物件選び

中古戸建ての築年数に関する注意点

2020年7月14日

オフィスのデスクより、

住宅購入は最大の防災対策です。というのは常々言っていることですが、マンションと違い、一戸建て住宅については耐震のことについて特に注意する必要があります。

ここでは、木造住宅の建築年による注意点と、耐震にまつわるポイントをお伝えしていきたいと思います。

一戸建ての現行の耐震基準はいつから?

建築基準法で耐震基準が大幅に改正されたのが、1981年6月からです。

この時を境に「新耐震基準」と「旧耐震基準」と区別されています。

しかしマンションなどの非木造系の建物は、1981年6月以降に建築を開始したものであれば「新耐震基準」となりますが、木造系では違ってきます。

木造の建築物は2000年6月にも耐震基準が改正されており、この時以降の建築物が「現行の耐震基準」とされています。

この改正以前、1996年に阪神淡路大震災が発生し、1981年6月以降に建築された木造住宅も数多く倒壊したことから改正されました。

なので、1981年6月以降の「新耐震基準」と呼ばれる建物であっても実際に現行の耐震基準を満たしていない建築物も多く存在します。

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が行った「木造住宅の耐震性」と呼ばれる調査データでは、平成18年4月~27年6月に耐震診断した2階建て以下の木造住宅2万2626棟を分析したところ、現行の耐震性を満たしている住宅(「倒壊しない」「一応倒壊しない」)は7.9%で、耐震性を満たしていない住宅(「倒壊する可能性がある」16.2%「倒壊する可能性が高い」75.9%)は92.1%に達したそうです。

市場全体ではなく、あくまで耐震診断をした物件に対しての割合です。平均築年数は約34年で、今の年から逆算すると1984年。新耐震基準と言われる築年数で約9割が現行の耐震基準を満たしていないことになります。

耐震基準を満たさないのであれば、耐震改修工事が必要

やはり家はあなたや家族の命を守るもの。災害リスクが高いのであれば、耐震改修工事も視野に入れるべきです。

同じく木耐協のデータによれば、耐震改修工事の平均は、旧耐震基準(昭和25年~昭和55年以前の建物)だけで見ると、平均施工金額は約175万円(中央値150万円)と高くなり、新耐震基準(昭和56年~平成12年5月以前の建物)では、平均施工金額が約133万円(中央値110万円)となっています。

これに加えて耐震診断は平均10~15万円ほどになりますので、決して安い工事ではありません。しかし耐震改修工事を行い、「耐震基準適合証明書」が発行されれば、築年数に関係なく住宅ローン控除や贈与の非課税枠を利用できるようになります。

それに旧耐震の物件であっても現行の耐震基準を満たしていれば、ほとんどの銀行で取り扱いをしてくれますし、資産価値にダイレクトに反映されます。

僕自身、耐震改修工事は、費用対効果の最も高いリフォーム工事のうちの一つだと感じています。

自治体には補助金制度もあります

またほとんどの自治体では、その目的の公的性から補助金制度が用意されていることがほとんどです。

例えば名古屋市であれば、1981年5月以前に着工された物件であることが条件になるのですが、一定の条件に当てはまれば、一般世帯的な課税世帯で耐震改修工事費の4/5(100万円)までが補助の対象となります。

先ほどの平均値を見れば75万円の負担で、それを上回る費用対効果が見込めます。

ただ、こういった中古戸建ての売買で耐震診断、耐震改修工事を含めて提案ができる不動産仲介業者はかなり限られてきます。

中古戸建ては、住宅種別の中でも最も取り扱い難易度が高く、知識や経験だけでなく手間もかかります。

それだけに掘り出し物の物件も見つけやすいというメリットもあるので、もしあなたも中古の一戸建てを検討しているのであれば、それにふさわしい不動産仲介業者を見つけるようにしてくださいね。

宮田明典

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