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管理組合の運営を第三者に丸投げができる、超危険な制度をご存知ですか?

マンション第三者管理

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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自宅の書斎より、

あなたは、マンションの管理組合の機能を全て委託する「第三者管理」というものをご存知でしょうか?

マンションを購入すれば、必ず発生するのが、管理組合活動です。

マンションによって違いますが、年に1〜数回の総会であったり、輪番制で回ってくる理事や役員。

多くの人は面倒に感じることが多いと思われる管理組合の活動。

それを第三者に一括で委託してしまうということです。

つまり、これは管理組合が持つ決定権すらも全て、第三者に委託(外注)するという制度です。

まず、この制度を聞いて、あなたはどう思いましたか?

「あ、それ楽そうで良いじゃん?」って思いませんでしたか?

第三者管理は、終わりの始まりです

実際、昨今の新築マンションでは、この第三者管理を取り入れたマンションが増えてきています。

この第三者というのは「管理会社」です。

しかも購入者ウケもかなり良いとのこと。

はっきり言います。

この制度は、マンション管理の「終わりの始まり」です

私個人的には「ありえない」制度です。

なぜなら、管理会社を監視する役割がなくなるからです。

少しわかりにくいと思うので、詳しく解説します。

管理組合と管理会社の関係性

マンションを購入すると、望む望まない関係なく、管理組合の一員になります。

管理組合はマンションの所有者から組成される組織のことで、マンションの意思決定機関です

そして管理会社は、管理組合から日常の管理業務を依頼されただけの単なる業者です。

もちろんプロなので、管理に関わるサポートやアドバイスなどをしてくれるパートナー的な存在でもあります。

マンションの所有者、管理組合、理事会、管理会社の関係性がわかりやすいように、会社組織に置き換えてみます。

  1. マンションの所有者=株主
  2. 管理組合の理事長=会社の代表
  3. 管理組合の理事会=取締役会
  4. 管理会社=業務の執行役(従業員)

こういう関係性になっています。

会社はよく誰のものかと言われますが、答えは株主のものです。

会社の形態を表現する用語で、労使関係という言葉を使うことがありますが、「労」は上の4番に該当し、「使」は上の1〜3に該当します。

この会社の労使関係は普段は目標に向かって共に業務を進める協業関係なのですが、それぞれの利益が相反することもあり、争うこともあります。

「春闘」や「ストライキ」はこの労使関係の争いによるものです。

つまり、マンションの管理組合と管理会社は、この会社の労使関係に非常に似ているのです。

ここをまずは押さえておく必要があります。

管理会社にぼったくられる管理組合

繰り返しになりますが、管理組合と管理会社は協業関係ではありますが、利益相反も起こりやすい関係であるということです。

管理組合はマンション所有者たちの集まりなので、当然、管理組合の利益を守らなければいけません。

しかし管理会社も管理会社で自社の利益追求をしなければいけません。

これは、会社の労使関係に非常に似ています。

では、管理会社はどうやって利益を増やすのか。

管理会社の利益の源泉はいうまでもなく、管理費です。

しかし管理会社にとって、管理費は実はなかなか値上げがしにくい一面もあります。

なぜならここを値上げすると、管理会社が儲かることになってしまうので、管理組合の賛同を得にくいですし、場合によっては管理会社を変えられてしまうかもしれません。

そこで管理会社は分かりにくいように、大規模修繕工事などで必要以上に高い工事費をとったり、本来必要でない工事を受注したりして、そこからキックバックという形で自社にお金を還流させています。

管理組合が管理会社を管理しきれていないと、このように管理会社のやりたい放題になってしまうのです。

会社でも取締役会が従業員を管理できていないと会社として機能しなくなるのと一緒です。

そして、もともとそんな利益相反関係にある管理会社に、管理組合の意思決定機能を与えてしまうのが、今回の「第三者管理」という制度なのです

会社のお金を従業員に管理させたらどうなりますか?

会社のお金を従業員が管理したらどうなるでしょうか?

先ほどのマンションと会社の相関図を再掲します。

  1. マンションの所有者=株主
  2. 管理組合の理事長=会社の代表
  3. 管理組合の理事会=取締役会
  4. 管理会社=業務の執行役(従業員)

第三者管理は、もともと4だけの役割であった管理会社(従業員)側が、2〜4までの役割を担うことになります。

利益相反が起こった時に、本来なら2と3は、マンションの所有者(会社でいうところの株主)の利益を守るために機能します。

それが無くなるということなのです。

少し分かりにくいかもしれませんが、普通に考えて本当にあり得ないのです。

ただし管理会社も、利益相反対策として、大規模修繕工事は複数の工事業者に相見積もりを取るでしょうが、ポーズだけの出来レースです。

本当に良い管理をしているマンションは、大規模修繕工事の見積もりも自分たちで取得することをしたりします。

それでけで数千万円〜規模によっては億単位という金額が違ったりするのです。

この工事に使うお金は誰のものか?

マンションの所有者のものです。

足りなくなったらその分は誰が負担するのか?

マンションの所有者です。

この第三者管理を受けるのが、管理組合で選定する第三の組織であれば、むしろそれは望ましいと言えます(例えば独立系のマンション管理士など)

しかし、管理会社が管理組合の機能まで持つということは、普通に考えてあり得なんです。

マジであり得ません。

もともとは、高齢化したマンションで役員のなり手が不足している現状への対策としてできた制度ですが、管理会社が儲かるだけの制度になってしまう気がしてなりません。

比較的新しい制度なので、今私が扱っている中古マンションにはあまり出てきませんが、今の新築ではかなり増えているような話も聞きますので、これからは調査をしていて「第三者管理」を採用しているマンションが出てくるかもしれません。

もしあなたのマンションで「第三者管理」の話を管理会社が持ってきたら、それは「毒饅頭(どくまんじゅう)」です。

絶対に飲んではいけない条件です。

食べたら徐々にあなたのマンションは侵食され、気がついた時はランニングコストの高い、そして資産価値は低いマンションになってしまいます。

気をつけるようにしてくださいね。

宮田明典

P.S

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