マンションという建物は、そこに住む人たちがそれぞれ、所有権を有する共有物です。
マンションの所有者は、組合を組成し、組合がマンションの管理や修繕、運営していきます。
戸建てと違い、一人の意見や考え方ではなく、多数の原理によって決まるというのがマンションの大きな特徴です。
日本には多くのマンションが建っていますが、これから人口減少や家余りが進むにつれて「廃墟化」するマンションも出てくるものと予想されています。
そんな「廃墟化」しやすい特徴をもつマンションについて考えてみたいと思います。
販売価格が500万円をきっている物件
それなりに都心部であれば、築年数がかなり経っていても、それなりの価格がついていたりします。
私の会社がある名古屋市東区泉周辺では、築40年近く建っている物件が2,000万円前後で売れていたりします。
しかし、価格が保たれているエリアがある一方で、価格をかなり下げているようなエリアもあります。
500万円をきっているマンションはそもそも資産価値が無価値化していて、住んでいる住人も資産価値に対して無頓着のことが多いです。
長期にわたる修繕に対して消極的であったり、たとえ値上げが必要であったとしても、多数決の原理で合意形成が取れないことも十分にあり得るからです。
また仮に管理費や修繕積立金を払ってもらえない部屋があった場合、最終的には競売を申し立てますが、滞納金の額や申し立ての費用などを考えるとギリギリ採算がとれる(プラスマイナスゼロ)目安が500万円といわれているからです。
修繕積立金が足りていないマンション
直ちにというわけではありませんが、修繕積立金があきらかに足りていない物件も将来廃墟化する可能性が高いマンションと言えます。
いずれ将来、修繕積立金が足りなくなり、大規模修繕工事がこのままでは出来なくなった場合に、かなり大幅な値上げや一時金などが発生する可能性があります。
こういった問題が表面化してしまうと、修繕積立金が高く、そこが懸念事項となり価格を落とさないと売れなくなります。
そしてどんどん資産価値毀損(きそん)のスパイラルにはまり、無価値化へ進んでいきます。
人口が減って、家が余るということは、それなりに優良なマンションが手に入りやすい状況になるということなので、問題が表面化したマンションはますます売れなくなります。
買手市場になるので、人気のある物件はそのまま人気を保ちますが、あえてそんな問題が表面化している物件を買う理由はないというわけです。
賃貸人が多いマンション
投資用として購入され賃貸人に貸し出されている部屋が多いマンションも、廃墟化に向かいやすい特徴だといえます。
所有していて住んでいない人からしてみれば、修繕積立金などのコストは安ければ安い方がいいわけで、将来修繕積立金が足りなくなる可能性があるから今から値上げをしましょうと言われても合意が得られにくくなります。
一般的に低層マンションよりも高層マンション、特にタワーマンションに多いといわれています。
タワーマンションは通常のマンションとくらべて修繕にかかる費用も桁が違うので、管理組合の運営が上手くいっていないマンションは廃墟化するリスクが高いといえます。
都心のマンションであっても見極めは個別に必要
地方や人口の減少が早いエリアよりも、都心部の方が安心感はあるかもしれませんが、都心部であれば安心というわけではありません。
実際に私も多くの顧客から、気になる物件の相談を受けます。
内覧前に調べられることは調べて、その過程で将来のリスクが高いと判断した物件については、その旨をお伝えしてしています。
これからの時代において、マンション購入において気を付けるのは、立地だけでなく、目に見えない管理状態をプロの力を借りて見極めていくことです。
管理状態の見極めや資料を取り寄せることに関しては、一般の消費者にはハードルが高いです。
よく物件選びには真剣になっても、営業担当者(エージェント)選びについてはそこまで真剣に考えられていない方も多いですが、実はこれからの住宅購入に失敗しないための一番の方法は、こういったことを代わりにしてもらえるエージェントを見つけることです。
すべての営業担当者がこのようなスキルを持っているわけではありません。
むしろ多くの営業担当者はこういった不都合な事実について積極的に触れてきません。契約の直前に書類を添付資料として渡されるだけ、ということの方がほとんどだと思います。
廃墟化するリスクが高い物件を買ってしまわないためにも、ぜひエージェント選びも真剣に行うようにしてくださいね。
宮田明典
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