マンションの床が、二重床か直床かを気にされる方は多いです。遮音性で気にする方が多いですが、他にも様々なメリットがあります。
よく内覧時に「あ、このマンションは二重床にですね」とかパッと見ただけで言うと、「え、宮田さん、さすが!」みたいなことを言われるので、これはこれで気分がいいのですが、実は二重床と直床の見分け方は簡単で、知っていれば誰でもできます。
この記事では、マンションの二重床の誰でも出来る簡単な見極め方法をお伝えするとともに、二重床の遮音効果やメリットなどについて詳しく解説していきます。
マンションの二重床とは?
マンションの床における二重床とは、マンションの躯体であるコンクリートの上に、空間(緩衝層)を設けて、その上にフローリングなどの床材を敷いて仕上げていく構造のことです。
上の画像のように、二重床のマンションは、コンクリートとフローリング部分に、空間ができます。
一方で、マンションの躯体のコンクリートに、直接フローリングを貼ることを直貼り(直床)と言います。
二重床のメリット
二重床のメリットは、一般的に言われているのは、防音性とメンテナンス性です。
防音性は、床とコンクリートの間に空間があるので、それが音を緩衝する効果があり、防音性が高いと言われています。
特に音の種類の中でも、軽量音と言われる、足音や生活音を防ぐ効果が高いと言われています。
ちなみに走っている時の足音や、飛び跳ねた時の音は重量音と言われ、どれだけ対策をしても音がゼロになることはありません。
またメンテナンス性において、床下の空間に配管が配置されているので、交換などのメンテナンスはもちろん、間取りを変更する際の自由度も高いとされています。
意外に簡単!二重床と直床の見分け方
それでは、実際に二重床と直床の、簡単な見分け方をご紹介します。
バルコニーとの段差
まず注目したいのが、バルコニーとの段差です。具体的にはバルコニーの窓のサッシと、床の高さの差を確認します。
上の写真は二重床を施行している時の写真ですが、矢印のところに注目していただくと、サッシの枠の部分と、床の高さが同じくらいになっていることが分かると思います。
躯体のコンクリートの高さは、バルコニーの高さと同じになっているので、もし直床であれば、サッシと床の高さが出ます。
例えば、この写真のようにサッシの枠よりも、床の高さが下に下がっています。この写真のケースは直床です。
高さの判断に迷う場合は、外のバルコニーとの高さを比べてみましょう。
外のバルコニーよりも明らかに室内の床の方が高いのであれば二重床の可能性が高く、バルコニーの高さと同じくらいであれば、直床と判断することができます。
簡単ですよね?このことを知っていると、室内の写真が掲載されていれば、それだけで判断することもできます。
床を歩いたときの感触
もう一つわかりやすい特徴が、床を歩いた時の感触です。色々なマンションを見ていくと気がつくのが、フローリングを歩いた時の感触です。
よく「フワフワする」とか「ふかふかする」という言葉を使う方が多いですが、このような感覚があれば直床です。
直床は、直接コンクリートに床材を貼るので、床材の裏に遮音材が裏打ちされていて、それが原因で「ふかふか」するような感触がします。
防音のための設計仕様ですので、致し方無いと言えます。
一方、二重床であれば、このような施工は必要ないので、フローリングを歩いても「ふかふか」するような感触はありません(もし、二重床で「ふかふか」する場合は、下地材が劣化している可能性があります)。
二重床でも実はうるさい!?
二重床であれば、遮音性能は高いと考えられがちですが、近年は二重床でも実は遮音性は高くないと考えられることもあります。
その原因が、二重床による太鼓現象です。
太鼓の構造を考えていただくと分かりやすいのですが、太鼓には膜を張って真空の空間を作ってあります。
その膜を叩くことで、中の空気が振動して共鳴し、増幅して大きな音を出します。これと同じことが、マンションの床で発生するということから、二重床でも遮音性を実感できない場合があります。
しかし全てのマンションで発生するわけではなく、音の逃げ道を作ったり、支持脚の配置を適切にするなど、施工で対策はできます。
二重床だけでなく、二重天井であれば、防音効果は高い?
マンションによっては、二重床だけでなく、二重天井も採用されている物件があります。
二重床とセットになっていることが多く、床下だけでなく天井にも空間があることで、防音効果は高くなります。
それぞれに空間分の高さを使うので、天井高が狭くなったり、施工に手間がかかる分、費用が高くなるデメリットもあります。
新しいマンションは全て二重床になっている?
二重床自体は、古くから工法として存在はしていましたが、マンションで普及し始めたのは、1990年代後半と言われています。
ですので、「新しい築年数のマンションであれば、二重床は当たり前」と考えている方も多いのですが、実際はそうではありません。
築浅のマンションだけでなく、新築のマンションですら直床のことがあります。特にここ近年はその傾向が顕著です。理由は、コスト面によるものです。
昨今では、新築マンション市場は土地相場の上昇だけでなく、円安による材料費高、そして建築業界の総量規制や人手不足による建築費の高騰の煽りを、もろに受けています。
そんな中で、ディベロッパーはコストを抑え、収益を確保するために、マンションそのもののグレードを落としています。その一環として二重床でなく、コストの安い直床が採用されているというわけです。
ですから、新しいマンションの全てが二重床でないことに注意が必要です。
ちなみにマンションは築何年という考え方ではなく、「いつの時代に建てられた物件か」を考えることで、本当の実力が見えてきます。
このことを詳しくまとめた動画もありますので、ぜひ合わせてご参照いただくと、理解が深まると思います。
コメント
この記事へのコメントはありません。