって失われました。
東京や名古屋はそれこそ焼野原だったそうです。
そして復興のために、新しい住宅をどんどん建て、政府も国民が持ち家を持つのを後押しするような政策をとってきました。
この時代に、現在の新築中心の住宅市場が形成されたと言われています。
中古住宅はほとんどなく、新築を持つことが社会人としてのステータスとなり、高度経済成長期の常識となりました。
しかし日本社会は徐々に成熟していき、バブルは弾け、人口も減り始めてきました。
日本は時代が変わった後も、新築偏重の政策を取り続け、それがたくさんの空き家を生む原因にもなってしまいました。
「もったいない」は世界の言葉に
ようやくここ最近になって成熟国として他の先進国並みの住宅政策に転換しようとしています。
僕も日本人の新しいもの好きというのは、この戦後の高度経済成長期に関係しているんじゃないかなと思っています。
戦後復興の中で、アメリカの電化製品や自動車に憧れ、アメリカに追いつけ追い越せでどんどん新しいものを作り、古いものは捨てていく。
この時代を生きてきたわけではありませんが、そんな想像をしています。
そんな中、日本の言葉「もったいない」は世界の言葉にもなりつつあります。
古き良き伝統を重んじる文化は、むしろ日本のお家芸です。
お寺だったり、古くからの木造住宅などはその名残もあります。
日本でも今後は欧米のように古き良きものを評価する時代になります。
すでに日本の若者は中古ということへの抵抗感も薄れてきています。
住宅業界においても、すでに布石はすでに打たれています。
いつか日本もほとんどが中古住宅という時代が来るのかもしれませんね。
宮田明典