国土交通省は、今年の1月終わりころに、住宅の売却や賃貸などを扱う不動産会社に対し、大雨が降った際の水害リスクを購入・入居希望者に説明することを義務化することを明らかにしました。
実施の時期については、明確になっていませんが、このニュースを聞いた私は、「え?今更?当り前じゃないの?」という感想を持ちました。
わざわざ義務化されるということは、災害リスクのことを伝えない不動産会社もいるということです。
そして驚くのが、災害リスクのことを聞かずに購入している人もいるという事実です。
ちゃんとご自身でハザードマップをよく見ていれば問題はないのかもしれませんが、あまり気にしていない人もいるのでしょうか。
ハザードマップに記載されていること
ハザードマップと呼ばれる自治体が公表している資料はだれでも閲覧することができます。
インターネットでも見れますし、窓口にいけば冊子や用紙をもらえます。
そしてハザードマップには必ず掲載されていなければいけない項目が決められています。
その項目は以下の通り。
- 浸水想定区域と被害の形態
- 避難場所
- 避難時危険個所
- 洪水予報等、避難情報の伝達方法
- 気象情報等のありか
これを見ていただくと分かると思いますが、災害リスクだけでなく、有事の際の対応についても記載されています。
つまり、何かあったときの避難場所や近寄ってはいけない場所など、その土地で生きていく上で欠かせない情報が記載されているのです。
そんな重要な情報を法律で義務化しなければいけないことに驚きます。
住宅購入は最大の防災対策
私は、つねづね住宅購入こそ最大の防災対策と考え、お客様にはなるべく災害リスクが低い立地を選んでいただけるよう、情報提供も含めお伝えしてきました。
しかし、人によっては災害リスクが高い場所で住宅を購入される方もいます。
それはそれで致し方のないことだと思いますが、そんな時にもハザードマップを出さない業者がいるのかどうかは定かではありませんが、義務化するくらいなので、いるということなんでしょうね。
災害リスクは資産価値にも反映
ここ最近の日本は毎年のように大きな災害が発生し、そのたびに発生エリアの不動産は値を下げます。
東日本大震災の時に、千葉県では大規模な液状化現象が発生しましたが、その時も相場は2~3割くらい下がったそうです。
災害リスクは間違いなく資産価値にも影響します。
住宅を資産とかんがえずに買う方はあまりいないと思いますが、資産を買うという感覚があるのであれば、災害リスクにもぜひ気を付けたいところです。
居住誘導区域外になりやすい
2014年にできた都市再生特別措置法という法律に基づき、全国各地の自治体では、効率的な行政サービスを実現するために、立地適正化計画の策定を進めています。
立地適正化計画はこれまでのように住宅が点在しているような状況だと、人口が減って税収が減る中で行政サービスが全体に行き届かなくなるということから、住宅を集めるエリアと会社や工場を集めるエリア、そしてどれにも当てはまらないエリアに分けていっています。
どこにも当てはまらないエリアについては、今後行政サービスが行き届かなくなる可能性がある場所で、住みやすさや資産価値が損なわれる可能性が高い立地です。
全国の立地適正化計画を見ていると、傾向として水害リスクの高い区域をどれにも当てはまらない区域に線引きしていることが見て取れます。
自治体としても人命を守る義務があるわけで、できれば災害リスクが高い区域には人を住ませたくないという思惑もあるのではないでしょうか。
ハザードマップは必ず確認しておこう
このように水害リスクひとつとっても、災害リスクだけでなく、色んなところに関係してきます。
まだハザードマップの説明が義務でないということは、不動産業者によっては説明をしてもらえない可能性があるということです。
後悔しないためにも、ぜひハザードマップは確認しておくようにしましょう。
宮田明典